がっこうぐらし!称号「自宅警備員」獲得ルート(完結)   作:島国住み

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今回は外出しません。会話が中心です。
なので初投稿です。


今夜は無礼講

今家に帰ろうとしているのですが…荷物が重いせいであんまり速度が出ませんねぇ

早く帰るつもりでしたがこのままだと昨日と同じぐらいの時間になりそうですね。

妹に怒られそう…まぁでも学校に生存者がいたことを伝えれば機嫌もなおりそうですね。

自分たち以外に生存者がいるというのを知ってるだけで精神的にかなりラクになれますからね。

 

着きました。

 

いやー今日も疲れました。スタミナがもう危険域です。

木材は外に置いておいてそれ以外だけ家に持って帰りましょう。

ただいまー(小声)

 

「・・・おかえりなさい」

 

元気ないなー。もっと、げんき、出せよ!!米喰え、米!

ということで今晩は飯盒でご飯を作ってカレーにしたいと思います。

 

その前に今日学園生活部(生存者)がいたことを伝えますか。

 

「!・・・そうなんだ。高校に…それで?どんな感じだった?」

 

元気そうだったな。向こうは電気も通ってるらしいぞ。でも学校というだけあってかれらが多くてお互いに存在を認識しあうことしかできなかった。現段階ではお互いに()()が山積してて協力体制は構築できそうにないかな……

 

「・・・そう。よかったね」

 

あ、あれ?反応が薄い……

…気を取り直して、飯だ!飯!

別にどこでも作れますがやっぱキッチンで作りますか。

ん?あれは…

 

「失敗作。全然上手く作れなかった。やっぱり私……」

 

あ。二階に行っちゃった。

残されたのは失敗作二つと作りかけか…

失敗続きで自信を無くしちゃったのかな…ただ単に出目が悪くて失敗しちゃっただけなのに…

あとでフォローせねば。でも今はカレー作りに集中しましょう。おいしいご飯は人を幸せにしてくれる!

早速準備に取り掛かりましょう。量は…4合でも大丈夫かな?2人とも若いですしこれぐらい余裕のよっちゃんですよね。というか4合用の飯盒だからこの量しか作れん。

時間がかかりますが火加減を見てないといけないので離れることはできないです。

やっぱ火っていいよなぁ(唐突)

ゆらゆら揺れててこう、心が空っぽになるというか。それでいて何かを考えさせるような妖しさもある。人類が火を使い始めたのは実利的な面からじゃなくてただただ()()()()()からなんじゃないかと思ってしまいますよね。

くっだらない火に関する所感を述べている間にぐつぐつしてきましたね。重しをしいて圧力を加えましょう。

 

そろそろ、かな?火を止めるタイミングが分からないですね。とりあえずこれでOKってことにして蒸らしておきましょう

その間レトルトカレーを湯煎しましょう。火を眺めている間にやっとけばよかった…

 

ともあれどちらも準備万端です。

いつもはひとりでに夕飯を食べにやってくるのですが、しょうがない。妹を呼びに行きますか。

ごはんですよ。(佃煮)

 

「・・・いらない」

 

マジ?2人分作っちゃったから食べてくれよ頼むよ~

 

「役立たずな私のことなんてほっといてよ!」

 

…思った以上に凹んでる。どうしよう。こういうのは時間が解決してくれるのかなぁ…

しかしご飯だけでも食べてもらいたい。うーむ…

 

兵糧攻めでいきますか。目の前でほかほかの料理を食べられちゃ意地も通しきれまい。

早速ご飯をよそって、カレーをかけて…ああ!うまそう!

テーマパークに来たみたいだ。テンション上がるなぁ~↑

そこ、座っていいか?

 

「・・・」

 

沈黙は肯定とみなす(黙秘権の喪失)。

それでは、いただきまーす!!

正気度がモリモリ回復してる。成功ですね!

 

ぐぅ~~

 

この音はなんですかねぇ~(ゲス顔)

……食べる?

 

「・・・うん」

 

計画通り。豊臣秀吉より兵糧攻め上手いかも!(井の中の蛙)

おこげの部分を惜しみなく使ってあげます。こんなん絶対に美味しいにきまってんじゃん。

はい、どうぞ。

 

「・・・おいしい」

 

そうじゃろ?何たって「料理上手」持ちですから。

それにしても妹の目が赤い。泣くほど失敗が悔しかったのかな?

食事をとって一旦は落ち着いてくれたみたいです。

しかし慰めると言ってもどうすればいいんだ?対人系のスキルを全くとってないのでこういうとき困ってしまいますね。

えーーっと……その、あの(コミュ障)

どうしてご飯を食べないなんて言ったんだい?

 

「・・・私、自分ひとりじゃ何もできなかった。すごいものを作ってやろうとして頑張ったけど、失敗した。二回も…。こんな世界になって食料だってままならないのに、私はただのごくつぶしだ……こんな奴、ご飯を食べる権利なんかない。

このカレー、私の機嫌を直すためにわざわざ外で道具を持ってきて作ってくれたんだよね?

私のために無理をされるのが嫌なの。もっと自分の事を考えて…私の生存に責任を負う必要はないの…こんな役立たずのことなんてほっといてよ…」

 

これは…「役割の不在」ですね。何もなせない状態が続くと正気度が減少し情緒が不安定になりやすくなります。真面目な子がこの症状になりやすいです。使える/使えないのモノサシでしか自分を見れなくなってなったんですね。

正直、危険な状態です。なぜ今まで気づけなかったんだ……

自尊感情はこんな殺伐とした環境だからこそ必要です。自分のいのちに「価値」の概念を導入した時点で半分かれらと一緒です。

 

・・・無理なんかしてない。それに咲良は役立たずなんかじゃない。

 

「嘘ッ!無理してる!そんな憔悴した顔で資材調達してご飯作って死んだように寝てどうしてそれが無理じゃないの?

昔から私はそうだった!何をやっても平々凡々で!勉強だけは!勉強だけはと思って一生懸命勉強したけど!!こんな世界じゃ、何の、役にも、立たない……

……最近は塾に行くからって当然のようにご飯を作らせてたよね。両親は仕事が忙しいから私の世話はいつも、いつも……

感謝なんかしてなかった。勉強で忙しいからそうしてもらって当然とさえ思ってたわ。

こうなる前から私は無理をさせてた。こうなってからも……

・・・こんな人間が生き残っちゃったのがおかしいんだ。私なんてさっさと地獄に落ちちゃえばよかったんだ……」

 

そんな過去が…スキルとかステータスってランダムとかじゃなくてそうなった背景とかがちゃんとあったんですね。

逆に興奮させてしまいました。マジでどうしよう。地雷が見えない…

 

そんなこと言うな。失敗してもまた作ればいい。・・・今日木材を持ってきたんだ。明日、気持ちを切り替えて作り直そう。

 

「・・・なんでそんなに家にこだわるの?高校で生存者を見つけたんでしょ?しかも電気があるならここよりいい場所のはず。ねぇ。私がいるからこの家から出れないんでしょ?そうなんでしょ?私のことなんていいから役立たずはほっといていいから向こうに行きなよ。きっと歓迎してくれるはずだよもう外に出なくていいんだよこんなやつ(お荷物)の世話しなくていいんだよ清々するよねそうだよねもう苦しまなくていいんだよよかったね

……カレー美味しかったよ。今までありがとう。」

 

ヤバいヤバいヤバいどうしようどうしようどうしよう。ライダー助けて!

さっきから墓穴を掘りまくってる。僕何か変なことしちゃいました?(永久戦犯)

正気度と好感度はここまで危険な状況を発生させるほど低くはなかった…今までこんな状況になったことがないので本当にどうすればいいのかわからない。

家にこだわるのは縛りの関係ですね。家が拠点じゃなきゃ称号が獲得できないんです…

しかし真実を伝えるわけにはいきません。

希望が見えない…

あああああどうすりゃいいんだぁぁぁぁ…

 

あ、ヤベ。コマンドミスった。今間違えて選んだ選択肢は…「頭を撫でて慰める」ゥ!?

うわぁ…最悪。自分が妹だったら気持ち悪さで鳥肌がゾワワァって立ちますよ。

一番重要な時にこんなミスするなんて…やけになってボタンをガチャガチャしてはいけない(一敗目)。

もう吹っ切れましょう!既に状況は最悪。最悪の最悪を見に行こうじゃありませんか!

慰めの言葉を畳みかけましょう。

 

・・・必死になって家に帰ってきたとき()()()()()()()やっと帰ってきた(無事完走できた)って。妹が、家族が生きていて本当に良かったと思った。

あんなこと(アウトブレイク)が起こったとき家にかれらが襲ってきたよな。あのとき咲良の機転がなかったら俺はいなかった。ボロボロになった俺の看病もしてくれた。

だからちゃんと役に立ってる。……もしそうでなくても見捨てるつもりはないよ。自分は自分がそうしたいから(称号の獲得条件)この家にいるんだ。おせっかいは今後も焼かせてもらいます。・・・貸し借りなんて気にしなくていいんだよ、家族なんだから。

 

ハイ嘘は言ってなーーい!!

まぁ使える使えないなんて話はそもそもナンセンスですからね。

しかしクサイ台詞だなぁ……対人スキルなしじゃこれが限界です。

ど、どうだ?スリザリンは嫌だ!スリザリンは嫌だ!

 

「口下手なくせに、口下手なくせに……うっ…だから言ってるのよ…私のための無理をしないでって…ぐすっ…こんなの…慰めようと思って言ったって…バレバレよ…ずずっ…ひぐっ……」

 

な…泣いてしまわれた…(脂汗)

しかもバレてる。万事休すか?

 

「・・・このまま、もう少し泣いてていい?」

 

めちゃくちゃ首を縦に振ります。

嗚咽が聞こえます。

妹は泣くままに任せて頭を撫で続けましょう。毒を食らわば、です!

 

小一時間ぐらいこうしてたでしょうか。泣きやみましたね。

 

「もう大丈夫。ありがとう。」

 

グリフィンドォォォール!!

落ち着いてくれてよかったぁ。一時はてっきりどうしようかと。

 

「取り乱してごめんなさい。…もう、あんなこと言ったりしない。ご飯の後片付けは私がやるね。」

 

長い一日だったぁ。疲労困憊なのでもう寝ちゃいますか。後片付けは妹がやってくれてますし。

 

「もう寝るの?…今日は大変だったからね。私のせいで…あ、いや、こんなこと言っちゃダメだよね。うん。じゃあ、おやすみなさい・・・・・・()()()()()

 

 

 

 

─────────────────────────────

 

 

 

 

眼前には前衛的な芸術作品が2つ。私が作った自信作(失敗作)だ。

意気込んでやった結果がこれ。七転び八起きっていうけれど私の心を折るには二回転ぶだけで十分だった。

それでも惰性で作業を続けていたがもう何もかもどうでもよくなってやめてしまった。

うつろな目をしてベッドに倒れこむ。もう寝てしまいたい気分なのに眠気は全くやってこない。

こんな醜態を兄に見られたくない。でも早く帰ってきてほしい。

どっちが本心なのだろうか?どちらも本心だと思った。ただ一つ明らかなのは()()()()()()ということだ。

これで兄は私に愛想が尽きるだろう。見捨てられるかもしれない。寧ろそのほうがいい。色々なことがどうでもよくなってしまった。

弱肉強食の世界で私は弱すぎた。それだけの話だ。今まで運が良かっただけで本来生きるに値しない人間なのだ。

 

兄が帰ってきた。相変わらず疲れた顔をしている。でもなんだか機嫌がよさそう。…こっちの気も知らないで。

高校に生存者がいたらしい。暗く立ち込めた雲から一筋の光が漏れた気分だ。私はにわかに元気を取り戻して矢継ぎ早に質問を重ねた。

 

「元気そうだったな。向こうは電気も通ってるらしいぞ。でも学校というだけあってかれらが多くてお互いに存在を認識しあうことしかできなかった。現段階ではお互いに()()が山積してて協力体制は構築できそうにないかな……」

 

()()って私のことだよね?光は厚い雲に隠れ、黒く陰鬱な雲が私の心を覆った。

・・・私がいなければすぐにでも向こうに行きたいみたいな口調だ。ねぇそうなんでしょ?ねぇ?(いささか被害妄想が過ぎると感じるが、実際私はそうとらえた。自信のなさと見捨てられるかもしれない不安が正常な判断能力を奪っていたことに当時の私は気づけなかった。)

 

兄は私が喜んでないことに動揺したがすぐに気を取り直して下に降りて行った。

あの失敗作が鎮座している一階へ、だ。

 

「失敗作。全然上手く作れなかった。やっぱり私……」

 

役立たずだ。

兄の反応を見ずに二階に戻る。

アレを見てなんて言われるか不安だった。慰めてくれるだろうか?それとも…それとも…

 

ご飯だと伝えに来た。私はいらないといったのだが折角だから食べてくれとうるさい。

 

「役立たずな私のことなんてほっといてよ!」

 

イライラしてて思わず強い口調になったが、これでよかったんだ。今度こそ兄は失望したはずだ。

 

・・・兄は卑怯にも兵糧攻めを仕掛けてきた。お昼を食べていなかったのでこの攻撃は非常に強力だ。

 

ぐぅ~~

 

体は正直…というより健康だ。おいしそうなカレーの香りに、開城勧告に私の胃が返事をしてしまった。

降伏した以上要求は飲まなければいけない。したり顔の兄からカレーを受け取り、食べる。

…おいしい

まるで炊き立てのご飯…そういえば兄が帰ってきたときに飯盒を持ってたっけ。

また私のために無理をしてる。彼なりの励ましなのだろう。……でも今の私にはその優しさは毒だった。

 

どうして夕飯を拒否したのか聞いてきた。

正直に、話す。話している間自分が一層みじめに感じられて。どんどん私の心はやさぐれていった。

 

「・・・無理なんかしてない。それに咲良は役立たずなんかじゃない。」

 

嘘だ!そんな安易な慰めなんていらない!

 

「そんなこと言うな。失敗してもまた作ればいい。・・・今日木材を持ってきたんだ。明日、気持ちを切り替えて作り直そう。」

 

うるさいうるさい!嫌なら嫌って言えばいいじゃない!お前なんて役立たずだって!早く、早く、そう言ってよぉ………

 

冷静な自分がどこかにいて、言いすぎだあんたの言ってることはただの逆ギレだと諭している。でもブレーキが利かなくなった自動車のように感情が堰を切って止まらない。

あべこべだ。赦してほしい。慰めてほしい。でも、そうしようとする彼を私は厳しく糾弾するのだ。

ただただ激情に流されるまま言葉を発する。それでも本心だけは口から出ない。

お願い。気づいて……気づいて……

 

突然抱き寄せられ、頭を撫でられた。

あまりに急な出来事だったので一瞬体が固まった。

 

「・・・必死になって家に帰ってきたときホッとしたんだ。やっと帰ってきたって。妹が、家族が生きていて本当に良かったと思った。

あんなことが起こったとき家にかれらが襲ってきたよな。あのとき咲良の機転がなかったら俺はいなかった。ボロボロになった俺の看病もしてくれた。

だからちゃんと役に立ってる。……もしそうでなくても見捨てるつもりはないよ。自分は自分がそうしたいからこの家にいるんだ。おせっかいは今後も焼かせてもらいます。・・・貸し借りなんて気にしなくていいんだよ、家族なんだから。」

 

兄は一気にこう言った後、黙った。

 

私は泣いてしまった。嬉しかった。急に撫でられて確かにギョッとしたがすぐに慣れた。

荒み切った私の心に兄の優しさがしみ込んで気持ちが落ち着いていった。

懐かしい兄の匂いを感じながらたくさん泣いた。一時間ぐらいはそうしていたと思う。

 

激情の波が去って気持ちがすっきりした。兄のおかげだ。

あんなに泣いて喚いてせめてもの罪滅ぼしに夕飯の後片付けを買って出た。

後片付けをしている間ある考えを思いついた。何年ぶりだろう?きっとびっくりするだろうなぁ…ふふっ。

 

二階に戻るともう寝る支度をしてた。たくさん迷惑をかけちゃったから疲れちゃったよね。

 

「もう寝るの?…今日は大変だったからね。私のせいで…あ、いや、こんなこと言っちゃダメだよね。うん。じゃあ、おやすみなさい・・・・・・()()()()()

 

いつからかそう言わなくなってた。小さい頃はあんなに慕ってたのにいつの間にか疎ましく思うようになってた。

・・・だけどこれからはこう呼ばせてほしい。そう、これは感謝…ううん。親愛の証。

 

・・・いいよね?()()()()()

 




会話難しい……書きたいことを形に中々できなくてもどかしいです。もっと練習が必要ですね。

本来1月は忙しいのですがどうしてもこのシーンだけは書き終えたかったので頑張って書きました。
テスト?レポート?知らない子ですね……

次回の投稿は2月下旬を予定してます。

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