物語……これは名前を与えられた主要な者達の為に存在しており彼等を中心として時が進んでいく。しかしその裏で名前の無い人物達は彼等の物語の事件に意図せずに巻き込まれて日常が無惨に奪われるが誰もそれを知らない。
こうした悲惨な事件から人々を守るためにネームレスと称する男は物語の元凶を完全に抹消する為に様々な世界で暗躍を続ける。
改造人間により世界征服を企む組織の首領や幹部を結成前に全員を殺害、組織が生まれる事を未然に防ぎつつ研究施設と資料を完全に抹消して後続の組織が生まれないようにした。
ある時は後にグロンギと呼ばれる狩猟民族を魔石が開発される前に根絶、光の力を与える前の火の神エルを暗殺する。
ある兄妹が鏡の世界を創造する前に彼等をまとめて暗殺、太古から進化した灰色の鎧を纏った新人類を根絶、不死の怪物を解放すべく暗躍をしようとした人物を計画実行前に殺害した。
更に魔化魍という怪物の創始者と思わしき人物を研究着手前に殺害して研究資料と施設を跡形も無く消し飛ばす、渋谷に落ちる筈だった隕石を欠片を残さずに消滅。イマジンと称される未来人を一人残らず殺害、ファンガイア含む魔族を影で根絶やしにするだけでなく大ショッカーと呼ばれる組織が結成される直前に構成員を一人残らず殺害するといった蛮行を行った。
それ以外にも財団Xが結成される前に構成員を一人残らず暗殺したり欲望の王が生物の力を宿したメダルの開発を命じる前に殺害、強制進化を果たしてまで宇宙に強引に旅立とうとした人物を計画実行前に暗殺。
これに留まる事なく娘の死を境に絶望した直後の父を狙撃銃で暗殺、とある民の闘争心を煽り『選ばれたものたちにのみ力を与え、他の者達は切り捨てる』という選択を強要させる前に塵を残すことなく抹殺も実行した。
王家の座に就こうとした傲慢な兄を妹の追放前に抹殺。人間の悪意を植え付けようと画策した企業の社長を実行前に暗殺してデータの完全削除をする。狂気に満ちた悪の科学者が機械生命体を開発前に暗殺といった殺戮により元凶を黙々と排除し続けていた。
最終的には星狩り族の住む星に単身で赴いて全員を殺すという大規模な愚行をしでかした。その所業は悪魔と断言できる程だ。
数少ない善行としては発掘調査で井戸に近づきかけた少年を気付かれないようにそこから離れさせて死ぬ事を未然に阻止。
これらの行為は何れも物語の根幹となる人物の消去等のあらゆる手段により物語が永遠に始まらない様に意図的に改変したのだ。
ネームレスの蛮行は許さない行為だが同時に声が届かない犠牲者の報復といえる。名前が与えられなかったとしてもその人達はこの世界を生きている存在だ。
物語を進める為の犠牲になるとは誰も考えておらず理不尽な出来事で平和な日常が崩壊する。それは新たな憎しみや争いを生む引き金となり多数の犠牲者が出てしまう恐ろしい事だ。
だからこそネームレスは多数の犠牲者が出る事件が起きる前に裏で暗躍して元凶を排除して犠牲者を最小限に抑えている。犠牲者となるのは何れも悪意に満ちた人間、多数の犠牲者が伴う実験や未来で厄災となる存在、倫理的に見て致命的な欠陥が生じる物ばかりだ。
秘密裏に消去して表沙汰にならなければ問題ない。ネームレスは声が届かぬ存在の日常を守るべく誰にも気付かれないように裏で暗躍している。
ネームレスの所業は悪と断言できるのか読者は考えて欲しい。