がっこうぐらし!称号「自宅警備員」獲得ルート(完結)   作:島国住み

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ストーリーの進行上、前回のコメントに返信できてませんでした。申し訳ございません。


頭から、離れなくて 上

 

……なんか画面が揺れてるな。なんだ?とりあえず起きるか

 

「あ。おはよう。もう朝だよー」

 

起こされたのか……

確かに朝なんですけど、まだ寝ていたい。

昨日()()()飛真君の寝つきが悪かったので十分な睡眠時間を確保できていません。

 

「イデデデデデデ……」

 

「ちょっ……どうしたの!?」

 

「いや、ちょっと寝違えただけ……」

 

誰かに寝てる間じゅう腕を占領されてたせいで腕を動かそうとすると激痛が走るんですけど。

心配そうな顔してるとこ悪いが原因はアナタですからね?

外に出るわけじゃないから別にいいですけど。

デメリットしかないのだが。

なぜだ!添い寝は正気度の重要な回復ソースじゃなかったのか!?

寝不足だけでも解消したい。我、二度寝に突入ス!

 

「せっかく起こしたのに寝ないでよ!起きてー」ユサユサ

 

「今日も特に何もないんだから寝かせてよ……」

 

「朝 ご は ん ! お腹空いたから作ってよー早く早くー」

 

「勝手に食べてていいからほっといてくれ」

 

「……お兄ちゃんと一緒に食べたいの」

 

折れてくれなさそうなので起きますか。

寝る機会はまだたくさんある。

 

とはいってもさっさと作ってしまいたいのでラーメンにしたいと思います!

今までいろいろ保存食を食べてきましたけど、インスタントラーメンは最近食べてないですよね?

保存性、入手難易度、調理の手軽さ、満足度の高さ、アレンジがしやすく『料理上手』が乗りやすい……インスタントラーメンは多くの利点を持っています。難点を挙げるとすれば栄養が偏るくらいですかね。

便利すぎるが故に今まで取っておいたのです。もう称号獲得まであと少しなので解禁します。

 

朝からラーメンはちょっと重いかもしれませんが、若者に胃もたれの概念はありません!(暴論)

醤油ラーメンに乾燥わかめとゴマでさっぱり作れば平気平気!

大抵の場合一人一袋だと足りないから……合計4袋茹でれば十分かな。

妹もお腹が空いて飛真君を起こすくらいだから2人分でも余裕で食べれるでしょ。

ただ、火力と鍋の関係で一度に全部作れないのが残念ですね。

 

「………………」

 

めっちゃ見てるんですけど。そうとう腹減ってんだな。

とりあえず2袋分は作れたからそれを半分に分けてしまおうか。

 

「……なんか少なくない?」

 

「これからおかわりは作るから。とりあえず食べようぜ」

 

「うん。いただきまーす」

 

安定のおいしさ。はじめのうちは熱くて食べれないが、冷めるのを待っていたら麺がふやけてしまう。猫舌は常にこの問題に悩まされる。

 

さてと、おかわり分を作るか。ものの数分でできてしまうなんてやはりインスタントラーメンは便利すぎる。

だからついつい夜食にしちゃうんですけどね……

 

「はい。おかわり」

 

「ありがと。やっぱりラーメンはおいしいね」

 

「そうだね」

 

なんか妹の食べっぷりからするともう一袋くらい追加しないといけないかもしれないな

飛真君的には二人分食べたので十分なんですけどね。

作っちゃうか。一バック五袋入りだったからちょうどいいし。

 

「これで最後な」

 

「あれ、お兄ちゃんはもういいの?」

 

「二袋分食べれば十分だよ」

 

「えっ……私、もう二人分食べてたの……?」

 

「朝から食欲すごいな」

 

「今日はちゃんと起きれたし体の調子が良いのかも。あはは……」

 

意外にも健啖家だった。暮らしにも慣れて本来の食欲が戻ってきたってことかな?

まさか食料が足りなくなるなんてことはないと思うがもう一度備蓄をチェックしといたほうが良いかもな……

 

 

 

うおっ……じゃがいもに芽が出てる。前使ったやつとは別の種類のやつだな。こっちの方が古いから家で元々保存してたやつなんだろうな。

ソーラークッカーもあるしおやつ代わりにふかし芋なんていいかもな。あいにくバターはないけど塩でも十分美味しく食べれる!

さっそく下ごしらえをしないとな。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。昨日穴掘ってたじゃん?」

 

「え?うん」

 

「思ったんだけどさ、溝を作って足止めしたいなら側溝の蓋を開けておけば良くない?大股で歩いてるゾンビなんて今までいなかったし普通に引っかかると思うよ?」

 

「……それだ」

 

ああ!なんで気づかなかったんだ!地形を利用するのは基本中の基本だったのに……

ふかし芋の準備が整ったら早速取り掛かろう

 

「イテッ」

 

あちゃ~

よそ見に加えて左腕の痛みでじゃがいもを上手く固定できなかったせいで手を切っちゃった。

幸い表面をかすっただけだから傷は浅いが……

 

「お、お兄ちゃん大丈夫!?待っててね。すぐに救急箱を……あぁ……血が出てる……」

 

「血………………」

 

「どうした?」

 

「……あっ、救急箱ね!うん。すぐに持ってくるから!」

 

一瞬フリーズしてたけど、処理が重なって重くなったのかな?

かれらのどす黒い血ばっか見てたからこうやって新鮮な血を見るとやっぱ鮮やかな色してるなぁ~

 

「まずは消毒ね。ちょっとしみるかもしれないけど……」

 

消毒して、絆創膏貼って終わり!平定!remedy&health!

 

「ごめんね。包丁を使ってる時に話しかけたら危なかったよね……」

 

「単純に手が滑っただけだから咲良のせいじゃないよ。それより、これが終わったらさっき言ってた側溝の蓋の取り外しをしたいから手伝ってくれない?」

 

「うん。じゃあ、先に外出てるね」

 

……昼寝が遠のいちゃったな。まだ昼じゃないから朝寝か。

むしろ作業が終わったころがお昼寝日和なんじゃないか?

黒アルミホイルをしまった場所を忘れて少し探したくらいでソーラークッカーふかし芋計画は順調に進み、後は計画の結実を待つのみです。

ソーラークッカー設置の為に外に出るんでそのまま作業に移れますね。

 

「はい、お兄ちゃん。軍手」

 

「ありがと。……全部力ずくで持ち上げる感じ?」

 

「あの網目になってる……グレーチングだっけ?あれさえとっちゃえば後はお兄ちゃんの力で一つ一つ外せるんじゃない?蓋のサイズも小ぶりだし」

 

たぶん側溝の蓋を簡単に外す便利アイテムもあるんでしょうけど、町内会の倉庫とかホームセンター、あとは自治体が管理してたりで取りに行くのはめんどくさそうですね……

実際、成人男性の力があれば不可能ではなさそうです(腰が痛くならないとは言ってない)

 

「やり方は分かったけど肝心の蓋はどうやって取るんだ?確かに一枚目を取れば片方のスペースは開くけどもう片方の手を入れる幅がないからどうしようもないぞ」

 

「……そのためにバールがあるんじゃない」

 

そうじゃん。バールってゾンビに致命傷を負わせたり本音を引き出すための小道具として使われたりするのは本来の使い方じゃないんですね。目から鱗です。

妹がバールを使ってスペースを作ってくれるならやっていけそうです。

グレーチングは網目が粗いおかげで手を差し込む余地がありますし目処が立ちました。

側溝の蓋が古いタイプでよかった。細長いコンクリートの塊みたいなやつだったら道具がないと無理だったし、スリット側溝だったら手出しすらできなかった。

 

妹が監視役になってくれてるのでこっちは作業に集中できます。

たまにかれらがやってきたりするんですけど、気が付いた時には妹のバールによってゾンビの頭がかち割られた後だったりします。頼もしいですね(ひきつった笑み)

 

「お兄ちゃんばっかりに力仕事させちゃってごめんね。私も力が強ければ手伝えるんだけど……」

 

一発でかれらを撲殺できるならもはや非力とはいえないような気が……

 

「試しに一回やってみる?意外とできるかもよ?」

 

「えぇー……じゃあ、一回試してみるね……んしょっと……」

 

「どうだ?」

 

「……………………………やっぱ私には重すぎるよ」

 

まぁ筋力値から察するに厳しいとは思ってた。

残りも飛真君にやってもらいますか。

 

 

~~単調なため8.10倍速~~

 

 

「あ~~~終わったぁ~~~~」

 

「お疲れ様。……引き揚げる前にさ、一回効果を試してみない?」

 

「効果?」

 

「うん。お兄ちゃんは家側の方で待ってて」

 

カンカンカンカン………………

 

効果って実際にかれらがこの穴に引っかかるかってことか。

にしても前までは一人で外に出るなんて考えられなかった妹がこうやって誘導を買って出るようになるなんて……成長したなぁ

成長なのか、順応なのか分からないですけど……

 

「来た来た来た……私もこっち側に移ってっと……」

 

ズルッ 

 

お。引っかかった。こけるっていうより、ハマって動けないって感じだな。

足を引きずるようにして動いてるから足を上げられず前に進めないのか。

無理に進もうとするから上体が地面に激突してるし。これなら……

 

グサッ!!

 

楽勝ですね。

 

「思ったより効果あるね……集団でさえ来なければこれで防げるね」

 

「そうだな。これでこの家は安泰だな」

 

「お兄ちゃん、疲れたでしょ?後のことは全部私がやるから先に休んでてよ」

 

それならお言葉に甘えましょうか。マジで疲れてる。

不安だった雨の日対策もこれで一応完成ですかね。空堀を手に入れたから防御力が格段に上がりました。

 

「芋もついでに持ってきたよ。あったかいうちに食べよ?」

 

「「いただきまーす」」

 

作業した後の食事は……最高やな!労働の悦びに目覚めてしまいそう

なんか妹、箸が進んでいませんね……

 

「あ。やっぱ朝多かったのか?」

 

「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

 

「味?」

 

「味……うん。そうだね。味、かな……」

 

バターがないからな。大正義じゃがバターにできなかったのは誠に残念です。

そういいつつも全部食べてるからお腹自体はすいてたのか?まぁ動いてたからな。

 

食べたら眠くなってきた……

予定通り昼寝すっか。

 

「寝るの?じゃあ先ほどの労をねぎらって……マッサージしてあげようかな」

 

お。いいなそれ。

疲労が早く回復するし正気度にもプラスの影響がある。

向こうから提案してくれるなんてありがたいですね。

 

「じゃあお願いしまーす。あ゛~疲れた~」ゴロン

 

「ふふふ……なんかオジサンみたい……よいしょっと、まずは肩からいくね」

 

結構力入れてるな。いい感じだ。

画面がぼやけてきてる。もう眠いんだな

 

「力加減どうかな?これくらいでいい?」

 

「うん。ちょうどいいよ。……眠くなってきたな」

 

「疲れてるんだから寝ちゃっていいよ。朝も無理やり起こしちゃったし」

 

なんか久しぶりに心の底からリラックスして眠れる気がする

精神状態が落ち着いてさえいれば妹はこんなに穏やかなんだけどなぁ……

この機嫌の良さがずっと続いてくれますように……

 

「ぐぅ……ぐぅ……」

 

「………………」

 

 

■■■

 

 

ボンッ!

 

え?何?爆発!?

何が起こってるんだ?とにかく目を覚まさないと!

 

……?跳ね起きてみたはいいものの、別に寝る前と変化はないな。

もちろん爆発の形跡は一切なし。気のせいか?

 

「あ、い、い、いや……ち、違うの!そそそそそそ……そういう意味じゃなくて、あの、その……」シュー

 

……どうやら爆心地は妹みたいですね。

顔真っ赤だしなんか水蒸気出てるし。

寝てる間になんかあったのかな?聞いてみないとわかんないよな

というか妹が爆発するってなんだ……?まるで訳が分からんぞ!

 

「違うって……何が?それに顔真っ赤だぞ。大丈夫か?」

 

「ひぁ……だだだ大丈夫!大丈夫だから!とにかく、誤解だから!」ダッ

 

えぇ……(困惑)

結局なんだったんだ?逃げられたし。

飛真君に原因があるのだろうか?でも彼、ただ寝てただけだしなぁ……

 

もう日が傾いてきてるな。思った以上に寝てたんだな。

マッサージのおかげか体が軽く感じる。

というか昼にこんなに寝たら夜の睡眠に影響があるんじゃ……ま、いっか。

夕飯……うーん。そこまで腹減ってないんだよな。でも妹は爆発するし説明もろくにしてくれなかったし……なんか凝った料理でも作って機嫌(?)を取った方がいいのだろうか……

妹は……自分の部屋にいたのか。夕飯のことを聞いておかないとな

 

「な、なぁ咲良……お腹、減ってるか?」

 

「うん……空いてる……」

 

距離を感じるなぁ

昨日とは態度が完全に逆なんだよな。

 

「じゃあ作るから……」

 

米炊くことを考えたらそろそろ準備しとかないといけないですね。

今日は朝、昼と食べてるから夜はもう軽くていいですよね。

シンガポールライスにしようかな。一皿で済むし、何よりおいしい。

鶏肉はないのでシーチキンで代用します。鶏がらスープの素を使えばきっと雰囲気は出るはず。

ちゃんと玉ねぎを切って、調味料を総動員した特製だれも用意したので間違いなくおいしいです。

このにおい!たまらん!においにつられてやってくるんじゃないかな……?

 

……さすがに二階までは届かないのか。しょうがない。呼ぶか。

 

「おーい。できたぞー」

 

「………………はーい」

 

ちゃんと来てくれたけど、どことなく他人行儀に感じるなぁ

うつむいちゃって意図的に飛真君の顔を見ないようにしてるし。と思ったらチラチラ見定めるような視線を送ってくるし……なんで警戒する必要があるんですか(正論)

確認できる範囲でパラメータに変化はないからなおのこと不思議だ。

まぁいいや。それよりも冷めないうちに食べることが先決だ。

 

「料理上手」もバッチリ乗ってますね。正気度の回復量がいつもより多いですから今回の料理は大成功です。

 

「どうだ?おいしいだろ?味付けは目分量だったけど上手くいったみたいだ」

 

「………………」

 

「あ、あれ?合わなかった?」

 

「………ううん。おいしいよ、お兄ちゃん」

 

よかったぁ

なんといっても大成功ですからね。まずいなんてありえないです。

飛真君は味わって食べてますけど、妹は無心でバクバク食べてます。

 

「それでさっきの爆h「ごちそうさまでした」

 

……逃げられた。

そこまでして隠したいこととなると逆に気になるぞ。

隠し事は良くないと詰った本人が隠し事をするとは何事だ!

いやまぁ怒ってないですけど。言行一致なんて普通無理ですから。他人にそれを期待するのは酷ってもんです。

 

まだ食事の途中ですがちょっと妹を追いかけてみます。心なしか声にも元気がありませんでしたからね。

 

「別に逃げることないだろ。責めてるわけじゃないんだから」

 

「そうじゃ……ゲホッ……なくて、ちょっと調子が……ゲホッゲホッ……悪かったから……」

 

ちょちょちょちょ……咳してんじゃん!

咳って……え?待って待って待って。(深呼吸)

一度「がっこうぐらし!」をプレイしたことがある方なら分かるとは思うのですが、咳って()()時に表れる兆候の一つなんです。

……いやまだ分からない。風邪かもしれない。朝調子いいみたいなこと言ってたけど、一日で急に体調が崩れたってことか…?

 

「風邪か……?今日は別々に寝たほうがいいな。寒気とかはないか?」

 

「そういうのは……大丈夫。一晩寝れば、きっと治るから……ゲホッゲホッ……心配しないで」

 

「……そうか。それならちょっと早いけど、おやすみ。何かあったら遠慮なく起こしちゃっていいからな」

 

「……うん。おやすみ」

 

と、とりあえず様子見だ。

こちらもこちらで寝る支度をしないと。第一食事の途中だし。まずはなすべきことをして、それから今後のことを考えよう。

 

夜は明かりをつけるとかれらが寄ってくるから寝る一択なんだが、中途半端な時間に昼寝したせいで寝着くのに時間がかかりそうだな……

まぁいい。ひとまず横にだけなるか。

 

今までは寝付けないのを忌々しく見てましたが今回だけはありがたいです。今のうちにこれからの指針を決定しないと。

……とは言っても現状判断できる材料が少なすぎるからどうしても受動的な行動にならざるを得ないんだよな。

 

 

「お兄ちゃん。……起きてる?」

 

「起きてるよ」

 

「………………大事な話があるの」

 

「大事な話?どうしたんだ?改まって」

 

「その、驚かないで、聞いてね。わ、私ね……………………うっ…」

 

 

「うわああああああああああんっ!!!」

 

ガチ泣き。ガチナキナンデ??

抱きつかれるのは構わん。もう慣れた。でもガチ泣きの理由は教えて欲しい。

そうじゃなきゃどうすりゃいいのかまるで見当がつかない

 

「ちょ……一体どうしたんだよ!?何だ?私がどうしたって言うんだよ?」

 

「わっ……わたじぃ……かっ……かかかか、()()してるかも……しれない……ゲホッゲホッ…」

 

……………………。(無言のポーズ)

 

はい真っ黒―!!本人がそう言ってるんだから間違いない!

 

ごめんなさい。一旦、ここで動画を中断させてください。

感染カミングアウトのショックが……ちょっとヤバくて。心の準備ができ次第再開したいと思います。

 

……決断、しなくてはいけない時が来たようですね。

 




「一話分は絶対に一万字を超えない」という謎のこだわりのせいで上下に分けることになりました。(まだ妹パートを書ききれてないというのもありますが……)

最近筆の進みが悪くて涙が出、出ますよ……

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