マシェル家に先代木竜術士の補佐竜クルヤと
現役木竜術士の補佐竜ノイがたずねて来た
オレとジゼル そして現役暗竜術士テイムと補佐竜プレアに
木竜の里で調べた 竜の変種についての情報を持ってきたとのことだ
情報を公開するなら手間が一度で済むようにと
共に暗竜家に行くことになった
・・・道中 普段はコーセルテルの外 木竜の里に住む
先代木竜術士の補佐竜クルヤと オレたち親子は
今まで接点がなかった分 色々と話をしたが・・・
『表情こそ笑顔ですがこちらを警戒する色を隠そうとしませんね』
そもそもオレを平気で受け入れる方が異常だ
最初にオレを出迎えたときこそ竜術士が勢ぞろいしていたが
実力があるとはいえ普段は無警戒そのもののマシェル一人に
オレを任せている現状に不満を持つこのクルヤの方がまともだ
『・・・・・・まあジゼルに実害がなければ疑われるくらいは別に
そういえば ルーラで暗竜家に行かないのですか?』
ジゼルが歩く機会はあったほうがいい
それにこうしてクルヤと会話をして得られる情報は興味深い
\ ハドラー様 あそこに! /
ジゼルが指差した先には暗竜家とその竜術士テイム
そして・・・
〔あーーーーーっっ〕
こちらを指差す火竜家の術士と補佐竜がいた
『アグリナとヤチですか
あの子たちも暗竜家にご用事でしょうか』
アグリナから聞いた話によると・・・
ヤチが焼いたクッキーのお裾分けに来て 今から帰るそうだ
焼き加減に気をつけて次はよりよいものを作ると燃えていた
『この向上心はジゼルも見習ってほしいですね
・・・ほどほどでよいのですが』
テイムはオレたちの来訪を嬉々として歓迎しプレアを呼びに行った
あの様子ではやはり竜の変種の情報を随分とまち望んでいたようだ
自らも地下書庫で調べてはいたようだが・・・
『ジゼルもプレアも術練習の後 調子を崩すことが多いですから
心配が絶えませんよ・・・』
そんなところか・・・む?
テイムがプレアを抱えてもうやってきたか
クルヤが遅くなった分変種について色々と調べてきたと言うと
二人とも期待に目を輝かせていた
その後から 暗竜のラルカもやってきた
その姿は ここにいる竜たちのような竜人ではなく
角や翼を消し竜の気配さえ消して まるで人間のようだった
かなり人化術の腕をあげているようだ
どうやら郵便組合の特殊配達員になるためであり
実地訓練のため人間の町に行く予定もあるらしい
この世界では 人間社会に竜の存在を知られると面倒が多いと聞くが
この出来であれば オレですら竜だと見抜くのは容易ではない
既に配達員を務めている兄が同行するのであれば・・・
『クルヤも町の場所を確認すると問題はなさそうと答えましたね』
その油断がもっとも危険なのだが・・・
これも経験だ あえて何も言うまい
それよりもここでも郵便の話か
利用するだけではなく その間に立つのも
魔族、竜、人間、精霊が関わっている やはり面白いな
\ そんな話しに来たんじゃないだろっ!! /
〔プ・・・プレア〕
本題からそれる話題にプレアが割り込んだ
『まあ 怒りますよね 待ちに待っていたのですから』
\ 早くおれの変種治す方法おしえて!! /
<―――え?>
む クルヤの表情が変わった
\暗竜の力で おれは宇宙へ・・・ 空向こうへ行くんだ!!/
\ おっさんと!! /
<・・・ ・・・・・・・>
クルヤが言いにくそうな顔になってきた
〔詳しい話は 家の中でゆっくりうかがいましょう
ハドラーさんたちもいらっしゃいますし〕
テイムもそれに気がついたのか家の中へ促され
オレたちは家に入ったがノイは外でラルカと話を続けた後に
<じゃあ 帰るわ デートの話も聞かせてね!!>
【実地・・・訓練・・・】
もう用はすんだのか帰っていった
はじめての人間の町がそんな楽しいものになるか
何かあったらあったで あの二人なら面白いことになりそうだが
『私も少し興味がありますね』
〔ハドラーさんこちらの部屋へどうぞ〕
部屋へ招かれ席に着いた
プレアもジゼルと同じように竜術士の膝の上に座って話を聞くのか
<竜術の変種 知っての通り それは突然変異で生まれる
特化した能力をひとつだけ持った竜です
その特化した力以外の術を使おうとすれば
めまいがしたり熱が上がったりはげしく疲労し倒れてしまう事もある>
「やはりジゼルがたびたび寝込み 術暴走を起こすのはそれか」
<中には住む場所さえ限定されてしまう事もーーー・・・>
『なぜ住む場所が?』
<昔 木竜の中で海草に特化した竜が出たそうです>
「それは・・・ マーマンやしびれくらげが喜びそうな能力だな」
<ええ 生涯水竜の里で暮らしたそうです>
〔・・・なんと〕
<人化に特化した者にも 似た状態におかれる者もいる>
ビク
『プレアの顔色が悪いですね』
空のむこう 暗竜の里への帰還を目的とするプレアにとって
一見 貧弱な人の体になる術の適正など邪魔でしかないと
・・・・・・誤解しても不思議ではない
『誤解・・・ですか?』
「人間はあなどれんぞ プレア」
『ふふっ 実体験ですか』
そう思いたければそう思うがいい オレはあえて否定はせん
<―――ですが 人化に特化した竜はその力を極める事で
竜の力を持ったまま完全に人間になる事ができます
つまり竜の力をあやつる力をもった人間
竜術士になれるのです>
「ほう・・・」
\ りゅ・・・竜術士・・・ /
<竜術士となった竜の記録はいくつもあります
竜都が滅びた後 しばらくの間 人化に特化した竜が多く出たそうです>
\ で・・・でも 竜術士になったら どうなるって言うんだ?/
コクコク
プレアもジゼルもピンときていない 無理もないが
<竜術士は竜の力を安定させ時には竜より上手に竜術を使える
だからこそ竜は竜術士に子竜をあずけ術を習わせ育ててもらうんですよ>
〔えっ・・・と〕
「つまり 本来変種による力の不安定さというデメリットが解消され
逆に他の竜以上に力を使いこなせる適性があると言う事だ
あくまで適正であっておまえたちの努力次第だが」
<ええ その通りです
これは正直 月の力を持つよりすごい事だと ぼくは思ったよ>
\ じゃあ おれは 宇宙に行けるんだな!! /
\ 行けるんだっ宇宙に!!帰れるんだっ 暗竜の里に!!/
\ 約束どおりおっさんと一緒に!! /
〔一緒に行きましょう プレア〕
その後は 暗竜術士テイムに対して暗竜の成長が遅いことや
術の習得のために実現するまでに年単位
人間のテイムにとってかなりの時間がかかることなどが
伝えられたが テイムはしっかりと答えた
〔私はこの子と一緒に宇宙へ行く
そのために暗竜術士になったんです
たとえ何年かかっても〕
<---そうですか>
そんな話をしているなかでオレはひそかに思ったことがあった
竜の力をもったまま人となることで竜以上の力を持った存在となる
『・・・私も同じこと考えていました』
「『竜の騎士』」
『・・・まさかこの地で出会うことになるとは思いませんでした』
多少の違いはあるが 紙芝居の竜の騎士はこれに合わせた方が
子竜向けにはよさそうだな
『たしかにそうですね バランは私の子なのでこの設定を生かし
ダイは人間の母から産まれたので最初から人間として
竜の力を持っているとした方がいいでしょう
それよりももっと重要なことを聞いてくださいよ
ジゼルの変種のことを』
わかっている
「クルヤ プレアが人化の術に特化しているのは分かったが
ジゼルは何の術に特化しているかは分かるか?」
〔・・・いえ 少なくとも今のジゼルの容姿
プレアとは逆に火竜でありながら暗竜の翼が見えることから
人化術に特化しているとは考えにくいです
あくまで無理のない範囲で色々な術を使うことでその特性を
慎重に把握していくことが結局は近道だと思います
そのとき注意した方がいいのは 一口に火竜術といっても
直接火に関係するものではない可能性もあります
一般的な竜でも星の五竜(風・地・火・水・木)のあやつる術は
この種にしかできないという限られたものは少ないですから
意外な術に特化していることも十分考えられます〕
「たしかに火竜術にも冷やす術や空を飛ぶ術もある
幸いマシェルの家は手本となる竜に恵まれている
焦らずとも経験を積んでいけばいずれ判明するか・・・」
〔何しろ父母ともに前例がないタイプですから
ジゼルについては ぼくなりに調べただけでは
はっきりしたことが言えなくて申し訳ないのですが・・・〕
「いや ご苦労 思ったよりも収穫はあった
・・・ありがとう」
<え!? い いえ そ それよりも、ですね
次の話をしましょう 今日持ってきた薬類なんですが--・・・>
植物をあやつる木竜が薬草をさらに加工した薬か
これも興味深いな
『回復呪文は万能ではないですからね しっかり聞いておきましょう』
・・・だがジゼルやプレアには少々退屈な話題だったのか
その興味は薬の入ったカゴから その横の袋へ
\ ハドラーさま これ /
〔―――ああ ヤチくんがくれたクッキーですね
食べますか?〕
<ヤチ? ああアグリナさんの一番竜のーーー・・・>
【お茶っ お茶・・・持ってきた】
〔これは ありがとうラルカさん〕
「いただこう」
\ ありがとう!! /
【クルヤ】
<え?>
【プレアは火竜の友達がいる
―――から大丈夫・・・】
「ほう」
【ケンカして・・・仲なおり はげましたり競ったり・・・
一緒に・・・大きくなっていく 友達・・・が・・・いる
・・・から 大丈夫】
\ なっ・・・ あんなやつ・・・ /
【ヤチのクッキー ・・・おいしそう】
\ うっ /
ぱくっ もぐもぐ ぱくぱくっ
\味はともかくコゲてる!!こんなのまだまだだなっ/
悪態をつきながらクッキーを食する手が止まらないプレア
<あ・・・ ああ! なるほど>
【プレアは・・・ ヤチが先に歩き出すのをーーー・・・見て
負けじと・・・歩き出した】
<そいつはすごいな>
〔―――ああっ
そう言えばヤチくんのために大きな術を使った事ありましたね
あの時は熱が出なかった〕
「あったな そんなことも プレアはあのとき成長していたが
ジゼルは混乱するばかりで役にたってなかった」
『それも経験でしょう』
〔一緒に 元気に! 行きましょうね宇宙に!!〕
テイムの力強い言葉にわけがわからないといいながら
何か感じるところがあった様子のプレア
ダイの急成長も 師や戦にめぐまれただけではない
ポップ達 仲間の存在が大きいのは間違いなかった
『あなたもそうでしたから 実感が違いますね』
アバンは敵だ!
『あら 私はアバンだと言ったおぼえはありませんよ』
・・・オレも口にだしたおぼえはない
『それはさておき ぱくぱくとたべてるジゼルがかわいいです!
さあもっとしっかり見てください!!』
音だけでガマンしておけ
『いえ あなたのヒザの上で食べてますよね
すぐ下を向けばいいだけですよね!
あなたが見てくれないと私にもよくわからないのですから』
近すぎて髪と角しか見えん 残念だったな グハハハ
『あなたはたまにやたらと器が小さいときがありますね・・・』
黒太陽さん作の出張先でのハドラーの活躍に滾っているウジョーです。
あちらの大戦もようやく落着して 常に最前線で戦い続けた我らの家長も
最後まで戦い抜きましたが・・・ 拙作で闘う機会は今のところなさそうです
急な地震に加え 例年よりも早い暑さの襲来
くれぐれもお疲れの出ませんように。