大魔女とドラゴン   作:ディアナ

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魔王の城くらいだと、イシスの等倍でも攻略できますね。そろそろパーティーの色を揃えないとリーチェのリーダースキルが発動できなくなりますね。


魔王の城

 私たちは近くの宿屋に泊まっていた。

 「しかしそなたもなかなか胆が座っておるの。」

 イシスは愉快に話してくる。なぜなら私はお金を持ち合わせていないにも関わらず宿を共にしようと言ったのだ。これではまるで奢って貰うために誘ったかのようだ。

 「そんなつもりはなかったんです!すみません!」

 「なに、そう騒ぐでない。大したことではないではないか。」

 「ですがしかし……。」

 「なーに、一人旅の我にとっては話し相手をしてくれるだけでお釣りがくるわ。」

 そう言うと地図を見せてくれた。

 「ここから北に少し行った所が魔王の城よ。」

 「もうすぐですね。」

 「えぇ、このあたりの村から毎年生娘を贄に捧げさせているとのことよ。」

 「それで私のことを……。」

 「そうよ。生娘なんでしょう?」

 「なっ、なにを!」

 「図星なのね?可愛いんだからいい男にでも拾ってもらいなさいよ。」

 そう言ってイシスさんは私の頭を撫でて布団に入った。

 「明日は魔王討伐よ。早く寝なさい。」

 言いたいことだけ言われて先に寝られてしまった。

 

 そして、いよいよ魔王討伐の朝が来た。私の目的は討伐ではないがイシスさんはきっと討伐しようとするだろう。そのとき私はどうしようか悩んでいた。

 

 私たちは魔王の城に到着した。そこの門番を勤めていたのは人と思われる戦士であった。

 「そなたらよ、なぜ人の身でありながら魔に加担するか?」

 「俺たちは魔王様に忠誠を誓った身!女と言えども容赦はせんぞ!」

 「ほぉ、それではナイルの加護より滅されるが定めのようだ。」

 イシスさんは堂々と正面から彼らとやりあい瞬殺した。門が開くと中からおびただしいほどのボブゴブリンやオーガが姿を現した。私とイシスさんほ手分けをして片っ端から殲滅していった。

 「ここが最深部ですかね?」

 「そのようですね。ところでそなた、つまらぬことをお聞きしますが、魔王を討伐したのちはどのようにされるご予定で?」

 イシスは私の考えに感づいているのかここに来てそんなことを尋ねてきた。

 「そうですね……。安心して暮らせる土地に越して仲間たちと再会をしたいものですね……。」

 「それはすばらしい!それでは全力で魔王と闘うことができますね。」

 「そ、それは……。」

 「な、に、か、問題でもございましょうか?我らは魔王を討伐し、国からの謝礼で好きなところへ旅をし、安寧の地への道が開けるのですよ?」

 「で、ですが、魔王とは言えども感情を持つものです。問答無用の殺生は気が引けるというか……。」

 「ではそなたは、魔王の為に贄となった少女たちはいかにすると?」

 「……。」

 「今さら平和的解決をするなどと考えているのではあるまいな?そなたは魔女だ。魔王の存在をその手にかけるのはいささか気が引けると言うものだろう。安心せい。我が直々に手を下そうぞ。」

 まずい、このままでは魔王と会話をする前にイシスに惨殺されてしまう。かといってここでイシスと敵対行動を取れば、私一人ではこの場を預かるのは厳しい。

 「では、イシスさん。少しだけ話をさせては頂けませんか?」

 「話くらいならば構わん。だが、決して情に流されるなよ。

 「えぇ……。」

 

 私たちがその門を開くと、バジリスクが2頭と、魔王が玉座に腰かけていた。

 「聞こう。我が名はイシス。そなたは魔王を名乗るものか?」

 「いかにも。余はデューク。この世を統べる魔王ぞ。貴様らは我が城になにようか?ふっ、見たところ生娘でもあるまいしな。」

 「何を戯れを。安心せい。跡形もなく消し去ってくれる。」

 イシスさんはよっぽど勘に障ったのか即座に戦闘体勢に入った。

 「ま、まってください!2人とも!」

 「そなたは黙っておれ。元はと言えば我の敵。そなたの協力を頼めないなら1人で充分じゃ!」

 「私は魔女です!話を聞いてくれないならデュークさんに加勢しますよ!」

 「ほぉ、面白いことを言う小娘ぞ。余は話くらい聞いてやるぞ。」

 「助かります。イシスさんは?」

 「そなた、これは貸しですよ。」

 「感謝します。」

 私は止めたはいいもののどうしたら良いかわからなかった。イシスさんは魔王を討伐する気だが私にそれを止めることはできない。悩んで出した結論は簡単だった。

 「共に旅をしませんか?断ればイシスさんに討伐されるだけです。共に旅をするのならばイシスさんも不要に手出しはできないはずです。」

 「ほぉ、このような女に余が負けると?」

 「えぇ、イシスさんはあなたが思うよりずっと強いです。」

 「なるほど、我を配下に入れれば周辺の村も助かり、そちのイシスの願いも叶えられると言うわけか。」

 「えぇ、その通りでございます。村には安寧が訪れ、私は魔王を討伐しなくて済む。そしてあなたは生き永らえることができる。誰にとっても不足のない考えかと。」

 「なるほど。甘いな。」

 「何が甘いと言うのですか?」

 「余は魔王。貴様らの傘下に入る気はないし、そちのイシスとて、私と旅を共にする気なぞないと見受けるが?」

 「イシスさん、本気ですか?」

 「魔王と旅などするはずがあるまい。」

 「だそうだ。我らは雌雄を決するのみ。他の道なぞない。」

 「なるほど、では仕方ありせんね。イシスさん。よろしいですか。」

 「我は元々その気じゃが?」

 「承知しました。イシスさん。共に行きましょう!」

 

 魔王との勝負は一瞬でついた。私とイシスさんの力は圧倒的だった。魔王が攻撃する隙もなく完膚なきまでに叩きのめした。

 「ふっ、これほどとは。余の世界もここまでのようだな。人質を解放し、余は姿を眩ますとしよう。」

 蝙蝠の姿になり魔王は飛散した。

 「逃げるか、魔王!」

 イシスさんがそう叫んだ頃には魔王の姿はそこにはなかった。

 「くそっ!」

 イシスさんがそんな汚い言葉を吐くのは初めて聞いた。それほどに、魔王討伐を目指していたのだろうか。

 「すみません、私の力不足で……。」

 「思い上がるなそなよ。逃がしたのは我の失態である。すまぬ。」

 「私こそわかり合えるなどと甘い考えをして申し訳ありません。」

 「そうだな……。この地に魔王がいなくなっただけでも構わぬか……。」

 イシスさんはそう納得するかのように玉座を眺めていた。

 

 「ぬしらは魔王を討伐してくれたかや?」

 玉座の奥から少女の声がした。

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