龍の国 日本 作:揚物
的として用意された無人艦艇が残った一隻のパルカオンに向け無防備に近付いていく。これは誘導魔光弾の迎撃テストである。
魔導レーダーに敵艦の反応が入り、パルカオンの艦橋は慌ただしくなる。ようやく見つけた敵、今まで沈められた艦の報復と怒りに燃えていた。
「見つけたぞ! 敵艦に向け誘導魔光弾を発射せよ!!」
パルカオン後部から上空に発射され、高空を飛翔しながら無人船に向かっていく。
日本などの誘導弾と異なり、レーダーから逃れる為低空を飛翔することもなく、無人船唯一搭載されているCIWS-1Aが自動で稼働し、誘導魔光弾をなんなく撃墜した。
魔導レーダーには目標に到着する前に光点が消えたことが映し出され、何かしらの方法で撃ち落とされた事を表していた。
「アトラタテス砲を敵も持つのか!? 次弾の装填を急げ!!」
一発撃った後、次弾を待つ事30分、再び発射された誘導魔光弾はやはり高空に打ちあがり、レーダー等を欺瞞するような飛翔をすることはない。
CIWSによって再び自動的に迎撃が行われ、最悪な事態を想定し、民間無人船にCIWS 1Aを態々搭載した意味はなかったようだ。
2発の誘導魔光弾によって大まかな実戦性能は判明し、あとは分解解析を行うだけとなる。
残るは誘導魔光弾の現物を入手する為、パルカオンを無事に鹵獲するだけとなった。
「攻撃開始」
上空で待機していたC-17に搭載された爆弾 10トン級大規模油脂焼夷弾。大規模な火災は生物の本能を刺激し、心を酷く傷付け、そして冷静さを奪う。
3発が順次投下が開始され、パルカオンのバリア膜にぶつかり弾ける。一面が火の海に代わり、パルカオンの上部構造物にも油脂焼夷弾の液体がかかり、派手に燃え上がる。
「火を! 火を消せ!!」
「消せって、海が燃えているのにどうやって!?」
理解も対処が不能な状況、密閉空間ではないためいくらでも周囲から酸素を補充できると言っても、局所的な高温は呼吸を困難にさせ気道や肺を焼く。
「息が……できな」
「誰か助け」
一酸化炭素中毒になるには開けた空間だが、数十秒間続いた燃焼による高温によって気道と肺が焼かれ、首や胸を抑えながら次々と兵士が倒れていく。
高温に焼かれた鋼鉄の船は内部にも熱が伝番、限られた空気流入口から酸素が消費され、艦内にいた兵士も高温と酸素不足で呼吸困難になり、甲板に逃れては死亡していく。
油脂焼夷弾の炎が消えるまでの10数分後、パルカオンは何一つ動作することなく静かに海上を漂い始める。
半日経っても何かしら行動を起こす事なく、海流に乗ったまま漂流し続け、十分な生存者がいないことが確認。
北部港に待機していたミリシアルの艦艇が一日後、船を横付けし内部を確認したが、酸欠や呼吸器による怪我で死亡したアニュンリール皇国兵士の亡骸だけが船に残っていた。
使用前の誘導魔光弾や砲弾、艦長室に置かれた資料や各種マニュアル、これは日本とミリシアルによって解析される為に回収され、外観を焼き尽くされたパルカオンは曳航、東岸部港に向かうとアニュンリール皇国民は、無事な中央や南部に着の身着のまま逃げ出す者と、誇りを傷つけられ絶望し自害するものとに分かれた。