龍の国 日本 作:揚物
日本の戦艦は威圧効果とミサイル防空が主目的、扶桑を除いたすべての戦艦はペイロードを利用した、電磁加速砲による超長距離国土防空艦であり、戦艦を戦艦として利用する時代は終了している。
配備された戦艦は日本本土防衛に当たり、ラヴァーナル帝国がコア弾道弾を発射した場合、迎撃する為に備えている。
如何なる地点から発射されたとしても、最適な位置からの第一次迎撃が可能である。
50倍の限界を超え、TNT比率200倍まで増大した電子励起爆薬、むろんその分価格も高騰したものの、重量比当たりの威力は核に匹敵した。
「最低数の宇宙への展開が完了しています。 しかし……これは」
MIRV型電子励起爆弾を搭載した純殲滅用攻撃衛星。対ラヴァーナル帝国のため、禁忌を破り宇宙に複数基打ち上げていた。
そして順調にその数を増やしている。
「……そうか。 ラヴァーナル帝国本土攻撃への準備は順調なのは大切な事だ」
勝つためといえ、使用すればオーストラリア大陸サイズなら完全に消し飛ばせるだけの量を配備する予定となっている、そのようなものを所有するのは、恐怖でしかない。
もし奪われたり内部から裏切り者が出れば、世界を滅ぼしかねない代物。
「マスター起動キーは、防衛省長官・首相・天皇・皇太子・龍神様、5個に分けられます。 何卒ご注意ください」
最悪な事態が発生した場合、5人のうちの誰かがキーを廃棄すれば発射することはできない。
「魔帝とも対話が可能であってほしい。 これは使うべき兵器ではない」
人の持つ倫理観、国家を大陸ごと消滅させるのは、生半可な事ではない。
戦争準備期間として、ミリシアル帝国では捕えた光翼人や有翼人から技術情報を引き出し、パルカオンやパルキマイラの解析、そして誘導弾の製造に力を注いでいた。
誇り高い有翼人とは言え、厳しい取り調べに少しばかり情報を話す者もおり、身の安全と引き換えに協力していた。例え屈辱的な軟禁状態でも、処刑されてしまえばそれで終わりなのを理解できる者は少なくない。
ムーではグラ・バルカス帝国の技術を取り込むことに注力し、僅かながらではあるが有線誘導式の投下爆弾と魚雷の開発に成功、現在量産しラ・カオス型爆撃機やラ・カサミ級戦艦に搭載が進められている。
限られた情報や太陽神の使いから許可を得たXF5Uの技術生産から、航空機の新開発も急がれていた。ほんのわずかに感じたアニュンリール皇国でのエモール王国の行為、それが今はラヴァーナル帝国に対して向けられた憎しみによって行われているが、それが何かがきっかけで自分達に向くのではないかと危惧していた。
だからこそ、軍事力の拡張は急務であり、日本の浮島を訪れては正式に話し合いが行われ、XF5Uの分解解析許可や、ラ・カサミ級に搭載されている対空砲や対空機銃のライセンス生産について、条件の取り決めや価格や技術購入など日々行われていた。
今でもエモール王国騎士団によって、旧アニュンリール皇国国土では光翼人や有翼人の処刑や拷問が行われ、ミリシアルやムー国から出る事は凄惨な死を意味していた。
グラ・バルカス帝国は最後の海軍戦力も甚大な被害を被り、もはや外征能力どころか国内を維持する戦力としてもぎりぎりまで落ち込んだ。
好意的とは言えないものの、ムーの支援によって食料や燃料の支援は続いているが、国内は非常に貧困状態であり、餓死者こそ出ないものの、転移前と直後の好景気の再来を夢見る過激派の反乱と、もはや戦いにすらならない事を理解している穏健派による鎮圧、繰り返される内乱は収束の兆しが見えず、国民の生活が好転する可能性はいまだなかった。