龍の国 日本 作:揚物
グラ・バルカス帝国に対する備えが必要であるのだが、現状では神聖ミリシアル帝国しか対抗することが不可能であるのは明白であった。
魔帝でもない相手に日本が主力として対応するのはコストがかかる。ムー国に対して、人材を用意する。
「訓練……ですか」
「魔帝に備え、ムー国の戦力を計りたいのです。 陸軍及び空軍一部隊、新鋭戦艦一隻を求めます」
建設中の無人島基地に、ムー国の外交官を呼び会談を行っていた。
さすがに兵力をよこせという内容にムーも難色を示したが、量産体制に入れていないティーガーⅠ、生産するために公開された予備技術情報だけでも、ムー国は軽く見ても5年は鋼鉄関連の技術が進歩している。
「グラ・バルカス帝国について何かわかりましたか?」
「それは……現在分析中でして」
提供された兵器を解析し、銃器や戦車について出来うる限り情報を集めている。それはムー国の30年近く先の技術で作られ、簡単に製造できるものではなかった。
作れなくはない。だが量産は難しいといったところだ。
「我々の提供した情報と比較し、協力を得たいとの考えに至りましたか? 日本が貴国に販売打診している飛行機も、我々が公開した技術の一部が元となっていますよ」
危険で甘美な誘い。最新技術の塊である戦艦と航空機の提供と引き換えに、それを超える技術を持つ国によって訓練を受ける。これは国家として大きな利となるのだが。
その技術が流出するというリスクが伴う。
「上に報告しますので、お時間を頂ければと」
ムーから建造中のラ・カサミ級戦艦一隻、マリン型航空機20機とパイロット20名、自動車機工兵20名、歩兵30名、以上が派遣された。
ラ・カサミ級戦艦はそのまま日本に曳航され、対潜対空艦として改装が進められる。完成後訓練を行う。
マリンについてはばらばらに解体し、全てをX5FUへと作り変え、自動車機工兵はティーガーⅠで訓練に使う。
教導団として基礎からすべて叩き直す必要があった。
グラ・バルカス帝国に対抗する為、神聖ミリシアル帝国の協力が不可欠。その為ミリシアルに対して、懐柔策を取る必要性が産まれた。
例えグラ・バルカス帝国が何かしらの圧力を掛けたとしても、屈してもらっては困る。
レーダーについては以前の概念公開に伴い、どうやら製造が曲がりなりにもできている情報が入っている。
必要なのは対空能力と対潜水能力、しかし対空については電子システムが必要であり、これを公開するわけにはいかない。
だからこそ、古来の防空側戦術について概念を公開した。音速を超える相手には無意味ではあるが、レシプロ機であるならば、十分な効果を得られることは歴史が証明している。
潜水艦についてはアクティブソナー及び対潜迫撃砲の概念を公開した。
ミリシアルの技術者は随分と驚いていたが、エスペラント王国から得た情報から、魔帝が海洋性の魔物を従えている可能性を説明し、急ぎ開発するよう念を押した。