龍の国 日本   作:揚物

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30.レイフォル領

 情報収集を進めるうち、主計幹部による具体的な汚職の情報を得たことで、用意していた金塊と人工ダイヤモンドを賄賂として、嗜好品面で食い込む方針とした。

 タバコや酒類、甘味など軍にとっては嗜好品、食い込むのは楽な事ではないが、一度成功すれば汚職などしている者達に近づきやすい。

 

 レイフォル領では一軒しかない高級店に主計課の幹部を招待、最高級料理を店側に依頼し、個室で対応をする。

 主計課の幹部とはいえまだ若手ではあるが、切り崩していく第一歩としてはふさわしい。

 

「我々のようなものにお時間を頂き、ほんのお礼でございます」

 

 レイフォルで購入した菓子箱の中に、お菓子の代わりに延べ棒を詰めて差し出す。

 文明力を気付かれないよう、樽と陶器に詰めて持ち込んだ酒類、そして金の延べ棒。少々パーパルディア皇国よりも予算はかかるが、

 

「ふん。 蛮族の割には心得ているじゃないか」

 

 中を確認すると、若い幹部は満足そうに椅子に背を預ける。

 

「グラ・バルカス帝国の方々には、嗜好品を卸させて頂けないかと考えておりまして」

 

 取り出したお酒をコップにつぎ、相手に差し出し様子をうかがう。

 見下した目で見ながら酒に口を付けると、少し驚いたような表情を浮かべた後飲み干した。

 

「まぁまぁだな。 いいだろう。 他にも持ってきてるんだろうな?」

 

「もちろん、こちらに準備してあります」

 

 これで一つ、レイフォル基地内部に入る手段ができた。

 

 

 中央歴1940年8月

 レイフォル領グラ・バルカス基地に物品の納入をするため、基地内部に正式に入れることになり、そこでまた新たな主計課の幹部を経由し、基地司令部にウィスキーを贈った。

 物資の納入が行えるようになれば、関りが自然と増え使える弱みが見つかり、それがまた食い込む手段となる。

 仲間内とはいえ賭博や女に入れ込んだ借金や、秘密警務にばれるとまずい案件を持つ兵士など、脅迫に向く兵士。

 有能であり軍を効率的に運用する排除すべき幹部、金で都合よく運用できる幹部、徐々に判明して行く限りでは、陸軍や空軍に暗殺すべき人材はそれほど多くはない。

 むしろ金や嗜好品で動かせる人材が多く、生かしておいたほうが都合がよかった。しかし海軍はそうではなく、わかる限り非常に精強であり兵の質も高い。

 暗殺するにも海上に居ることも多く、輸送や補給で寄港している間しか狙い目がなかった。

 

 

 暗殺の準備として、レイフォル産密造酒作りを始める。検死技術や取り調べ方法も判明したことから、良い酒を存分に飲ませ泥酔した後、最後に飲ませて中毒死させる。

 その為にレイフォルで手に入る作物で、質が悪いもので毒性を含むものを使用、調べれば密造した酒による中毒死と思われるだろう。

 

 

 数日後、陸軍の主計課の少佐が川で溺死しているのが見つかった。軍警察が調べたが事故として片づけられ、日本と酒肴品納入について取引のあったことは闇に葬られた。

 

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