がっこうぐらし!称号「自宅警備員」獲得ルート(完結) 作:島国住み
「………きて!起きて!」
なにか、聞こえる。
私を起こそうとしてるのは分かる。でもとにかく眠くてすぐに意識をまどろみの中に沈める
しかしお兄ちゃんはしつこかった。観念して起きる。
思った以上に外が明るく思わず顔をしかめる。全然寝た気がしない。
お兄ちゃんが眠そうな私を見て、悪夢を見たのかと聞いてきたけど私が眠いのは悪夢を見たからじゃない
………もとはと言えばあのメモのせいだ。いたずらに私の心をかき乱してホントに悪趣味だわ。そのせいで色々考えちゃって寝付くのに時間がかかった。
「やっぱり狭いからじゃないのか?そろそろ別々で寝たほうが……」
「……寝苦しいとは、一言も言ってないじゃない」
お兄ちゃんまでそんなこと言う。むしろちょっと窮屈なほうがいいのに
大の字で寝れる広さがあってもただただ物寂しいだけだわ
寝ぼけてあんまり頭が回ってないままご飯を食べたら眠気の第二波が来た。
食べたら眠くなる。これは自然なこと。
二度寝は至高。これも自明なこと。
経験上この猛烈な眠気は1時間くらい続いて、そこを超えれば眠気は引いてくれるってことは知ってるけど別に我慢する必要はない。
お兄ちゃんも今日は特に何もないって言ってるし。うん。二度寝しよ!
お昼になったら起こしてって言ったらなんか呆れたような目で見られた。
だって眠いんだもん。私はズボラじゃない。自然の法則に従ったまでだわ
さっきは窮屈な方が良いって思ったけどお兄ちゃんがいないとやっぱり広くスペースを使える。
これはこれでいい。微かな罪悪感が私をすこしハイな気分にさせてくれる。
「んーー!」
ベッドに横になって思いっきり体を伸ばした後、息を吐きながら体を弛緩させる。
夜の分の汗を吸ったせいか布団はすこし湿っぽい。でもそんなの気にならない。
明日にでも布団干さないとねなんて考えながら上機嫌で眠りについた
■■■
自然と目が覚めた。あれほど眠かったのに眠気はすっかりなくなった。
何時くらいだろう?
お兄ちゃんが起こしにこなかったってことは実はあんまり寝てなかったのかも。
起きぬけに部屋を見渡したけどお兄ちゃんは見当たらなかった。てっきりこの部屋にいると思ったのに
昼ごはんでも作ってるのかもしれない。私は寝てただけだから昼はいらないけど。
………あれ?一階にもいない。
それにさっきから私が立てる音以外何も聞こえない。
もしかしてお兄ちゃんも寝てるのかな?となると私の部屋かな。恥ずかしいから私のベッドで寝て欲しくないんだけど………
というか何で私は自分のベッドで寝なかったんだろう。さも当然のようにお兄ちゃんのベッドに潜ったのは冷静に考えたら変だ。最近ずっとあそこで寝てるせいかな
………まぁ寝ぼけてたんだろうな
深く考えないようにした。それよりもお兄ちゃんがどこにいるのか気になる。
ここにもいない。外で何か作業してるのかな?
………いない。
だんだん焦ってくる。家は狭い。だから普通はもう見つかってる。意図的に隠れでもしない限り………
家をくまなく探してもお兄ちゃんは見つからない。おかしい。
ここにいないとなると考えられるのは………
「外………?」
でも何のために?
置手紙すらない。そもそも外に出るとはとても危険な行為だ。気軽に行ける場所じゃない。
何処に行ったのかも目的も帰る目処も何もわからない。
分からないことだらけだったけど、眠気が消えた頭は状況を理解することだけは早かった。
私は、ひとりぼっちになったのだ。何の前触れもなく。
酷く現実感がない。ありえない、というか全く想定していなかった事態を前に戸惑いすら湧かずただ茫然としていた。
空の紙パックのように世界が空っぽに感じた。見た目は何も変わらない。でも肝心の中身がない
しばらく何も考えられなかったけど、ふと我に返る。
探さないと。
でもどこを?目的も分からないのに捜索場所を絞れるの?
生活必需品は足りてる。不足してて調達に行くなら絶対私に声をかける
だからお店に行ったわけではない
これ以外に外に出る理由はないと思うんだけど………
『迎えに来たのですが不在だったため置手紙を残します』
悪寒。唐突にこのフレーズが頭に浮かぶ。これは、きっと、たまたまなんかじゃない。
………………もしかして
鳥肌が立つ。考えたくない。でも疑念は確信にまで急速に膨らんで、固まった。
あの女たちの元に行ったんじゃ………
迎えに来るなんて言ってたけど、お兄ちゃんはあいつらに一刻も早く会いたかったから私が寝てる隙を見て
そう考えればしっくりくる。それ以外にないように思える。
空っぽになった紙パックに怒りと憎しみ、そして悲しさが満たされ、溢れ出す。
フワッとした感覚になる。自分が今、立っていて足に重力がかかっていることを急に意識する。感覚は研ぎ澄まされているのにひどく気怠い。
私は怒っている。猛烈に怒ってる。一方でそのことを冷静に受け止めている自分がいる。
裏切られた絶望が私を飲み込む前に行動しないと。自分の激情に身を任せるのが唯一の、解決策だ。
問いたださないと。問いたださないと問いたださないと
何が一番大切なのか、それから逃げたことを
たまたま助けただけの女どもに誑かされて妹を捨てるなんて許されていいはずがないお兄ちゃんは私と一緒に居るべきなんだそれが分からないなんてお兄ちゃんはわからず屋だでもいいわ教えてあげるからそのためには連れて帰らないとね
高校だ。あそこに行ったに違いない。
バールを握りしめ、住宅街を歩く。
不思議な感覚だ。外をあんなに恐れていたくせに今は何ともない。
アアアアアァッ…………
………!ゾンビだ。そういえばこの世界はゾンビが跋扈してるんだっけか。意識の上でそのことを忘れていたことに驚く。
私は隠れていなかったからすぐに見つかり、かれらは私ににじり寄ってきた。
「邪魔ッ!!」
ガツン!!!
感情の乗った一撃は頭を正鵠に打ち抜いた。
とどめを刺そうともう一度振りかぶって気づく。
一撃で、殺していた。
拍子抜けしてしばし立ち止まる。なぁんだ、簡単じゃない。
………あ。自転車使えばすぐ学校に行けたのに。すっかり忘れてたわ。
まぁいいわ。なんか色々めんどくさくなっちゃった。学校に行けばすべて解決するんだからこのまま行っちゃいましょ
歩き出そうとしたその時。
ピピピピピピピピピピピピピ………
遠くから電子音が聞こえた。防犯ブザー?
どう考えても自然な音ではない。人為的なものだ。
方角は……家の方だな。………ん?
防犯ブザーはかれらを引き付ける、もしくは釘付けにするために用いる。
でもそれはこの世界での話。本来の目的は……
自分の存在を知らせるため。
音によって存在を知らせ、助けを呼ぶのだ。
本当はお兄ちゃんは学校になど行ってなくて、私がいないことに気づいて慌てて狼煙代わりに防犯ブザーを使ったとしたら。
ありえる。
もちろんそうじゃない可能性はある。でもそんなことはどうだってよかった。お兄ちゃんが私を裏切ったって考えるのはあまりにも、辛かった。そんなこと本当は考えたくない。
別の可能性が提示されたなら私はそれに縋る。あの女たちとニコニコしてるお兄ちゃんを想像するのはもう嫌だ。
お兄ちゃんを疑いたくないし学校に行ってほしくないし私だけを見ていてほしい。
最悪の事態なんて杞憂なのが一番だ。
音の鳴る方へフラフラと向かう。傍から見ればかれらと全く同じ行動だ。
お兄ちゃん、どこにいるの?
早く、私を見つけてよ。
怖いよ。
「咲良!!」
声が聞こえた。待ち望んでいた、私を呼ぶ、声が。
振り向くとお兄ちゃんが自転車に乗ってこちらに向かっていた。
良かった。助かった……
私との距離は近くなっても、自転車のスピードはどんどん増す。
そんなに私に会いたかったのかな?ふふふ……
にしても速い。なんか
ドン!!
お兄ちゃんは
それは、かれらだった。
全く気付かなかった。安心しきっていた。
ここは外だ。命の保証はどこにもない。
アドレナリンが麻痺させていた恐怖が滝のように流れ込んでくる。
なんで私はあんなに勇み足で外に出れたのだろう?私は、お兄ちゃんが傍にいないと自分の命一つ守れないのに。
視界にかれらが見える。恐怖で足がすくむ。動けない。バールを持つ手が、震える。
「……お、お兄ちゃん……」
自分でも情けないくらいか細い声で、怯え切った目で訴える。
助けて。
言われるまでもなくといった様子でブルブル震えてる私を荷台に無理やり乗せて
「しっかりつかまって!」
そう言うと同時にもう自転車は動き始めていた。
振り落とされたら助からない。だから私は必死になってお兄ちゃんに縋りついた。
目をぎゅっと瞑って揺られるに任せていたら家に着いた。
どうやら私はあまり遠くには行ってなかったらしい。あの時の私がもう少し冷静で自転車を使っていたら戻って来れなかったかもしれない。
夢見心地で梯子を登って家の中にたどり着くと張りつめていたものが一気に緩んだ。
帰ってきた。
もちろんお兄ちゃんもいる。元通りだ。
安心したからなのか今頃悲しくなったからなのか自分でもよくわからない。でも涙が、止まらなかった。
あまりにも劇的だった。感情がやっと追いついてきたせいなのかもしれない。
ひとしきり泣いたら少し落ち着いた。
まだ涙は止まってないけどお兄ちゃんには聞きたいことがいっぱいある。
まずは
どうしても責める口調になってしまう。冷静になんかなれるわけがない。
お兄ちゃんの返答はなんだか歯切れが悪い。でも、ついに観念したように
「その、体がなまると良くないと思ってちょっと運動を……」
そう、言った。
最初は冗談か何かだと思った。けど、いたずらがバレて戦々恐々としてる子供のような顔で何も言わないことから本当のことを言ったのだと悟った
信じられない
そんな理由で………
本当に、杞憂だった。待っていればお兄ちゃんは帰ってきたのだろう。
骨折り損のくたびれ儲けだったってこと?
あの絶望も?怒りも?殺意も?ぜんぶぜんぶ私の一人芝居だったっていうの?
「軽率でした。ハイ」
お兄ちゃんは反省してるみたいだ。でもなんか謝罪が型通りで私の気持ちにちっとも寄り添ってないように感じる。
もう我慢できない!
思いっきりお兄ちゃんに抱きつく。勢いがありすぎたのかお兄ちゃんは痛みで一瞬体を固くしたけど構うもんか!
思いの丈をそのまま言う。気持ちを吐き出せば吐き出すほど沸騰しそうな頭は落ち着きを取り戻していった。
お兄ちゃんはもう二度と勝手に外に出ないと約束してくれた。このころには私もだいぶ冷静になって落ち着いて話せるようになってた。
外で長居しちゃったのは運動に夢中になったから、らしい。
何度聞いても呆れた理由だ。汗までかいてほんとにバカ。
良かった。あの女たちは無関係だったのね。私が寝てた時間を使えば落ち合うくらいはできたはずだから少し疑っちゃった
でも本当かしら?計画的な行動ではなかったって証明できるものは何もない。考えようによっては………
そんなことを考えてたらケガしてないか心配された。
すっかり忘れてた。帰ってきてから自分の体のことを全く気にかけてなかったことに気づく。
記憶を辿っても今現在の感覚からしても何か傷を負ったことはなさそう。
………いいこと思いついた
「ちょっとお兄ちゃん見てくれない?」
お兄ちゃんが勝手なことしたからこんなことになったんだ。結果的には二人とも無事だったけど危険極まりないことをしでかしたんだ。
ちょっといじわるしたってバチは当たらないはず
お兄ちゃんはあまり乗り気ではなさそうだったけどちゃんと言った通りにしてくれた。
ふふふ……かかったわね!
「なんかお兄ちゃん目つきがやらしい……」
「気のせいだろ」
む。軽くいなされた。
もっと動揺すると思ったのに………
私が負けたみたいで嫌だ。
もう少しドギマギしたっていいじゃない。
でも
不承不承といった様子の顔が見れて愉快愉快。
私は肌弱いんだから絹のごとく扱ってよね!ふふっ!
最初はゴシゴシされてちょっと痛かったけど、途中からは程よい強度で………ってくすぐったい!
絶対わざとだ。口ではそんなことないって言ってるけど口の端が歪んでいるのを私は見逃してないわよ!
でもそれを指摘するのは癪だから黙る。音を上げたらお兄ちゃんの思うつぼだ。
腕までは耐えられたけど足は無理だった
我慢できそうもないので早々に白旗を上げる。
でもお兄ちゃんは慎重にやってるだけだって取り合わない。
これじゃ
に、にしてもくすぐったい。でも笑いそうになるのをぐっとこらえる。
笑ったらおしまいだ。絶対勝ち誇った顔で私を煽ってくる。
それだけは阻止しなくては!
……?
あ、あれ?くすぐったいというより………
なんかヘンな感じだ。もっとしてほしいようなやめてほしいような………
「……ハイ、終わりっ!…………咲良?どうした?」
あんなに終わりを切望してたのにくすぐり地獄が終わったことにすぐに気づけなかった。
なんでだろう。恥ずかしくてお兄ちゃんの顔が見れない
「な、な、なんでもない。……ちょ、ちょっと私バールをきれいにしてくるね!」
そうそうそうそう武器の手入れは大事。すぐに汚れを取らないと後が大変だ。しかも手入れにはどうしても水が必要になる。ヘンなことに心を奪われてたら水の浪費に繋がってしまう。集中!集中!集中!
意識を、五感を無理やり外に向ける。無心で汚れを落としていく。
執拗なまでにバールの汚れを落としたから新品………とはいかなくても見違えるようにきれいになった
はぁはぁはぁ………これで、後始末は完了かな。
きっと気のせい。そうに決まってる。
どうやら結構な時間熱中してたらしい。太陽が傾いてきている。
部屋に戻って何をするでもなくぼーっとする。
さすがに眠気はもうない。
手持ち無沙汰のままは良くないからお兄ちゃんがショッピングモールに行ったときに持ってきた技術本を読むことにする
中にはふざけたタイトルの本もあったけどお兄ちゃんなりに吟味したのか意外と中身はしっかりしてる。
昔の世界じゃ知識は力だーなんて言われてたけど、知識を持っていたって材料と器具がないと何一つ創造できないなぁ……
その知識だってちょっと本をかじった程度だし何もかもが足りない。
外出は必要最低限にしたいけど色々なことを考慮に入れるとどうしても必要になっちゃうわね……
この先どうなっちゃうんだろう?明るい展望が見えない。
文字通り未曾有の事態にちっぽけな人間はどこまで対応できるのか。
はぁ。一人でいると暗いことばっかり考えちゃうわ。
「ご飯できたぞー」
ちょっとナイーブになってたからちょうど良かったわ。
辛気臭いことを考えても仕方ないもんね!
お昼を食べていなかったこともあってご飯はとっても美味しかった。
まぁ、空腹という最高のスープがなくてもお兄ちゃんの料理はおいしいけど。
ご飯も食べ終わってさぁ寝るぞという雰囲気になった。
もう日は暮れてるけどいつもと比べたら早い。電気が使えなくなってから早寝は続いているけど早起きできているかは……微妙。
ね、寝る子は育つって言うし?今回はちゃんと早起きもするつもりだからセーフよセーフ
実際ごはんを食べたら眠くなってきた。もうそういう風にリズムが出来上がってるのだからそれに逆らうのは良くない。
今日はどっち側で寝るか聞かなくちゃ
「お兄ちゃ……あっ、ご、ごめん!」
着替え中だった。慌てて後ろを向く
でも、暗くてよく見えなかったな……
いや別に残念だったとかそういうことじゃなくてただただ純然たる事実をですね……
……私は一体誰に言い訳してるのかしら?
「今日は別々で寝たほうが良いんじゃない?」
へ?
なんでそんなこと言うんだろう。朝のことを引きずってるのかな?
それなら別に私は気にしないのに………
「深い理由はないけど。でもやっぱ一緒に寝るのは
はっとする。こんな世界にもう世間なんてものはない。人が、いないのだ。
でも、やっぱり、変なのかな……
たしかにゾンビがフィクションの世界にとどまっていた頃は兄妹で一緒に寝るなんて考えもしなかった。実行しようものなら後ろ指だって指されるかもしれない。まず両親は止めに入るだろう。
そういう意味では今私たちがしていたことは変、なのだ。
何も考えてなかった。世間とか外聞とか。私はとうに社会性を喪失していたのかも……
「う、うん。そうだね。じゃあ……おやすみなさい……」
これは、
私があまりにも自然に振舞っていたから言い出せなかったのかもしれない。
これからは一人で寝なくちゃ
何日かぶりの私のベッドはなんだかよそよそしく見えた。
かつては毎日ここで寝ていたのに数日寝なかっただけで随分と受ける印象が違う。
ボフッ
………………。
ちょっと埃っぽい。部屋の換気すらしてなかったからなぁ
とにかく、寝ないと。目をつむる。
………………寝れない。
正確には眠い。眠いけどそれ以上に、怖い。
この部屋には私しかいない。一人だ。
夜は一番無防備だ。こんなに夜が心細いものだったなんて知らなかった。
………いや、知ってた。あの日、お兄ちゃんは帰ってきてくれなかった。
私はこの世界に一人取り残されたショックで気が狂わんばかりだった。
このままじゃダメ。無造作に転がっていたクッションを抱き枕にする。
昔から寝れない時はこうやって抱き枕の力を使ってなんとか寝ていた。
子供っぽいけど安心できて実際効果があるのだ。
………あれ?全然効かない。
第一、 クッションはあったかくないし、お兄ちゃんのにおいもしない。
これじゃ何も安心できないわ
やっぱりお兄ちゃんがいないと私寝れない。
だって、だって、怖いんだもん。
いつ死ぬかもわかんない世界に放り込まれてこれまで通り枕を高くして眠ることなんてできない。他の人の体温。私が一人じゃないって気づかせてくれるのはそれだけだ。
それに、起きたらまたお兄ちゃんがいなくなってる気がして……
……世間から見れば確かにおかしいことなのかもしれない。でも私たちを縛る世間はもう存在しないし、今と昔は状況があまりにも異なっている。改訂すべきなのは私ではなく、常識の方だ。
もうこれはどうしようもないことなのだ。また寝不足になってしまう。
自分に言い聞かせる。
必要もないのに目をこすってお兄ちゃんの部屋に行く
お兄ちゃんはもう寝てるんだから謎の眠いアピールなんか意味ないのに……
「あれ、お兄ちゃん起きてるの?」
どうやらお兄ちゃん
私と一緒だ。これなら……
許してくれた。
やった!お言葉に甘えて早速お兄ちゃんのベッドに収まる。
恐怖がウソのように消える。これなら眠れそうだ。
お兄ちゃんは目が冴えたなんて言ってたくせにすぐに寝息を立てていた。
本当に眠れなかったの?もしかしたらお兄ちゃんも私がいなくて不安だったのかも。
声をかけても反応してくれない。本格的に寝ちゃったっぽい
………………。
私は、こうしないと寝れないからお兄ちゃんと一緒に寝ている。つまり不可抗力だ。仕方のないこと、妥協の産物。
安眠の観点からそうしてるだけ。それ以上でも以下でもない。
……だから、私の胸が妖しく高鳴るのも、部屋が暑く感じるのも、ぜんぶぜんぶ、気のせいだ。
R-15タグをつけたのはゾンビが登場する以上、スプラッタ表現がどうしてもあるためなんですよね。
(それ以外の意図は)ないです。ホントです。嘘じゃないです。