龍の国 日本 作:揚物
エモール王国の兵団は艦隊を放棄、全軍をもって陸上し大陸中央に向かって進軍し、ラヴァーナル帝国は陸上兵器をもって対処を行う。
本土に上陸されなければ使う事もない、防衛および占領の為の兵器。
高さ9mはある巨大な人型歩行魔道兵器40機、地下軍事基地であるために日本の攻撃を逃れ、上陸してくる部隊に備えていた。
風竜の放つ空圧の衝撃波は全く通じず、大砲の様に巨大な手持ち魔道銃器によって撃ち落とされ、陸上兵団はただ蹂躙されていく。
救援を求める魔信が発信されるも、最も近い日本艦隊にエモールに援軍を出す余裕はない。
「全CIWS 弾が切れました! 対空防御不可能!!」
「パルキマイラ接近中! 到着までおよそ15分!!」
「海魔まで残り1km! 浮上確認!! 残数6匹です!!!」
「短魚雷残弾無し!」
姿を現した巨大なタコの海魔と巨大な蛇のような体躯を持つシーサーペント、護衛艦による艦砲によって数を減らし、海魔の討伐はぎりぎり間に合うと思われた。
「敵艦隊接近!」
「砲撃準備! 護衛艦は後方に下がれ!!」
だがラヴァーナル帝国とて馬鹿ではない。航空機や誘導魔光弾の効果がないのなら違う攻撃手段を講じる。それが海魔による襲撃と艦砲攻撃。
海魔なら対応する事は出来でも、戦艦同士の殴り合いに護衛艦が割って入れるわけもない。
向かってくるパルカオン艦隊に対し、扶桑は横腹を見せすべての砲門を向ける。
本来なら不要な戦艦による殴り合い、時代錯誤な交戦は互いの手の内を封じられたことから始まった。
「砲撃開始!」
合計12門、対地攻撃や格下ならまだしも、扶桑とパルカオンでは無謀ともいえる。
パルカオンは大よそ改修されたWWⅡ戦後のアイオワ級の性能を持ち、一方扶桑も改修が為されているとはいえ15隻相手にたった1隻、戦いになるはずもない。
砲撃戦が始まり、最新のシステムに補助された主砲弾は確実にパルカオンに命中させるも、15隻相手に1隻の扶桑では余りにも不利過ぎた。
パルカオンから扶桑目掛け撃ちだされた砲弾の雨、レーダーによって交差や狭差の砲弾が映し出され、回避航路を取るも至近によって艦が激しく揺れる。
繰り返される砲撃の中、避けきれない砲弾が扶桑に直撃した。
「第四砲塔損傷!」
一度当たってしまえば、速力の低下や内部人員の混乱やシステムの不安定化など状況は悪化。船速が落ちシステムが一時ダウンした扶桑に対し砲撃が集中する。
ほんの数分の砲撃戦によって各所から煙が上がり、残り11隻まで撃沈する事は出来たが、視界にパルキマイラが入り絶望しかけていた。
「航空支援来ました!」
待ちに待った航空支援、始まった空対艦誘導弾による波状攻撃、パルカオンやわずかに見えてきていたパルキマイラは爆炎を上げ沈んでいく。
扶桑は満身創痍ながら生き残った。
護衛艦は無事であったが、攻撃を受け続けた扶桑は中破し、多くの自衛官が戦死してしまった。失った人員は、死んだ自衛官は戻らない。
いままで誰一人として死亡者を出していなかったが、ほんのわずかな想定外の事態によって、多数の戦略兵器の準備では対処できなかった。