WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結)   作:紅茶

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幕間 6月10日~13日

1905年6月10日

 

その日。6月10日はカタリナちゃんの結婚式が10日後に迫った日である。

 

 カタリナは帝国諜報局で心をぴょんぴょんさせていた。

 

「結婚式楽しみだなぁ♪」

 

 1年前のカタリナに今の姿を見せれば絶句するような光景ではあるが、本当に彼女は結婚式を楽しみにしていた。

 

 既に1か月前に花嫁衣裳の最終セッティングを終わらせてあり、1か月前に終わらせるべきことは既に終わらせている。

 

 

 彼女はもうすでに脳内お花畑になっていて、ルドルフはお花畑になっていたカタリナを見て少々苦笑していた。

 

 

 

 であるが…

 

 

 

 

 その日の夜

 

 ミハイル・ヴィルケ・シューマンすなわち情報局連絡部部長、パスカル・フォン・クロイツァー陸軍准将、パウル・ディーヴァルト陸軍少佐、エーデン・フリート陸軍少佐、エッカルト・ロート陸軍大尉、ドニファーツ・クラフト陸軍少尉の6人がとある帝国首都にあるホテルの1室に集まっていた。

 

 その内容は、10日後に行われる予定の〝軍事クーデター”の策謀を立てていた。

 

 1905年初旬より軍内の一部に存在する過激なカタリナ派は強硬手段による第一皇女の皇位継承権剝奪を画策していた。

 

 暗殺をも計画する将校も少数存在し、カタリナが局長を務める情報局内にもそれに近い思想を持つ過激な人物も居た。

 その人物はそろってカタリナが唱える[反戦論]思想に心酔していた。

 

 ひとえに我の愛する国を良くするための思想であると思っていたためである。

 

 カタリナが反戦論者であった事も手伝って彼女の知らない場所でクーデター計画が成されていたのだった。

 

 軍事クーデター自体はカタリナの結婚式にエリザベートが参加することが濃厚になった時より計画が立案されている。

 

「できれば近衛の中で我らに協力してくれるような人物が欲しいが…」

 

「元陸軍に居た伝手で、トーマス・ベッヒャー少佐が我らに賛同してくれた。」

 

「できれば連隊長クラスの賛同が欲しいが…」

 

「近衛第2師団の中でか?」

 

 カタリナの結婚式の会場警備は近衛舵2師団がすることとなっており、クーデターを起こすうえで近衛第2師団に内通者が欲しいのは当然の事だった。

 

「それは、無理だった。近衛第2師団の混成第1連隊の連隊長は海軍出身で伝手がない。混成第3連隊の連隊長は空軍出身だ。それに、どいつもこいつもエリザベート派だ。」

 

「第2連隊の連隊長は確か…」

 

「カリン近衛大佐だが…第1皇女に親しい人物だ。一応陸軍出身だが、エリザベート派とみなさなければならない。」

 

「厄介だな。」

 

「うむ。何とかならぬものか…」

 

「会場警備の計画では混成第2連隊が、決起するときの時間に警備している。

 

 いくらエリザベート派の人物でも従わざるを得ないモノがないか?」

 

「……軍人であるならば上官の命令は絶対だ。それを利用しよう。」

 

「なるほど。であるなら、当日直談判し協力を取り付けた後、師団長命令を第2連隊司令部までもって行き………事を起こすか。」

 

「師団長を説得できなかったらどうする?」

 

「だったら偽の命令書を偽造しておいて本人に印を押させよう。

 あとは誰かが師団長を見張っておけばいいだろう。」

 

「そうだな。なら…あとは実行するのみ。」

 

 

 

 

 そのような策謀が成されているとは、だれもが知らずにカタリナの結婚式を楽しみに待っていた。

 

 

 

 

 

 

 例えば…

 

 カリン・フォン・フート近衛大佐もそうである。

 

「カタリナ殿下の結婚式が待ち遠しいなぁ…」

 

「そんなにか?」

 

「ええ!それはもう!殿下の結婚式には出られない運びになっちゃったけど、結婚式の…ねぇ?」

 

 カリンは先ほども述べた通り結婚式会場の警備にあたる。

 

 仮にも皇族と貴族の家系に連ねる者同士との結婚である。

 ※実はルドルフ君は伯爵家の生まれではあるが、事情により内務省の警察組織で働いていた。

 

 皇族との結婚式でもあるので、多くの参加者を要する。

 

 カタリナ…すなわち花嫁側はエリザベートを筆頭とした近しい親族と、世話になったかつてのメイド、レナ空軍技術大尉にナスターシャ空軍大佐等を招待し、ルドルフ…すなわち花婿側は同じく近しい親族に仕事上付き合いがある部下などである。

 

 ここで豆知識!

 結婚式の招待人数については、花婿と花嫁が招待する人数はおおよそ同じにならなければならない!

 

 いつか役に立つと思うので覚えておきましょう!

 

 閑話休題

 

 比較的多くの参列者が来て且つ、後続の結婚式である。

 会場警備には近衛第2師団が投入されることになった。

 

 カリンは近衛第2師団にある3個連隊のうちの一つである、混成第2連隊を率いている。

 

 近衛団2師団長はシュテファン・フォン・ハース近衛少将である。

 

 ちなみにカリンの夫はエルンスト・フォン・フート近衛准将で、近衛第一師団の副長を務めている。

 

 

そして、カリンはカタリナの結婚式に出席できないのは残念だったが、その代わりに会場警備に携ることができた。

 

「それは光栄なことではないですか!?」

 

「うんうん、そうだね。」

 

 夫の趣味なのか何のか分からないが、近衛指定のブラウスの上からピンクの少々飾りっけのあるピンクの(・・・・)エプロンをフリフリしながら包丁を振るい夕食を作っている。

 

 そんな彼女が包丁で指に傷を付けないかが心配ではある。

 

 

 

 

1905年6月13日

 カタリナの結婚式かた1週間前の日である。

 

 会場警備は実のところ半年以上前から計画されていた。

 

 近衛のどの部隊を配置し、爆弾等が置かれるのも困るために爆発物処理専門の人員も~~となる。

 

 

 そしてその日は近衛第2師団の先遣隊が到着した日である。

 

 すなわち、補給線の構築、司令部の設営、兵員の待機場所のこれまた設営。

 そして、野外で料理できるフィールドキッチン等が配備された。

 

 そして、補給の構築もそうだが、近衛第2師団の先遣隊の役目は様々であった。

 

 爆発物が市中にないかを探したりと、それはもう大変だった。

 

 カリンちゃんも結婚しておよそ半年でまだ新婚気分なわけだが、そんなことはお構いなしに近衛のお仕事である会場警備に忙殺される。

 

 

 

 

 

 

 その日エリザベートちゃんは…

 

 息を止めながら自身の夫に抱き着いていた。

 

 その時の時刻はちょうど夜の8時。

 外は暗く闇のようである。

 電気をつける家も少々少なくなってくる時間帯である。

 

 その日の夜は美しい見事な丸い満月であり、宮殿の噴水の水が幻想的な月の美しさを鏡のように映していた。

 

 

 

「ちょっと…どうしたの?」

 

 エリザベートの髪は誰もが目を引くような銀髪が柔らかな電球の光を反射させている。

 夜10時と、少し深夜に近いこともあり彼女はすぐにでも眠れるように薄い白のネグリジェを着用していた。

 

 

 

「………」

 

 エリザベートの夫にどうしたと聞かれても、彼女は黙っている。

 

 一応控えている侍女やメイドもあらあらと今にも言いそうな優しい雰囲気で二人を見ている。

 

 一人、鼻から愛と言う名の朱い代物を出していて、それを何とか食い止めようとしているメイドもいた。

 ちなみにそのメイド、エリザベートが最初に抜け出した時の協力を得た人物である。

 

 貴族の娘として教育の為に送り出されたメイドであるが、何をどう拗らせればこうなったかは分からないが主人への愛が危ない領域にまで入っている。

 

 

 なぜ、そうなったか。

 それは主人であるエリザベートにもわからない。

 

 ちなみに、そのメイドにエリザベートは結婚を勧めるのだが、本人がかたくなに拒否をしているため、そのメイドに浮ついた話がほとんどない。

 

 ただし、ほとんどと言ったが0ではないことは確かである。

 

 なぜか変な感じになったメイドと、宮殿のシェフが楽しそうに話している場所を偶然エリザベートが見かけたからである。

 

 

 

 

 

 

 

 良く分からないが、なぜか抱き着いているエリザベートを、何を思ってかラルフは…

「しょうがないなぁ…」

 と、頭をポンポンとした。

 まるで小さい娘をあやす様に……

 

 ちなみに、男性が異性へと頭をぽんぽんとするのは可愛い妹に対する愛着が深層心理にあるそうです。(ネット記事に載ってた)

 

 

 

 

「私は赤ん坊じゃないんだけど」

 

 黙っていた彼女が突如しゃべりだした。

 赤ん坊扱いされたことに不服だったのだろうか。

 

 しゃべった事によって息を自然に吸ってしまい、眉間にしわが寄り少々しかめっ面をした。

 

 ただ、彼女はその後目を丸くして意外だというような表情をし、その後すぐに取り繕うような苦笑いするような感じの表情を見せる。

 

 実はエリザベートちゃんは人の匂いが嫌いなのである。

 

 

 ただ、せっかく結婚したので新婚気分という物を味わってみたい。

 

 そんな知的好奇心に負けた彼女は息を止めて彼女の夫に抱き着いているのである。

 ※人の匂いを嗅ぐのが嫌いなエリザベートちゃんであったが、妊娠した際にいろいろと起きた。

 

 一般的に女性が妊娠するとき味覚が変化するという事が言われている。それが行きすぎるといわゆるマタニティブルーという物になるのだが…

 

 彼女は見事に“それ”にかかり、なぜか自身の夫が傍にいると落ち着くようになった。

 いつかかは分からないが、エリザベートちゃんの夫君もできるだけそばにいることを心掛けたのだが…

 

 彼女の『他人の体臭嫌い』に例外が生じたのはその時であった。

 

 自身の夫と娘の匂いには何にも思わなくなった。

 それどころか、エリザベートちゃんの夫さんのラルフ君の匂いが精神安定剤にさえなった。

 

 彼女の他人の体臭嫌いはそれで例外が生まれたのだ。

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

 息を止めて自分の夫に抱き着いているエリザベート。

 

 それをされて困惑しながらもいろいろとアレな感じになってきてるラルフ君。

 

 そして、いろいろと察して侍女やメイドが静かに部屋から出ていく。

 

 

 結局は新婚夫婦ご恒例の“アレ”にまで到るのだった。

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