WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結) 作:紅茶
小説書くぞ~~!(やけくそ)
1905年6月18日
午前5時15分,近衛第2師団が配備されている各駐屯地に起床ラッパが大音量で鳴り響いた。
朝の若干もやがかかった空気に朝日が差し込む。
もやがかかった空気が朝日の光をキラキラと反射させ光るどこか幻想的な空気の中、近衛第2師団は動き出す。
事前より起床ラッパが早まることを予告されていた近衛第2師団の全人員は誰一人遅れることなく一斉に行動を開始する。
朝飯を食べ、準備を進めていく。
この日はカタリナの結婚式に合わせ近衛第2師団が本格的警備を開始する日である。
午前8時、近衛第二師団は大聖堂周辺へ展開を開始することとなっている。
帝国民は現在の皇帝が現在病に臥せっているという事もあり、半年前にあったエリザベートの結婚式があったことも相まって、帝室は若干の不安がある物の、それを覆うほどの光が帝国民に降り注いでいる。
そんな気がしていた国民が大多数であった。
すなわち…
「第1皇女殿下もすでにご結婚なされているし、明後日には第2皇女殿下もご結婚なさる。これほど良いことはあっただろうか?」
「これで帝国も安泰、あとは陛下のご病気が…」
「そうですね。陛下にはもう一度お元気な姿を見せてほしいですね。」
と言うような会話が街中で見られたという。
短期間に相次いだ、皇帝のご息女姉妹の結婚と言う慶事に沸く帝国国内。
勿論、カタリナが局長を務める帝国諜報局内でも自身の上司であり憧れ(見た名の意味でも)な彼女の結婚に大多数が湧いていた。
少なからず、中身は知らずとも見真麗しい彼女を知らず知らずのうちに憧れている局員は大多数存在している。
そして、なぜか未来に生きていた局員がこのようなものを作り上げていた。
『カタリナ局長ファンクラブ』
である。
圧倒的カリスマの持ち主であり、見目麗しいこともある彼女は知らず知らずのうちにファンクラブを形成、未来に生きた局員が作ったファンクラブである。
その内容は、ただの集まりではあるが…我が局長をできる限り見守るという内容である。
そのファンクラブで、カタリナ局長とプライベートな関係を持つことは絶対に許されないことで、仕事上でも少々プライベートな話を彼女としただけでファンクラブから勧告が来るほど厳しい物であった。
※そのファンクラブはカタリナ本人どころかルドルフさえも認知していませんでした。
そのファンクラブ会員はルドルフに殺意の波動を覚えながらも、素直にカタリナの結婚を喜んでいる人物が温度であった。
そして、前世からの戦友たちもカタリナの結婚を喜んでいた。
カリン近衛大佐はいざ知らず、実の姉であるエリザベート、Ta152やG3を設計したレナ空軍大尉、マルレーネ空軍大佐、ナスターシャ空軍大佐も彼女の結婚について祝福していた。
とくにエリザベートはカタリナとの実の姉であるため、異常に喜んでいた。
18日の昼間は以上にハイテンションな様子で、エリザベートは公務を30秒で終わらせたという。
実の姉がそうならば、母親もそんな感じで。
カタリナの母親は皇帝ビスマルクの皇后陛下。
そして、エリザベートのは母親でもある。
自らの腹を痛めながらも生んだエリザベートが、カタリナが、結婚する旨を聞いた皇后陛下はものすごく喜んだという。
ただ、皇帝の病によって父親が花嫁を連れてヴァージンロードを歩けなくなったために、
エリザベートの時は、エリザベートと皇帝ビスマルクの皇后である彼女が、腕を組んで式場に入場し、皇帝の代わりの名代として出席した。
カタリナも同じ予定となっている。
近衛第2師団は午後4時に全配備を完了した。
司令部も稼働を始め、万全な状態になった。
今や、その周辺は欧州の中でも屈指の防御力を有しているとも過言ではない状況であった。
カタリナの結婚により浮つく国内と帝国諜報局、そしてカタリナの身内。
それを知ってか知らないのか、極めて無粋な計画が始まろうとしていた。
その日の夜。
あたりは日が沈み、暗闇の中を街灯とわずかな民家の明かり、そして時々走る車のヘッドライトが照らす道をとある人物が歩いていた。
モスグリーンのような軍服は帝国陸軍所属であることを示しており、その肩に付いている肩章に星が1つ付いていることより准将クラスであることがうかがえる。
その軍人はホテルの受付嬢に問うた。
「連れは来てるか?601号室にいるはずなのだが。」
「601号室ですか…いらっしゃいますね」
「分かった、ありがとう。」
「はい。」
彼はエレベータに乗り、6階で降りた。
帝国の中心部にある由緒あるホテルであり、その実要人が泊まるときの宿泊所にもなるほどのホテルであるため、廊下の照明や装飾は上品なもので飾り付けられている。
帝国でも1室1晩泊るだけでも相当な金額が必要であった。
軍人の男は軍靴を床に打ち鳴らすような音を立てながら廊下を歩く。
その男は601号室の前に立った。
右、左、後ろと振り返って何かを警戒するように素振りを見せてドアをノックする。
中からは誰か走る音がしたと思うと誰何が聞こえてきた。
普通に
「誰だ?」
そうすると601号室の前に立っている男はこう返した。
「誰だと思う?」
と帰ってきたのだ。
そうしたらドアが開いた。
先ほどは普通の会話に乗せた合言葉であり、各々別の合言葉を持ち誰がドアの向こうにいるかが分かるようにした…らしい。
「少尉か、入れ。」
「は。」
中には男たちが話をしていた。
「で…奴らがこう出てきたら…」
「おお、少尉よく来た!」
「少尉か。」
部屋に入った『少尉』と呼ばれた男こそ、帝国首都近くを管轄する帝国の中央を担当する中央軍集団のトップナンバーの師団。
それが第1師団なのである。
その第1師団の第1歩兵連隊、同連隊第1歩兵大隊第3小隊売隊長、ドニファーツ・クラフト少尉、その人である。
彼は比較的新米の少尉ではあるが、この帝国と言う国の未来を本気で憂いていたのだ。
そんな時彼は彼女…
すなわち、カタリナの著書を手に取ったのだ。
彼女の戦争を理解しているかのような非戦的、非戦論者的なその著書は彼の心にい刺さり、異常な程のファンとなった。
そこで陸軍部の駅なカタリナ派に誘いを受けた。
カタリナの思想を過剰に、そして過激に理解をした彼は陸軍のカタリナ一派に入る。
その後エリザベート派閥の台頭で圧迫されながらも外部のカタリナ派と結びつきを深めた陸軍のカタリナ派は、情報部のカタリナ派の中でも過激な人物と共に、クーデター計画を立案した。
「いいか、明後日には決行だ。
まず我々は近衛第2師団長を説得し、この作戦に一枚かまさせる。
時間は―――――」
「20日の明朝、午前6時だ。
忘れるな。」
「は。」
「その後、近衛作戦命令書を伝達させる。
内容はこうだ。」
「Ⅰ、師団は敵の支配下にある逆賊、エリザベート・フォン・クロイツフェルンを確保、拘束すべし
Ⅱ、近衛混成第一連隊主力は別名あるまで待機すべし。
Ⅲ、近衛混成第二連隊は結婚式会場の占拠、逆賊に属するエリザベート派貴族、軍人を拘束すべし。
Ⅳ、近衛混成第三連隊は道路警備を厳とし、道路の封鎖を行うべし。
か。なるほど考えましたな。」
「うむ、これでも作戦参謀次長なのでな。
近衛第2師団の命令書を受け取った後に、近衛第2師団の各連隊司令部へ赴き命令書を伝達させる。」
「第2連隊の連隊長は従うだろうか?」
「従うさ、どのような命令でも命令であるなら従うのが軍人だろう。
不服があるなら上申もあるだろうが、我々でそれを止めておけば近衛第2師団長の翻意は防げるだろう。」
「なるほど。」
「近衛第1連隊にはエッカルト・ロート大尉が、特に大きな障壁であると思われる第2連隊にはエーデン・フリート少佐と、近衛第二師団混成第二大隊長のトーマス・ベッヒャー近衛少佐が、第3連隊にはクルト・フォン・ルーデルドルフ大佐が行く計画だ。」
「その後、近衛第2連隊でエリザベートを拘束、うまく行けば各国のそれなりの地位にある人物たちの前で皇位継承権破棄の宣言をさせる。」
「抵抗があった場合は…」
「殺害…だな」
「ああ、第1皇女には結婚してばかりで悪いが…
ただ、それは最悪の場合だ。相手が抵抗しなければ問題ない」
「ああ。」
「あとは第2皇女殿下に、皇位継承権が第1位になる事を宣言してもらえば後は…」
「盤石だな。」
「成功すれば軍法会議はかけられるだろうが、軽い罪になるだろう。
うまく行けば無罪も…」
「そうだな。」
「「「「「すべては我が国のために!」」」」」
6月19日
カタリナ結婚式の前日である。
結婚式の前日はカタリナとルドルフが一緒に挙式のスケジュールを仲良く確認していた。
「えーと、8時半に式場入りして…準備して、11時に挙式リハーサルして…」
「12時に挙式始まって、ブーケトスして写真を撮って…」
「うん。まぁそんな感じだね。
明日の結婚式楽しみだなぁ♪」
彼女は明日へと迫った結婚式を心待ちにしていた。
ちなみにその日の夜は緊張して眠れなかったそう。