がっこうぐらし!称号「自宅警備員」獲得ルート(完結)   作:島国住み

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タ イ ト ル 詐 欺 っ て 知 っ て る ?


学園生活部よさらば!わが代表決然帰宅する!

……まぁ、泊まることになりました。

決まった以上はそれに合わせて行動するしかないですね。

 

まずやりたいのは5階の探索ですね。アウトドア用品店や書店などのテナントはこの5階にあります。

くるみちゃんを探索に誘ってみよう。ゴリ…彼女が参加してくれれば安全に行動できます。

 

「え?探索に? ……いいぜ。」

 

勝ったな。(慢心)

 

ケミカルライトによる誘導と2人の密な連携があれば特に危ないところはなくかれらを屠ることができます。

1対2の状況を常に作っておけば負けることは(ないです。)

 

「……それにしてもどうしてここの生存者たちはかれらになっちゃったんだろうな?バリケードはかなり強固にできてた。生存者同士はうまく連携が取れてたはずなんだけどなぁ…。」

 

もしかしたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を決めていなかったのかもしれませんね。

 

「……そうだな。考えたくないことだけど、重要なことだよな……」

 

なんかしんみりとした雰囲気になって二人とも最低限の会話で黙々とかれらを倒していきます。

そのかいあってか5階のかれらはあらかた始末できましたね。

……討ち漏らしがいると思うので安心はできませんが。

 

「……まぁこんなとこだな。」

 

これで物を物色する余裕ができましたね。

早速アウトドア用品店に行きますか。

 

「ちょっとりーさんたち連れてくるから待っててもらってもいいか?」

 

みんなで探したほうがいいですよね。待ってますか。

 

 

 

「……くるみは疲れちゃったらしいから休むそうよ。私たちだけになっちゃったけどいいかしら?」

 

「……迷惑はかけません。私も、戦えますから。」

 

疲れてたなら仕方ないな。くるみちゃんの代わりにめぐねぇが来ましたね。めぐねぇがどこから持ってきたのか金属バットで武装してますけど……似合ってない。

粗方かれらは片付けたのでりーさんとめぐねぇと飛真君の三人でも問題はなさそうですね。

 

やっぱりショッピングモールだけあって品ぞろえが豊富ですね!

アウトドア用品だけじゃなくて防災用品もあってめちゃ助かる。

 

電気を使用しない携帯浄水器を人数分と……あ! ソーラーで充電できるバッテリーもあるな。これも使えそう!

 

「あの」

 

ドライシャンプーとかアルコール消毒液も必要だしそろそろトイレの問題も考えなくちゃいけないな……

 

「あの!」

 

あ、ハイ。なんでしょうりーさん。品定めに熱中しすぎて聞こえてなかった……

 

「今晩何がいいですか?ここにある器具と材料なら何か作れると思って……」

 

何がいいって言われてもなぁ…。

とりあえずお米だけ炊いてあとはそこら辺にある缶詰を贅沢に使ってそれをおかずにする……とか?

 

「え?そんなのでいいんですか?」

 

蟹の缶詰とか高くて非常時でもなんかもったいなく感じて食べなかったら、結局賞味期限切れで泣く泣く捨てる……みたいな経験を何回かしてるから今度は逆に高い缶詰ばっか使った缶詰パーティーをしたい。

食べたいものが思いつかなかったからいっそ全部食べちゃえって感じです。

 

「缶詰パーティー……ゆきが好きそうなネーミングですね。じゃあそれにします。」

 

保存食もいろんな種類があってみてて楽しい。いくつか持っていきましょう。おみやげは多ければ多いほどいいでしょう。

ここはまぁこんなところですかね。ここじゃなくても消耗品の多くは郊外の園芸用品店でも調達が可能ですからね。

 

次は本屋です。技術書は……DIYのハウツー本で大丈夫ですかね。まさか工業製品を作り出そうとしてるわけではあるまいし……

ん?「ディアゴス〇ィーニ、お庭で再現!週刊東部戦線」??再現しなくていいから(良心)

なんでこんなものがDIYコーナーにあるんだ?とりあえず読んでみよ。

……テーマはイカれてるけど、資料はしっかりしてるな。

必要な部分だけもらっていこう。全部だと多すぎて持ってけない…

あとは「自己防衛のススメ~家庭用要塞で終末に備える~」っていうDIY?本も使えそうだから持っていこう。

 

「どんな本を持っていかれるんですか?」

 

あ、めぐねぇ。あの二つの本はヤバめの本なのでDIYについての無難なハウツー本を見せます。

 

「それはやっぱり家を守るために、ですか?」

 

正確には妹に頼まれてですけど目的としてはその通りですね。

 

「そう、ですか…………」

 

そうだ。めぐねぇ国語教師だしおすすめの漫画を聞こう。妹が今何を読みたいと思っているか分かりませんから。意見が聞きたい。

 

あn「えっと」

 

「あ…………先にどうぞ」

 

被った。譲られたけどこっちは大した話題じゃないしなぁ…

まぁ譲られた以上話しますか。

 

「おすすめの漫画、ですか……… 私じゃなくて若狭さんのほうが年齢が近いですし適任かもしれませんね。」

 

確かにそうだな。じゃありーさんに聞いてみますか。

 

「…………」

 

というかりーさんどこだ?…………あ、いた。

おーい。

 

「! はっはい!」

 

なんか焦ってる。どうしたんだろう?

とりあえず聞いてみるか

 

「最近人気なのはこれですかね……あと個人的に好きなのはこっちで……」

 

ほうほう。じゃあそれを持っていこう。

 

……大体集まりましたね。もうこれ以上持てないので帰りましょう。

 

 

ふー帰ってきたー。疲れた。

当初の物資調達の目標は達成されたので後は帰るだけですね。……泊まると言った以上帰るのは翌朝になるんですけどね。

 

「すごい荷物ですね。こんなに持ってけるんですか?」

 

みーくんは心配がってますけど大丈夫です。自転車を使えばね。

 

「ふーん。 そういえば学園生活部の皆さんはどうやってここまで来たんですか?」

 

「私たちは車で来たの。」

 

「へーそうなんですか。」

 

「軽だけど(交通違反を罰する機関はもう機能してないから)みんな載せられるわ。……飛真君も荷物を私の車にしまっちゃっていいのよ?」

 

本当ですか! やったー! もっと持って帰れる!(社畜脳)

 

そうこうしてるうちにご飯が炊けたみたいですね。様々な高級缶詰に炊きたてのご飯。

ああ~^心がぴょんぴょんするんじゃ~^

 

「マグロ、蟹、のどぐろにお肉……すごい!は、早く食べよ!」

 

「ゆき、落ち着け。ご飯は逃げないぞ?」

 

「くるみの言う通りです。今からご飯よそうから待ってなさい。」

 

「はーい」

 

「ふふふっ。丈槍さんがはしゃぐ気持ちはわかります。私も楽しみです!」

 

「太郎丸のためにちゃんと犬用のツナも用意してますよ!」

 

「わんっ!」

 

犬に名前つけたのか……俺がいない時に……

自分に命名権がなかったのは少しショックですが、よく考えたら一堂に会して決めるものでもないのでまぁいいか。

 

「あ、この子太郎丸って名前になりました。……ほら、太郎丸。今からご飯だからおとなしくしててね。」

 

みーくんになついてますね。ご飯終わったらモフモフしに行こ。

そうこうしてるうちに人数分ご飯が用意されました。……というわけで早速

 

いただきまーす!

 

おお!正気度が回復してる!

高級食材を使ってるということもあるけど……さてはりーさん、「料理上手」を持ってるな?(名推理)

 

「ね?美味しいでしょ? りーさんは料理がとっても上手なんだよ! エッヘン!」

 

「……なんでゆきが偉そうにしてるんだ?」

 

「上手だなんて……私はお米を炊いただけだし……」

 

「でも、ほんとに上手に炊けてますよ? 私がやったら黒焦げにしちゃいそう……」

 

「めぐねぇならやりかねないな……」

 

「そ、そんなぁ! 私だって気を付ければ……」

 

「確かにめぐねぇおっちょこちょいだからね」

 

「もう! 丈槍さんまで! あと私はめぐねぇじゃないです! これからみなさんは先輩になるんですからちゃんとした呼び方で私を呼んで下さい!」

 

ん? 先輩?

 

「あ、そういえば飛真君には言ってなかったですね。 私、学園生活部に仮入部することになったんです」

 

「よろしくね、みーくん!」

 

「うわっ、ちょっと先輩ご飯中に抱きついてこないでください!」

 

ああ~^  ……おっといけない。 理性を取り戻さなければ。

億が一にも自分についてきてくれるとは思ってなかったんでショックはないです。

……おっと、目から汗が。 花粉かな?(すっとぼけ)

 

学園生活部の部員同士はとっても仲がよさそうでいいですね。賑やかにご飯を食べるのがかなり久しぶりなのでやっぱどうしても羨ましいなぁと思ってしまう。

俺も混ぜてくれよぉ(百合の間に入ろうとする人類の敵)

 

まぁでも、学園生活部の側からすればみーくんが加わったから戦力的な面も改善しましたし……これでよかったんですよ。

これからも学園生活部とは協力関係でいたい…………ん? なんだ? みんなこっちをじっと見ているのだが……

 

「…………飛真君は、このあとどうするつもりですか?」

 

どうって……ご飯終わったら早めに寝て、日の出と同じぐらいの時刻になったら家に帰りたいですね

 

なんかまずいこと言っちゃったのかな……急に静かになったぞ……

 

「これは()()なんですが……学園生活部に仮入部してみませんか?」

 

か、仮入部? いやいや、そんなことしてたら称号を貰えなくn「私もそれに賛成です!」

 

りーさんまで!? 

 

「さっき()()使()()()()の物を探してましたよね。 ……使えなくなってしまったインフラの役割を代替出来そうな物を。 私たちの高校には電気もありますし、簡易的ですが浄水機能もあります。

……家でも生活はできるかもしれません。でも、私たちの高校(学園生活部)に来た方が絶対いいです!」

 

「若狭さんの言う通りです。 温水シャワーもありますし、まだ学校に物資も残ってます。

妹さんと一緒に来てもまだまだ備蓄には余裕があります。 ()()()()()()()あなた(救世主)の入部を心待ちにしてます

……学園生活部はいい所です。 顧問の私が保証します。」

 

ちょちょちょっと待って。

()()()()()()()? いつの間にか外堀が埋められてた……

自分も勧誘される側にいることを忘れてた。そもそも「がっこうぐらし」ですからね。

入部を勧められることなんて明示的に明らかだったハズだったのに……うかつだった。

 

どうしよう。いや、どうしようも何も断る以外選択肢はないんですけど……どう断ろう?

割と正論だし理詰めだと普通に負けそう。

とりあえずはぐらかすか……

 

シャワーですか…………えっと、もしかして僕臭いますか?

 

「へ? ……あ、いや、違います! そういう意味で言ったんじゃなくて……」

 

揚げ足とると良心が痛むな…… でもあたふたしてるめぐねぇが可愛いからOKです!

学校籠城ルートを何回もやってるんでわかるんですが、別に学校は学校で結構大変ですからね。 地上の楽園なんて無かったんや……

 

「と、と、とにかく! これからは家ではなく私たちと一緒に学校で過ごしてほしいんです。

今日助けてもらってとても感謝しているんです。今度は私があなたを助けたいんです!」

 

あれぇ?雲行きが怪しいぞぉ(白目)

い、いや。さっき全員と言っていたが熱心なのはめぐねぇとりーさんだけ……

まだ大丈夫だ。他のメンバーが「どちらかといえば賛成」ぐらいならなんとか体裁を保ったうえで断れる!

 

「あたしは今日みんなを守れなかった。 あたしはもっと強くならなくちゃいけない。

……あたしたちを助けた時の手際、すごくよかった。 あたしもそんな風に助けられるんじゃなくて助ける側になりたいんだ。 ……それに、スコップ仲間ができるのは嬉しいしな。」

 

「みんなで一緒に過ごしたほうがわくわくしていいよー! 飛真くんの妹ってどんな子だろう? 楽しみだなー」

 

「何日かここで過ごしたから分かるんですけど、二人きりでかれらに怯えながら過ごすのはとてもつらいと思います。 先輩たちはいい人ばっかりですし私も同じ部活に同級生がいるのは嬉しいです。」

 

これは……詰みですね。

もう飛真君の加入が既定路線になってる。

本来ならもう入部の流れでしょうが……

 

しかし、

 

私には「だが断る」をすることができる!!

動かしてるのは私ですからねぇ(ゲス顔)

不自然ありまくりですが、ここで折れたらこの実況の意味がなくなるので謹んでお断り申し上げます。

 

「えっ」

 

 

 

 

 

「ど……どうして、ですか?」

 

理由。いや正直行きたいですよ。でも自宅警備員ですから。もう学生には戻れないんです。

……とは言えないですし。

まぁここは共同生活を送る上で異性がいたらいろいろ大変でしょ?みたいな感じでお茶を濁しますか。

 

テキトーに流してその後もう疲れたから寝る!って言えば切り抜けられるでs「そんなこと私たち気にしません!」

 

アッハイ。

みんなちょっと怖いよ……

 

「嫌なら嫌ってハッキリ言ってください……」

 

いや、そういう意味ではなくてですね…

マズイ。りーさんがマイナス思考モードに移行してしまった。

 

そういや正気度とかまだチェックしてなかったな。どれどれ……

あ、割とみんな正気度はあるな……りーさんとめぐねぇを除いて、ですけど。

ピンチのところを助けたせいか好感度が上がってる。基本的にこれは喜ぶべきことなんですけど……誘いを断らなきゃいけない今は逆に足かせですね。

 

ともかく今はやんわりと、やんわーりと断らないとりーさんが自分を否定されたと解釈してしまってメンタルが逝くので強硬策はやめましょう。

 

「急にこんなこと言って迷惑、でしたよね…… 私がもっと、もっとしっかりしていれば……」

 

あああああめぐねぇまで!

 

待って。いや、違うんです!僕もほんとは入部したいんですけど、妹が……そう、妹が!賛成してくれるかわからなくて……

 

「え?妹さんが?」

 

最近やっとこの世界に慣れてきたばっかりで、そんな中でまた新しい環境になってしまうのは妹にとってつらいんじゃないかなと……

 

「じゃ、じゃあ飛真くんは入部したいって思っているんですか?」

 

…………………………ハイ。

 

嘘をつきました。いや嘘ではないけど、嘘ではないけど!縛りなかったら普通に入部してたよ!

……どうしよう。借金を借金で返すみたいなことになっちゃったぞ

妹を理由に使ってしまった……すまない。

判断を妹に投げただけで何の解決にもなってない。

これで妹が入部したら……リセットですかね。

 

……いやでもさぁ! しょうがないじゃん!(突然の逆ギレ)

ここでキッパリ断るなんてできない。自分以外全員が結託して入部して?ってグイグイ来たらさ……断れなくないですか? めぐねぇとりーさん(豆腐メンタル)がいる以上強気にも出れないんです!

 

みんながあからさまに安堵の表情を浮かべてるのがメンタルに来る。

あー太郎丸ー モフモフさせろー

 

でもお前もそっち側なんだろ? くそっ、モフモフの刑だー(ヤケクソ)

 

……もう寝よ。なんか疲れたわ。

 

「あ、もう寝ちゃうんですか? じゃあちょっと待ってください。 寝袋の準備をしてきます。」

 

「えーもう寝ちゃうのー? お話ししようよー」

 

「もう!丈槍さん? 飛真君は疲れてるんです! …………それに、()()()()()()()()()()()今日じゃなくてもお話しする時間はいっぱいありますよね、飛真君?」

 

……ソウデスネ。

 

「そうだよね! じゃあ、おやすみ!」

 

罪悪感が凄い。いやでも自分が蒔いた種だしなぁ

泊まるなんて言わなければ熱烈な歓迎(ヘッドハンティング)を受けることもなかったのに……

ああ、明日が不安だ。しかしもうどうしようもない

とにかく今は寝て今日の疲労を取らないとな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

安全な休める場所にたどり着いて私は緊張の糸が切れて座り込んだ。

 

さっき飛真君が探索をしたいと言ってくるみを誘って()に出た。

 

私たちを助けて、そのあと探索に出かけるなんてすごい体力だ。……というよりすごい意志の強さだ。彼の顔には隠し切れない疲れの色が滲んでいた。それでも危険な外に出るというのだから()()に突き動かされているんじゃないかと思ってしまう。

 

まだ少し足が震えている。

常に死と隣り合わせであることは十分に覚悟しているつもりだった。でもあの時にそんな覚悟など簡単に吹き飛ぶんだと悟った。

 

恐怖。

 

私たちがグランドピアノに逃げた時。死の匂いが濃厚に漂っていた。「もう終わりだ」と思ったら恐怖に体を支配された。

 

助けて

 

かれらに足をつかまれた時。恐怖を感じるのではなく恐怖に()()()。怖いとかそれどころじゃない。心がただただ助かることを、生き残りたいと叫んだ。

本来この願いは叶うはずはなかった。助かる見込みなんて、なかった。

 

でも今私はこうやって生きている。助けられてからここに泊まると決まるまでのことはコマ送りのように過ぎていってあまり現実感が感じられなかった。

 

()()()()飛真君がショッピングモールに物資調達に来ていたから私は助かった。

 

運命

 

パッとこの言葉が頭に出てきて、すぐに打ち消す。いやいや運が良かっただけよ。

でも……こんな偶然めったにない。物事に運命と書かれたラベルを張ることに今まで抵抗があった。だけどたまたまによって私は助かった。

これに名前を付けるなら、やっぱり…………

 

そんなことを漠然と考えているとめぐねぇが一つ咳ばらいをしてこう切り出した。

 

「……コホン。 皆、ちょっといいですか?」

 

「?」

 

「直樹さんと()()()の今後の進路についてです」

 

「私……と?」

 

「飛真君?」

 

確かに。助かって安心してばかりもいられない。これからのことも考えないと。

美紀さんは学園生活部に入部すると思うけど……飛真君は妹さんもいるし家に帰っちゃうんじゃないかしら?

名残惜しくて今日引き留めちゃったけど、明日からはもう会えなくなると思うと寂しい。

 

話し合いの末、美紀さんは学園生活部に仮入部することになった。

 

早速ゆきは先輩風を吹かせ、「みーくん」というあだなで呼び始めた。

「みーくん」はそんなゆきに困惑しているけど嫌ではないみたい。

 

新しい仲間が増えるのは嬉しい。

よし! 私も仲間が増えたから家計簿の見直しを頑張らなくちゃ!

 

「……それで、飛真くんの進路というのは?」

 

「……私は、飛真君と彼の妹さんもぜひ入部してほしいと思っています。みなさんはどうですか?」

 

そうか! みんな一緒に暮らせばいいんだわ!

学校のほうが設備が充実してる。断る理由はないはず!

それに、彼がいると心強い。 

学園生活部が一気に賑やかになりそうでワクワクする。

 

皆もそう思ったのかめぐねぇの()()に反対したものは誰一人いなかった。

 

そんな折にくるみが戻ってきた。

 

「おーい、りーさん。 粗方片付けたから探索できそうだけど来るか?」

 

「あ、私も行きます。」

 

「めぐねぇも?」

 

「はい。 恵飛須沢さんは疲れてると思うので休んでいてください。 ……………丈槍さん。 さっきの()()を恵飛須沢さんにしてくれますか?」

 

「はーい! くるみちゃん、こっち来て?」

 

「え? でも私まだ動けr…「ほらこっちこっち!」 「ちょちょっと引っ張んなって!」

 

これでくるみが納得すれば提案は()()になる。……だって彼には断る理由はないんですもの。

どう考えても私(たち)と一緒にいる方がいいんですから。

 

探索の最中彼は()()()()()()()を必死で探していた。

でも学校に行けばそれを持っていく必要はなくなる。

()は危ない。外に出る頻度は減らすべきだ。

それは彼もわかってるはず……なら、取るべき選択肢は一つに収斂されるはずだわ!

 

考え事に夢中になっていて彼に声をかけられたときにすぐに反応できなかった。

聞けば妹に渡す漫画を探しているのだそうだ。

 

私のおすすめを言うと彼はホッとした顔になった。 「これで安心して家に帰れるな……」

と聞こえた気がした。

 

…………まだ最適解に気づいてないだけだわ。

ちゃんと教えればきっとわかってくれるはず。

 

でもまずはご飯ね。 歓迎会も兼ねて盛大にやらないといけないわ!

 

 

不安だったけど、美味しくご飯を炊けて良かった。

缶詰もバリエーション豊かで飽きない。

 

美味しいご飯に、賑やかな食卓。最近感じてなかったあたたかな確かな幸せ。

今まで辛かった。不安と恐怖にみんなずっと戦ってた。

これからもそれは変わらないだろう。でも、これからはみーくんも彼も入部して確実に良くなっていく! 彼もおいしそうにご飯をほおばってる。

彼のおかげで今まで見えなかった希望が見えてきた。

…………やっぱりこれは運命なんだわ! 彼が私を助けてくれて、この惨状から生き残って、それで…

 

ついにめぐねぇが切り出した。

 

「これは()()なんですが……学園生活部に仮入部してみませんか?」

 

私もすかさず加勢した。みんなもそれに倣った。

 

彼は始め冗談だと思ったのか、めぐねぇをからかったけどすぐに真剣だと感じ取り悩みだした。

 

悩む必要なんてない。飛真君は頷くだけでよかった。

 

それなのに。

 

肯んじなかった。

どうして。わからないわからないわからない

 

みんな理由を聞きたがった。 

そして彼は言った「共同生活を送る上で異性がいたらみなさんが生活しづらいだろうと思って……」と

 

苦虫を噛み潰したような顔で。

 

そうか。嫌だったんだね。私たちはそんなこと気にしない。もしそう思ってたら入部しようと誘ったりしない。

でも……彼は嫌だったのね。 

ばかみたい。勝手に舞い上がって。

 

「嫌なら嫌ってハッキリ言ってください……」

 

責めるつもりはないけどどうしても裏切られた気持ちになって口調が強くなっちゃう。

 

本来彼は物資調達に来ていた。そしてたまたま私たちを助けた(目的のついで)……

心がサッと暗くなる。

いや、そんなはずはない。だって、だってこれは()()……

なんで? なんで私から逃げようとするの? ワタシノコトガキライダカラ?

 

「い、嫌とかじゃなくて! 僕もほんとは入部したいんですけど、その、妹が……賛成してくれるかわからなくて……」

 

妹? ああ、そういえば彼には妹さんがいたんだっけ。

 

「じ、じゃあ飛真くんは入部したいって思っているんですか?」

 

めぐねぇが恐る恐るといった様子で確認する。

 

「…………………………ハイ。」

 

やっぱり! ほんとは学校に来たかったんだわ!

そうよね。妹を置いていくわけにはいかない。妹さんの意思を抜きにして決めちゃうのは良くないわ!

でも妹さんも学校に来たいと思ってるはず。一時はどうなるかと思ったけど……無事に()()が終わってよかった!

 

彼は疲れたのでもう寝るそうだ。

 

ゆきも言っていたけど私ももっと話したかった。

でも、別に今日じゃなくても……うふっ。

自然と笑みがこぼれる。

 

遠足は大成功だ。

 




書いては消して、書いては消してを繰り返して……まぁその、こうなっちゃいました。

登場人物が増えると一気に難しくなりますね。そして一人一人の輪郭がぼやけてく。
「キャラ崩壊」タグを追加しなきゃ…(義務感)

次回家に帰ると思います。妹の決断次第でこの実況はおじゃんになるので、次回が最終回ってこともあるかもしれませんねぇ……


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