龍の国 日本   作:揚物

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4.準備、そして取り入り

 中央暦1638年2月

 

 防衛省

 クワ・トイネ公国からロウリア王国が攻めてくる危険性があるとして、ロウリア王国の戦力分析が行われていた。

 

「それでは、航空戦力さえ対処方法を用意すれば、後はトラップでどうにかなるのだね?」

 

「地上戦力については数が多いだけです。 簡単な武装のレンタルでどうにでもなります。 問題は航空戦力への対処が全く無い事です」

 

「我々の食料と資源を護る為には、一時的な協力もいるでしょう」

 

「突然攻撃してくるわけではあるまい。 侵略軍に空爆して終わらせればいいだろう?」

 

「最低限の費用ならば、ワイバーンだけを狙い、残りはクワ・トイネ軍に任せましょう」

 

 クワ・トイネ軍には一部武器のレンタルを行い、ギム防衛基地の改修を有料で請け負うと打診したところ、クワ・トイネからは食料と引き換えに、丘に木造の防壁が組まれただけの粗末な防衛基地の改良を引き受けた。

 ロウリア軍の戦力は判明しており、その対策はワイバーンを除いて簡単なものだ。

 地面を掘りぬき、幅20m深さ10mの堀を一面に作り上げる。木造の外観を保ったまま内側には運び込んだコンクリートユニットと鉄筋で高さ10m程度の防壁に作り変える。

 堀の底は全て鋭利な棘を設置、落ちたらただですまない。ギム守護隊 将軍モイジは日本など不要だと当初言っていたが、大規模な建設作業に驚いていた。

 

「では、テストしますが注意して下さい」

 

 固定式火炎放射器を起動させ、40m先までを焼き払ってみせる。

 

「こちらを30門 レンタルします。 故障しても構いませんが、返却はしていただきます」

 

 巨大な燃料タンクと繋がり、一面を火の海に変える事ができる。数の暴力で来ようと、面制圧で焼いてしまえばたいしたことはない。

 何よりも火は人の恐怖を煽る。広範囲で人が多く燃え上がれば、攻撃側の心は折れるだろう。

 

「ワイバーンに関しては、こちらで処分いたしますので、ご安心ください」

 

 

 

 

 

 パーパルディア皇国

 アマロッテ商会は日本の砂糖やうま味の素の販売によって息を吹き返し、真珠の件もあり貴族の支援も取り付け始めていた。

 町での情報収集を行いながら、国家の成り立ちや現在権力を握っている者達も判明しつつあり、どこから切り崩していくか。

 まだ貴族との面会は叶っていないが、国家のシステムから考え、皇族でなければ余り意味がないとされた。

 そんな中真珠が目に留まり、皇族の一人 レミールと面会する事となった。

 

「お前達がアマロッテ商会に品を卸している者達か」

 

 第一外務局 レミール執務室に呼ばれ献上したいものがあると申し出ていた。

 

「して、献上したいものとは」

 

 真珠が詰められた箱と50カラットのブルーとピンクダイヤモンドが納められたケースをメイドに渡す。

 開かれた中を見てレミールは息を飲んだ。天然物として見かける事は、この採掘技術が劣る世界ではまずないだろう。

 

「我が国でも非常に希少なものです」

 

 魅入っているのを確認し、こちらの用件を伝える。

 

「我が国はとても人口も少ないため、奴隷を供出することもできません。 王も病弱で老い先も短いのです。 なにとぞ王が存命の間、レミール様のお力で良き様取り計らって頂けないでしょうか」

 

 国家の本来の形や状況を伝える必要などない。まずはこちらの思惑通りに動いてくれるか、その様子見である。

 

 

 

 

「あの、レミール様?」

 

 宝石に意識が向いていたことに気付き、レミールは目の前の男達に視線を向ける。

 

「うっうむ。 そうだな」

 

 視線を変えた先には美しく真円の真珠が200珠が納められた箱がある。これだけの宝飾品であるならば、搾り取ればもっと得られるだろう。

 

「この真珠を毎月献上せよ」

 

「これは年に一度、今年は来月に300珠しか採取する事が出来ません。 それを全て献上いたしますので何卒ご容赦を」

 

 焦るような表情を浮かべて答える。

 真珠の採取は育成と品質にばらつきがあるが、最高品質となると2年以上の育成が必要となる。

 本当はもっと多く採れているのだが、実情を知るわけがないのだから、真偽を混ぜて上手く伝えればよい。

 

「よかろう。 来月必ず献上するのだ。 それ如何によっては考えてやろう」

 

「仰せのままに致します」

 

 

 

 

 金や銀などレアメタルは困るが、合成できるダイヤモンドや養殖でまかなえる真珠は金こそかかるが、問題はない。

 これで誰を崩していくか決定した。徐々に、そして確実にレミールに権力を集め、皇帝と不仲にさせパーパルディア皇国内部の権力を二分させる。後は食料や宝飾品などをレミールの元に集めていけば、権力は勝手に集まっていく。

 どれだけ皇帝に信頼があっても、頂点のすぐ近くに権力を持つ者が、側にいれば不安となり疑心暗鬼となり、自然と関係はひび割れる。

 翌月、正式に日本はレミールの外務直轄地として取り扱われ、税収は食料10万トンで賄われると発表された。

 いままで他の貴族や外務官などが砂糖などの利権を狙っていたが、皇族であるレミール直轄地と発表された事で手出しが出来なくなった。

 実際には日本がクワ・トイネから購入している食料を、そのままパーパルディア皇国に輸出するだけなのだが。




じわじわと、
一歩ずつ、
真綿で首を絞めるように、
気付かれないよう、
そして確実に
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