龍の国 日本 作:揚物
日本・皇居
先進世界11か国会議の期日が近づく中、海中からサルベージされた魔帝由来のもの、その解析が順調に進んでいた。
「つまりアイオワ級戦艦の兵装と同等であると?」
「41センチ砲だけではなく、CIWS・ハープーンと思われるものが確認できました。 魔道兵器なので詳細な点は不明ですが、確認できる形状や設備から8割方該当するかと」
沈んでいた場所を教えてくれた水龍たちの話では、遥か昔海龍が水中に引きずり込んで沈めたそうだ。
戦艦は船底を上に向け、そのほとんどが泥炭地帯に沈んでいたので、サルベージに時間を要したが、大して劣化せずに原型を保っていたのが幸いであった。
内部にも当時の道具と思われるものも多く、解析できる情報は多く文明程度の判別ができた。
「対艦誘導弾を持つとなると、これは手ごわい相手となる」
「現在以上の解析は、魔道技術を持たない我々では難しいかと」
「大凡、朝鮮戦争直後の文明程度と思われます。 数さえ居なければ我々でもなんとか対処が可能です」
「国家技術が分かっても、国家規模がいまだ不明なのが恐ろしい所だ。 アメリカ規模であったら手も足も出せんぞ」
その数が何より問題であった。同規模の国土を持つのなら対処の仕様があるが、アメリカ本土ほどの広さがあるのなら、まずまともな戦争の状況に陥ったら勝ち目はない。
技術性あっても数の暴力の前に屈することになるだろう。先制攻撃をもって滅ぼす以外手がない。
「通常弾の攻撃衛星の配備も完了しております。 こちらはMOAB以上核未満といったところでしょうか」
攻撃衛星の起動キーが用意されていた。
「不遜な話だが、最悪でもこれで勝敗を決したい。 気の重さが違う」
「順次衛星の打ち上げは行います。 搭載するための、MIRV型水素爆弾も研究中です」
会議に出ているすべての人物の表情が良くない。大陸間弾道弾よりも、即応して落とす事が出来る攻撃衛星搭載型水素爆弾。
撃てばどれだけの被害が発生するか予想もつかない。
しかし、コア魔法という大陸間弾道弾を撃ったという、魔帝に対して対抗できる武力を持っていなければ、こちらがただ蹂躙されるだけになってしまう。
どうしようもない苦肉の策であった。
対魔帝に対する準備が進められていく中、グラ・バルカス帝国の全世界に対する宣戦布告の時期は迫っていた。
外交的で出来うる限り手を打つため、準備もまた進んでいる。
得られた情報は限られるが、動きを鈍らせ内部に食い込む方法を練っていた。