龍の国 日本   作:揚物

9 / 157
9.浮島

 外交交流として、情報や技術流出をするわけにはいかないため、設備のほとんどが人力で電子制御のない機械式のために人手が多く掛かり、日本から労働者を呼ぶわけにも行かず、当初は自衛官職員による小規模施設があるだけの浮島であった。

 しかし徐々に問題が発生し始めた。

 

「……また入港する船が増えたな」

 

 港湾管理官は次々と入港してくる帆船にため息を付く。

 日本国内だけでも手一杯なのに、商人が集まりだした事で飲食店や販売所の人手がまったく足りなくなってきていた。

 

「どうしたものか。 受け入れぬわけにはいかんし、人員を増やす当てもない」

 

 神聖ミリシアル帝国と国交を持ったことで領事館も建設され、小さな町は活気に溢れている。

 浮島の管理責任者は入港量の激増と、混雑している店からの増員要請に悩まされていた。

 

「クイラに依頼をしてはいかがでしょうか?」

 

「元々クイラ王国は傭兵や人材派遣をしていたそうです。 いっそここの警備や販売など人材派遣を依頼してはいかがでしょうか?」

 

「一考する価値はあるか。 大まかに概要を纏めて上げてみよう」

 

 

 

  クイラ王国

 現在日本からクワ・トイネと繋ぐ鉄道が敷設され、さらに大規模な油田と鉱山が稼動していた。

 その為経済もかなり良好になり、国民が飢えることはなくなっている。

 外交官が訪れ、クイラ王国の外務大臣と会談を行っていた。

 

「人員派遣ですか?」

 

「はい。 我々の島では現在人手が不足しています。 販売及び警務の為に派遣して頂きたいのです。 正当な報酬ももちろん支払わせていただきます」

 

「業務内容はわかりましたが、何人ほどご希望ですか?」

 

「およそ100人、ことによっては増えると思いますが、警備と販売業務等の増加具合でしょうか」

 

 外交官のメッサルは渡された書類に目を通す。

 

「わかりました。 数日以内に派遣できるよう取り計らいましょう」

 

 クイラにとって日本はお得意様中のお得意様、さらに仕事が入るとなれば少々の無理をしても早めに対応をするつもりであった。

 

 

 そして浮島ではクイラ王国から派遣されてきた獣人達が主に働くことになった。

 船の誘導から物資の輸送、許可されている食品や装飾品等の日本製品の販売から警務までを請け負い、どこの国が見ても第三文明圏の文明圏国家程度に見えるだろう。

 日本という国の真実を知られる必要なく、第一列強及び第四列強と取引がある国であるため、横暴な行いをする商人はほとんどおらず、時折無謀な海賊が現れるも、表向き船足が遅い日本の船ではなく、直接買い付けに来ているミリシアルやパーパルディアの武装商船に返り討ちにあっている。

 しかし、一つ問題を解決すればまた一つ問題が発生する。

 常駐人口の増加に伴う住居不足、海洋油田プラントを参考にした中央となる人工島の建設やさらなる浮島の接続によって解決をし、また広がった事による出店と人材不足の繰り返しによって一大商業島になりつつあった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。