龍の国 日本 作:揚物
新生物研究所にもっとも近い基地がB-1Bランサーの空爆によって消滅、防空レーダーの破損によって混乱している中、さらに基地の消滅、この状況で冷静な判断ができるのは、実戦を繰り返した将兵くらいだろう。
V-22が侵攻し、空挺高架下TALOSの部隊が新生物研究所に突入、警備システムを破壊に回る部隊と鬼姫救出に回る部隊に分かれる。
襲撃者の情報を隠すため、研究者などは一人残らず射殺し、地位の高い者と思われる人物を捕えた。
「鬼姫はどこだ」
死なないよう急所を外しながら手足を刻み、居場所とアクセス方法を吐かせる。一人の研究者を使ってアクセスルートを開けさせ、迫る爆撃時間を無駄にしないよう、いくつもの隔壁や区画を抜け目的地へと駆け抜ける。
「残り29分」
囚われている区画に到着し、代表として随行してもらった一人の鬼族の黒騎士に鬼姫エルヤを確認してもらう。
「姫様!」
一角にある牢獄から、黒騎士が硬質のガラス越しに対象の人物を見つけた。
「おぉ、お前は」
研究者に扉を開かせ、黒騎士は鬼姫エルヤの間に跪く。
「ご無事なヨウで何ヨりで御座いマス!」
「再会の確認はあとで、投下時刻が迫っています。 お早く」
「姫、今ハお急ギ下サい」
「良く理解できませんが、今は従いましょう」
再開と安堵に時間を要している暇などなく、急がなければ空爆に巻き込まれてしまう。
頷く鬼姫エルヤを黒騎士が背負い、来た通路を走り戻り始める。
いくつもの通路を抜けたところで、出口付近で問題が発生した。
「魔物の敵襲!」
巨大な蛇と百足が融合したような化け物、その後ろには通路を埋めるほどのオーク達が居る。
12.7mm重機関銃を持つTALOSが対応するも、効果は見えるがその背後からは次々と新しい魔物が現れ続けた。
強行突破しようにも、TALOS部隊ならまだしも鬼姫エルヤを怪我させるわけにはいかない。
「ロケット!」
TALOSがSMAWロケットランチャーを構え、横の通路に皆が退避すると同時に発射された。
蛇のような百足のような生き物が弾け飛び、その後ろにいたと思われる一人の男が怪我をしたようだが、魔物の統制が乱れ、そのまま魔物の群れの中に隠れてしまう。
「再度ロケット! 次いで12.7mm重機銃斉射!!」
再び発射されたSMAWロケットによってオークの群れの一部が吹き飛び、重装備のTALOS分隊が12.7mmを集中させ、狭い範囲を一気に片付ける。
いままで統制されていた魔物の動きが乱れ、周囲に散り始める。どうやら操っていただろう対象を、仕留める事が出来たようだ。
「急げ! 空爆開始まで時間がない!!」
TALOS部隊は任務を全うし、鬼姫エルヤと共にV-22に乗り込み離れていく。
それからほんの6分後、B-2スピリット・ジャパンの2,000lb爆弾 16発によって新生物研究所は念入りに破壊し尽くされ、小さなくぼ地のみが残された。
アニュンリール皇国の守備隊が新生物研究所に着いたとき、何も残されておらず、どの国が行ったのかさえ判明することはなかった。
・不明兵器によるレーダー防空システムの破壊
・不明兵器による軍事拠点の壊滅
・新生物研究所の消滅
二大列強から突き付けられている鬼姫エルヤの返還要求、積みあがる難題にアニュンリール皇国は動きを鈍らせていく。
それでもなお、グラ・バルカス帝国との戦争で戦力を消耗し、完全に戻るには5年は掛かると読んでいるアニュンリール皇国は戦争の準備を進めていた。