がっこうぐらし!称号「自宅警備員」獲得ルート(完結)   作:島国住み

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(連載形式は)初投稿です。


72時間の壁
帰る家を守れないようじゃ帰宅部失格


 

帰宅部から自宅警備員へのキャリアアップの道を突き進む意識高いRTA(風実況動画)はーじまーるよー。

前回の単発動画(動画とは言ってない)で無事称号「帰宅部」RTAを完走しました。

でも、ひとっ走りした後のコーヒー牛乳を堪能した後ふと思いました。

 

「あれ?まだ続けられるんじゃね?」

 

そうです。計測終了は自宅のドアを閉めた後なのでゲーム自体は続いています。Life goes on…

せっかく完走したのにもったいないと思いましてこのデータを使ってまた称号獲得RTAをしようと思います!!

今回狙うのは…「自宅警備員」!!

取得条件は「自宅を拠点とし14日間非感染状態を維持する」です。

条件の関係上RTAの形式は取れませんので実況風動画としてやっていこうかなと思います。

14日間生き残ればノーマルエンド「生存者」を迎えることもできるのでちょうどいいです。

ただ、このルートで行くのは初めてなのでチャートもないですし何が起こるかわかりません。主要キャラとの接触なしにどこまで生き残れるのか不安ではありますが自宅警備員への「就職」のために頑張ります。

 

じゃあ、早速やっていきましょうか

 

自宅のドアを閉めたとこからでしたね。しらせ号が電柱に激突した音でかれらがやってきているでしょうから外には出られません。まず初めにするべきことは…うーん…

あっそうだ(唐突)妹さんがいた。ステータスを確認しておきましょう。

名前は…青木 咲良(さくら)ですか。関係性は妹ですね。中学三年生で市内にある公立中学校に通っているらしいです。

肝心のステータスは…なんか、モブって感じだなぁ(辛辣)

知力が平均より上ですがそれ以外は汎用キャラのステータスのままです。

スキルは…お!「勉強家」ですか!これはなかなかいいスキルを持っていますね。

「勉強家」は「知力」が関係する技能の習得速度を上げ、必要な技能ポイントを若干軽減します。技能の中には本が必要になるものがあり、大体取得に時間がかかります。このデメリットを軽減できるスキルなので中々有能です。

ただ、持ちスキルはこれだけですか…まぁでも「知力」が高いのと「勉強家」のスキルはいいシナジーを発揮できるのでりーさんのような後方支援型として期待できますね。

正気度もモブ仕様。りーさんのほうがまだましだな!

主人公(飛真)との好感度は…1!?1しかないの…(困惑)。

好感度は0~10まであって高ければ高いほど仲がいいということなのですが、低いですねぇ。親族なので最低でも5はあるのじゃないかと思っていましたがそんなことないようですね。中三なんて生意気盛りですから(決めつけ)兄に対しても知育玩具についてくる申し訳程度のガムくらいにしか見ていないのでしょう。

ちょっとショックですがさすがに家族ですので同居を拒否されることはないでしょう。…協力体制の構築には時間がかかりそうですが。

愛情度は0ですね。安心しました。愛情度は他RTAで活躍なされているクズ運持ちのガバ走者兄貴によると、男女の仲を表す値で上昇すると恋仲になったりするらしいです。今回は兄妹なので関係ないステータスです。関係あったら怖いわ。

 

妹は家にいたようなので他の家族について尋ねてみましょうか

 

「お父さんとお母さんは仕事でいないよ。……それより外どうなっているの?テレビもやってないしネットも繋がらないし…確かめようと思ったらアンタ自転車でぶつかろうとしてくるし…マジ怖かったんだけど?」

 

4人家族で共働きかぁ…両親は生きてないだろうな…。というより「アンタ」呼ばわりですか。ぶつかりそうになったの根に持ってるし。今満身創痍(HP一桁)だからちょっとは心配もしてほしかったなぁ。

とりあえず謝って外はやばいことを伝えましょうか

 

「…次から気を付けてよね。ヤバいってどうヤバいの?自転車なんか血?みたいので汚れてたし臭かったし。昼寝していたら悲鳴とか爆発音で目が覚めて…さすがに今回は塾休講だよなぁ…」

 

あ、これあれだ。まだ事の重大さを理解していないタイプだ。おめでたいやつめ。今回に限らず塾ずっと休講だよ!やったね!(暗黒微笑)

というか受験生だったんだね。だからステータスとスキルあんな感じだったのかぁ。納得。

本当のこと言っても信じてくれなさそうだけど正直に言う以外ないよなぁ

 

案の定ハァ?って顔してます。閉まっているカーテンを開けてやりたい衝動にかられますが我慢我慢。知らないなら知らないほうがいいです。

自宅って結構籠城向きの建物なんですよね。玄関・勝手口は鍵さえ閉めればかれらの襲撃にある程度耐えられます。正直一階部分の窓さえきっちり保護しておけば基本安全です。あとは音を立てないように配慮して暮らせばめったに襲撃されません。ですからやり方次第では恐ろしい現実を知らずにクリアなんてことも不可能ではないです。でも今回はそのつもりはないので妹さんもこの現実をいつかは知ることになりそうですね。

 

…って言ってるそばからカーテンを開けようとしてますね。確かに日が傾いてきていて室内が薄暗いですからね。止める理由は(ないです)。現実を知ってもらったほうが協力してくれそうですから(ゲス顔)。

 

ちらっと見ただけでもさっきのしらせ号激突事件のせいでかれらがうようよいますね。自分たちの存在がバレたらまずいです。すぐに窓を補強できるものを探してこなきゃ…ってあぶないっ!!

 

妹があまりのショックに後ずさりして地面に置いてあった雑誌に足を滑らせ転びそうになりましたが近くにいたおかげでギリギリ体を支えることができました。音を立てたら一環の終わりですからマジ危なかったです…

 

妹は立ち上がれずそのままヘナヘナと床に倒れてしまいました。正気度が自分より減ってる…荒治療すぎたな…

おい、大丈夫か?

 

「なにアレ…マジ意味わかんない…ゾンビ?撮影?襲われたら…死ぬの?ゲンジツ?まってまって意味わかんない意味わかんない意味わかんない……」

 

うそ。(狂気)もう始まってる!

この症状はおそらく多弁症ですかね……ヒステリーよりはマシですが症状が治まるまでは自発的に動けないのでかなり危険な状況です。知力が高かったから普通の人より早く現実に気づいてしまったのか…お客様の中に精神分析持ちの方はいませんか!(TRPG脳)

 

このままだと外にいるかれらに気づかれるので二階に運びます。

よいしょっと。重っ!あ、いや軽っ!軽いです!!めちゃくちゃ軽い!ててて天使のは~ねっ♪(ヤケクソ)  「筋力」もっと上げなきゃなぁ…

とりあえず妹の部屋のベッドに寝かせておきますか。一時的な狂気なのでしばらくしたら治るでしょう。

 

ついでにベランダから外の様子をみてみますか。

うわぁ。思った以上にいる。玄関周辺にも数体確認できます。ざっと周りを見ても生存者は見当たりませんね。かれらが跋扈する世界になってしまいました。このまま何の対策も講じないままだと家に侵入され自宅警備員の道は閉ざされてしまいます。こんなご時世になったらハローワークも機能してないでしょうし再就職は厳しそうですね。この家を何としても守らねば(固い決意)。

 

ただいま飛真君HPが相変わらず真っ赤ですが動くしかないですね。なに、当たらなければどうということはない。最低でもしなければいけないことは、一階の窓すべてに雨戸をすることです。

雨戸はガラスに比べて耐久がかなりあります。この家は比較的新しそうなので耐久には期待できそうです。でも雨戸にはデメリットがあります。それは開閉時に音が鳴ってしまうのとかれらが雨戸をたたいた時にも音がしてしまうことです。ある程度は防げても音で寄ってきたらいつか突破されるので陽動をする必要があります。

自分がかれらを引き付けて妹に雨戸を閉めてもらおうかと思ったのですが……まだ治ってないですね。回復を待っている余裕は残念ながらない。自分でどうにかするしかないですね。

 

防犯ブザーのような音の出る装置がどこかにあればいいんですけど…妹の部屋を物色するわけにもいかないし…自分の部屋に何かないか?

目覚まし時計がありました。しかもベルのうるさいやつ!

落とした時に壊れないようにクッションでくるんで目覚ましをセットして道路に投げ込みましょう。きっと音につられて集まってくるはず……

 

ジジジジジジジジジジジ……

 

クッションのせいで音は控えめですがちゃんとなってます。……かれらが集まってきてますね。今がチャンス! 急いで雨戸を閉じに行きます。

 

雨戸をゆっくり閉めれば音も小さいので目覚ましが鳴ってさえいれば気づかれることは少ないでしょう。この隙に一階全部の雨戸を閉めたいですね。

 

かれらが入ってきそうな一階の窓はリビングにある道路側と側面の一つずつと横の和室に一つですね。

まずは横の和室からいきますか。ここから庭に出ることができます。確認してみると……かれらはいませんね。ゆっくり雨戸を閉めます。それにしても小さい庭だなぁ。でも園芸用品を入れているとおぼしき小さな物置があります。あとで中を見てみましょう。

無事閉めおわりました。まだ目覚ましの音が聞こえます。さっさと次に行きますか。

 

次は側面ですね。でもここは隣家が見えるだけであんまりかれらが入ってくる余地はなさそうです。でも一応安全のため閉めておきます。案の定敵影はなし。そーっとそーっと……はい!閉まりました!

 

最後、道路側。ここが一番危険ですね。ここを閉めない限り我が家に安寧は訪れません。かすかに目覚ましの耳障りな音がします。カーテンを開けるのが怖いですがやるしかないです。

サッー(カーテンさん迫真の演技)……目覚ましに群がってますね。さぁ魔法が解けないうちに…って一人こっち向いてるのがいる。あっ目が合った。目と目が合う瞬間好き(えさ)だと気づいた♪~

こっちくんな!!ガラスはやばいガラスはやばい耐久が妹のガラスのハートよりもろいガラスじゃ一匹でも突破されるには十分すぎる……殺るしかねぇ!

幸いにも近くにダイエット用の1kg鉄アレイがありました。それで殴りましょう!

窓を開けて間合いを、詰めて、殴る!よし、頭にクリーンヒット!倒れました。

いまのうちに雨戸を閉めましょう。ゆっくりゆっくり…あれ?目覚ましの霊圧が消えた…?あっ(察し)かれらにもみくちゃにされて壊れてしまいました。……ということは?

あああああああああああミツカッタ!来る来る来る!本日の営業は終了いたしましたぁ、またのお越しをお待ちしておりまぁぁす!!(営業スマイル)

くそっ、あいつらここを24時間営業だと思ってやがる…もう音がどうこうとか言ってる場合じゃないです!早く閉めて自らがバリケードとなって侵攻を阻止しなければ!

 

ガラガラガラ……

 

閉め切ると同時にかれらがこちらに入ろうと雨戸をたたきます。

 

ガンガンガンガン……

 

この音でもっと寄ってくるだろうしなぁ…ヤバイどうしようどうしよう耐えきれる未来が見えない飛真の体力が一桁のせいでスタミナの回復が遅く雨戸も鉄壁ではありません。

スタミナ切れ雨戸突破かれら化エンドが見える見える……

 

ガンガンガンガン……

 

主人は留守です!返せるお金も…ここにはないです!だから今回は帰って、帰ってください!お願いします!(クズ男の妻並感)

ああ~^スタミナがゴリゴリ減るんじゃぁ~^

うう…やっぱ主要キャラがいなきゃ生き残れないのか…自分一人だけなら生き残れそうだけど、モブは死ぬ運命なのか…

 

ガンガンガンガン……

 

もうスタミナが切れそうです。思い付きでこの自宅警備員ルートを始めてみましたがダメみたいですね(諦観)

次はちゃんとチャート組んで(激うまギャグ)挑戦したいです。

今回は失敗ですね。また次の動画で会いましょう。さよなら!

 

タッタッタッタッ……

 

あ!妹が降りてきた。治ったようですね。様子を見に来たのでしょう。

もしかしたら助けてくれるかもしれない!まだ、まだ死にたくないぃ!!

 

助けてぇ!!やつらを、やつらを追い出して!頼む!このままじゃ……

 

察したようです。しかし追い出せと言われてもどうすればいいのかわからないですよね

……ははっ。せめて妹だけでも逃げるように言っといたほうが良かったですね。

 

?冷蔵庫に走って……肉!?そうか肉かその手があったか!!すぐ腐るしそもそも食べる気にならないから本来肉は捨てアイテムです。でもかれらを引き付けるにはあれ以上のものはない!!頭いい!惚れそう……

 

急いで二階に上がってます。ここからでも二階からドスドス音が聞こえて急いでるのが分かります。

 

べちょ!

 

多分肉が落ちた音ですね。……みるみるうちに感じる抵抗が減っていきます。……侵攻はやみました。全員肉に夢中のようです。……助かったぁ!!生きてる生きてる!

 

ただ、体力、スタミナがもう底をついてます。休まないと……ん?なんか画面が揺れて…

 

あ、気絶した。酷使しすぎましたね。

 

キャラロストは脱しましたが気絶しちゃうしまだ家にある物資について何も把握してないし雨戸の耐久ボロボロだし妹と仲悪いし……ちゃんと生き残れるのか?

 

 

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目が覚めた。時計を見たらまだ塾までだいぶ時間がある。どうして起きたのだろうと思ったけど、理由はすぐに分かった。

 

外がうるさい。パトカーと消防車のサイレンがけたたましく鳴るなか、悲鳴も聞こえる気がする。何かあったのかな?

 

ちらと窓を見る。ここからじゃほかの家の屋根ぐらいしか見えないけどそう遠くないところから黒煙が上がっているのが見えた。

 

「火事?」

 

常識的に考えて火事が妥当だけどなんだかそれ以上の何かが起こっている気がした。嫌な予感がする。

まだ寝れたのに起きてしまってイライラする。ぼーっとしながら気晴らしに今日の夕飯のことを考える。

そういえば今日は和牛のサイコロステーキだってあいつが言ってたっけ。なんでもふるさと納税で和牛が手に入ったらしい。楽しみだ。

とりあえず起きてテレビを見ようと下に降りる。こんなに大規模なら報道されているだろう。

テレビをつける。そこに映っているのは砂嵐。冷静にほかのチャンネルをつける。砂嵐。おかしい。しらみつぶしにチャンネルを変える。砂嵐。砂嵐。砂嵐…

 

どうなってるの?嫌な予感はますます強くなる。

 

「そうだ!スマホ!」

 

テレビがだめでもスマホがある。インターネットを使えば何かしらの情報が得られるはずだ。うん?ブラウザが開けない。よく見たら圏外になってる。いよいよおかしい。全国規模で「何か」が起こっているに違いない。

何が起こっているのだろう?大規模な自然災害?クーデター?もしかして戦争?

どれもしっくりこない。現実味がまるで感じられない。じゃあ一体なんだ?

 

外に出てみよう。何かわかるかもしれない。

 

道路に出た。さっきより音がひどい。何かがぶつかる音やサイレン。そして悲鳴がどこからか、でもはっきりと聞こえる。見渡してみても一見変化は感じられない。でもいつもの閑静な住宅街といった雰囲気はまるで感じられず不穏な空気に満ちていた。

 

そんな中、動くものが見えた。

 

自転車だ。こっちにすごいスピードでやってくる。……アイツだ。私の兄。なんであんなに急いでるんだ?しかもかごにモップを横にさしてるし自転車がどす黒い血のようなもので汚れている。

全くスピードを緩めない。このままじゃ危ないと思っても異様な姿に驚いて動けない。

 

ガッシャーーン!!

 

しらせ号(アイツが自転車につけてる名前。自転車に名前を付けるってなんかキモイ)は私の横をかすめ電柱に激突した。

 

あまりにもびっくりして唖然としていたがアイツは私の手を取ってすぐさま家に入った。家に入った後のアイツは()()()()()()()()()()()満足げで清々しい顔をしていたが急に真面目な顔になって私に話しかけてきた。

 

「他のみんなは無事か!?」

 

?何を急に。無事も何も家にいたのは私だけだけど?それよりぶつかりそうになったのに謝ろうとしないのがムカつく。

 

一応謝られたが何かほかのことが気になっていて謝罪に誠意が感じられない。……まぁいいや。それよりやっぱり外は危険らしい。しかし具体的なことが何もわからない。塾どうしよう?

 

塾について言ったら顔色が変わった。アイツ曰く外はゾンビパニックらしい。今の音のせいで「かれら」が寄ってきてるだろうから絶対に家にいろと。……からかってるのか?そんなことあるわけない。……本当はそうかもしれないと思った。フィクションのゾンビもののシーンと今の状況は酷似している。でもやっぱりそうじゃないと思いたかった。だから私は自分の目で確認するべくカーテンを開けた。

 

……!!

 

わが目を疑った。しらせ号の周りに群がっているのは、間違いなく人間ではなかった。…ゾンビだ。かれらの群がり方がリットン調査団のあの写真に似ていると思った私はもうその時点で壊れていたのだろう。

 

「なにアレ…マジ意味わかんない…ゾンビ?撮影?襲われたら…死ぬの?ゲンジツ?まってまって意味わかんない意味わかんない意味わかんない……」

 

言葉が止まらない。思考を整理するために話しているのかそうしなければ精神が耐えられないから話しているのか自分でもわからない。頭がぐちゃぐちゃになっている。頭が真っ白になり真っ黒になる。理解しようと脳が動く一方理解しまいと脳が抵抗する。整理がつかない意味わかんない意味わかんない意味わかんない意味わかんない……

 

意識の片隅で私が二階に運ばれているのを感じる。でもなんだかふわふわしていて他人事みたいだ。「重っ」と聞こえた気がするが気のせいだろう。横になっても脳は混迷を極めている。衝撃的なかれらの姿が脳裏に浮かびそのたびに脳が理解しようしまいと内乱が起こる。深呼吸を意識的にする。何度も何度も。少しずつだが落ち着いてきた。どうやら脳は遂に現実を認めたらしい。でもどこからか目覚ましの音が聞こえる。幻聴だろうか?

 

そんな矢先、一階から嫌な音がした。

 

ガンガンガンガン……

 

音の原因は何となく察した。かれらが家に入ろうとしている!怖い怖い怖い怖い……それでも様子を見ようと思った。この家を失ったらおしまいだ。どうやら人間は恐怖を感じていても身の危険が迫っていればそれを押し殺せるらしい。震えながらも、階段を下っていく。

 

アイツが雨戸を閉めてくれたらしい。でも道路側の窓からかれらが入ろうとしている。アイツはそれを止めようと必死に抑えていた。雨戸は原型を失い始め、今にも突破されそうだ……

私の姿を見てアイツが叫んだ

 

「咲良!頼む!やつらを追い出してくれ!このままだと……ウッ…」

 

雨戸もそうだがアイツも限界そうだ。危機感がひしひしと自分を包む一方、久しぶりに咲良と呼ばれたなと場違いにも思った。そういやお互いに「おい」とか「ねぇ」とかで呼び合うようになったな。いつからそうなったんだろう?

……また自分は現実逃避をしようとしている!アイツは現実と戦っているのにこんなことを考えてる場合か!

何かあるはずだ……私たちよりかれらにとって魅力的な何かが……かれらは私たちを食べるために襲っているはず…それなら何か別の食べ物で釣れるはず…

ここまで考えて和牛を思い出した。夕飯になるはずだったやつ。あれならかれらを引き付けられる!!

 

冷蔵庫まで走って中を見る。あった!思ったより大きい。それをもって急いで二階に走る。ベランダに出て肉を放り投げる。

 

べちょ!

 

お願い…気づいて……。

 

効果はてきめんだった。まず音で気づき、「それ」を目にしたとたんすぐに寄ってきた

 

群がるかれらを見て本当に世界は変わってしまったと感じた。しばらく呆けたようにその光景を見ていたがハッとして一階に戻った。本当に助かったのだろうか?

 

ひしゃげた雨戸。間一髪で我が家は持ちこたえた。そしてアイツが倒れていた。駆け寄ってみると傷だらけだった。そういえばアイツは私を避けるために電柱に激突してた。その傷を押してこの雨戸を守ったのか。それなのに私は高慢ちきに振舞って……

 

自分の薄情さに苦笑いしながら私は手当をするための救急セットを探し始めた……

 

 




年末年始って暇なようで意外と忙しいですよね。

妹は艦これの「瑞鶴」を意識したつもりですが、うーん・・・一人称視点は難しいですね……

連載形式で完走できるか不安ですが頑張っていきたいです!

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