もうさいっこうですよね?
今回はグロテイストで、先生を美しく描けたらいいなと思います。
あ、ちなみにトゥルーエンドともう一つエンドを作ろうと思ってます。
まぁ、自分が失踪しない世界線の話なんですけどね。
この地獄のトーナメントが始まる直前…
にじさんじ事務所、ライバー控え室にて。
ソファーに腰掛ける二人の男女。
「郡道さん、なんです?話って…」
神田笑一は尋ねる。
その糸目で全てを見定めるように…
「私見ちゃったんだって…変な企画書。」
深刻そうな表情、ボリュームを抑えて話す郡道美玲。
戸惑ったような、困ったような表情をして神田は返答する。
「なんです?その企画書って…」
「にじさんじライバー同士を戦わせるトーナメント戦。ってやつなんだって神田。」
必死に訴える郡道美玲。
「いや…なんですか、それ。
郡道さん、また酔った勢いで変な夢でも見たんじゃないですか?」
揶揄うような口調で、笑いながら言う神田。
ぷっくりと頬を膨らませながら神田を見つめる郡道…
「んなわけな…」
そう、否定しようとした時…
「神田君、ちょっと良いかな?」
密談をしていた神田に声をかけたのは…
にじさんじ運営いちから株式会社社長 田角陸だった。
「え?はい、わかりました、行きます。」
キョトンとした表情で応じる神田。
「ちょっ、神田!」
「わかってますよ…郡道さん、ついでにちょろっと聞いときますから。」
そう言って二人で個室に入っていく…
…
……
………
5分ほど経っただろうか…神田はまだ戻ってこず、田角社長もまた出てこない。
気づけば、個室のドアから少し光が漏れている。
ドアが開いていたのだ。
郡道はなぜか、嫌な感じがして、それを覗いてしまった…
「田角さん…ほんとなんですか?にじさんじライバー同士を戦わせるって…」
神田は珍しく、本気で怯えた声色でそう言った…
「そうだよ、神田君。どこでそれを知ったのかは知らないが、事実さ。」
まるでそんな事どうでもいいと言わんばかりに、返す田角社長。
「そんなこと…許されるはずがない…そんな事すれば、ネットで袋叩きにされますよ?!」
声を荒らげ、感情をあらわにする神田。
心配、怒り、不安。
そんな負の感情が入り混じった声色。
「許されない…?許されるさ。この世はね、結局、どんなに人が苦しもうが、死のうが、他人事である以上関係なんてないのさ、むしろ娯楽なんだよ。」
田角社長は今日初めて神田と目を合わせた。
威圧感が以上に高く、目を合わせるだけで腰が引ける。
「だから…神田君、君にも協力してもらう。我が社の繁栄と、民衆の娯楽のためにね…」
次の瞬間、田角社長は神田の頭を鷲掴みにする。
「なっ?!」
驚愕し、恐怖する神田。
次の瞬間、田角社長の手から出た暗くて深い…一度ハマったら抜け出せない、底無し沼のような闇が神田を包む。
「ガッ?!あ…がぁっ…
あぁぁああぁぁあぁあぁあ!!!!!」
バタバタともがいていた神田も5秒ほどすると動かなった…
「ふふふ…いいぞ…これこそ私が目指したエンターテインメントだ!
フハハハハ!」
郡道は腰が抜け、恐怖でその場から動けない…一歩たりとも。
(神田…神田…ごめん…笑ちゃん…ごめんなさい…)
後退りする郡道。
気づけば、この会場の控え室にいた。
Aブロック第二試合の入場の瞬間、神田笑一が生きていたことに驚愕し、歓喜した。
「神田ぁ…よかった…生きてたんだ…神田…」
だが、喜びと幸せに包まれた心はものの10秒程で吹き飛んだ…
…
……
仲間であった少女をいとも容易く、何も躊躇せず、殺す神田笑一を見て、郡道美玲は震えた…
「…違う…あれは…神田じゃ…ない…
神田…神田は…あの時…あの黒いのに呑まれて…」
何度目だろうか、郡道の顔に絶望の色が浮かぶ。
だがしかし、絶望と希望は表裏一体。
生物が死ぬと言うことは他の生物が生きると言うこと。
神田が生きている以上、諦めるのはまだ早い。
「私が諦めたら…ダメだよなぁ…」
控室で、拳を握りしめる郡道。
「神田…あんたは…私が止める…」
そう言った郡道は歩き出した、戦いの場へ。
「さぁ、皆様。先ほどの興奮冷める間も無く、次の試合だ。
選手の紹介といくぜ。
まずはこいつ。
Aブロック第二試合にて、男性に対しては初見殺しとも言える能力を持つ魔界ノりりむを瞬殺。
その慈悲なき行動は生存意欲故か…?
否‼︎
快楽的思考か?!
否!
そう、この男、生粋の
その行動に!一切の躊躇無し!
慈悲なき殺戮者 神田笑一。」
紹介と共に姿を表す神田。
その姿は今も昔も変わらず、ライバーとして共に長い時間を過ごした神田だった。
「生粋の殺戮者って…私そこまでかなぁ…笑
まぁ、ただ追って殺した方が楽しいけどね…」
細めた目で対岸の入場口を眺める神田。
「さてそんなにじさんじライバーの中でもトップクラスのヤバいやつの相手をするのは…
運命か否か。
その華奢な体に飼うのは猛獣の如き猛き心。
前歯など捨ておけ、奴はガンダムで来る…
ドスケベ淫乱必殺前歯、郡道美玲!」
煽ってるかのようなその紹介文で観客たちは笑い転げる。
「神田…ガチで来てよ…私もさ…ガチだから…」
その目はじっと正面にいる神田を見つめ、拳は握り締められている。
『分かりましたよ…郡道さん…
ちょっと…包丁を研ぎます。」
神田が抜いたのは、柳刃包丁。
刃渡り27cmと言う包丁にしては長いリーチ、切れ味を誇る包丁である。
「では、Aブロック第十試合。スタート!」
スタートの合図と共に歩き出す郡道美玲。
「神田…」
何の構もなく、術もない。身を守る武具もなく、相手を倒す武器もない。
ノーガード。ただひたすらに神田の元へと歩みを進める。
柳刃包丁をサバイバルナイフのような構えかたをする神田に対して…警戒心すら抱いていないかのような動き。
(何考えてるんだ…郡道さん…)
郡道の腕が神田に届く間合いに入った次の瞬間。
ガバッ。
「………?!」
騒然とするコロシアム…
当然である、郡道美玲が取った行動に驚きを隠せないのだ。
当の本人と神田笑一を除いて。
その行動はこの命を賭けた戦場で行う血生臭い戦いとは程遠い行為なのだから。
郡道美玲は神田笑一に抱きついたのだ。
ある者は言った、あれは作戦なのだと。抱き付き動揺を誘った上で仕込んだ暗器で倒す戦略なのだと。
違う…
またある者は言った、あれは命乞いだ。今まで殆どの奴が惨殺されてきたが、ルール上サレンダーし、相手に殺す意思が無い場合は死なずに済む。と。
違う…違う…違う…違う…違う…
何も分かっていない…
誰もが、この戦場での郡道美玲の本質を分かっていなかった…
彼女の本質は、導こうとする意思にある。
その根元は自責の念。
自らが行った行動によって、結果的に神田笑一がこうなったらのだとしたら、それは自らの手によって連れ戻すのだと言う意思なのだ。
愚かだと笑う者もいるだろう。
死んでいって尚魅せたライバー達への侮辱だと言う者もいるだろう。
だが、そんなもの…捨ておけ…
「これが…!私の…郡道美玲の…ライバーとしての…導く者としての!生きる道だから!」
ギュと、硬く抱きしめられ、困惑する様な様子を浮かべる神田。
「郡道さん…」
「ごめんね…神田…きっと、こんな殺し合い…したくなかったよね…ね、一緒に帰ろうよ…私達の世界へ…」
涙目で訴える郡道。
神田は微動だにせず、先ほどと同様困った様な表情を続ける。
…
……
数秒だっただろうか…
いやもしかしたら十数秒だったかも知れない…
がしかしそんな沈黙は絶望と苦痛をもたらす悲鳴と共に破られた…
「かはっ…
…え…?」
郡道のスーツに赤いシミが出来、それが少しずつ…少しずつ確実に広がってゆく…
郡道の腹に刺さる柳刃包丁。
神田はただそれを平然と見つめ、冷静に、至って冷静に、至極それが当然の様に、その包丁を引き抜いた。
次の瞬間、溢れ出す血。
耳をざんぎる悲鳴。
「アァァアァアァアアアァァアァア‼︎‼︎」
口からも血を吐き出し…痛みに顔をしかめる郡道。
生涯、経験することのなかったであろう苦痛。
刺された箇所は引き抜かれたはずみにえぐれ、血や肉、郡道美玲を構成している物質が流れ出してゆく。
その姿を見ても、神田は表情を何一つ変える事なく、淡々と目の前の敵を仕留めるために、ただそれだけの為にニ撃目の構えを取る。
「郡道さん、ここにきた以上、我々は殺し合うしか無いんですよ。
郡道さんと私もね。」
「かん…だ…」
多量の出血からか、それとも相棒と思っていた漢を救えなかった自責からか、よもやそんな漢に刺された絶望からか。
郡道の視界は霞み、足は地面をしっかりと捉えることすらままならない。傷ついた内臓は限界を迎え、今にも倒れそうな程。
そんな体にも関わらずもう一度、神田に歩み寄る郡道。
「神田…ね…いっしょに…帰…ろ?…」
グサっ。
躊躇の無いニ撃目。
今度は肺。
肺に深々の刺さった柳刃包丁は即座に抜かれ、血が飛び散る。
「言ったでしょ?逃れられないんですよ、郡道さん。」
その場に崩れ落ちる郡道。
「かん…だ……ごめん…ね…ダメな…せん…せいで…ごめん…」
最後の力を振り絞り、神田の服の裾を掴む郡道。
苦痛に歪み、そんな中で尚、友を救わんとした女性の最後は残酷で、少なくともハッピーエンドとは言えない最後だった…
「い…き…て…」
冷たくなって、こんな寂しい場所で、誰にも哀しまれず、ただ娯楽の道具として死んでゆく。
夢を抱く事さえ…許されない…
「勝者!神田笑一!郡道美玲をあっさりと下し、準々決勝進出です!」
勝利の余韻に浸る事はなく、神田はある一点を見つめていた。
先ほど自分の服の裾を掴んでいた郡道美玲だ。
…
興味などない。自分はただ…勝って…生き残り…会社に貢献する。
ただそれだけのはずなのに、自分が殺した相手の体から目が離れなかった…
ただ…ただ…彼女を確かめずには…居られなかった…
自分が穴を開けた彼女の美しい体。
服の合間から見られる肌は白く、きめ細やかで、そんな肌は溢れ出た血液で赤く染まり、空いた穴からは骨や肉、グチャグチャでもはやなんの臓器かも分からない内臓が垣間見える。
紫がかり、一本一本が輝く様な髪は血で染まり、固まっていた…
苦痛に歪み、自分を恨み、会社を恨み、世界を呪う筈である彼女の顔は。
笑顔だった…
自らがこれから得るであろう幸せを投げ打って、彼女が何を得ようとしたのか…それが知りたかった…
「郡道…さん…」
神田の頬を伝う液体。
「あれ…?私…なんで…泣いて…るんだろ…」
血まみれの手で頬を拭う。
拭っても…拭っても…止まる事はない…
「なんで…なんで止まらないんだ…
教えて下さいよ…郡道さん…」
事切れた彼女に答える術などない。
そんな事は分かっているのに…問わずにはいられない…
跪き、郡道の手を握る神田…
「私…何のために…戦ってるんだ…
結局…変わってなかったんだ…
ライバーになって…郡道さんと会って…
でも…変わらなかったのか…私…
結局…自分の一番大切な人さえ…守れなかった…殺してしまった…」
ポツ…ポツ…
雨が降り始め、次第に強くなる…
「うわぁぁアァァアァア…」
神田の叫びは雨音によってかき消され…
ただ、虚しさだけが残った…
後悔と絶望だけが残った…
郡道が最後に呟いた言葉…
彼を支えるのはただそれだけ…その一言だけだった…
いちからの社長さんで今回遊んでるけど、まぁ、ばれないでしょ、私みたいな底辺ならww