さて。季節は夏。定期テストも終わり明乃達は新しい艦が与えられ。学生にとっての天国である夏休みが始まっていた。
一応国家公務員ではあるものの、学生の身の僕らも他の学生と共に通常の期間に休みがある。もちろん給料も。(ちなみに2年生からはボーナスも出たりする。)
「ボーナスも入ったし、何か奮発して買っちゃおうかなー。」
そうだ。まだ明乃ともえかに入学祝買ってあげられてなかったっけ。せっかくだし何か買ってあげるか。
「っと、今どこにいる?って随分早いな。何々・・・図書室?なんでまた。」
と思ったらそうか。春の一件の報告書やらが未だに終わってないとか言ってたっけ。(でもあれ春先で今夏・・・)
ともかく、僕は横女の図書室へ足を進める。
そういえば、明乃って作文とか苦手だったっけ。いつももえかが手伝ってたっけなぁ。なんて子供のころを思い出す。そう考えるとなるほど、春先の報告書が終わっていないのも納得が付く。特に最近まで試験期間だったことを考えるとなおさらだ。
横女の施設(ドック等)は男子と共用してるため、男子が女子へ。その逆も珍しいことではなかった。つまり手続きも学生証を見せるだけで簡単に終わらせることができる。
さて、二人はどうも会議室を使わせてもらってるらしいけど・・・会議室ってどこだ?
「ここ大きすぎんだよな。ほんと金持ち。」整備局もそろそろ重い腰動かしてくれませんかね。東舞鶴のやつらとこの間話したときなんて寮のエアコン利かないとか言ってたけど学生を預かる立場としてそれはいいのか管理局。っと、会議室あった。
地図で場所を確認して、二人が作業してると思われる会議室へ足を進める。季節はもう夏。横女のセーラー服を着たJkの姿がまぶしいぜ!!
そういえば去年は呉に行ったときみんなでナンパしたっけ。あれはあれで楽しかった。うん。
「お疲れー。」
「うぇえええんっ!!書類がいつまでたっても終わんないよぉおっ!!」
なんてことだ。あのポジティブ一本道の明乃が。気が狂ったように泣き叫んでいる。その隣のもえかにいたっては普段絶対に見ることができない顔でグッタリしている。書類に関しては問題ないんだろうけど、明乃がメンブレした結果というわけか。こいつはひでぇや。
「お。おーい?明乃?もえか?」
「書類が、書類がぁ・・・!」
机の上にあるお菓子の包み紙を見て確信した。この二人休憩しすぎたな。そして今日までの提出物もあるらしい。
「もえかがいてどうしてこうなった・・」
「あ、あはは・・・その、少し位いいかなって思ったら話がはずんじゃって。」
まったく、これじゃあミイラ取りがミイラになったのと変わらないや。とりあえず、手伝えるところは手伝うか。
書類を一枚一枚急ぎのものと期限がまだ先のものと分別していく。思ったほど残りはそこまで多くないらしい。全体の量より書類一枚の量が多いせいか。
というか、せっかくの休暇がまさかこんなことになるなんて思いも・・・いや、少しは予想してたけどここまでひどいとは・・・。というかもえか。明乃のほう見すぎて手が止まってるし明乃は泣きついて手が止まってるぅ!!??
バンッ!
「・・・報告書、やろう?」
「「はい。」」
なるほど。飴と鞭ってこういうときに使うのが効果的なのか。これはいい経験だ。特に明乃には効果覿面らしい。今まで結構甘やかしてたからなおさらか。
「ふーん。海人君そんなこと覚えっちゃったんだぁ。」
目の前からそんな言葉とすごいプレッシャー。うわ、顔上げられない。というか、書類を裁く音がもう音速越えてるぐらいの音なんだけど。というか何かぶつぶつ言ってるのが聞こえてきてるんだけど。
「ふふ、私の好きな海斗くんはあんなこと言わない。そうか、きっと別の女性に何かされちゃったんだねそうなら早く助けてあげないとやっぱり海斗君には常に私がそばにいてあげないとふふふ」
とりあえずクラスのラインに一言だけ残しておこう。
『俺にもしなにかあったらその時は頼む/(^o^)\』
すぐに返信きた。『黙れリア充。貴様の夕食はもずくにしてやる』やめろ!!俺はモズクが大嫌いなんだ!!
俺がもえかと付き合っていることは既に学校中で周知されてしまっている。そのおかげで俺は目の敵だちくしょう。誰だホワイトドルフィンがもてるっていったやつは目の前出てこい。
と、とりあえず生きて帰ろう。うん。
・・・
「や、やっと解放された・・・」
気が付けば腕時計は午後6時を指していた。4時間近く手伝っていたのかと考えると自分の集中力にほれぼれしてしまう。そして今何をしてるかって?
「こ、ここまでくればもえかにバレないだろう・・・」
そう、バーサーカーと化したもえかから逃げていた。何を勘違いしているのか浮気していると思い込んだ挙句、笑顔でスキッパーを飛ばす姿は鬼神のようだった。いやマジで。そして今は男子寮。そう、ここは女子生徒は立ち入り禁止!つまり、俺の勝利は確定したんだ!!!
・・・ここで俺の記憶は途切れている。