龍の国 日本 作:揚物
こちらは完全不定期かつ突然おわる可能性あり〼
a.暗寧の時代
激しい光の中、日本は無事に元の世界に帰還した。
西暦2045年 4月
世界各国と即座に連絡を計り、探査機や静止衛星になんとか生き残っていた日本製の衛星ともリンクが出来た。
半日も経たず復旧したホットラインで米国および英国と連絡が取れたが、即座に航空路及び海路を封鎖するよう助言がもたらされた。
各国の大臣と連絡も取り、無事空路及び海路の復旧と思われている最中、封鎖するという言葉に緊急映像対談が行われ、その最中米国大統領が驚くべき発言をした。
「数カ国が巨大生物に対して核を使用した」
巨大生物は言わば古代の大地の主、アメリカの双頭の大鷲は龍神様によって倒されたが、その卵による新たな世代は米国を守る守護者となっている。
そう言った存在を核をもって倒すなど、決して行ってはならない事だ。
「汚染された大地は広がり、日本の転移する前と比べ世界人口は激減しています」
地球上が放射能によって汚染され、陸地も海も汚染されてしまっていると。
各国ともに古代の大地の主の加護によって汚染はある程度は抑えられていると言っても汚染された地域は広く、大地の主を殺した隣国に関しては全土が汚染されているという。
無事に帰還した地球がこのような状況になっているなど、日本は考えもしなかった。
対談の中、要求は日本製の水や食料、対価は技術やありとあらゆるもの、そして一部特権階級のみの渡航許可であった。
日本側としては深く悩みながらも、地球の技術において25年近くの遅れがある事から、その条件は飲むべきではあるのだが、突然の情報に閣僚は混乱に陥っていた。
そんな中、隣国から既に艦隊が差し向けられていることが判明し、急ぎ護衛艦隊を向かわせることになる。
日本海・・・
隣国の艦隊がEEZにまで迫り、護衛艦隊が到着したとき大きな水柱が上がった。
「電磁加速砲か!?」
800kmを離れた距離から撃たれた超音速砲撃、日本が開発したように、地球でも同じく順調に開発がすすめられ、一歩進んだ軍事技術が当然となっていた。
むしろ超音速艦対艦誘導弾を使用しなかったのは、単に転移していた日本の技術が劣っているだろうという予測と、さすがに即座に戦争を起こすほど短絡的でもなかったからだが。
威嚇とは言え日本側も電磁加速砲を撃ち返すと、それ以上の接近は辞め 半日近くのにらみ合いの末帰還していった。
映像会談の中、状況を静観していた各国の大統領は口を開いた。
「やはり起きましたか。 米英の力が必要なのはわかりましたかね?」
「我々が駐留すればおいそれと攻撃は出来ませんよ」
「そちらの外聞もあるでしょうが、日本本土はいま世界各国にとって、数少ない清浄な大地なのですよ」
各国大統領からの要求ともいえる提案、避けるには日本の状況は良くない。
「わかりました。 駐留については国会を通してなんとかしてみましょう」
早急に送られた護衛艦隊によってなんとか追い返したものの、なんども穏便な圧力だけで済むとは思えなかった。
日本は1億人程度の島国、戦争で減ったとはいえ10億人ものほぼ同格の国家相手に、真正面からやりあって戦争になるわけもなく、技術や情報を対価に連合国家と連携を取るしか道はない。
汚染された地球の25年、軍事技術よりも環境浄化技術に重きが置かれていたため、それほど大きな差はなかったが、やはり多様な面で日本は後れを取っていた。
日本政府からの公式発表によって日本人、そして在留外国人は唖然とし、放射能汚染された各国に行くことなく、日本本土から出るものは居なかった。
二か月後到着した各国艦隊や航空師団は、急ぎ用意された仮設の基地と限られた大地とは言え、割り当てられた基地内部も汚染されていない地域、高級将校などが集まり隣国とのにらみ合いがあると言っても、正常な大地に態々家族を連れて駐留を行う方針をとった。
他国では汚染されていない地域は保護区であり、農業や畜産業と共に大切なエリア、簡単に立ち入れる場所ではなかった。
まさに人類にとって大事な生命線、間違っても森林火災など起こしてはならないからこそ、立ち入りは厳しく制限されている。
一方で日本ではそこまで厳しくはなく、入国時に除染処置こそあったもののその後は自由に観光も可能であり、羽を伸ばすとまではいかないものの自然を満喫していた。
各国大使館はその役目を維持しつつ、日本を時折訪れる自国の特権階級の受け入れを行っていた。
龍神様は日本本土を守る為にその力を使い、大地と海域は汚染されずになんとか清浄を保っている。だからこそ各国の富裕層や特権階級は日本へ長期滞在旅行がステータスになり、日本に住む在住外国人は親類から物資を送ってもらえないかとの連絡の対応に四苦八苦していた。