これは我々が住む世界とは異なる存在の活動を記した記録の一部を抜粋する。
この男に名前が無い……ここはネームレスとする。ネームレスは現在、何処かの研究施設にいる。
その研究施設は四肢が欠けた人間らしき物と水色の液体が入ったカプセルが大量に並べられている。人によっては吐き気を催す光景だがこれはプロジェクトモザイカと称される計画の一端に過ぎない。
この計画は人類を越える存在を人の手で創出するという禁忌に等しい行為だ。これは後にある存在によって中止となるが許される事ではない。
ネームレスはこの所業を完全に破壊するためにこの施設に送り込まれたのだ。彼は今のところ研究員はおろか、監視システムすら見つかっていない。監視システムは彼の手によって既に無力化されており残った監視員は全員殺害済みである。
更にネームレスは高度かつ未知の科学技術により作られた光学迷彩装置とセンサー妨害システムを装備しており研究員の遺体も彼が発生させた小規模なブラックホールによって消されたからだ。
「プロジェクトモザイカの実験体が完成だ!
こいつのコードネームは織斑千冬と名付けよう!」
研究員の男は実験の成功を高らかに宣言するもその成果は間も無く消え去る。その傲慢な神を恐れぬ考えが己の身を滅ぼすことを知る事はない。
「目標を視認。これよりファーストフェイズを開始する」
彼は目標を確認と同時に行動を開始した。まずは施設の周辺機器の死角に設置型の爆弾を取り付けた。しかもこの爆弾はセンサー等では探知が困難な爆弾だ。
「ファーストフェイズ完了。これよりセカンドフェイズに移行する」
爆弾を設置したネームレスは次の行動に移った。彼はこの場にいる研究員を殺すようだ。その方法は見えない刃で研究員の首の切り落とし、気付いた人間を片っ端から次々と首を跳ねる。非効率的だと思われるがこれは痕跡を残さない上で重要な事で、施設を破壊しても生存者がいる可能性がいる事を考慮した上での作戦なのだ。
残された遺体は小型のブラックホールに吸わせて処理を済ませた。
「セカンドフェイズを完了。これよりラストフェイズを実行する」
ネームレスは最後の行動に入った。それは研究施設に残っているデータの完全な抹消である。仮にこの施設が完全に崩壊しても僅かな痕跡からデータが抽出される可能性がある。それを防ぐために研究データを完全に消すためだ。
コンピュータを操作したネームレスはデータを完全に消す指令を実行、研究成果は完全に消え去った。
「ラストフェイズ完了。これより離脱する」
ラストフェイズを終えたネームレスは小型の転送装置で離脱。それと同時に設置した爆弾が作動、その爆発は研究施設を瓦礫の山に変えるには十分な威力だった。
「任務完了。残りの施設は随時、破壊する」
異空間に転送された彼は映像越しで消えた研究施設を眺めながら呟いた。その後、彼はプロジェクトモザイカに類する計画をしている研究施設を上記の方法で徹底的に潰した。
ネームレスの暗躍により1つの物語が始まることは永遠に無かった。
ネームレス
性別:男
物語の根本を破壊する存在。超越した科学技術と能力を駆使して始まりを消す。
詳細は不明。