龍の国 日本 作:揚物
繰り返す鬼姫返還要求にこたえられず、魔石から鉱石、そして食料の交易禁止と、搾り上げつつグラ・バルカス帝国との戦争から2年半、アニュンリール皇国は2個艦隊を持って東進を始めた。
絶えた資源を集める為なのか、もしくは本性を現したかは不明だが、なんにせよアニュンリール皇国に侵攻する時は来た。
ミリシアルの艦艇は全て防空艦に改装され、空母にはアルファ4が搭載され準備は整えられていた。
兵士達も末端に至るまで苦しい訓練を乗り越え、グラ・バルカス帝国との戦争前とは比べものにならないほど精強にはなったが、何よりも戦闘経験がない。
ムー国も戦力を整えているが、XF5Uをメインとした空母艦隊、防空艦はいまだに完成段階とは言えないため、太陽神の使いとして輸出した対空砲及び対空機銃を購入し建造している。
全てを自己生産できないために、数が限られてしまいミリシアルに比べるとやはり見劣りする数しかそろえる事が出来なかった。
しかし、まずはミリシアル及びムーの混成艦隊が戦いを挑む前、グラ・バルカス帝国が名乗りをあげた。
討伐する事が出来たのなら、経済制裁の停止等を求めての事だ。
まず第一陣としてグラ・バルカス帝国の艦隊がアニュンリール皇国へと向かう。
もし戦功を挙げられたのなら、経済制裁の緩和を行うという条件ではあるのだが、
日本としては戦果を挙げる事は不可能だと判断し、ミリシアルとムー国を説得し許可を出した。
自己犠牲で戦力をさらに削ってくれるのなら、特に問題はない。何よりも命をもって、アニュンリール皇国の兵器の質を見極める良い機会となる。
グラ・バルカス帝国は対魔帝艦隊を派遣、経済が死にかけ国民が辛い生活をしている状況を打開する為、国内の期待を背負い、再び軍事力と言う形で存在価値を証明しようとしていた。
一月後、会敵したグラ・バルカス帝国艦隊とアニュンリール皇国艦隊による戦いを、成層圏から逐次確認していた。
「アンタレスの防空網突破されました!!」
「対空砲はどうした!」
「巡洋艦2隻 中破!!」
雷撃機こそ無い様ではあるが、投下される爆弾によって艦隊は損害を被っていた。
アニュンリール皇国の主力航空隊相手に甚大な被害を被り、
「敵艦隊確認! 砲撃圏内!!」
「敵ロケット弾確認!」
誘導性は皆無ではあるが、アニュンリール皇国の航空機が発射するロケット弾、そしてかなりの大型で低速かつ拙いものだが、艦船が発射する誘導弾に攻撃され、グラ・バルカス帝国艦隊はさらに被害が増えていく。
とは言え、頑強さに任せた攻勢により艦隊戦にまで持ち込み、駆逐艦と巡洋艦による雷撃によって、アニュンリール皇国の艦を撃沈していく。
どうやらアニュンリール皇国の海軍も、魚雷という概念を理解していないらしいという情報が得られた。
これだけでもグラ・バルカス帝国を第一陣として不確定要素の多い初戦を任せた価値があるというもの、ミリシアルやムーが戦うときの戦術を十分に練る事が出来る。
そして、成層圏からの映像だけではなく、衛星映像からパルキマイラと思われる物体の運用も確認。彼らが本土から切り札を出さざるを得ない、その程度の戦力しか保有していないことも確認が出来た。