キングオブゴールキーパー(笑)に転生したようだ   作:ハッタリピエロ

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大分遅くなってしまい申し訳ない……これからちょくちょく書いていくつもりです……


灰崎凌平

今日は土曜なのでまた、お日さま園に行く予定だ。玲名や杏、クララにタツヤたちからまた来てほしいと言われたので休日は何度か行くことにしているのだ。

 

といっても午前は授業らしいので午後に行くつもりなのだ。にしてホント、どこの学校に編入しようかな……

 

そんなことを考えていると、またいつもの河川敷の近くまで来ていた。だがこんな時間に来ている者など居ないと思って、通り過ぎようと思ったが一人だけボールを蹴る者がいたのを見つけた。

 

動くたびに灰色のロングヘアーがなびくが、それ以上に誰も寄せ付けないようなギラついた目が気になった。ガムシャラにボールを追いかける姿は楽しんでというようなものではなく、何かを憎んでプレイをしているように見えた

 

だがそのプレイスタイルは荒々しいが繊細さを感じた。

 

ゴール前までドリブルで駆け上がると、空中にボールを蹴り上げて口笛を吹く。

 

すると地面から現れた六体のペンギンがボールに突き刺さり、オーバーヘッドキックの体勢になる。

 

「オーバヘッドペンギン!!」

 

放たれたシュートがゴールを直進していたが……あー、ありゃ失敗だな

 

未完成だったのか途中で軌道がブレて、こちらに向かってくる

 

「おいっ!危ねえ!!」

 

灰色少年にとっては俺がここにいるのが予想外だったのか、注意を呼び掛けてくるが、ポケットにいれていた手を取り出してボールを受け止める。

 

「なっ!!?」

 

俺は土手から河川敷に降りるとそいつにボールを渡す。

 

「ほらよ」

 

「な……す、すまねえ」

 

「気をつけろよ。サッカーは時に人を傷つける凶器になりうるんだからな」

 

「あ、ああ……アンタ、サッカープレイヤーなのか?」

 

「え?俺を知らないの?」

 

「ああ知らねえ」

 

……ま、まあ全国に出ただけじゃ知らない人がいるのも無理はないか……帝国っつうても一回戦負けしたし

 

「元帝国学園サッカー部の源田幸次郎だ。お前は?」

 

「…………灰崎凌兵」

 

これが後にフィールドの悪魔と呼ばれる灰崎との最初の出会いだった。

 

・・・・

 

しばらく時間があったので灰崎のプレイを見てもいいかと聞いたら『好きにしろ』と言われたのでベンチで彼のプレイを眺めていた。

 

「オーバーヘッドペンギン!」

 

灰崎が放ったシュートがブレることなくゴールネットを揺らした。

 

(それにしても中々だな……シュートの威力だけなら豪炎寺にもヒケを取らないかもしれない……)

 

灰崎はボールを取り、満足した笑みを浮かべると俺の方へ来て

 

「なあ……」

 

「なんだ?」

 

「……アンタはキーパーなのか?」

 

「ん?ああ、まあな」

 

「だったら俺と勝負してくれ!完成した俺のシュートが奴らに通用するかどうか……!知りてえんだ!」

 

「…………」

 

なんかよくわかんねえが……

 

「サッカーなら受けて立つぜ!」

 

俺はゴール前に立ち灰崎と一対一となる

 

灰崎がボールを空中にキラーパスを出すと次の瞬間に飛び上がり口笛を吹く。すると地面から6匹のペンギンがクチバシをボールに当てて回転してボールに力を与える。

 

それをオーバーヘッドキックの体勢になった灰崎が右足を振り抜く

 

「オーバーヘッドペンギン!」

 

灰崎の放ったシュートがゴール前にいる俺に飛んでくるが……

 

「………」

 

前に突き出した右手にシュートがぶつかるが重心を少し落とした俺が動くことはなく勢いが弱まっていきボールは俺の手に収まった

 

「なっ!?なんだとっ!?」

 

……中々いいシュートだな。ペンギン技はハンド系に有効とされる技だから鍛え上げれば今の円堂のゴッドハンドなら破れるかもな

 

俺が内心で高い評価をつけていたのだが灰崎は納得しない表情で

 

「クソッ!もう一回だ!もう一回勝負しろ!」

 

灰崎にボールを返すとさっきよりも荒々しくボールを空中に飛ばして自身も飛び上がる。

 

「オーバーヘッドペンギン!」

 

……うん。さっきのほうが強かったな

 

下から足を蹴り上げて、シュートの勢いを殺して胸でトラップする。

 

その後も何度もシュートを打ってくるが、イライラしてるせいか力が集中できていない。

 

「なんでだ!!なんで通じねえんだ!!俺は……こんなとこでうだうだやってるわけにはいかねえんだよ……!!」

 

灰崎が見せたその眼は最初に見た時と同じ濁った憎悪の眼だった。

 

俺はベンチまで行きさっき買ったドリンクを灰崎に渡す

 

「…………なんだよ」

 

「一回休め。今は落ち着かないとなにもできないぞ」

 

「…………ああ」

 

灰崎も隣に腰掛けてスポーツドリンクを飲む。少しの間、沈黙が流れるが俺がそれを破る

 

「なあ、灰崎。こんなこと聞くのは野暮かもしれないが……おまえ、なにを憎んでる?」

 

「なんでッ……!」

 

「お前に似た眼をみたことがあるからな……」

 

あの影山が一度だけ俺に見せたサッカーを憎む眼。灰崎はサッカー自信を憎んでるようではないが憎悪の眼であることは明らかだ。

 

「……アンタはそれを聞いてどうしようってんだよ……」

 

「……憎しみでサッカーをやるってのに口を挟むつもりじゃない。お前のことを知っているわけじゃないんだ。いや知ってたとしてもお前の気持ちを俺は知らないんだ。簡単に否定できるはずもない」

 

「…………」

 

「でもな。憎しみ過ぎると周りが見えなくなるぞ。その憎しみで自分や周りを壊すこともあるんだ」

 

「アンタはソンナやつを知っているのか……?」

 

「…………ああ」

 

「…………」

 

「お前が何かを憎んでサッカーをするのにも俺は何も言うつもりはない……が一つだけ言っておくぞ」

 

「な、なんだよ……」

 

「サッカーは一人でやるもんじゃない。十一人でやるもんなんだ。例え自分が皆とは違う目的でプレイするとしても……お前は一人じゃないんだ。戦うときはチームメイトもいるんだ。自分と共に戦うやつらは信じてやってもいいんじゃないか?」

 

「でも俺は……」

 

「今は憎しみしか感じないかもしれない。でも楽しいぞ?サッカーは」

 

「…………」

 

「……いつか、お前と楽しんでみたいな」

 

「……アンタバカじゃねえのか」

 

「自覚してるよ。俺はどうしようもないぐらいの……サッカーバカなんだって」

 

「……そうか」

 

「…………」

 

「……俺には茜っていう幼馴染がいたんだ」

 

灰崎が話した内容を簡単に説明すると幼馴染の茜という子がアレスの天秤という教育プログラムの弊害を受けて物言わなくなってしまったことが灰崎にとっては許せないらしい。だからアレスの天秤が作り上げた王帝月ノ宮中をサッカーで倒すことでアレスの天秤に何の意味のないものだと証明することが今の目標だとらしい

 

「俺は……茜をあんな風にしたアレスの天秤が許せねえ……」

 

「…………そうか。俺はお前の苦しみはわからない……でも、おまえが本当にサッカーを楽しめる日が……来るといいな」

 

「源田……さん」

 

そしてお日さま園に行く時間になったので俺が河川敷から出ようとした時

 

「源田さん」

 

「なんだ?」

 

「……またここで……一緒にサッカーしてくれないか?」

 

「……ああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

源田強化委員先

  • 伊那国雷門
  • 永世学園
  • 世守子中

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