龍の国 日本   作:揚物

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72.閑期・リーム

 リームはパーパルディア皇国の国境を侵略し、侵攻を開始した。

 明確な侵略行為にパーパルディア皇国は即座に防衛ラインを引き、国境防衛隊を配備した。

 しかし どこから手に入れたのか、複葉機を要するリーム皇国にパーパルディア皇国のワイバーンロードは苦戦を強いられ、陸戦でもマスケット銃や魔導砲によって戦線は徐々に崩壊していた。

 おそらく内乱時のパーパルディア皇国からの強奪やスパイ活動で得た兵器と思われる。

 即応した国境守備隊と泥沼ともいえる戦いを繰り広げる中、皇都から主力部隊が列車によって出発した。

 

「我がパーパルディア皇国は自衛の為に戦力を派遣する! これは国民を守る為の派遣であり、覇を唱える行為ではない! リームより開放を求める国は名をあげるがよい!」

 

 レミールの世界発表に基づき、蒸気機関車に搭載された大量の魔導砲車両、射程が伸び装填の速くなった後ろ込め式マスケット銃、軽装甲ではあるが自走する蒸気装甲車、リンドヴルムも加えた主力軍を一度に投入した。

 敵を打ち破りつつ徐々に線路を敷き、装甲列車によって防衛と新たな陣地設営を行い着実に侵攻していく。

 内需に力を入れていた政策によって食料も魔石も潤沢であり、リーム本国に向け防衛陣地を突き破りながら逆侵攻を行っている。

 余りの事態にリームは各地に散っていた戦力を集中させるも、蒸気機関車によって多くの戦力を即応できるパーパルディア皇国と異なり、馬車や徒歩で人員を移動させるリームでは後手後手に回ってしまう。

 何よりもパーパルディア皇国は国内には線路を敷き、防衛するための戦力も蒸気機工戦力化、その戦力は内乱前よりもはるかに向上していた。

 

 

 二か月もかからずリーム王国時代の国境まで押し込められ、支配していた属領は次々とパーパルディア皇国によって解放されていた。もはやリーム皇国と名乗っていた力は削り取られ、このままでは本国にも攻め入られる勢いである。

 

「なぜだ! なぜパーパルディア皇国如きに押される!!」

 

 帝王となったバンクスは皇城で叫び、軍務大臣を怒鳴りつける。

 

「それは……、現場指揮官が悪いかと」

 

 バンクスを含めてリーム王国上層部は内政主義になったパーパルディア皇国を見くびっていた、軍の定数を減らしたように見えて、その実パーパルディア皇国の軍事費はほとんど増減していない。

 軍の規模を縮小し兵の数を減らしたのは、高価な兵器を以前の規模に配備することが不可能なためである。

 高性能な装甲列車も蒸気装甲車も、維持するにも運用コストは以前とは比べものにならなかった。

 

 

 

 

 開戦から4か月、リーム皇国はパーパルディア皇国に攻め滅ぼされ、王族貴族は全て捕えられた。

 処刑は占領されていた独立国家群の代表が集まる中、旧リーム王国の大広場によって執り行われた。罪状の読み上げは、神聖ミリシアル帝国の外交官によって執り行われ、パーパルディア皇国は戦時賠償金を受け取り、リーム王国があった地も収める事はなく元の国境線まで引き上げた。

 元よりリーム国の民衆は質が悪く、内需とわずかな外需で充実しているパーパルディア皇国にとって全く魅力がない地域であり、早々に周辺国に権利を譲って引き上げてしまった。

 

「蛮族どもがぁぁぁ! このような事が許されるわけがない!! いますぐはなせぇぇぇ!!!」

 

 民衆からは石が投げられ、解放された独立国家連合の代表が見守る中、罪状が読み上げられる。

 

「独立国家連合の総意、そして多くの国の民衆が命を奪われた事によって! リーム皇国皇帝バンクスには死刑を言い渡す!!」

 

 処刑人によって斧が振り下ろされ、リームという国は歴史書の中だけの存在となった。

 

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