がっこうぐらし!称号「自宅警備員」獲得ルート(完結)   作:島国住み

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生徒指導

 

 

というわけで、地下シェルターに向かうことになったわけですが、これはこれでアリだと思っています。

保健室に行くのも、地下シェルターを目指すのも難易度は大して変わりません。どちらもゾンビ盛りだくさんの一階を通るわけですからね。

お目当ての、というか口実になっている風邪薬は地下シェルターの備蓄の中に入ってます。

向こうに何があるのか確認して、さっさと戻ってくれば大きなロスにはならないです。

べ、別に強がってるわけじゃないんだからね!

 

「まずは少人数で、調査に行きましょう。大人数だとかえって危険です」

 

「それもそうだな。なら、あたしと青木でちょっくら行ってくるか」

 

あ、飛真君確定なんすね。戦力から見て妥当なので異存はないですが……

 

「私も行きます。ここの教師として、行かなければなりません」

 

「じゃあ三人だな」

 

「いえ、くるみさんは一階での援護をお願いします。中には私と飛真君とで行きます」

 

え、一緒に行けばいいじゃんアゼルバイジャン。

 

「あたしも一緒に入ったほうが確実なんじゃないか?」

 

ワイトもそう思います。

 

「三人だと多いように感じるんです。向こうは避難区域と指定されているくらいですから、中に入ってしまえば安全なはずです。問題は戻る時です。そのまま力押しで二階に戻るのに不安があるので、くるみさんには戻ってくるときに階段側からの援護をお願いしたいんです」

 

うーん、言いたいことはわかりますね。

戦闘力のある二人が固まるのはそれはそれでリスクです。廊下は狭いですし、横の教室からゾンビが沸いてきます。力技で切り抜けるのは得策ではないですね。挟み撃ちするような形であれば襲う対象も分散して一階での移動がスムーズになるはずです。

 

「でもよ、中にまでゾンビが入っちまってるかもしれないぞ。それに、あたしも中を見てみたいし……」

 

「飛真君がいるので大丈夫です。ね?」

 

「アッハイ」

 

「今回はあくまでも調査です。居住性が良ければみんなで移る可能性もありますし、そうでなくても物資を運ぶために何度も足を運ぶことになります。中に入る機会はいくらでもありますよ」

 

「それでしたら私も協力します。防犯ブザーを使えば戦わずにゾンビを誘導できるはずです」

 

「私も手伝う!」

 

「ゆき先輩は危ないのでお留守番しててください」

 

「むぅ……」

 

いろいろ話し合いましたが、飛真君、めぐねえが突入組。くるみちゃん、みーくんがアシスト担当になりました。後の人は待機です。

全員が戦闘に向いている訳ではないですし、調査だけなら二人でも十分役割は果たせるはずです。

でもなんか腑に落ちないんですよねぇ。個人的にはくるみちゃんが傍にいてくれたほうが安心できる。めぐねえがやけに少人数にこだわるんですよ。

とはいえ、ちゃんと理屈は通ってるので特に反対はしませんでした。特別変な人選ではないですし。

そして、各々が支度をしている間に水筒に浄化水を入れちゃいました。こっちはもう準備万端ですからね。これくらいの時間は余裕で作れました。

これでいつでも帰れます。

 

ただ、心もとないのは武器ですね。手になじんだスコップを使えないのは悲しいです。

バットは一撃の威力が高く、飛真君の筋力なら頭蓋に一発当てればゾンビを熨せます。

一方で範囲攻撃は難しいです。対応スキルと怪力があればハリケーンの如く暴れまわれるんですけどね。さすがに筋力が足りないです。

めぐねえの武器も金属バットですね。みーくんから借りたんでしょうか。

 

「ふんっ、ふんっ!」

 

めぐねえがバットの素振りをしてます。気合入ってますね。

残念ながらへっぴり腰でぶれぶれのスイングです。

頑張ってる所も相まって可愛らしくはあるんですけど、見ていて不安になります。

……やっぱりスコップ欲しいですね。

くるみちゃんに貸してもらえるか聞いてみましょう。

 

「え、あたしのスコップ? いいぜ。交換しよう。めぐねえを頼むよ」

 

やったー!

くるみちゃんの持っているスコップは彼女の専用武器です。耐久も威力も通常のスコップに比べて強化されています。

彼女の相棒であり、想い人を屠った因縁のある武器でもあります。それだけ思い入れも強いのでよほど信頼されていないと貸してくれません。いやぁ、これは嬉しい。

これで安心して地下に行けます。

 

「みなさん、準備できましたか?」

 

頷く一同。

 

「では、行きましょう!」

 

まずはバリケードを超えて一階の様子を見ましょう。

 

どれどれ……うん。いっぱいいますね!

教室にいる分も合わせればその量はもっと増えます。

この量を捌くのは無理です。だから防犯ブザーが必要なんですね。

防犯ブザーはその大音量によって近くのゾンビ達を一時的に行動不能にします。

と同時に離れたゾンビを引き寄せます。

今回は後者の効果を狙って使います。

 

ピピピピピピピピピピピピ……

 

聞こえてきましたね。みーくんが校庭に防犯ブザーを投げ込んだようです。

 

ほら見てください。音につられて昇降口に押し寄せています。

押し合いへし合うことでさらに音が生まれ誘引効果を高めます。

さながら下校ラッシュです。

 

それでも数体はとどまったままです。

こいつらを片づけていきましょう。

 

「とりゃ!」

 

おお。これはすごい。簡単に首が飛びました。さすがくるみちゃんのスコップ。モノがちげぇや。

 

「調子はどう?」

 

「最高だよ」

 

「へへ。それはよかった」

 

そう言いつつくるみちゃんもゾンビの頭を叩き割ってます。ゴ、ゴリラ……(賞賛)

 

負ける気がせえへん。ずんずん行きましょう。

近づいてきたゾンビをスパスパ切り捨てて進めてしまいます。この切れ味もはや刀だろ。

 

もう学食まで来ちゃいました。ここまでは計画通りです。

もう援護は付きません。めぐねえと二人で何とかする必要があります。

 

学食にはまだゾンビが何体も残っています。

いちいち相手をしていたら時間がなくなってしまいます。

用があるのはその奥にある購買部倉庫です。ここを抜けた機械室に地下への入口があります。

 

なので、ここは……走ります!

 

めぐねえも慌てて駆け出しましたね。

先の様子を確認しなければならないので、付いてきていると信じて扉を開けます。

おっ、開いてんじゃーん(開錠)

倉庫ってだけあって日中でも薄暗いですね。

 

機械室にゾンビは……二体。見えている範囲で、ですが。視界が悪いのでここに長くは居たくないですね。

全然マシです。ここも部屋扱いなので運が悪いとモンスターハウスになったりします。

めぐねえも入ってきました。増援を防ぐために、食堂への扉に鍵を掛けます。

地下へのシャッターは閉まってますね。

 

「僕が引き付けます。めぐねえはロックの解除をお願いします」

 

「!……分かったわ」

 

ヤバい。急いでて思わずめぐねえって呼んじゃった。

なんか気まずいんで、早速突撃します! ヤァーッ!

 

こっちがリーチで勝っているのでサシで負けるはずがありません。

まずはめぐねえを入力端末のところまで連れていきます。

数秒間ちょっと背中を守るだけです。難しいことではないです。

 

「開きました!」

 

よし!

自動でゆっくり開くのを待っている暇はないので、最低限の空間をこじ開けて入ったらすぐ閉めます。

まずはめぐねえに入ってもらって……そして飛真君も滑り込みます。

 

ガンガンガンガンガン!

 

機械室にいた残りのゾンビ達がこちらに気づいて入ろうとしています。

シャッターは堅牢なので入られることはまず考えられないですが……

 

「帰り、どうしましょう……」

 

「諦めるのを待つしかないですね」

 

到達することを優先した以上、これは仕方ないですね。

ともあれ、内部に入れました。

 

「とても、暗いですね」

 

「どこかに明かりのスイッチがありそうですけど……あった」

 

これで光源は確保されました。スムーズに探索できます。

 

「すごい……こんなに沢山……」

 

プレイ中に何度も来た場所なのでいまさら驚きはしませんが、めぐねえにとっては驚愕でしょうね。

医療品の棚から風邪薬をもらっていきましょう。

一通り内部を見て回れば任務終了です。めぐねえが熱心に備蓄品をメモしているので特に何もすることがないです。

 

「これだけは、何かあった時のために持っていくほうがよさそうですね」

 

治療薬ですね。現時点で一つしか手に入らない激レアアイテムです。

試作品と書いてありますけどマジで治ります。

 

「そうですね」

 

「…………」

 

「…………」

 

え、何話せばいいんだろ(コミュ障)

遠くからシャッターを叩く音がするだけで、静かです。

改まって話すことなんてないぞ。早く帰りてー。

 

「そういえば、飛真君。さっき私のことめぐねえって」

 

「すいません。焦ってて……」

 

「いいのよ。みんなそう言ってるし。それに、()()だと他人行儀だなってずっと思ってたの。だからそう呼んでくれて嬉しいわ」

 

「でも、先生はやっぱり先生です」

 

「……私はもう先生じゃない。学園生活部の顧問ではあるけどね。これからはめぐねえでいいわよ」

 

ここで名前イベントかぁ。

でも人前でめぐねえって言うの恥ずかしい……恥ずかしくない?

ゆきちゃんとかが言うから可愛いのであって、野郎が呼ぶべきではない気がするんです。

 

「……」

 

「嫌なの?」

 

「そういうわけじゃないですけど」

 

「ふふっ、じゃあ二人の時だけにしましょう」

 

ナンデ?

 

「それにしても、まだ叩くのをやめてくれませんね……」

 

パチン

 

明かりが落ちました。というか、めぐねえが照明を消しました。ナンデ?(二回目)

 

「こっちが明るいからよ。こうしていれば離れるはずよ。さっ、座って待っていましょう」

 

いやいやシャッターは完全に降りてるんだから関係ないっしょ

 

「ねぇ、飛真君。どうして学校に来ないの?」

 

「来てるじゃないですか。現に今「そうじゃなくて、どうして家に帰っちゃうの?」

 

「それは、妹が高熱で苦しんでて……」

 

ついに来てしまった。詰問タイムです。暗くて表情はわからないです。

絶対おうち帰るマンなんでそりゃ疑惑は生まれますよね。

というか、二人にこだわったのはこの時のためだったんじゃ……

 

「ふうん……風邪薬の入手先なんていくらでもあるはずなのにね」

 

「それは……」

 

「言い訳なんてしなくていいのよ。ここには誰もいないんだから」

 

「信じてください。本当に妹が病気で……あと二日もあれば治るはずです。そうすれば妹とこっちに越してこれるはずです」

 

二日後があめのひです。ここを超えればクリアとなります。その後はなんだっていいです。いくらでも学校で暮らしますよ。

 

「責めるつもりはないの。だから、震えないで、ね?」

 

いや、震えてないっす。マジで震えてないので、手を握るのやめてください。

聞いてください。好感度9ですよ9。最大が10なのですからこれは相当高い数値です。

なのになぜこんなに恐怖を感じるのでしょう。

くるみちゃんとも同じ好感度なんですけど全然怖くないです。

学園生活部でりーさんとめぐねえだけ好感度高いのに行動に圧があるんですよね。なんでなんですかね。何か別のパラメータが作用してるのかな……

 

「今日のことは分かったわ。でも、ショッピングモールで会った後、家にとどまったのはどうしてなの?」

 

ここは言葉を信じて真実寄りのことを言っておきますか。下手な嘘はやめておいたほうがいいでしょう。 

 

「……話し合った結果、もう少し家に留まろうということになったんです。一応、僕も同意しました。無理強いはできないですし、妹を置いては行けません」

 

「私はずっと待ってました。みんなもです。飛真君はもう部員なんです。心配で心配で、様子も見に行きました。でも飛真君はぐらかしてばっかりですよね。何も言わずに家にこもって、学校に来てもすぐ帰る。みんなの前では言えなかったけど、私は裏切られたと思いました。飛真君の事情で勝手に判断して、こっちには相談も説明も、してくれないんですね」

 

ひぇ

行く行く詐欺してたのすごい根に持ってますね。

 

「ごめんなさい。そんなつもりは全く」

 

「妹さんをちゃんと説得したんですか? 飛真君が学校に行く意思を明確にすれば付いてきてくれるはずです」

 

「しました。でも……あ、音がやみましたよ! これで帰れます!」

 

やっと諦めてくれたみたいですね。タイミングがよかった。

ジワジワ正気度が減ってましたから。こんな暗がりの中詰問するの反則だろ。

さっさと(めぐねえから)逃げましょう!

 

「…………」

 

ガンガンガンガンガン!

 

!? 

おいおいおいおいおいおいおいおい……

何やってんだよめぐねえ! シャッター叩いたら、また寄ってくるじゃん!

 

「話は終わってないですよ。まだ帰っちゃダメです」

 

「」

 

「色々理由を付けて家に帰りたがってるようにどうしても見えてしまうんです。どうなんですか? ちゃんと、答えてください」

 

そうだよ(迫真)

でも、それを認めたらどうなるか。それは火を見るよりも明らかです。

絶対帰してくれません。

 

色々理屈考えても弾き返されるだけでしょう。分かりやすい理由にしときましょう。

妹には申し訳ないですが、どうせもう会わないし。

これも早く家に帰って感染を食い止めるためなんだ。許して亭許して。

後で埋め合わせはするんで(するとは言ってない)

 

「その、帰らないと妹が怒るんです。ショッピングモールの一件があってから神経質になってて。学校に行く話は、切り出し方が悪かったのかヘソを曲げられてしまいました。今日も早く帰らないと何を言われるか……」

 

「今日学校に来ることを妹さんには伝えてますか?」

 

「言ってない、です」

 

「ふぅん……お忍びで来たんだ。悪い人ですね」

 

また手を握ってきました。

暗いけどこれくらい近ければ表情が分かります。わ、笑ってやがる……

おまけに目のハイライトも消灯しております。

正気度はまだあるのにおかしいな。

 

「なら、これから言うことをよく聞いてください。家よりも学校の方が過ごしやすいのは明らかですよね。今回のことだって、学校で暮らしていればもっと迅速に薬を調達できたはずです。妹さんの家にこだわる気持ちは、非合理的です。ここに連れてきてください。みんないい人たちです。すぐになじめます。今日のところは病気ということなので仕方がないですが、もう妹さんを理由にするのはナシですよ」

 

「ワカリマシタ」

 

「だいいち、飛真君は妹さんに甘すぎるんです。ベタベタされるがままになって、そんなの不埒です。家族でも不必要に仲良くしてはいけません」

 

「……」

 

耐えろ、耐えるんだ。言いたいことを言ってスッキリすれば解放してくれるはず。

 

「それで、普段から妹さんは飛真君のベッドを使ってるんですか?」

 

追い打ちやめて(切実)

このキラー質問にどう答えればいいの…… 

 

「ま、まさか。あの日はたまたま」

 

「使っていたことは認めるんだ」

 

「言葉の綾です。それに、これはプライベートなことです。いくらせんせ……めぐねえでも詮索するのは失礼です」

 

「……口答えするんだ。いい子にしてないと、妹さんの元に行けないよ?」

 

ガンッ

 

うっひょ~~~~~(錯乱)

干渉マシマシな質問を聞いて抗議の声を出したら、めぐねえからの脅迫でシャッター蹴りをサービスしてもらいました。

俺のプレイング次第で強行突破する事だってできるんだぞって事で

脱出しま~~~~~す!

 

「今日の先生はなんかおかしいです。もういいです。僕一人で帰らせてもらいます」

 

シャッターの暗証番号は暗記しています。何回このゲームをやってると思うんだ。

 

ビーッ!

 

あれ? 手元が滑ったかも。電気をつけて再挑戦します。

 

ビーッ!

 

「暗証番号は変更済みです。番号は私しか知りませんよ」

 

オワタ。

失意のあまりその場にへたり込んでしまいました~!

 

「反抗期ですもんね。ふふ、震えちゃって可愛いですね。いいですよ、許してあげます」

 

「妹が精神的に不安定だった時に仕方なく一緒に寝たことはあります。でも、それだけです。ちゃんと答えました。お願いです。早く帰してください」

 

「そうですね、戻りましょうか。あまりにも遅いとみんなを心配させてしまいます。でも、今のは聞き捨てならないですね」

 

「当然ですけど一緒に寝るのを許すなんて絶対にいけません。きちんと断らなかった飛真君にも責任があります。恋人なら別かもしれませんが兄妹なんですから。踏み込んではいけない一線があります。飛真君はまだ未成年なんですよ。妹さんはもっと幼いです。子供だけで生活していると、適切な距離感が分からなくなってとても危ないです。これは妹さんに限った話ではなくて他の子についても言えます。部員同士で不和が起こるのは悲しいことです。だから、私以上に親密な人を作ってはいけません。健全な成長のためにまだ大人が必要な年齢なんです。だから私と一緒に仲良く暮らしましょう。ね?」

 

「返事は?」

 

「ハイ」

 

「ふふふ、素直でよろしい。……どうしたの、もじもじしちゃって」

 

「そ、そろそろ帰りましょうよ。先生の「先生じゃないでしょ?」

 

「……めぐねえの、言う通りにしますから」

 

よしよしされました。キモチイイナー

飛真君はあまりの嬉しさに正気度を溶かしています。このペースで正気度が失われると情緒不安定になっちゃうよ~

 

「そうですよ。飛真君は大事な大事な部員です。厳しいことも言ってしまいましたけど、これは全部飛真君のためを想ってのことなんですから。これからのことは、また()()()()で決めていきましょうね。さっ、戻りましょう!」

 

どういうつもりなのか分からないですけど、わざと耳元で囁いてきます。

そしてすごいベタベタ触ってきます。当然抵抗はできません。犠牲になるのは正気度です。

 

耐えに耐えたおかげで、やっと帰れる(吐血)

 

来た道を戻るだけですが、油断はできません。まだゾンビが残っているのは分かっていますからね。

今回もスピード重視で無視できるゾンビは無視していきます。

機械室と購買部倉庫を抜けてしまえばこっちのもんです。スコップを思う存分振り回せます。

 

廊下に出てこれました。やはりゾンビがうじゃうじゃいますね。走り抜けるのは無理そうです。が、廊下の先にはくるみちゃんがスタンバってくれてます。

ずっと待っててくれたんですね。涙出ちゃいますよ。

 

防犯ブザーを行く手に投げてゾンビ達を足止めします。

そして挟み撃ちをするように手際よく処理していきます。音につられる量よりもこちらの処理速度の方が上なので着実に進路を確保できます。

 

バリケードをくぐれば……調査終了です!

 

「おつかれ。なかなか戻ってこなくて心配したぞ」

 

「ごめんなさい。安全を確かめるのに、時間がかかってしまって」

 

しれっと嘘つくじゃん。大人って怖い。

 

「地下はどうでした?」

 

「マニュアルにある通り、大量の物資がありました。こちらがリストです。電気も通っていて、暮らすこともできそうです。湿気があるのは気になりましたけど……」

 

「こんなに沢山……まぁ、お肉もあるなんて」

 

「「え、肉!?」」

 

「二人とも落ち着いてください。今度取りに行きましょうね」

 

購買部倉庫と比べても、備蓄量は桁違いですからね。

盛り上がるのも頷けます。

 

「くるみ先輩、スコップありがとうございました。とても役に立ちました」

 

ちゃんと水で汚れを流して返しました。

そして義務の履行も終了しました。もう昼過ぎです。さっさと帰らせてもらいましょう。

 

「みんなでスポーツドリンクの粉とか役に立ちそうなものをまとめておきました。これ、使ってください」

 

りーさんから袋を受け取りました。

ありがたく受け取りましょう。

 

「ありがとうございます。妹が待っているんで、今日は帰ります。今度は妹を連れてきますね」

 

こう言っとけば引き留められはしないだろう。

まだ帰る雰囲気では全然ないですが、返事を待たずにバリケードをくぐります。

妹の容態が心配ですから、無理やり帰ります。ここは先手必勝です。

 

自分一人なら廊下でも駆け抜けられます。

目立つ場所に置いておいた自転車に飛び乗れば後は一目散に家を目指すだけです。

 

めぐねえのせいでだいぶ正気度が削れました。

でも、帰るの遅くなっちゃったんで妹は怒ってるでしょう。家でもまた正気度が減ってしまう可能性が高いです。ああ、気が重い。

あくまでもペダルは軽く、駆けるように家路につきます。ゾンビにつかまっちゃうんでね。

 

難なく帰宅です。

問題は妹の様態ですが果たして……

 

「ごめん遅くなった!」

 

「おか……ゲホッ、ゴホゴホッ……」

 

自分のベッドで大人しくしてたみたいですね。なぜか飛真君の枕を持っていますがそれは誤差でしょう。

マスクをしていてもわかる顔色の悪さです。目も充血してとろんとしています。咳もひどくて辛そうです。

 

「喋らなくていいよ。ご飯は何か食べた?」

 

フルフル

 

よかった。首を振って意思疎通はできるみたいです。

 

「食欲は、ある?」

 

「おにく、たべたい」

 

うーん。だいぶ感染は進行していますね。話し方がだいぶ緩慢ですし、肉を真っ先に所望するのは悪い傾向です。でも大丈夫。浄化水が治してくれます。もらったスポドリの粉を使いましょう。

 

「わかった。缶詰開けるよ。でもまずは水分補給をしないと」

 

「どこに、行ってたの?」

 

どうしよう。これ正直に言ったほうがいいか?

 

「色々探したんだけどゾンビが多くて。結局学校から薬とか諸々を持ってきたよ」

 

「...................だからおそかったんだ」

 

「ごめん」

 

「……」

 

「ほ、ほら、薬飲まなきゃ。これ水ね。今スポドリ作ったからこれも飲んで」

 

刺すような目線がとても怖いですが、飲んでくれました。

浄化水を飲ませるというノルマはあっさりと達成できましたね。

あとは治るのを待つだけです。明日の朝にはもう普段通りになっていることでしょう。

 

「もういい。まずい」

 

「粉の分量が悪かったかも。でも飲んでくれてよかったよ。すぐご飯用意するから待ってて」

 

 

肉ということでジビエ缶を用意しました。

あと、急いでお湯を沸かしてアルファ米でおじやを作ります。具は焼き鳥缶でいいでしょう。

もし、一口食べて嫌がるようなら深刻なステージにいることになります。人間が普段食べる物に興味を抱けないとしたら、食人衝動まであと一歩です。

 

「ほら、おじやだよ。食欲ないと思うけど抵抗力つけるために食べて」

 

……食べてはくれてますけど、肉の部分だけですね。ジビエ缶は完食してくれました。

まぁ、いいでしょう。最悪は避けられてます。残りは飛真君が食べることにします。もう夕方と言ってもいい時間です。自分用の分も作って夕飯ということにしちゃいましょう。

経過が不安なので当分は妹の部屋で様子を見ますけど、正気度を取り戻すためにさっさと寝ます。することもないので。

漫画とか時間を消費するアイテムを使えば一瞬で時が過ぎます。正気度も回復するのでまさにうってつけのアイテムです。

 

 

「ねえ、わたし、ほんとうになおるの?」

 

うわ、寝てたと思った。もう夜です。ライトがないと暗くて何も見えません。

まだガラガラ声で回復の兆しは見られないですね。でも悪化していないのは浄化水が効いてる証拠です。

しかし、これは感染してるんじゃないかって感付いてますね。実際は回復の途上にあるのですが、本人が自覚するまでにラグがあります。安心させなければ。

 

「ただの風邪なんだし、安静にしていれば絶対に治るよ」

 

「……うん」

 

「今日はもう疲れちゃって。僕は早く寝るよ。飲み物はここに置いておくから。何かあったら起こしていいからね」

 

効果も確認できましたし、今日はお暇しましょう。

もう解散解散! 長い一日だった……

 

「おにいちゃん」

 

「なんだ?」

 

「その、さみしいからさ、あの……」

 

「なに?」

 

「そばにいて、ほしいなって」

 

あれ、傍にいてあげるって選択肢が出てきませんね。めぐねえのせいかな。

誰かに精神的に支配されている状況だと、その誰かの意にそぐわない行動が自発的にできなくなる時があります。

DVを振るわれているのに抵抗することが怖くてできない、みたいな感じです。

めぐねえくんさぁ……(怒り)

メンタルよわよわ状態の飛真君には言いつけを破る力は残されていません。だから早く寝て正気度を回復させる必要があったんですね(激遅メガトン構文)

その結果……

 

「だめだ。そんなことしたら風邪が移っちゃうだろ。あと枕。返してくれないと寝れないよ」

 

こういう冷たい態度しかできません。

 

「……そうだよね。だめ、だよね」

 

「当たり前だ。じゃあ寝るから。おやすみ」

 

と、とにかく寝ましょう! 正気度が戻ればいくらでもリカバリーができます!

明日になれば何もかも元通り平穏な自宅警備員ライフになります!

というわけで、おやすみなさい……

 

 

 

 




めぐねえをまた壊してしまいました。悪気はないんです。つい手癖で……
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