WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結) 作:紅茶
この小説でも読んで、外出を控えていただければ幸いです。
今、最も苦しいのはあなただけではありません。
今、この一秒にもこの世界の、この地球の住人のほとんどが苦しい思いをしています。
あなただけではありません。
この国難、世界難を乗り越えなければならないのです。
そして何より、最も大切なのはご自身の命です。
何よりご自身の身体を御自愛下さいませ。
この辛い状況を笑い飛ばせる時が来ますように。
by英国の珍兵器
帝国軍の場合
1903年にはG3が採用され、1907年には帝国3軍の隅々までいきわたり小銃はほとんどがG3に置き換えられた。
G3以前の銃は史実のKar98kに当たる1878年に採用されたKar78kが主力小銃を担っていた。
小銃の更新には手間を取られた。
G3は帝国軍では最初のフルオート射撃が可能なライフルであり、機構も複雑なもので分解清掃の教育はそれなりに大変なものであったが、陸空海上層部はG3がいかに優秀で有効な小銃であった事は容易にわかる事であり、更新を推し進めることにしていた。
採用より5年後になるとG3の軍への需要は少なくなってくる。
G3の改良等で需要はあったが、採用直後よりは減っていることは考え付く。
そしてG3の主要生産企業であったE&Kは考えた。
考えて…民間に売ろうと思った。
小銃は20年近く経つと陳腐化が始まり、民間にも流れてくる。
そしてE&KはG3をフルオート機構を排除しセミオートのみのし、民間用としてバレルを406mmバレルへと換装した『EK G3』という名前で売り出しを始める。
このころ、軍は正式採用している小銃としてG3を採用していることを公表していた。
当然、帝国軍が採用している銃だという事で一躍帝国内の民間銃として人気を博す。
1915年ごろになると暇してたウィンチェスター君がG3をライセンスして売らせてくれよー頼むよーと頼んできたために…
一度断る。
ただ、その2年後の1917年に帝国でエリザベートがあきれ返るほどの無能政府が誕生し、政府が合州国のコルト社とウィンチェスター君に民間G3のライセンス生産を許可してしまったことがすべての発端となる。
※その政権は1年で倒れました。
合州国ではG3はライセンス料や元々高額な生産コストをモノともしないような人気を博し、大抵の家庭のベッド脇にG3が置かれている光景はごくごく当たり前となっていた。
合州国軍の場合。
民間G3が生産され始めた時には合衆国軍はすでに動いていた。
帝国軍の戦力分析のためにもG3は入手したい。
そしてライセンス生産されたG3の初期ロットの1番から10番をコルト社より買い入れ、造兵廠スプリングフィールドにて実験が繰り返される。
このころの軍用小銃弾は非常に強力なため、安定して射撃することが難しいと考えられていた。
しかし、歩兵用小銃としての有用性を認めていた合州国陸軍は民間のG3を使用した実験より、セミオートライフルが着目されるようになる。
当時の新型半自動小銃に関する軍部からの要求は、「自動装填式、.25口径から.30口径の範囲で軍用に適した銃弾を使用(.30-06弾を使うことが望ましい)、単純かつ頑丈な構造を備え、生産性に優れること。平均的な兵士が手にする標準軍用小銃であることに留意すること」というものだった。
それにて採用された小銃が『M1ガーランド』である。
G3より生産性に優れ、専用弾を開発せずとも既存の実包を使用することができることから、高い評価を得た。
ただ、機構としてガスストラップ式*1を採用していたため、いくつかの欠陥が生じた。
生じた欠陥を解消し、最終的に合衆国軍主力小銃となっている。
また、同時期にはブローニングM1918自動小銃を開発。世界で2番目ともいえるフルオート可能な自動小銃であった。
連合王国の場合
民間のG3は合州国やさらには帝国からの密輸により連合王国の手に渡った。
連合王国に密輸された際、暴力組織などに渡り、その後治安組織に没収されたものを連合王国政府が反応しそのうちの一丁を分析に使用される。
そして分析した後、この機構はフルオートが可能な設計になっているものの、EK 7.62×51㎜実包では反動が大きくフルオート射撃に適していないとし、フルオート射撃に適してかつ威力や射程をそこまで落とさずに済む実包を模索、口径が7㎜、つまりは28口径の中間実包を採用した。
そしてさらに新機軸を盛り込んだ。
後世ではブルパップと呼ばれるグリップと引き金より後方に弾倉や機関部を配置する方式を採用した連合王国初のアサルトライフルが誕生する。
主にプレススチール加工で量産性を上げる事ができるようになった。
名を『EM-1』と言った。
ただし、採用されて間もなくして非常に多くの問題点が指摘されることとなった。完全に右利き用に設計されている点や、重量バランスの悪さや引き金の硬さなどから射撃精度が悪い点、射撃速度が非常に低い点などに代表される使用時の性能上の問題のほか、銃を落とした時に暴発を起こす危険性が報告されていたほか、部品の破損や脱落も相次いだ。
ボルトにはコッキングレバーが直接取り付けられており、これが発射の際に激しく前後運動する事になる。
そして、EM-1のレバーは配置も悪く、排出された薬莢がこのコッキングレバーに当たってしまう。
その結果、排莢スピードが妨げられるだけでなく、薬莢が排莢口に挟み込まれ、最悪の場合は孔の中に跳ね戻ったりしてしまう。
当然、それは作動不良を引き起こし、弾詰まりを起こす原因となってしまった。
また、マガジンの交換をしやすくするためにマガジン挿入口を広く取ったのは良いが、マガジンキャッチのスプリングが貧弱で、マガジンが自重によって滑り落ちてしまう事もあった。
そして、マガジンに関しても問題があり、マガジンの内部にある実包を上に押し上げるバネも貧弱であったため、弾薬は途中で止まってしまい、装填不良の原因となった。
そのほかにも大量に動作不良が生じたがそんなものは関係ないと連合王国は調達を続行。
少々の改修が行われたが、それが治ることは一切なかった。
だがこれはこれで
1924年2月21日
帝国軍による3月11日の大攻勢のおよそ3週間前。
ターニャは数多くの戦績を上げたこともあって、大佐以下の連中で戦場に立っているものは戦場の空を飛ぶターニャの通り名である『白銀』という名はほとんど全員が知っている、という状態であった。
敵魔導士をことごとく撃墜し、単独撃墜121騎、共同撃墜34騎という高戦績をたたき出し、現時点で戦車17両破壊、火砲13門破壊となっている。
フランソワ共和国軍ではエースオブエース(エースの中のエース)という事でコードネーム「ラインの悪魔」と言われ怖れられるようになる。
帝国空軍にも似たようなエースが存在する。
敵戦闘機を17機撃墜と言うだけでもエースではあるのだが、その人物の配属されている航空隊は戦闘攻撃を主任務としている。
つまり対地攻撃を専門とし、対空はやらないわけではないがたいてい護衛が付き制空も護衛がやってしまうのが普通であった隊に所属しながらも敵航空機を17機撃墜というのは難しいだろう(知らんけど)
その人物をハンス=ウルリッヒ・ルーデルと言った。
戦果は戦車69両、軽装甲車トラック等を72両、火砲25門以上であった。
殺傷した敵歩兵はすでに把握がとれておらず、その点でターニャと同じと言えるだろう。
ちなみにルーデルが乗っている機体は60口径30㎜機関砲を3門搭載したTa152 G-12を搭乗機としていて、特徴的な深緑3色迷彩を機体に施されていることが有名である。
そこから付いた名が或る。
フランソワ共和国軍はその自軍の戦力を著しく削いでいく深緑3色迷彩を施されている機体を『魔王』と呼び始める。
そしてふとライン戦線で上空を見上げると大抵ルーデル機を見かけるという話は意外と嘘ではないらしい。
共和国軍が防衛線を構築するにあたりライン戦線を重点的に戦力を配備した理由は『ラインの悪魔』、そして『魔王』このキチガイどもが2人もライン戦線にいることが、ライン戦線の防御が部厚い防御にしている理由の一つであであった。
最近共和国軍が引きこもり始め、ある程度経験が積まれた元新兵たちで構成された小隊を率いて哨戒の任務に就いているターニャは、直接の上官であるイーレン・シュワルコフ大尉に呼ばれて中隊長に会いに行く途中だった。
野戦テントの天幕を開くとイーレン・シュワルコフ大尉の姿が見えた。
「デグレチャフです。何か私に御用でも?」
「…ああ、デグレチャフ君か。私もわからんのでな。私は君に連隊長の所へ連れてこいと言われただけでな。」
「…」
(まさか軍法会議か?だが戦時国際法にもハーグ陸戦条約にもジュネーブ条約にも違反した行動をした覚えはないが…)
「さて、連隊長のとこに行くか。」
中隊長についていく事30分。
目の前に連隊の司令部を見、中隊長は天幕を捲り連隊長を呼ぶ。
「連隊長!デグレチャフ少尉を連れてきました。」
「うん、ご苦労。それで、君があのデグレチャフ少尉なのかね?」
「そうでありますが…小官に何かごようがあるという事でしたが何でしょうか?」
「うむ…ここで話すのはいかんからな。外で話そう。」
外に出て、テントからだれも聞き耳を立てても聞こえなさそうな距離を取った後に連隊長が話始める。
「さて。君に話すことがあるといったがね。
君は軍大学に行きたいとと思うかい?」
「それは唐突なお話です。小官が行けるのであれば行きたいとは思いますが、なぜそのようなことを?」
「うむ…実は中央より話が来たのだよ。少なくとも、我が陸軍の中枢から。
どんな話かというとだな。デグレチャフ少尉、君を軍大学に受験する資格を与えるという事だ。」
「は…?」
「まぁそういう事だ。なぜ戦争が終わったないのにも関わらずその話が来たのかはわからないが、師団長や方面隊司令官でさえ知らないという話だ。相当上から上がってきたのだろう。
君は士官学校を優秀な成績で卒業したのにもかかわらず軍大学に行かずして戦地へと赴き、そして戦地でも大きな戦果を挙げた。
おそらく、優秀な人材だと考えたのだろうね。
おそらくは自分の派閥に引きこもうとしてるだけだと思うけど。
多分中央で軍大学に入った時点で派閥争いは始まるらしいから、見極めて良い派閥に入るか、自分の派閥を作るか、それとも孤立するのを妥協してどこの派閥に入らないことにしてもいいし。
それでもいいって言うなら、私は軍大学に君を推薦するけど。」
「…よろしくお願いします。」
「分かった。じゃあそのようにしておくよ。」
連隊長とはそこで話を区切らせて中隊長とともに中隊のテントへ帰る。
「中隊長。」
「なんだ?」
「後で一人士官学校へ推薦書類を提出します。」
「ほう。分かったよ。」
その次の日、小隊で補佐をしていたセレブリャコーフ伍長を士官学校へ推薦する書類を中隊長イーレン・シュワルコフ大尉に提出、中隊長や連隊長はそれを受理したためにセレブリャコーフ伍長は士官学校へ入学することとなった。
5日後の2月26日。
セレブリャコーフ伍長とデグレチャフ少尉は同じ駅に立っていた。
士官学校と軍大学はほとんど同じ方面であるために折角なので二人とも同じ列車に乗ることとした。
「少尉は軍大学に入学ですよね?」
「そうだが。」
「それだけ優秀だと認められたってわけですよね。さすがは少尉です。」
「まぁ一応ありがたく受け取っておこう。ただ軍大学に行くのもそれなりに覚悟がいるけども。」
「そうなんですね。」
列車の車内がすっからかんな状態で列車は軽快な走行音を立てながら東の帝国中央へ向かう。
兵站を重視する帝国軍は列車のほかにも空輸や海上輸送、陸路でトラックでぶんぶんしたりと兵站戦のバックアップを用意している。
(旧日本のように兵站を分かっている人間がいるようだから兵站はあまり心配せずに済むから意外と楽だろうな。)
ちなみに帝国3軍+近衛では兵站などの裏方を重視できない人間はそもそもどう頑張っても昇進が難しいといわれている。
帝国中央の駅に着いた。
駅に降り立った私はセレブリャコーフ伍長と別れる。
2週間後の3月5日、私は軍大学の図書室へ赴いていた。
まさか二度目の大学生活を送ることになろうとは思いもしなかった。
派閥争いがあると聞き少々身構えていたが、そんな事は無かった。
派閥争いが激しいのは参謀課程などでいずれは部署のトップに着けるだろう人物が集まる所位だった。
そんなところを皇族である二人は別にして、カリン少将までくぐり抜けたのは尊敬に値するだろう。
そういえば士官学校時代に2等生をブンブンしようとした時に私の手をつかんだ人物は少々気になる。
メガネを掛けており、確かちらっと見えた階級章は少佐だった。
ただその人物には以外と早く出会えそうだ。
入学したばかりであるが、帝国陸軍の図書室にはかつての卒業生の卒業論文すべてを保管されている。
そしてここには現在近衛第2師団師団長カリン・フォン・フート近衛中将やカタリナ殿下や現皇帝エリザベート陛下の卒業論文さえ保管されている。
残念ながらレナ空軍中佐の卒業論文だけは空軍大学に行かないと読めない物だが。
そのうち本人にも読ませて貰えるよう頼んでおこうか。
軍大学でその話を聞いたのは一ヶ月後であった。
帝国軍があの守勢に入ったフランソワ共和国軍を撃破し、既に敵前線を崩壊させ共和国首都の目前にまで迫り、帝国との間に休戦協定を結ばれたのは。
「・・・休戦協定だと!?
共和国軍の奴らはまだ戦争を続ける気か!」
ターニャは史実においてのダンケルク撤退戦を危惧していた。
ダンケルク撤退戦が成功されれば泥沼の戦争が始まるのだから。
「面白そうな話だな。私にも聞かせてくれんかね」
そんな最中、後ろから声をかけてきた人物。真っ先に階級章に目をやる。
准将であった。
「ゼートゥーア閣下!どうしてこちらに?」
「いや何、会議後の気まぐれでね。それに君がどうにも軍大学で何かをしているという噂も聞いた」
「気にかけて頂き光栄の至りであります」
「君はその若さで我軍の撃墜王、それも女性となると、誰でも覚えてるだろう。
空軍にも負けないほどの戦果を陸軍にてあげているのだからな。」
帝国は何も輸送機や戦闘機などでブンブンするだけの仕事では無い。
撃墜されたパイロットや味方魔導師を救出したりするのは空軍の仕事であり、さらには基地防空の一つとして奇襲してくるであろう魔導師迎撃の為の魔導師さえ戦力として保有している。*2
空軍はその強大な航空戦力の保持しているので、帝国陸海軍に何かあったらとりあえず頼るということをしている。
ただ制空権を取るには空軍も必要だが敵から出てくる魔導師を戦線で迎撃し制空権を確保するのは陸軍の仕事である。
なぜなら、空軍の魔導師は少数精鋭の特殊部隊と基地防空を担う魔導師しかいないからである。
そんな事情がある。
「君の意見が聞きたかったのだが、貴官はこの戦争をどう捉える?」
「大戦に発展しうると考えています」
「大戦…とは?」
「主要列強の大半を巻き込んだ大規模な戦争。世界大戦と呼ぶべきでしょうか」
「…根拠は?」
「まず帝国は他の列強に対して国力、軍事力の点で頭一つ所か二つ三つほど抜けて優位に立っています。他の列強に対して1対2か3であれば勝利できるでしょう」
「共和国には勝てない訳がないのだからな。」
共通認識があるというのは話がしやすくてありがたいことだ。
「しかしながら、この優位は他の列強には脅威であり、共和国を勢力下に入れることを連合王国や連邦が見逃すとは思えません」
「彼らはこの戦争には直接関わっていないはずだが?」
「仮に共和国を帝国が併合、もしくは国力を抽出できる状態にしたとすると、帝国は2つの列強と同時に戦争をして尚、優位に立つことが出来る超大国、いえ"覇権国家"となります。仮に帝国が敗北したとすると、逆もまた然りです」
「なるほど。そのような圧倒的な脅威が目の前で誕生するのを何も言わずに見守る事は出来ない。そういう訳だな」
「はい。これを阻止するためには共和国と帝国が消耗して共倒れになるようにするしかありません」
「具体的には?」
「外交的圧力、レンドリース、義勇軍の派兵等が分かりやすいかと」
「直接参戦の可能性は?」
「帝国が共和国に勝利した、若しくはその可能性が高いとすれば、多少無理にでも参戦すると推測します」
「勝利、敗北、共倒れ。どれを取っても帝国にとって最終的な勝利とは言い難い、と」
「はい。」
「ふむ・・・なる程。
我々帝国3軍及び近衛の上層部でも既にその結論に達している。
ただ、その結論に至るまでにあのお方の発言が無ければそこに至らなかっただろう。
私達は軍人であり、政治家ではないのだからな。
・・・君は軍政の道に歩むつもりはないかね?」
「軍政、ですか。
生憎と私は参謀課程を履修して居ないので難しいかと。」
「なるほど。君が進みたいと言うのなら力になるが。まぁ考えておいてくれ」
「は。」
准将の階級章を付けた人物は去っていったが。
"軍政"か・・・その道に進めば確実に後方勤務になるだろうな。
今は軍大学を卒業しなければ始まらんな。