龍の国 日本 作:揚物
ML86Xによって部隊が派遣され、戦車の配備が始まると、慌てたのか大規模な軍勢が西方区域に急遽向かっていることが分かった。
航空映像から全軍を西区に集めていることが分かり、正面から当たる事になるのだが、こちらとしても効果的に罠を仕掛ける事ができるので助かっていた。
大規模な音響兵器(LRAD)、アクティブ・ディナイアル・システム(ADS)を複数設置。
一体何の道具なのかエスペラント王国はさっぱり理解できていないが、それが兵器であることくらいはなんとか理解できていた。
設置が完了した翌日、魔物の群れが西区城壁に魔物の襲撃が開始された。
「照射開始」
LRADによって大音圧が直接照射され、体のバランスを崩し次々と倒れていく。気絶するほどではないが、脳さえも揺らし集中力をえぐり取る大音圧には、体そのものも揺すられその場に座り込んでしまう。
無理やり突破してきた集団には、ADSの照射によって誘導加熱により皮膚表面が焼かれるような錯覚地獄を味わう。
脳を揺らされ、体を心理的に焼かれた影響でまともに動くことができない魔物を、騎士や兵士が一体ずつ仕留めていく。一時間と保つものではないが、延々と照射を続け、範囲外となった場所から仕留めるのなら何ら問題はない。
一体ずつ丁寧に仕留めていると、大型の狼のような獣が4体現れる。その後ろには黒騎士が隊列を取っており、本隊であることは確実だろう。
「ゴウルアスが出たぞ!」
今までの狼の獣とは違い、象に匹敵する大きさのある角を持つ狼が現れた。
「オイ車、ホリ車前進!」
いまだのたうち回るゴブリンやオークを踏みつぶしながら、城壁付近で待機していた二両が前進を開始。
ゴウルアスの頭部の角が光り、強烈な爆発がオイ車に襲い掛かる。しかし僅かに車体が持ち上がっただけで、爆発に対してなんら損傷を負うことはない。
どうやら主に衝撃波と猛火が主であり、直撃でもしない限り戦車を破壊できるほどではないようだ。
155mm榴弾砲及び105mmライフル砲の照準を合わせ、ゴウルアスを吹き飛ばす。大物さえどうにかしてしまえば、あとは後方に下がり一体ずつ時間を掛けながら仕留めれば片が付く。
順調に片付けていく中、離れた場所に見えていた火山が爆発し、巨大な竜が姿を現した。
騎士や兵士たちが恐怖によって混乱が広がっていく。
それどころか魔物達も慌てふためき、城壁から離れ四方に逃げ始める。
「戦車前へ!」
混乱を抑えるため無理を承知で戦車のみ前に出る。開始された砲撃によって攻撃を受けた竜の視線がこちらに向くと、魔方陣のようなものが竜の口周辺に浮かび上がり、とっさに後退を始めたオイ車の正面が弾け飛び、副砲が歪み履帯がえぐり取られる。
直撃していれば耐えられないだろう。
さすがに戦車などでは対処できず、待機していた航空機による攻撃が開始される。
機銃によって穴だらけになり砕け落ちた首、強度はそれほどでないようだ。
「体が……再生している」
伸びる樹木の枝のように、巨大な竜は失った頭を再生し、削れた胴体を修復し始めている。
「プラナリアと同様だとすれば、総体積の6割を超えて損失すれば再生はしないはず」
急ぎ手順を纏め、翼を機銃により破壊、次に頭部を誘導弾で破壊し、最後に爆装している航空機から投下された500lbによって胴体を砕く。
手順通りF-35C編隊による攻撃が始まり、飽和攻撃によって全身が弾ける。
数回上空を旋回し完全に死滅したのを確認、F-35C編隊は帰還していく。
「状況終了」
救助した黒騎士達から、筆頭であるバハーラが紹介され、彼もまた輪による制御を離れ状況を説明してくれた。
彼らは鬼族であり、国を襲ってきた者達によって姫が攫われ、さらにバハーラを始めとした騎士達が、謎の輪によって操られていたそうだ。
操られていた間の記憶は曖昧でありながら残っており、拠点としていた場所を案内され多くの情報や物資を確保することができた。
また、鬼族からの依頼で、彼らの姫を救助を願われた。そしてまた、彼らは以前現れた太陽神の使いをエスペラント王国よりも知っており、新たな情報をある程度得られたことも収穫であった。
「西方海岸に国籍不明船舶を確認、魔道戦列艦と思われるも、国識別旗なし」
攻撃空母かがは、レーダーに映る艦船を確認していた。
「エスペラント王国侵略の重要参考人の可能性あり。 座標を送れ」
偵察衛星にマークされ、連携された偵察衛星システムによって航路を逐次監視、アニュンリール皇国へと入港してくのを確認した。