ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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めぐる名前

ジゼルの体調が回復しマシェル達とのいつもの朝食を終え

ジゼルを子竜たちに任せ昼食の準備をする

 

『こうやってあなたが家事をするのが

久しぶりな気がしますね』

 

ジゼルの看病をしている間は食事や着替えの用意は任せ放しだったからな

 

「マシェルよ

昼食はオレに任せて子竜たちの勉強を見てやってもいいのだぞ」

 

〔いえ 勉強はアータが見てくれますから

子竜だけで任せられることはできるだけ任せてみたいですから〕

 

<あっ ねぇ お勉強終わったら

みんなでリンテの家に行かない?>

 

(リンテの家!? 行こう!!)

 

    \\わあっ//

 

「いきなり脱線しているぞ」

 

〔大丈夫・・・ですよ〕

 

(ジゼルも行くだろ!)

 

≪ジゼルは回復したばっかりだよ!

今日は家でゆっくりしたほうがいいよ!≫

 

「いいぞ 連れて行ってやれ

地下で寝てばかりでは治るものも治らん」

 

    \わかりました ハドラーさま!/

 

(よしっ 行こう!!)

 

≪だから!!お勉強終わってからだって!!≫

 

〔アータの負担が大きすぎかな・・・あれ?

ナータ もうお勉強終わったの?〕

 

【・・・終わった マシェル 出かけるのは ―――いつ?】

 

〔お昼の用意できたらね〕

 

【・・・手伝う】

 

どうやら家に残るのはオレひとりか

 

『お留守番ですね』

 

「ちょうどいい ジゼルの看病の間は世話になった

今日のところはオレに任せろ」

 

〔では水竜家での竜術士の寄り合いが長くなったら

夕飯もおねがいしますね

子竜たちがおなかをすかせないように〕

 

「もちろんだ」

 

――――――

 

わらわらと出て行った子竜らを見送り

急に静かになったマシェル家の家事にとりかかる

子竜たちには昼おやつを持たせた

みなが帰ってくるのは夕方ごろだろう

それまでにひととおりやっておくか

ジゼルの看病の間は常に着替えも寝具も清潔に保たれていたが

逆にそれ以外のところにわずかにしわ寄せがでていた

マシェルのフォローにより そう目立つほどではないが

子竜たちに任せるだけではまだまだなのだろうが

手を抜いているわけではあるまい

あくまでコーセルテル1の竜術士・マシェルと比べて

未熟というだけだ

 

「さて まずは洗濯か」

 

やはり武術訓練を受けているナータとサータの服が目立つな

 

「これはやりがいがありそうだ・・・」

 

―――――

 

洗濯と地上階の掃除を終え

地下の術部屋、ほぼオレたちのねぐらとなっているが

ここも掃除は必要だが その前に・・・

 

‘あら ハドラーさん 聖母竜さん

めずらしいですね この時間にこちらにいらっしゃるのは’

 

『ええ フェルリ あなたのおかげでジゼルは回復し

元気にみなさんとおでかけしました

ありがとうございます』

 

‘いえ そんな ジゼルちゃんが元気になったのは

聖母竜さんとハドラーさんの甲斐甲斐しい看病と

マシェルちゃんと子竜ちゃんたちが がんばったおかげで

私にできたのは聖母竜さんに暗示のてほどきをしたぐらいですよ’

 

『それです!

それがなければ私は今回も何の役にも立てなかったでしょう』

 

「そして もしそれがなければ今回もオレたちは

マシェルたちの厚意を甘受していただけになっていた

・・・そんな無力さが許せぬからここいるというのに、な」

 

だが 現実問題として急に燃え盛る可能性さえある

不調のジゼルをこの術部屋から出すわけにはいかず

目や手を離すわけにもいかなかった

その間 料理や洗濯に手が回らない点は課題だ

 

‘ジゼルちゃんにとっては私も『お姉さん』のようですから

元気になってもらえれば何よりですよ’

 

「姉か・・・

ジゼ『ル』の1字がおまえからもらったものと

思っているようだからな・・・

わざわざ否定するようなことでもないと放っておいたが」

 

‘いえ 私が死んでから3000年もたった今

私の名とつながりあると思ってもらうことは

なんだか・・・うれしい、ことみたいです’

 

3000年か・・・魔族にとっても長い時間だ

その頃のことを知る精霊はまだいるが

夫も、子も、子竜も既に亡くした竜王竜術士の幽霊フェルリ

 

「おまえ自身が求めるものはないのか?」

 

‘私ですか?そうですね・・・

! ハドラーさんとおしゃべりしてみたいです!’

 

「オレとか?オレは聖母竜のような話好きではないぞ」

 

‘ハドラーさんのお子さん・・・

ジゼルちゃんに一文字をあげたお兄さんやお姉さんなど

聞いてみたいことはたくさんありますよ’

 

「・・・まあ掃除の片手間程度で話してやろう

オレもかつてここにいた魔族の幽霊、

ロズ・アルバだったか その者のことを聞いてみたい」

 

『ふふ それも楽しそうですね』

 

・・・

・・・・・・

 

おそらく外は夕方 すっかり話し込んでしまったが

いい加減 夕飯の支度に・・・

 

「む、子竜たちが帰ってきたが・・・

知らぬ気配が混ざっているな

どうにも とらえどころのない奇妙なものが」

 

‘あら あたらしいお友達かしら?’

 

『とりあえずジゼル達を出迎えましょう』

 

「・・・よかろう」

 

外に出ると子竜たちの中に同じ背格好の見知らぬ顔の・・・

いや知った顔で小さくなった精霊が一人いた

 

      \\ただいまあっ//

 

「ああ おかえり

どうやら術は成功したようだな」

 

“はい おかげさまで このとおりお友達が増えました”

 

「・・・そうか」

 

≪ハドラーさん わかるの?!≫

 

<会ったことあるの?>

 

「うむ 夢でだがな 直接顔をあわせるのは はじめてだ

そういう存在であろう」

 

≪すごい ちゃんとわかるんだ≫

 

(あっ マシェルだっ ナータも)

 

『思ったより早いお帰りでしたね』

 

    \\おかえりーーーーっっ//

 

〔みんな ―――あれ?

あの子・・・

眠る月の精霊コーセルテル かい?〕

 

      \\え!?//

 

≪なんで すぐわかるのマシェルもっ≫

 

<おどろかそうと思ってたのにっ>

 

[けっきょく だれもおどろかなかったね]

 

(ちぇー)

 

む、ナータのようすが

 

〔約束通り来てくれたんだね〕

 

“はい でも違います”

 

「ほう?」

 

“私の名前は『コーナ』

起きた月の精霊 コーナです

みんなにすてきな名前をもらったんです”

 

〔いらっしゃいコーナ

これから夕飯だから 一緒に食べよう

お話しながら〕

 

“はい”

 

    \\わーーーいっ//

 

\あれ ナータおにいちゃんどうしたの?そんなうしろで/

 

【・・・・・・】

 

視線をそらし無言のナータ

 

『ナータは元々寡黙ですが・・・』

 

「コー『ナ』だ

コーセルテルからとった名前だけではない

もう1字はどうやら 最初の友からとったのではないか?」

 

【・・・・・・・・・・・・】

 

くくく やはりこやつも気付いているな

 

この日は おしゃべり好きで新たな名を得た精霊と

おしゃべり好きでお節介な幽霊をまじえ・・・

 

『いっぱいお話しました』

 

        \とさ♪/

 

 

 

            ジゼルはレベルがあがった

 

            ちからが2あがった

 

            すばやさが1あがった

 

            みのまもりが3あがった

 

            たいりょくが1あがった

 

            かしこさが3あがった

 

            うんのよさが3あがった

 

            さいだいHPが 1ふえた!

 

            さいだいMPが 3ふえた!

            

            2Pの スキルポイントを かくとく!

 

            ジゼルのじゅもんが スキルアップした!

 

            ときどきMP回復をおぼえた

 




あけましておめでとうございます

原作コーセルテル竜術士の新刊発売に感化されたウジョーです
書きたいことがたまる一方で書くペースがとてもおいつかないのが
なんともはがゆいですが焦らずのんびり と思ってたら何ヶ月かかることやら・・・

新年をむかえ寒さも一段と増しましたが よい年になりますように

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