龍の国 日本 作:揚物
FCSと連動したAIが自動で最適な武装を選択し、民間人を追い回す航空機に照準を合わせる。
誘導弾では爆発四散した破片が民間人に及ぶ可能性を考慮し、105mmライフル砲が戦闘機の未来位置へと向けられ、主砲から轟音を上げ装弾筒付翼安定徹甲弾が発射された。
数秒の時間をおいて、航空機は風穴を開けられ、衝撃でバランスを崩すだけではなくバラバラになりながら墜落。
こちらに気付き、降下してくる3機をレーダーとカメラアイで捕え、前進しながらFCSによってミストラル汎用誘導弾の照準が合う。
高精度のAIが即座に標的をロック、操縦者に攻撃許可を申請、たった一回許可のトリガーを引くだけで全てが終わる。
許可を受信したケーニクスティーガー・TALONからミストラルが発射され、ロケットと認識した3機のアンタレスが回避行動を取ろうとしたが、ミサイルは追尾し全てを火達磨へと変え撃墜した。
戦場から離れた場所で、非現実的でありながら、兵士を危険に晒さずに命を奪う。実に効率的で安全な戦争。
「状況終了しました」
モニターしていた自衛官や技術者が安堵の表情を浮かべ、システムを切り替えAIにまかせる。
「システム 保護モード 移行 民間人保護 優先」
AIの判断によってゆっくりと女の子達の所に移動。困惑している二人に自衛官が話しかける。
「あの……」
「横から上に乗りなさい。 空洞山脈基地まで送ります」
非常時として車体に乗るように促し、民間人の女の子二名を車体に乗せたまま空洞山脈基地へと向かう。
「帰還開始」
AIは順調に入力された命令に従い、空洞山脈内にある基地へと安全なルートを選択して帰投した。
この結果は重く見られ、
機能を一部限定し安価に量産する方針が決められる。
とはいえ、ケーニクスティーガー・TALONはコスト度外視であるため、安価なものが望まれた。
しかし一定の問題もすでに米国で出ていた。
実際の命に対する感覚が酷く鈍ってしまうため、ゲーム感覚で攻撃許可トリガーを引いてしまうと言うことだ。
この倫理観の欠如に関して、一定数以上のAIドローンの運用は不可能であるとの考察もされている。
マグドラ群島
爆弾の技術的ブレイクスルーとして生み出された電子励起爆薬、シミュレート上ではTNT比較500倍であったが、合成精度の問題なのか現状では50倍程度が製造限界であった。現在も継続して研究が進めれている。
しかし試験しない事には実用性は計れない、そのため1トンの電子励起爆弾が制作された。計算上はMOABの約5倍程度の威力を持つと想定されている。
1.3600m以内の障害物を消し去る
2.7200m以内の人間を殺害
計算上は以上となる。
神聖ミリシアル帝国の協力を得て、マグドラ群島にある岩だけの小さい無人島で実験することとなった。
「コア魔法に近い爆弾とは」
ミリシアルとムーの技術者が共に観覧することになり、離れた場所で戦艦扶桑に乗って居た。
「コア魔法と同じものもありますが、これは異なります。 コア魔法は推測が正しければ、使った大地を汚染し、数十年生物が住めないようにしてしまいます。 これは単純に破壊するだけです」
「3・2・1」
強烈な光が周囲に発せられ、40kmも離れているところから観測していたのだが、衝撃波によって船は激しく揺れる、巨大なキノコ雲を上げ、巻き上げられた土砂が暗雲となり周囲に黒い雨が降り始める。
「偵察機によって映像が送られてきました」
映し出された映像には、跡形もなく無人島が消し飛び、浅い岩礁だけが残されていた。
ミリシアルとムーの外交官は光景の前に言葉を失い、日本としても眉間にしわを寄せた。予定していたよりもあまりにも威力が高過ぎたためだ。
「……威力を抑えたのですが、少々危険すぎますね。 これは1トン以上は製造を控えるべきでしょう」
すでにMOABと同じ10トンクラスから200kgまでの製造を開始していたのだが、高過ぎる威力に使用する場所が限られてしまう。
これからの製造方針として主製造は500ポンド、つまり約227kg爆弾に収めるとした。威力が高すぎるのもまた、多目的利用の弊害となる。
そして急ぎ弾道弾への搭載も行われ核に準ずる戦略兵器としてさらなる開発が進められる。極めてクリーンに、核とほぼ同じ範囲を吹き飛ばせる兵器として。