キングオブゴールキーパー(笑)に転生したようだ   作:ハッタリピエロ

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キングオブゴールキーパー

ここは……?

 

目の前に広がるのはどこまでも続く白い雲海。空はなぜか紅かった。

 

自分に関しての記憶はあった。趣味はサッカーとイナイレのゲームをすること。

 

確か俺は……新作のイナイレを買った後……

 

「そうじゃ覚えておったか」

 

うわっ!

 

ふと後ろからかけられた声に驚いて振り向くとそこには黄金の後光が輝かしく顔が見えない誰かがいた。

 

ああ多分あれだ。かみ…

 

「そうじゃ。ワシがお主等人間でいうところの神じゃ。さて……お主の死因は覚えておるだろうが新作のイナイレを買った後、脳梗塞で死んだのじゃ」

 

ほーほー……やっぱりか

 

「お主はあんまり驚かないんじゃな……普通はもっと慌てふためくというのに……」

 

そりゃ未練がないかと言われればあるし、誰かのせいで死んだというのならともかくこればかりは文句は言えないからな

 

「あー……実はな……その死因はワシが原因なんじゃよ」

 

はぁ!?どういうことだ!?

 

「現世の魂の管理のために殺す人間がお主になってしもうた。本来はお主は死なないはずだったんじゃよ」

 

おいおいおい!?それじゃあ俺は殺されたってことか!?

 

「あー……文句があるのもわかる。じゃがこれもルールなんでな。済まないと思っとるし第二の人生を異世界で保証しよう」

 

マジか!?うーん……生き返らせてくれるならいいかな……?

 

「そう言ってくれて助かるよ。転生先や特典も選べるぞ」

 

じゃあ……イナズマイレブンの世界。あと特典は……前世のポジションだったゴールキーパーになりたいな。せっかくだから円堂やロココのようにシュートも決められるようになりたいな。なので化身を使えるようになれるのと才能の上限を最終話時の円堂レベルにしてくださいな

 

才能ってのは重要だ。確かにほとんどの能力において誰もが努力しなければ伸びないがそこにある才能でその伸びしろは大分違ってくるし上限というものも違ってくる。

 

「ふむ……よかろう。あと世代はお主の好きな円堂世代にしといてやるぞ」

 

おっと……うっかりしてた……俺どっちかというと円堂たちと絡みたかったしな。感謝します

 

「なになに、元はと言えばこちらの事情で死なせてしまったんじゃからな。じゃあ転生するぞ」

 

神様が手を翳すと俺の身体は光に包まれて目の前が真っ白になった。

 

・・・・

 

フットボールフロンティア

 

それは全国の中学サッカーの頂点を決める大会。サッカーをやるものなら誰もが日本一を目指す大会であり、大会はいつも熱狂に包まれる。

 

だが今会場を支配しているのは驚愕と畏怖だった

 

『なんということだぁー!!!帝国学園と世守子中の試合は信じられない試合となってしまったぁー!!!』

 

会場に横たわり傷だらけで倒れているのはフットボールフロンティア40年無敗の帝国学園のメンバー。それを見下ろすのは無傷の世守子中だったがその顔には絶望が滲み出いていた。

 

世守子中のフィールドはまるで嵐が巻き起こったかのようにボロボロとなっておりメンバーも全身汗まみれで立っているのがやっとだった。

 

『帝国学園対世守子中!!!後半残り僅か!!!帝国学園が12対0という圧倒的な力を見せつけている!!!しかし!!!驚くべきことは帝国学園は一人を除き、前半戦に世守子中のプレイで負傷していること!!!そう!!!これをやったのはたった一人の選手によるものだぁぁあああ!!』

 

「バカな……神が……たった一人の男に敵わない……なんて……」

 

帝国学園のフィールドでは先ほどの通り多くのメンバーが負傷しているがその視線の先は一人の男を捉えていた。

 

ゴール前に威風堂々と立っている男。

 

左から右に下している茶髪にその碧眼は圧倒的強者の威圧を放っていた。

 

『その選手の名は帝国学園GK!!!源田幸次郎!!!世守子中の強烈な連続攻撃を軽々と防いだばかりか化身という見たこともない必殺技を出して放たれたシュートを逆に相手ゴール内に返すという荒業も見せつけたぁー!更にそれだけではない!!!GKと思えないようなドリブルに走力!!!テクニック!!!そしてシュートの強さ!!!そのどれもが圧倒的!!!これがキングオブゴールキーパー、いや最早そんな言葉では収まらない彼の実力はキングオブプレイヤーなのかぁぁああ!!?』

 

世代最強GK源田、彼の実力は広く知れ渡っていたがそれはあくまでGKとしての才能。それがどうだ?世守子のアフロディよりも遥かに恐ろしいシュート力ではないか。更に会場の人間は知らなかったがアフロディたちは影山の指令で神のアクアと呼ばれる体力増強剤によるドーピング紛いのものまでしていた。

 

だからこそ無敗の帝国学園メンバーを圧倒できたのだ。それがどうだ?

 

下だと思っていたたった一人の男によって蹂躙された。

 

『おーっと……勝負の行方ですが……大会委員の判断により帝国が選手負傷のため自動的に世守子中が不戦勝なるようです!!!』

 

帝国ゴール前に立っていた源田は思った

 

(ま、影山がサッカー協会を動かしたな)

 

世守子中のメンバーは二回戦進出を果たしたが彼らに喜びは生まれず虚しさが残るだけであった。

 

・・・・

 

どうも。源田に憑依した転生者だ。

 

こいつに憑依転生したとき初めは落胆した。だって一番強いドリルスマッシャーでも世界編で通用しなくなった爆熱ストームを止められなかったんだぜ?無限の壁?あれはカウントに入らない。

 

落ち込んだ俺だったがよく考えてみれば円堂レベルの才能をもらったことを忘れていた。俺は源田であって原作のキングオブゴールキーパー(笑)の源田ではない。

 

父の命令で仕方なく下についていた影山の指導の裏でこっそりと秘密の特訓を重ねていた

 

そして現在、帝国学園対世守子中の試合だったがボコられるのは嫌だったので全力で止めようとしたらあまりのシュートの弱さに内心では驚いていた。その後もリフレクトバスターやディバインアロー、ゴッドノウズなどのシュートを打ってきたが……なんというか拍子抜けだった。

 

今まで全力を出すまでもなくシュートを止められたのではっきり言うと自分の実力がわからなかった。

 

雷門は原作の進行状、決勝に進まないと不味かったので適当に手を抜いていたのだ。

 

止めるだけではつまらなかったのでゴール前からドリブルで攻め上がると今度は相手の反応の遅さに驚いた。

 

試しにノーマルシュートを打ったのだったが相手GKのポセイドンは反応すらできなかった。

 

その後も止める度に前線にでてシュートを打ち続けたのだが世守子中はついていくことすらできなかったのだ。

 

最後の最後でゴッドノウズを打ってきたアフロディだったが折角なので化身によるオリジナル必殺技を披露したらシュートが弱すぎて逆に相手ゴールに跳ね返すという結末になった。

 

んでようやく気付いた

 

(あれ?もう世界レベルにまでなっちゃってるんじゃね?)

 

って。

 

確かに上限は円堂レベルにしてもらったがまさかここまでの成長速度だったとは

 

源田さん半端ねぇー!!!

 

貴方って早期早熟キャラだったんだね……落胆してすみません……それを円堂レベルの上限にしたらこれほどまでになってしまうとは……

 

でも一回戦敗退なんだよなー

 

帝国メンバーも動けないようだし……

 

俺は会場の通路を歩いていたらピロリんと鳴った携帯電話を手に取ってメールを見ていたら

 

「おい源田!!」

 

「ん?どうした鬼道」

 

あの鬼道有斗が後ろからやってきた。鬼道は原作通り大事を取っていたので大怪我を負うことはなかった。

 

「おまえ……実力を隠していたのか!!?」

 

鬼道のゴーグル越しの目はウソは許さないといった感じだった

 

といってもここで自分の実力を知りませんでしたとは言えないし

 

「……ああ。いわゆる能ある鷹は爪を隠すってところかな?それがどうかしたか?」

 

「だったら……なぜ雷門の試合で全力を出さなかったんだ!あれほどのシュートを止められるお前なら……」

 

「悪いな鬼道、俺は雷門の進化を見てみたかったんだよ。だから手を抜いた」

 

「進化だと……?」

 

「ああ、そうだ。別に俺たちはあの試合勝たなくても本選に進出できただろう?だったら雷門に勝ちを譲って更に強くなった雷門を見てみたいと思ったんだよ」

 

「それは……!そうだが……!あの時の雷門は全力で来た!ならば……!」

 

「だがあの時の雷門では勝てなかったのも事実だ。それにお前らが言えることか?」

 

「どういうことだ……!」

 

「忘れてるかもしれないだろうが初めての雷門との練習試合、あの試合でお前らが本気を出していたか?」

 

「それは……!!」

 

「それに俺はあの時の試合が胸くそ悪かった……!!影山の指令でサッカーではないサッカーをしていたお前らにな!!」

 

「……!!」

 

これは俺の本心だ。遠くから見ていたがあれは本当に気分が悪かった。物語の進行状、見逃していたがそれでもイライラしていたのは事実だ。

 

「影山から離れたとはいえ今まで俺たちがやってきたことはサッカーではない。俺はもうウンザリだ。とはいえ父の都合上俺は帝国にいなければいなかったが……もう必要ないみたいだな」

 

「どういうことだ源田!!」

 

「ついさっき父が死んだとの報告があった。だったら俺を縛るものはなにもない。だから俺は……帝国をやめる」

 

「なんだと!!」

 

「はっきり言わせてもらえば俺はあの男が嫌いだった……!!俺を生むためだけに母を利用して捨てたあの男が!!俺があの男からもらった愛などなにもない!!あんな奴が実の父だと思うと吐き気がする!!そして帝国が!!サッカーを利用して多くの人間を泣かせてきた帝国が嫌いだった!!お前はそう思わないのか!!?鬼道!!」

 

「…………確かにそうかもしれないな」

 

「お前がなんと言おうと俺は帝国を止める。だがお前には感謝はしてるよ。今までありがとうな」

 

俺が帰ろうとした時

 

「待ってくれ!!」

 

「お前は……アフロディ……」

 

世守子中の紅一点(・・・)にしてキャプテンのアフロディ。

 

俺は初めはアフロディが女だということに驚きを隠せなかったが神様曰く原作に似たパラレルワールドということなので気にしないことにした。

 

「……何の用だ?」

 

「……君たちの仲間を傷つけてしまったことを……済まないと思ってる」

 

「……だったらもうするなよな」

 

「ああ……それと聞きたいことがあるんだ」

 

「なんだ?」

 

「君は……どこであれほどまでの力を身に着けたんだい?神のアクアも使わずに……」

 

「神のアクア?なんなんだそれは?」

 

本当は色々と知っているが聞いておく

 

「そうだね……どっちみち僕は自首するつもりだし……教えてあげる」

 

それは原作とまるっきり同じ内容だった。

 

「影山……!!」

 

「源田くん……僕は……苦しいんだ……試合には勝ったのに……虚しさが残るんだ……」

 

「はっきり言わせてもらうと愚かとしかいいようがないな」

 

「……」

 

「勝ちにこだわる気持ちはわからなくはない。この世には必ず勝者と敗者が存在するからな。勝者になろうとするのは間違ってはいない。だがそのような勝ち方では生き残れたとしても得られるのは虚しさだけだ」

 

「そうだね……なんで今になって気づいたのかな……」

 

アフロディの頬に涙が伝う

 

利用されていたアフロディに非がないわけではないがなんとかしてあげたいな

 

「そう落ち込むな。確かにお前は選手として間違ったことをした。だけど生き残ろうとする気持ちは必要だ。そんな方法で生き残らなくてもいい方法がある」

 

「え……?」

 

「簡単だ。強くなればいいんだよ」

 

「でも……」

 

「最後に打ったシュート。あれにはお前の本気が籠っていたぜ。俺から言わせればまだまだだがこれからお前は強くなれる」

 

「本当に……僕も……強くなれるのかな?」

 

「ああ、誰も最初から強いわけじゃないんだ。確かに才能による差はあるが努力しないものは強くなれはしない」

 

「…………そうだね。僕も……一からやり直してみるよ。ありがとう。源田くん」

 

そういって微笑むアフロディはとても凛々しく本当の女神のようだった

 

「じゃあな。今度は本当に強くなったおまえを待ってるぜ」

 

「……ああ!!」

 

そして数日後、俺は帝国学園を止めた

源田強化委員先

  • 伊那国雷門
  • 永世学園
  • 世守子中

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