WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結) 作:紅茶
帝国の爽やかかな夏の朝、帝国首都の上空を守る飛行隊第25戦闘航空団『25st Tactical Fighter Squadron』や戦略、戦術輸送機が所属している第61輸送航空団『61st Tactical Airlift Squadron』が所属するとある空軍基地に第61輸送航空団に所属するEKC-1戦術輸送機がプロペラ機特有の爆音を発生させながら着陸アプローチに入る。
それを航空管制官や空軍基地所属の人員以外にもそれを見ている人物がいた。
「無事に帰って来れたようですね。」
帝国陸軍将官制服に身を纏っている女性は諜報局局長カタリナ・フォン・クロイツフェルンその人であった。右手にはめられている夫(副官ルドルフ・ナヴァール)から贈られた結婚指輪が朝日に照らされて綺麗に輝く。35歳になってもその美貌は衰えずに、見る者を振り向かせる程の美しさを保っていた彼女は諜報局では、既に摘まれた高嶺の花と言う風に言われているらしい。
戦術輸送機が滑走路に危なげもなく着陸して近くに戦略輸送機がタキシングする。その様子を少し離れた場所で見ていたカタリナ。清々しい帝国の夏の風でカタリナの髪がなびき目にかかる。殆ど無意識に髪を書き上げ耳にかけて、輸送機の中から待ち人が出てくるのを待つ。
戦術輸送機の後部ハッチが上がり、帝国諜報局の特殊部隊中隊長、ライナー・フォン・オットー大佐が先導して先に降り、ミハイル・トゥハチェフスキーらしき人物とその家族が出てきた。
・・・ん?トゥハチェフスキーが何か負傷していないか?
疑問符が頭の中に浮かんだ私は実質直属であるライナー大佐の方へ歩み寄っていく。
近づいていくとライナー大佐は此方に気がついたようで・・・
「あ、局長。トゥハチェフスキー元帥の事なのですが・・・」
機先を制するように話し始める中隊長。早速報告を受けるとしよう。
「トゥハチェフスキー元帥の救出はギリギリでした。NKVDによって自白を既にさせられ、銃殺刑目前のような状態でした。嘘の自白を吐かせる際に家族を人質に取って拷問までしていたようです。それで・・・」
「なる程・・・それでもこの有様と言うことですか、分かりました。ご苦労様です。これだと余り長くは話せそうにありませんね。軍病院に連れて行って上げなさい。」
「はっ。」
ライナー大佐は陸軍式敬礼をして部隊に戻った。これから究極ミハイル・トゥハチェフスキーを病院まで護送しなければならない。そして家族達は帝国が用意した帝国では平均的な住居に取りあえず住んで貰う事とする。但しそこは諜報局や軍関係者が多く、圧倒的に治安の良い住宅街だが。
トゥハチェフスキー元帥はあのルーシー社会主義共和国連邦を分裂させ、帝国に矛を向けさせる余裕がないようにするための布石だ。そのための工作もしてある。その工作した成果はルーシー社会主義共和国連邦の奥深くに眠っているが、その我々が撒いたダイナマイトは池に石を放り投げて波紋をあげるがごとく、本当に些細な事で爆発する。
そのダイナマイトの爆発がルーシー社会主義共和国連邦を分裂させるのだ。
もう少し。もう少しで共産主義者共に一泡吹かせることができる。
トゥハチェフスキーの怪我は相当深く、完治するのに2週間以上程掛かった。トゥハチェフスキーの家族も文化の違いや言葉の違いに振り回されたりしたが、1ヶ月もすると馴染んでくるらしい。既に各々知り合いと言う者が出来たりしたからである。
例えばトゥハチェフスキー元帥の妻、ニーナは隣の家に住んでいた軍人の妻達3人と近くのカフェで少々話したりするくらいにはなった。
3人は現役空軍軍人で空軍設計局の主任設計技師だったり、近衛第2師団師団長だったり、帝国諜報局局長だったりと、極めて国の中枢部に近い人物であったが。
トゥハチェフスキー元帥の妻である彼女が国の中枢部に近い人物と知り合ったのは運命なのか、それとも・・・
今日は 病院から退院したトゥハチェフスキー元帥と面会した。全治二週間以上だったが、会えて話し合えただけでも僥倖だと思う。
「さて、はじめましてかな?私はカタリナ・フォン・クロイツフェルンです。訳あって、諜報局のトップに立っています。」
「・・・ミハイル・トゥハチェフスキーです。それで亡命した私に何か用が?」
「ええ。端的に言います。あなたに新国家を設立して貰おうと考えているのです。」
「新国家、と。それはまた。私は政治家ではなくルーシー帝国・・・もしくは連邦の1軍人だった男です。その私に新国家を設立しろと?」
「そうです。具体的には・・・ここ周辺です。」
「な・・・!?そこは・・・!?」
カタリナが指を指して示した場所はルーシー社会主義共和国連邦のおよそ1/3の場所だった。
カタリナは更に絶句するトゥハチェフスキーに彼が更に絶句する言葉を放った。
「もうすでにすでに工作してあります。更にあなたの古巣だった赤軍にも工作をしてあります。結果は連邦赤軍の1/3の将官及び佐官はあなたに着く意志を固めたそうです。」
実際はトゥハチェフスキーは本当に人望があり、トゥハチェフスキーがやるなら・・・!と言う人物を片っ端から情報を集め、工作した結果である。
「そうか・・・もうそこまで・・・」
「我々は残念ながら表面上は支援できそうに無い状況ですが、諜報局と帝国3軍は秘密裏に協力する準備がなされています。今はさすがに時期尚早でありますが。」
「・・・・・・・・・・・・分かった。」
ここに既に先を見通した人物による表に出ない戦争が始まった。
3ヶ月後・・・
『デグレチャフ少尉! 意識はありますか!? 少尉!』
私は今、既存の演算宝珠では不可能だった高度9000ftに居る。
辛い。
因みに当たり前のように旧式の91式宝珠で30000ft(およそ1万メートル。成層圏である)まで登る
宝珠は非常に不安定で、魔力を内部に保持できるため、いつ爆発するか分かったものではない。それも半端ではない威力の爆発だ。
これは前線より危険なのではないかと疑う。
間違いなく"安全な後方勤務"の類ではない。
戦技教導団での日々は良かった。良かったが・・・こっちの世界には狂人が居るもので、そのうえ信頼できない。
しかし丁度あのMAD科学者『ドクトル』と空軍設計局の主任設計技師レナ大佐*1とは犬猿の仲だそうで・・・レナ大佐やエリザベート陛下に色々して貰おうかと思ったが考え直した。
『といっても一週間に一回の地獄のようなテスト飛行の為に後方勤務を手放すのも・・・』と言う感じで。
斯くしてターニャは