龍の国 日本   作:揚物

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58.グラ・バルカス帝国・老人会・アルーの戦闘

 グラ・バルカス帝国では、宣戦布告をするつもりのなかった国に対して、民間人の殺人と言う行為をしてしまった。

 それも紛れもなく技術的にも上回る国家に対しての行為に、該当潜水艦の艦長やパイロットの罪を問うが、それだけで許されるわけでもなく、明確に宣戦布告と思われる言葉を公式に受け取っている。

 

「現場は何をしている!」

「海軍の失態だぞ!」

「陸軍から情報はないのか!」

「情報局はどうした!」

 

 戦うしか選択肢はない。正確な軍事力は不明ながら、技術力だけは確実に上回っている。早急にムー及びミリシアル帝国との戦争を終結させ、太陽神の使いとの戦争に向かわなければならない。

 会議は紛糾し、海軍艦隊の増強と防空体制の強化、そして陸軍の増員や戦時体制の強化など、国家存続のために舵をとる。

 それでもなお、外務省は外交的解決を求め、何かしら手がないかと模索していくこととなる。

 

 

 90代後半の元大日本帝国時代の空軍技術者から、繰り返し送られてきた直訴状、それは失われた震電を復元、彼らにとって試作機が作られただけで終戦によって停止された苦心の機体であった。

 他国企業やクラウドファンディングとは異なり、用意した予算も微々たるもので設計図と直訴状のみであるため、国の予算を使うわけにも行かず断りを入れていたのだが、とある会社の社長が全財産を寄付し、制作が決定された。

 ムー国とミリシアル帝国への売却を視野に入れ、HONDAによって制作が開始。しかし簡易的な設計図はあるものの、詳細図は失われて久しい為、残されていた構造設計図面を元に、一から図面の引き直しが行われた。

 しかしラヴァーナル帝国の戦闘機はおそらくM1.0から1.5程度の速度が予測されており、いまさら750kmの震電を復元しても何の意味もない。

 それならば売却済みのXF5Uでも充分である。だからこそXF5Uにも利用できる小型ジェットエンジンの搭載を含めた改良が行われた。

 

一方で問題点も多かった

・エンジンの過熱

調整を施されているとはいえ、本来はピトー構造の民生ジェットエンジン、エアインテークの形状変更が必須となる。

・エアインテークの改良と改善

商用エンジンであるためエアインテークがピトー型の為、適切な2次元ランプ型を探さなければならず、その為操縦席後部のエアインテークが大型化など弊害も発生。結局D型インテークと機体上部にもインテークの追加が為された。

・機体強度不足

750km想定した設計に対し、M1.0に耐えられるわけもなく、構造材や内部構造の強化が必要であった。

・ピーキー過ぎる制御性

操作に関して機敏に反応し過ぎてしまうため、安定性に欠ける。

 

 結果として設計者、鶴野技術大尉の先見性・計算・設計は間違っていなかったが、それは電子制御という技術的対処が出来る事が前提であった。

 現状では、余りにもピーキーなために4機製造された時点で、量産してもムー国への売却さえ難しいと判断。電子システムを搭載するわけにも行かず、機械式システムで全て対処できるわけもなく、制御さえできれば高性能というじゃじゃ馬となってしまった。

 制作された震雷改はムー国無人島基地に輸送され、ムー国航空パイロットの中でも、特に操縦技量の優れたパイロット一名に供与されることとなる。

 

 

 

 震雷が完成するころ、ムー国ではアルー防衛隊に向けムー国対魔帝教導団中隊が到着していた。

 

「決してあきらめはしない! 覚悟は良いか!」

 

「「はっ!」」

 

 本来は対魔帝の為に用意された戦力、しかしそれはムー国民を守る為もである。

 命令を拡大解釈し、無理やりの行軍、数百台の戦車相手に1教導団、そして航空支援もない。

 だが、ここで行動をとらなければ、アルーの住民が蹂躙されてしまう。

 アルー都市内に牽引式対空機銃を急ぎ配置し、運搬車から弾薬や偽装網が急ピッチで設営されていく。

 しかし過酷な訓練を乗り越えたと言っても、数は極めて少数であり、住民を逃がす程度の時間を稼ぐ事しか出来ない事を理解していた。

 

「対空機銃設置よし!」

 

 グラ・バルカス帝国による砲撃が始まり、届いた砲撃が建物を破壊し始める。

 

「1台は対空機銃防衛! 残りの戦車は全て前へ! 歩兵隊は民間人の保護と撤退を支援!」

 

 砲撃が届かないアルーの街中に移動式だが設置された対空機銃10基、残りの戦車7台は迫りくるグラ・バルカス帝国の部隊に対し、迎え撃つため前線へと向かう。

 すでにアルー防衛隊と激しい戦闘に入っており、銃弾や砲弾が飛び交う中を進んでいく。

 

「楔を打ち込むぞ!」

 

 先頭を走る超重戦車マウス、ほぼ3方向からグラ・バルカス帝国戦車の砲撃が集中し、その装甲に弾かれるが車内は酷い騒音が響き、上空からアンタレスによる機銃掃射も行われる。

 

「砲塔機銃破損!」

 

「退くな! 前進を続けろ!!」

 

 通信機からはアルー防衛隊の被害と、そして味方戦車の被害が伝えられている。

 少しでも的となり、そして反撃をしなければ

 

「4号車! 履帯をやられた!!」

 

 頑強なティーガー1戦車とはいえ、履帯に当たってしまえば破損はしてしまう。

 とても低い可能性とはいえ、ゼロではない事態が発生してしまった。

 

「そのまま砲台として撃ち続けろ! 誰もアルーに入れさせるな!!」

 

「了解!」

 

「第二牽引対空機銃! 弾が切れた! 補給完了まで車載機銃で撃ち続ける!」

 

 地面を埋めるかのように迫る、グラ・バルカス帝国の侵攻部隊に対し、中隊規模でしかない対魔帝部隊が相対した。




震雷搭載エンジン
ハ43-42
全長:2,305mm
直径:1,340mm
重量:1,280kg
圧縮比:7.0
減速比:0.457
過給器:遠心式1段2速機械過給器[8]
離昇馬力  2,130HP / 2,900rpm(ブースト圧+500mmHg)
公称馬力  1,850HP / 2,800rpm(高度2,000m、ブースト圧+300mmHg)
2130馬力
全備重量約4941kg
重量=馬力 比率2.32

実在HONDA HF-120
全長 1,511mm
全幅 655mm 全高 775mm
乾燥重量 211kg以下(466lbs)
圧縮機: 低圧2段軸流式、高圧1段遠心式
燃焼器: 反転式
タービン: 低圧2段、高圧1段

全圧縮比(英語版): 24
バイパス比: 2.9
燃料消費率: 0.7
推力重量比 4.5
推力: 定格推力:2,095 lbf (9.32 kN)[9]
約2751馬力
換装した場合の全備重量約3878kg
重量=馬力 比率1.41


ホンダジェットで782kmが巡行最高速度のエンジンですが、カタログを読んだところ、速度調整できる上でのエンジンの為、比率調整と大幅な軽量化と相まってM1.0までは行けると考えます。
・・・・正直計算やら調べものやらで、エンジンだけでも震雷をジェット機として使えるかどうかの評価大変でした。
 中身どころか機体後部エンジン回りも別物になりますよこれ。
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