龍の国 日本 作:揚物
1時間にも及ぶ激しい航空戦の末、ムー国はグラ・バルカス帝国の航空機を殲滅、制空権を完全にムー国が奪取することに成功した。
爆装したXF5Uもドーソン基地へと向かう中、先行して爆撃機B-1Bランサーが基地上空に到達、レーダーに映る事もなく上空から爆弾の投下を始めた。
一発当たり5トン爆弾に匹敵するMK84励起爆弾が48発、満遍なく投下され炸裂する度に建物が消えていく。空襲警報が鳴り響く暇もなく、爆炎と黒煙が吹き上がり、小さなきのこ雲がいくつも上がる。
ほんの10分にも満たない爆撃によって、バルクルス基地はその機能が失われ、地下施設に居た将兵も爆発による空気圧を受けて大半が死亡。しかし基地司令官であるガオゲルグは、新戦車受領の為にレイフォルに居り難を逃れていた。
バルクルス基地において僅かな生存者が空爆から逃れた直後、続けられたムー国によるXF5Uによる空爆が占領されていたドーソン基地にも行われ、事実上アルーを守るのは占領軍のみとなった。
ここでムー国はアルー奪還を決断、生産されていた全ての戦車や対空機銃など物資をキールセキへ輸送を開始、それと並行して第二文明圏各国に対して、ムー国の戦果を大々的に報道、対グラ・バルカス帝国戦線に加わるように伝え、バルクルス基地を第二文明圏の反攻拠点としての立て直しと人員の派遣を求めた。
事実上瓦解したドーソン基地は物資集積及び輸送経由基地とし、バルクルスを最前線として立て直す。バルクルス基地の跡地はほぼ更地と化しているため、一から作り直した方が早いのでドーソン基地よりも都合が良かった。
ムー国だけではなく、太陽神の使いとしても建設には協力すると伝えており、第二文明圏のいくつかの国家はムー国に協力し、兵力の供出を行うことを申し出た。
とはいえ、いまだ事態が好転しているわけでもなく、いくつかの国はやはりグラ・バルカス帝国に対して消極的であり、如何に自国の体制を保てるかに注力していた。
グラ・バルカス帝国が大混乱に陥っている中、準備の整った弾道弾がムー国東海無人島基地から発射され、グラ・バルカス帝国沿岸部重油保管施設に向かっていた。
太陽神の使いによる宣戦布告によって防空体制が強化され、連日アンタレスによる航空警戒が行われる中、突如重油保管施設が大爆発を起こして吹き飛び、次々と近くの燃料保管施設を巻き込み炎上していく。
数万トンの重油を失い、さらに延焼したことで人員に設備、そしてガソリンを始めとした燃料も1万トン近く失った。
グラ・バルカス帝国の調査では原因不明であり、直前にレーダーに何かが写ったとしか情報はなかった。
輸入した大量の原油があろうとも、万トン単位の重油を生成するのは簡単ではない。保管設備の建設もあり、現代の日本でもかなりの時間を有するだろう。
衛星写真から攻撃に成功したのを確認してはいたが、問題もあった。標的から100mほどずれていたため、あやうく民間施設に影響が及びかけてしまった。
その為更なる開発が必要であると判断され、現在保有している旧式の弾道弾2基はグラ・バルカス帝国に対して在庫処分を行うと決定がなされた。
照準は北部及び南部海軍基地に定められ、半月以内に発射するための準備が進められていく。