龍の国 日本   作:揚物

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54.騒乱と混乱

 フィルアデス大陸

 リーム王国は第三文明圏においてパーパルディア皇国とは異なり、宣戦布告さえ行わず一方的に侵略を開始、さらに属領の数を13に増やし、国名をリーム帝国と名を変えた。

 第三文明圏で対することができるのは、パーパルディア皇国しかないが、内戦中に独立した国家が救援を求められるわけもなく、独立した国家群で協力し対抗しようとしているが、独立して間もない為まともな兵装もなく、ほとんど一方的に蹂躙されるだけであった。

 パーパルディア皇国としては、前政権の問題もあるので積極的に介入するわけにも行かず、状況を静観しつつ、属領への蒸気鉄道の敷設と、最新兵器への切り替えを急いでいた。

 

 

 

 日本国 浮島

 ここ半年、目に見えて訪れる各国が増え、人が飽和状態に近くなっていた。

 これ以上浮島を拡大できるはずもなく、人数を制限しているのだがそれでも入港待ちの船が出てきている。

 リームが商業活動の独占を始めてしまい、第三文明圏では浮島とパーパルディア皇国くらいでしか平等な交易が難しくなっていた。

 どの国でもリームの外交官や商人が滞在し、無理難題の交易要求をしてくるため、干渉されない交易港を求めていた。

 

「最近リームの奴らのせいで交易がしにくい」

「まったくだ。 クワ・トイネの食料を売り回るのに税金を求めやがる」

「アルタラスの魔石にもだ。 どこでも五月蠅くてかなわん」

「だが従わないと、高圧的どころか撃沈された船もあるそうだぞ」

 

 どの商人達も浮島の食堂兼酒場で愚痴を吐き、様々な情報交換が行われていた。

 

「大変だ! リームの艦隊が来たぞ!!」

 

 リーム帝国が浮島にも戦列艦船団が訪れ、砲身を浮島に向け停泊していた、これは意図した脅迫である。

 多くの人々も最近のリームの行いには辟易していたが、少なくとも第一第二列強と交易のある日本の浮島でこのような事をするとは思いもしていなかった。

 混乱している中、リーム王国の一隻のみ入港してきたが、日本の浮島責任者がその場で断りを入れた。

 

「この浮島に戦列艦隊を連れて何の御用でしょうか。 不要不急であるならば、このような事は外交的問題になりますよ」

 

 戦艦扶桑のみが浮島に駐留していたが、パーパルディア皇国はたった一隻でも戦力の違いを今なら理解ができるだろう。だがリームにとってはたった一隻、脅迫外交の中でたった一隻など目にもくれなかった。

 

「文明圏外国家が。 我々はフィルアデス大陸を統べるリーム帝国。 不敬を働けば貴様らなど滅ぼすのは容易いのだぞ!」

 

「我々の太陽神の使いの下に生きる国家、あなた達の事などどうでもよいのです。 平等な商取引を行うつもりがないならお帰りください」

 

 港で叫ぶリームの外交官相手に、日本として正式な入港を拒否。一切聞き入れることなく相手にしない。

 そんな中、戦艦扶桑が静かにリーム艦隊と浮島の間に移動し、砲身を艦隊へと向ける。

 

「我々リームに対して! ただで済むと思うな!」

 

 リームの外交官は船に戻ると、風神の涙を使い艦隊に戻っていく。船が艦隊に戻ったとたん、戦列艦船団による艦砲射撃が扶桑に襲い掛かった。

 明確な敵対行為、球形砲弾なので命中率は高くないが、それでも何発もの砲弾が扶桑にぶつかる。

 

「リームの奴らやりやがった!!」

「こんなときに戦争かよ!」

「みんなにげろ!」

 

 港は大騒ぎになり、大混乱になりそうなのを獣人の警備兵が落ち着かせようとする中、騒ぎをかき消すような轟音が鳴り響き、人々の動きが止まった。

 砲撃を受けた戦艦扶桑は何の影響もなく、2門6基の砲口が交互に撃ち始め、次々とリームの艦隊を鎮めていく。

 半分ほど沈めたところで不利を悟ったのか、リームの艦隊は浮島を離れていった。

 

「皆さま、この度は騒ぎになって申し訳ありません。 これからも浮島による交易を何卒お願いいたします」

 

 戦艦扶桑はわずかに装甲に歪みや構造物に傷がついたが、船としては何ら問題がなく、静かに普段通り係留している港へと戻った。

 日本としてリームは危険国家として、今後一切の入港及び接近を禁止、必要であれば中立国家として自衛行動をとると発表、安心して交易に訪れてほしいと世界に伝えた。

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