異世界転生……それは死した者が別の世界で生まれ変わって活躍する物語。しかし転生者の中には悪意や強い支配欲を持った人間がおり彼等が転生するとどうなるだろうか。圧倒的な力(チート)を持った彼等の手によりあっという間に支配されてしまう。
それは宛ら外来種によって生息地を追われた在来種と言えるだろう。ネームレスは外来種という自覚があるからこそ介入を最小限に抑えつつ誰にも見つからず、痕跡を残さないように細心の注意を払っている。誰かに見つかる事は任務の失敗を意味している。
彼は嘗てパートナーがいた。しかし方向性の違いによりパートナーとは袂を別って単独で行動をしている。パートナーは最初こそネームレスの方針に従って動いていた。しかし彼は放浪の旅の最中にある事で口論となった。
「俺達の功績と言って褒め称えられたくないのか!?」
「その気持ちは分からなくは無い。しかし事を公にすれば予想外の方向に事態が動くから駄目だ!」
彼とネームレスは秘密裏の行動について言い争っていた。彼の主張は大きな事件を未然に防いだ救世主しての名声を欲していた。ネームレスはそれに対して予想外の事態になる可能性があるから未然に事件を阻止した事を黙っていようと主張をした。自己承認要求の強かった彼は何度も言い争ったがその度にネームレスに嗜められ続けた。
やがて業を煮やした彼はある日を境にネームレスの前から姿を消してしまった。ネームレスは引き続き放浪の旅を続けていた。
別れた彼はたどり着いた世界である恐ろしい事をしているとはこの時の彼に知る由は無かった。
「フハハハハハ……最高の気分だ!」
ネームレスと袂を別った彼は辿り着いたある世界を支配していた。その世界は絶望に支配されており彼の気に少しでも障ろうものなら苛烈な拷問や殺戮等、あらゆる苦痛を味わうことになるだろう。人々が暮らす町並みの様子を見ても活気が全く感じられない。何故なら目が死んでいるような濁った黒だからだ。
「我を認めなかった報いを受け続けろ……」
金髪の目付きがとても鋭い男……オディオはそう呟いた。彼は元々、アンノウンとしてネームレスの相棒として影で活動をしていた。ネームレスは未来予知で補助しつつアンノウンは実働を中心に暗躍するがアンノウンが名性欲を求めた事がきっかけで対立。
彼はネームレスと別れた後も活動を続けたが裏で行動していたことを明かしたら強烈なバッシングを受けて迫害された。それからも他の世界を放浪しては同様の事をして意気がるも前述したように迫害を受けた。
それを知ったネームレスはオディオの悪行を止めるために挑んだ。その戦いは苛烈を極めた。銃撃戦、剣戟等といったあらゆる戦いが互角で拮抗していた。刹那、ネームレスが隙を突いた攻撃であと一歩の所でアンノウンを追い詰める。
「はぁ……はぁ……。これで……終わりだ!」
彼が止めの一撃を放とうとした。アンノウンは咄嗟に閃光玉を彼の顔面に投げつけた。
「何だと!?」
ネームレスが一瞬、怯んだ隙を突いてアンノウンは別世界へ逃亡した。即座に追いかけようとしたネームレスだったが気付いた時は呆然としていて追跡しようとはしなかった。
「俺はどうしてここに……」
彼はアンノウンに関する事を全て忘れていた。アンノウンが投げた閃光玉は衝撃を与えると同時に投げた人物に対して特定の記憶を消す作用があったのだ。
未来予知や別世界に行けるネームレスの力を持っていようとも記憶が消えてしまっては追跡は不可能だ。彼の力は記憶という存在があってこそ発揮する力なので記憶消去は致命的な弱点と言える。
「奴はこれで追っては来ない。傷が完治したら次の行動をしよう」
傷が癒えたアンノウンは中世と思わしき世界に着いた。そこからオディオへの暴君が始まった。
まず彼はとある国王を暗殺。王を殺された兵士達が攻撃した所で超科学の力によって一瞬で返り討ちにして圧倒的な力の差を見せつけて世界を恐怖で支配した。
オディオへの攻撃は度々行われたが不可思議な力で遮られるだけでなく何百倍もの力の差を見せ付けられたのだ。こうして全ての大陸を支配したオディオは世界を掌握した。
彼に反旗を翻す存在はいたが圧倒的な力の前に滅びた。
「我の力を認めぬ者は地獄の苦しみを味わえ!
フハハハハ!!」
オディオの恐怖支配は未だに続いている。
オディオの元ネタはLALの魔王オディオです。