前回の評価で1が初めてつきました!
遂ににじさんじアンチの方にも見て頂けたのかもしれませんね!
普通に僕の文章が面白くなかったのなら申し訳ない限りですが…
今回もぜひお楽しみ下さい。
控室で一人、俯く男。
神田笑一…
「私は…この戦いで…何を得たいんだ…
分からない…私は…」
前回の試合、郡道を下したのち、苦悩し続ける神田。
「私は…大切な人を殺してまで…何を得たかったんだ…」
何度目だろうか…彼は自らの人生を嘆き、苦しみ、後悔し…生きてきた。それが人の本質なのだと理解しながらも、せずにはいられなかった…
ライバーになってから自分は変わったと思っていた…
自分は強くなった…
自分は強くなった…
心ないコメントや切り抜きを見るたび、心の中でそう唱えて来た。
だが、どうだろう?現にこうして頭を抱え、苦悩している自分がいる…
「結局私は…何も成長して無いじゃ無いか…」
そんな時、自らが自らの意思で殺した郡道の最後の言葉が脳裏を過ぎる。
(神田…い…き…て…)
自身の体に走る痛みを耐えながら、自らを刺した男を救わんとする女…
「郡道先生…ほんと…最後まで…先生でしたね…
私…いきますよ…」
そう呟くと、入場ゲートへと向かっていった。
…
……
………
「やぁ、みんな!盛り上がってるか?!
ついにやって来たぜ、Aブロック準々決勝一回戦。
注目のいかれたライバーを紹介しよう。
まずはこいつだ。
一回戦ではほぼ無傷、二回戦では痛手を負ったが、圧倒的勝利を収めて来た強者。
その笑顔の裏にあるのは狂気か、あるいは殺意か…
にじさんじのやばい神父。叶!」
神父の姿で登場する叶の右手にはギプスが嵌められていた。
そして登場した後、入場ゲートの神田に向かって微笑みかける。
「そして、そんな神父様に歯向かう異教徒はこいつ!
一回戦、二回戦共に無傷。
やはり糸目は強キャラの証。
包丁の扱いなら右に出るものはいない?!
にじさんじ一の包丁使い。神田笑一!」
そのコールと共に太陽の元にでる神田笑一。
対峙する両者の静けさを先に破ったのは叶だった。
「やぁ、神田君、やっぱり上がって来たね。楽しもうよ、精一杯。」
まるでゲームをするかの如く、軽いノリで言う叶。
どう返答するか迷いながらも…
「えぇ、そうですね、叶さん。」
と無難に返答し、構える神田。
「では、Aブロック準々決勝第一試合、開始ぃ!」
先に飛び出したのは神田。
これまでの試合、殆どの場合において、初動では様子見を兼ねて距離を取る場合が多かったが今回は違う…
(童田さんとの戦いで欠損したはずの左腕がなぜ治ってるのかは知りませんが、動かないと見た…
ならば…)
「先手必勝ですよ、叶さん。」
低姿勢で、素早く柳刃包丁を抜き、目の前の男に向かって突き出す。
感覚はあった…
(早く包丁を抜いて一旦間合いを…
なにっ?!)
叶の右腕に深々と刺さった包丁は、ピクリとも動かない…
「グッ?!」
その時、神田の腹に衝撃が走り、後ろに吹き飛ぶ。
右腕に包丁が刺さったまま、蹴りだけで叶は神田を吹き飛ばしたのだ。
「いきなりだな〜、神田君。まだ右腕の神経しっかり繋がってないんだから乱暴にしないでよ。」
いつも通りの口調で、包丁なぞ気にしないと言わんばかりの口調で話す叶。
なんの躊躇もなく包丁を抜き取り、神田に投げ返す。
「…叶さん…童田さんとの戦いで右腕全部持って行かれてませんでした…?」
そう、童田明治との戦いで右腕を肩から下全て失ったはずの叶…
だが、彼の腕は今、確かに存在する。
叶は、巻いていたギプスと包帯を毟り取り、捨てる。
そこに現れたのは、きめ細やかな肌、白い体色。
よく見知った腕だった…
「どうですか?この腕。まだ完全には馴染んでませんが、綺麗でしょう?神田くん。」
肩先からぶらんと垂れ下がる腕を左手で持ち上げ、見せつけるようにする叶。
「…貴様…郡道先生の体を…
返せよ…
郡道先生の腕返せよ…!」
激昂する神田。
包丁を再度握り直し、立ち上がる。
「ハハハ…面白いことを言うね。神田君。
…
……
郡道先生を殺したのは君自信じゃないか。」
立ち止まる神田。
最後の場面を思い出し…苦悩する…
「でですね、僕の知り合いに腕利きの医者がいましてね。
こんなヘンテコな世界ですよ、瀕死の人間を蘇生することぐらい分けないことです。」
その言葉に驚愕し、驚きを隠せない神田。
叶はその様子を見て、淡々と語り続ける。
「たとえ…内臓がぐちゃぐちゃになっていてもね…?
今、彼女は僕の教会で保護されてます。
つまり…
…
どうすればいいか?賢い神田君なら分かるはずです。
ねっ?」
そう言って、左腕で1911を構える叶。
押し黙り、動かない神田。
(私が…動かなければ…郡道先生は…まだ生きられる…)
そして引き金に指をかけて…
「美しいですね、愛って…
神田君…神も祝福してくれますよ…」
パンっ…パンっ…パンっ…パンっ…パンっ…パンっ…パンっ…パンっ…
パンっ…パンっ…
…十発の銃弾が神田の細い体を貫いた…
自らの体から流れ出す血の温かみを感じながら、地に伏せる神田…
「郡道先生…あなたと…あえて…ほんとうに…よかった…
僕の…人生は…むだじゃ…無かった…
ありがとう…」
事切れた神田を見下ろして叶は…
「神もお許しになりますよ…神田君…」
そう言って、まだ馴染まない右腕をぶら下げて去っていった…
「勝者!叶!」