龍の国 日本 作:揚物
このコンテストは続いた戦争による鬱屈とした雰囲気の解消と、列強同士の交流を兼ねてのさまざまなコンテストを開く一環として行われた。但し日本が参加すると出来レースと化してしまうため、スポンサーとして参加していた。
航空技術の発展を考え、幅広い知識と挑戦を元に開催することとした。
・グライダー部門
・人力部門
・超小型動力部門
軍事によって科学が発展するのももちろんだが、民間の競争などによって科学が発展するのもまた健全だ。
各部門の優勝チームには、ムー国中流階級の年収に匹敵する賞金を、準優勝でも年収の半年分に匹敵する賞金に、ムーだけではなく各国から参加者が集まった。
完全にお祭り騒ぎであり、各国からの観光客や貴族も集まり、会場は復興したカルトアルパス港にほど近い場所で開催された。
第二文明圏を除くとそのほとんどが、ワイバーンやヒクイドリをモデルにグライダー部門に参加、大抵のチームが即座に墜落し海面に落ちていく。
「次は神聖ミリシアル帝国から、新航空技術チームです」
順次発表が行われ、高さ10mの台座から海へと向かって跳躍、木製の骨格と布の翼を広げ飛び立つ。
「「おぉぉぉ!」」
観客たちから歓声が上がる。
「さすがミリシアル帝国だ!」
「すごいぞ! どんどんのびていく!」
滑空とはいえ、ほとんどのチームが飛行する事も出来ない中、初の飛行はスムーズなものだ。
結果は神聖ミリシアル帝国 新航空技術チームが80mの記録で優勝を果たした。
栄えあるミリシアルの国威を示し、歓声の中で優勝トロフィーと賞金を受けとる。
人力部門ではムー国 技術士官学校が優勝した。
元の航空機の性能もあるが、身体能力に優れる獣人が漕ぐことで、600mという記録を打ち立て優勝を果たした。
超小型動力部門
この部門は一月前に会場入りし、それからの制作時間と、主催者から提供された30馬力と言うエンジンを元に競技が行われる。
たった30馬力のエンジンと限られた燃料、それを最適に使用してどれだけの距離を飛べるか、という過酷なもので、参加する国は非常に限られる。
初勝利は神聖ミリシアル帝国 新技術研究所が果たし、1.5kmの記録を打ち立てた。
神聖ミリシアル帝国の技術者たちは当然だと誇っているが、ムー国技術研究所が1.4kmの記録を出しており、あまり余裕はない勝利であった。
外交的ではあるが、にこやかにムー国の代表が新聞社の質問に回答し、次回の優勝は貰うと宣言をした。
ある種のオリンピックのように、戦乱の無い国威の戦場であった。だからこそこういったことが必要となる、戦争ではない平和的な争い、たった一か月間の催しとはいえ、諜報にせよ防諜にせよ良い訓練にもなる。
動力機コンテスト
・出力部門
・重量比部門
・蒸気部門
・ロマン部門
出力部門ではムー国が優勝。ガソリンエンジンではあるが、航空機用のエンジンを改造し、初歩的なターボによって短時間ではあるが1100馬力をたたき出した。
この出力にはミリシアルも驚き、新しい動力機の開発に取り入れようと許された範囲で調べている。
重量比部門ではミリシアル帝国が優勝。その魔石式発動機は日本でも取り扱いたいと購入打診も行い、発電機としては最高の代物であった。何よりも日本が好むクリーンエネルギーであり、技術購入が不可能ならば、発電にも使える大規模な発動機の購入を打診した。
蒸気部門ではマギカライヒが優勝、効率という面ではやはり劣るが、蒸気機関の小型化に成功し小さな馬車にも積めるのは素晴らしいものだった。
ロマン部門ではパーパルディア皇国が優勝を果たした。
巨大な魔石蒸気機関を運び込み、小型ながら観覧車を動作させて見せた。混雑も多く平和的利用と言う事で、参加国から満場一致で採択された。
構造的に秘密な部分はあるものの、互いに新たな技術への発想につながり、さらに取引を考える各国大使にとっても有用な場となった。
技術とは自国だけでは限界が生じるものだ。それが解決できるのならば、例え敵国だとしても技術を得るのは間違いではない。