モォ~
早朝 マシェルと朝食の準備をしていたところ 外から牛の鳴き声らしきものが聞こえ、
マシェルがなべのようなものと ミルク缶を持ち外に出て何者かと会話をはじめた
〔おはようございます いつも早いですね〕
〈おお おはようございますマシェルさん ほいっ 今日の新鮮なミルク
今日は保冷石を頼みたいんだよぉ これ もうぬるくなりだしたんでのぉ〉
〔はい ちょうど用意してますよ はいどうぞ
いつもおいしいミルクをとどけてもらってありがとうございます〕
〈最近は保冷石の持ちも長くなってきたよぉ あの子竜ちゃんも腕をあげたんだねぇ
そいじゃ また3日したら来るでなぁ~〉
〔気をつけてー〕
どうやら物々交換でミルクを得たようだな
「いつもあんな感じで食料を得ているのか?」
〔そうですよ 僕たち竜術士はそれぞれの家の得意分野で作ったもので
コーセルテルに貢献するのが仕事なんです
そしてそれが子竜たちの勉強になるんですよ〕
なるほど理想的な環境だな おそらく自然にできたものではなくそうなるように作られたのだろう
まあそれはさておき朝食の支度をつづけるか・・・
「たしか、アータが生野菜、マータはトマト、タータが目玉焼き、カータがミルクが嫌いだったか?」
『カータがきらいなのは「ぬるい」ミルクでしょう』
〔カータはぬるめだと嫌がるだけですから ちょっとだけ手を加えますよ〕
ほう やるな聖母竜 よく憶えていたな
『フェルリとのおはなしにありましたから』
そうだったか あのおしゃべりも役にたっていたのか 馬鹿にできんな
「では オレは野菜に手を加えておくか・・・」
・・・・・朝食も終わり それぞれのベッドの枕とシーツ、服を洗濯するのだが・・・
〔ハドラーさん 洗濯の経験は?〕
「そういえば調理用のエプロンぐらいだな」
洗濯を自分でやるなど かつてのオレなら正直考えたこともなかったからな 部下に任せるものだった
『アバンの元で修業していたときも人任せでしたからね』
「だがこれからは 学ぶ必要があるだろう」
そもそもその為にこのコーセルテルにきたのだ
〔では いっしょにやりながら覚えましょう 大丈夫です すぐに慣れますよ
それに最初にお願いするのは 僕の服とかですから少しぐらい失敗しても気にしないでいいですし〕
≪ハドラーさん 私達も手伝うよ≫
〔マータ 最初は竜術を使わないでやってもらうんだよ ハドラーさん洗濯ははじめてみたいだし〕
水がはいったタライに 預かった布の服をいれ マシェルの指示を受けながら洗濯を開始した
水や力加減を変え洗っていくことで服の汚れが落ちていくのは意外と面白いが
『なかなかとれない汚れもありますね』
「これは調理中の汚れか たしかにこれは厄介だな
ぬうううっ」
つい力がはいってしまいそうになったところで
〔ハドラーさん すこし待ってください マータ今度は力を貸してね〕
≪はーい≫
ポウ パワアアア
タライの水に水竜・マータと手をつないだマシェルが何やら魔法を使っているようだが・・・
〔ふう、ハドラーさん もう一度洗ってみてください 力はいれずに揉むような感じでお願いします〕
タライの水に魔法がかけられたのはわかるが さてどうなるか・・・
服の汚れをとるべく揉んでみると 明らかに汚れが水にとけこんでいく。
「ほう、これは大したものだ」
『便利ですね 見たところマータは消耗していないようですし』
マータが誇らしげな顔をしている どうやらただ力を貸しているだけではないようだな
〔汚れによっては 水温を上げるだけでも ずいぶん違うんですよ そのときはハータの力を貸してね〕
[うん まかせて]
火竜・ハータも 返事に自信を感じる。
なるほどこういったことがそれぞれの修業になるなら上達が早いわけだ
「水温を上げるだけなら 今のオレにもすぐできるぞ」
水に手をいれ 呪文を唱える 制御が難しいが・・・
「ギラ」
ジュワッ
\\おーー//
子竜達の歓声があがる
『ちょっといい気分ですね』
勝手にオレの感情をよまんでいい
〔すごいですねハドラーさん 一瞬で熱湯に。でもこれって熱すぎませんか?〕
マシェルが心配そうな声を出すが
「オレはこの程度ならどうということはない」
気にせず 洗濯を再開する、たしかに熱湯だと汚れのおちかたが違う これは使えるな
〔ハータ以外は火傷しちゃうから 気をつけてね〕
『子竜の心配が先のようですね、まあ当然でしょうが』
たしかに少々熱すぎたか オレは平気だが子竜にとっては危ないのかもしれん
使いどころに気をつけねばならんか
〔では ハドラーさん 洗うのはそれで十分なので それをギュッと絞って
干したら終わりです。
今度は力をいれて水分をしっかり出してくださいね〕
「そうか」
ギュウッ!!! ブチチッツ!!!!
「しまった!?」
力をいれすぎたか 明らかに布がちぎれる音がした
ギッ!! じりっ・・・
暗竜・ナータがオレに にらみをきかせ にじり寄ってくる
まあ今回は明らかにオレに非があるが・・・
「すまん どうも力をいれすぎた 破れてしまったか」
所詮は布の服の防御力 オレとしたことが加減を誤った
〔いえ 今のは僕の言い方が悪いですから。
そうですよね ハドラーさん僕なんかよりずっと体も大きくてたくましいから力も強いですよね〕
どうやら気を使わせてしまったようだな
「すまんな だがこれはどうしたものか・・・」
しぼった服を広げてみたが まっぷたつになるように引き裂いていた、分離まではしていないが・・・
〔大丈夫ですよ これぐらいなら洗濯の後でつくろいますから〕
「つくろい?」
『直せるんでしょうか?』
〔ええ ハドラーさん つくろいものも練習しますか?
僕も以前は苦手でしたが やっているうちにできるようになりますよ〕
「そうだな 経験値が稼げることなら何でもやるぞ」
ナータのにらみが敵意しか感じなかったものから あきらめたようなものに変わった
〔ハドラーさん この調子でこのシーツもお願いしていいですか
僕達はもうひとつのタライで他の服と枕の洗濯をしますから〕
「わかった 今度は気をつけよう」
同じミスはおかさん シーツは先の布の服より柔らかく大きいが目立つ汚れはない ここは慎重さで・・・
そしてオレが洗濯をしている間に マシェルと子竜達はカラのタライを囲み・・・
〔じゃあ 今回はみんなで水竜術をやってみるよ〕
\\おおっ//
ほうマータ以外も水竜術が使えるのか
〔マータ みんなに水竜の力 貸してあげてね〕
≪うん≫
〔みんながいつも使う自分の竜術と同じ感覚で このタライを水でいっぱいにするんだよ。
マータはみんなに力を貸すことに集中してね〕
≪うん≫
力のもとはマータが担当し それをほかの子竜が行使するということか
マシェルが術を使うのと同様だな
・・・子竜達の術はあまり順調にいっていないようだが オレも洗濯の手をとめてはいない
一枚目が終わったところでまだタライに水が溜まっていないために手が空いていたマシェルがやってきた
〔どうですかハドラーさん〕
「これでどうだ」
今度は力加減に気をつけ シーツをしぼりマシェルに手渡した
〔これは ハータのですね〕
どれも同じシーツに見えるが誰のものかわかるのか!?
そしてシーツを見るマシェルの目が、変わった あれは先ほどの 布の服を見る目とは明らかに違う・・・
〔ハドラーさん 少し言いにくいんですが 汗染みがまだ残っています
少しこの水に手を加えますから ちょっとシーツを水に漬けて時間をおいてからもう一度もみ洗いしてもらえますか〕
「わかった」
『やはり子竜のものだと仕事への真剣さ こだわりが違いますね
子竜のこととなると意外と過激なことまでやるとフェルリから聞いています』
そうだったのか まあこれくらい厳しい目があった方が修業になるから好都合だが
<やった ちょっとできた!>
[ぼくも!]
木竜・タータと火竜・ハータの歓声があがる
どうやら結果が出ているらしい
〔すごいよ タータ! ハータ!!
ああ、サータ焦っちゃ だめだよ
そうだ 今度は同調術の要領でみんなで一度にやってみようか〕
マシェルが喜びながら子竜たちのところへとんでいった
子竜達はお互いに刺激しあい 時に協力し その成果がすぐにわかる
なるほど英才教育になるわけだ 成長が速くもなるだろう
子竜たちを見ていると あのアバンの使徒どもを思い出した
あやつらの驚異的な成長の速さに屈し 地を舐めたあの頃も・・・な
『ハドラー・・・』
「フフ・・・ そう思うとオレにも張り合いがでる
あやつらに負けておれんからな」
\\おおおおおおおっ//
今日一番の歓声をあげる子竜たちを見てつぶやいたオレの口がニヤつくのがわかる・・・
ハドラーはレベルがあがった
ちからが1あがった
すばやさが2あがった
たいりょくが1あがった
かしこさが2あがった
うんのよさが1あがった
さいだいHPが3あがった
さいだいMPが1あがった
今回から マシェル家の子竜の簡単なプロフィールを 原作の公式ガイドブックと内容がだいぶかぶりますが
暗竜・ナータ
一番補佐竜 男子
黒髪で三白眼 生後ほぼ3年だが 卵ちゃん時代が1000年あり卵の状態で既に意識もあり術も使えていた
卵のときにコーセルテルにきたばかりのマシェルと出会い 竜術士になることを約束。マシェルが竜術士として独立したときに最初にむかえられると同時に孵化し一番竜となる
マシェル家の長兄として周囲からの信頼も厚くまとめ役よりフォロー役にまわることが多いが ときに静かに暴走する
月の術資質がありすべての竜術を使える資質はあるが木竜術は苦手
暗竜の主な特徴として
無口で無愛想だが信頼する相手に強く執着し竜族最強の力を持つ 空気がなくても平気。
空の向こう(宇宙)の暗闇を司り、暗竜術は空間をつなげ移動したり探しものができたりと意外と便利なものが多い
コーセルテルで生まれた暗竜は長い卵時代のためか常に疲れたような顔をしており(けっして無表情なわけではない)不安の証である翼が生えている
音の分野が苦手で成長は遅め
黒を基調とした服を着ている