龍の国 日本 作:揚物
前もって行った偵察行為によって得ていた防空レーダーに向け、夜の闇に紛れこみ、低いエンジン音を響かせながらアニュンリール皇国の防空識別圏に侵入。
当初は電波妨害も考えたのだが、相手にレーダーは妨害できるという技術的な思考を与えないため、不明機による爆撃もしくは同胞のテロ行為と認識させるため、あえて電波妨害をしない方針を選んだ。
浮島に係留されているML86Xの会議室、そこにはミリシアルとムーの軍務の高級官僚が集まっていた。
「では、こちらを御覧ください」
大画面にはこれからの大まかな作戦スケジュールが表示されていた。
「これから新生物研究所に突入します。 映像はリアルタイムに送られてきますが、少々凄惨な映像が流れますのでご注意下さい」
TALOS部隊から映像が送られてくるのだが、もちろん戦場の為えげつないものも映し出される。それは覚悟してもらわなければならない。
「定刻です。 レーダー基地への攻撃が終わり、強襲奪還作戦が始まります」
画面には地図上に光点とマークが記され、順調に作戦内容をクリアしている状態が映し出されている。
「第一ミッション完了。 これより新生物研究所への潜入をミッションを開始します」
本格的作戦が始まる前に、続いてグラ・バルカス帝国に対する説明を行う。
「一つの工廠を除きすべて爆撃、海軍施設及び工業区を爆撃します。ついで行政区に対して警告のチラシと同時に鉄塊を投下。 いつでも殲滅できる旨と降伏を求めます」
ミリシアルやムーの観戦武官や外交官は渡された資料に目を通す。
「列強各国はアニュンリール皇国に向け、これから2年で準備を整え、戦争をしなければなりません。 なによりもラヴァーナル帝国にも備えなければなりません。 問題児の相手をいつまでもしている暇はないのですよ」
本来の敵はラヴァーナル帝国であって、グラ・バルカス帝国ではない。なのでいつまでも関わって国力を消耗させるわけにはいかないからだ。
「僕の星についても、一週間以内に回収し地上に降ろします。 解析準備について神聖ミリシアル帝国の魔道科学者に解析を願いますが」
「我々であれば、解析は出来ると思います。 ですが、時間は要するかと」
魔導分野においてミリシアルを超える国家は存在せず、ミリシアルに頼むほかはない。
「ムー国においては、ラ・カサミ級及び空母の建造を急いでください。 こちらもラ・カーニャをベースとした改良部品の製造を急ぎます。 アニュンリール皇国の技術はミリシアルとほぼ互角かやや上回っているくらいでしょう」
上回っている、その言葉にミリシアルの観戦武官は苦い顔をするが、衛星写真からそれらしいという情報は得られていた。
むろんそのこともミリシアルに伝えられており、その対策も考えられていた。
「これから行われるアニュンリール皇国との戦争は、ラヴァーナル帝国と戦う訓練となるでしょう。 ミリシアルも戦時体制の移行と航空機・空母の量産を急いでください。 戦艦ではもはや戦いにはなりませんので、防空艦についての概念も公開致します。 またミリシアルからは航空技術者とラヴァーナル帝国研究者の派遣を求めます」
もはや猶予は残されていない。アニュンリール皇国相手に大損害を被るようでは、日本がラヴァーナル帝国と戦っている間に破滅してしまう可能性だってあるのだから。