龍の国 日本   作:揚物

48 / 157
48.世界会議まで三か月・・・

 世界会議、第三文明圏としてパーパルディア皇国が代表として出席する。

 魔石式蒸気機関によって鋼鉄の船の建造に成功したばかりであり、外輪式ではあるが技術的に新たな段階に達しつつあった。

 元々魔道文明であるため、蒸気機関についても水の補給さえ行えば、丸一日連続して燃え続ける火の魔石も作りだし、蒸気機関は文明の発展に寄与、その恩恵を受け始めたばかりであった。

 人員を内政に回しているパーパルディア皇国は、国境線でリーム王国とにらみ合う以上の事はせず、兵数の削減と近代化を行っていた。

 フィルアデス大陸諸国では、リーム王国による大陸制圧戦争が起きるのではないかと危惧されていたが、すでにパーパルディア皇国ではパーカッションロック式とはいえ回転式拳銃が生れ、定数が減った事で訓練も行き届き兵士の質はかなり上昇、リボルビングライフルの少数配備も始まり、すでに軍部としてはリーム王国など眼中になかった。

 

 ロウリア王国を支配していた軍団も討伐され、浮島で保護されていたロウリア王妃と王子により、再興が為されたものの、第三文明圏は現在不穏な状況が続いている。

 リーム王国が元パーパルディア皇国から独立した6個の国家を手に入れ、影響力を増してきていた。

 その為クワ・トイネ公国に食料、クイラ王国に鉄材、アルタラス王国に魔石を買い求めた。輸出入は世界的交易で何ら問題はないのだが、高圧的であり各国に適正価格より安く買い叩こうと武力をちらつかせている。

 

「文明圏外国家風情が! 我々は文明国家リーム王国だぞ!!」

 

 どの国でも高圧的に出ては、相手国を困らせていた。

 第三文明圏で対することができる国家は、パーパルディア皇国であるが、今だ前体制のイメージが強い為にどの国も苦労していた。

 

 

 

 外交担当がシエリアに変わり、交易品目録の中にあり、軍需品に直結しないものの関りがあるものを求めていた。

 

「原油を購入したいのです」

 

 原油、クイラでは設備が万全に稼働しているので、売却することに何ら問題はない。

 むしろ余りにも原油の自噴量が多く、農業向けに土質改良をしようにも、原油が混じっていない大地の確保にも苦労するほど。汲み上げないと原油が土壌を汚染してしまうという、地球では考えられない事態に陥っていた。

 日本国内では昭和50年代以来、懐かしきガソリンリッター80円まで落ちているが、産出量が多すぎる為、巨大備蓄タンクをクイラ港湾部に次々と建造することで、なんとか異常な価格下落を抑えていた。

 10億klを超える備蓄タンク群を建設中であり、そうでもしなければクイラで大規模農業など不可能であった。

 

「いかほど必要ですか?」

 

「50万トンほど」

 

 これはグラ・バルカス帝国の年間使用量の三分の二に達するのだが、

 

「タンカーはお持ちですか? 輸送料を支払うなら2隻でレイフォルまで輸送しますよ」

 

「はっ? 二隻ですか?」

 

 グラ・バルカス帝国の石油タンカーは最大でも12000トン、船団を構成し何往復もしつつ輸入するつもりが、たった二隻で輸送できる事に驚いていた。

 日本としても、ムー国マイカルに原油、マイカル沖合にある基地に燃料を輸送しており、レイフォルならばそれほど遠い距離ではなかった。

 問題はグラ・バルカス帝国側が支払えるかどうかなのだが。

 

「お支払いはどのようになさいますか? 植物や種子はもう不要ですよ」

 

 為替についてグラ・バルカス帝国とは結んでいない。いずれ紙くずになる事を理解してのことだが、グラ・バルカス帝国としても、いずれ敵になる相手国の為替など考えても居なかった。

 

「金でお支払いできればと」

 

 どんな状況であろうが、金だけはどの国も欲するものであった。太陽神の使いとして計算を行い、価格の提示を行う。

 

「輸送料別として、金1304kgでしょうか。 レイフォルまでの輸送料は金200kgですね」

 

 決して安くはないが高くもない転移前のレートに合わせた価格、しかしグラ・バルカス帝国としては納得がいかない

 

「少々、高くはありませんか?」

 

「50万トンですから、これくらいでしょう。 これでも二隻輸送で少なくしているのですよ?」

 

 グラ・バルカス帝国としては、世界に対する宣戦布告に備え、大量の原油を必要としていたため購入することとなる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。