WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結) 作:紅茶
あ、クランに新しい隊員が入りました。
やったね!
という事でキャラクター追加入りまーすw
20XX年X月X日
とある欧州にある大学に勤める戦史研究家は個人的に質問しに来た自身の生徒にこう語る。
「連合王国は愚策に出ました。我が帝国の軍事が強大だと考え、破壊工作で対抗しようと考えたのでしょう。
ですが目標が悪かった。空軍の航空基地への攻撃や線路の破壊はまだ良かった。航空基地は軍事基地でありますから、被害はせいぜい直接戦う軍人でした。線路も破壊こそすれどもわずか一夜で直してしまう。
ただ、港への工作が良く無かったのです。これは良く無かった。港の破壊工作で一般人が少なくないほどの死傷者が出たからです。
代表的なのはイェーファー基地襲撃のおよそ3日後の1924年4月1日に起きたハンブルク港事件です。
ハンブルクは民間港ではありますが、軍需物資を扱う港でもある戦略的にも重要な港でした。
その港に連合王国のMI6は眼を着け破壊工作を仕掛けます。
クレーン等に爆薬を仕掛け工作をしたのです
結果は上々でクレーン5基を破壊し港湾機能の半減に成功したのです。
しかし同時に民間人への被害も少なくなく、237名が負傷し傍で働いていた75名が死亡したものとなりました。
その事件により帝国の世論は一気に傾きました。
帝国軍が防衛戦術で戦っても“この戦争は防衛戦争だから”で終わり、さらにフランソワとの休戦条約でも同じように“この戦争は防衛戦争だから”というスタンスで要求が相当ぬるくても寛容でした。
ただし、連合王国に対しては別の話になってしまいました。自分たちの同胞が破壊工作で死んだ。
もしかしたら自分たちもその標的になるかもしれない…
その状態になったとき、人はどちらかに振りきれます。
すなわち、
・戦意が高揚する
・戦意が低下する
のどちらかになります。
帝国の場合は前者となりました。
そしてこのような世論が形成されます。
“殺られる前に殺ろう”
と。
どこから出てきたことは不明です。ですが、
帝国の世論は連合王国への徹底的破壊を求めるような過激なものへと発展してしまいます。
最悪なことに、帝国空軍―――今の王国連邦空軍のことです―――は当時世界最強クラスの空軍力を持ち、現在もその実力を合州国空軍と競っている状態です。
帝国空軍はその民意に答える事ができる戦力を保持していました。
連合王国はその日から斜陽の帝国へと一直線に駆け抜けていくことになっていくのです。」
――――――――――――――
1924年4月7日 帝国空軍作戦室
「イェーファー基地における敵破壊工作被害のための復旧はすでに完了しています」
大佐の階級章を付けた人物が3つ星の階級章の人物にそう話した。
3つ星の階級章を付けた人物は帝国北部と連合王国の南部が描かれている地図を前に考え込んでいた。
「そうか。ぜひとも敵も我らと同じ気持ちになればよいのだが。」
ここで帝国空軍の戦力がどれほどあるのか見てみようと思う。
総作戦機 5250機
戦闘攻撃機 3500機
迎撃機 1000機
輸送機 500機
偵察機 250機
練習機 150機
である。
広大な帝国を守るために作った結果がこれである。
戦闘攻撃機はみんなおなじみTa152のG型。
1t爆弾1発と500㎏爆弾か1t魚雷一発とロケット弾24発等、まさにチートなレシプロ戦闘攻撃機。
迎撃機は高高度戦闘機とも兼ねているTa152H型を使用。
Ta152Hは武装は12.7㎜機銃8丁か、小型軽量の30口径30㎜機関砲一丁と20㎜機関砲2丁のどちらかの武装に分かれる。
輸送機はEKC-1戦術輸送機とEKC-2戦略輸送機。
どちらもSTOL機能をもち、最高高度は1万3250m、適正高度は1万1000mと高高度を悠々と飛行可能。
戦車は無理だが、歩兵戦闘車、騎兵戦闘車、装甲車、自走りゅう弾砲、人員を輸送可能である。
偵察機は二つの種類が存在する。
電子的に偵察するという観点で言えばあってるのだが早期警戒機と、高高度偵察機を使用している。
EKC-1を改造した艦載を考えられてある早期警戒機*1版のEKC-1Eを100機ほど運用している。
EKC-1EはEKC-1の上に紡錘断面の楕円形レーダードーム(レドーム)が搭載されたものである。レドーム下面には方向安定板を持ち、機体とは支柱によって支えられている。
内装のレーダーは最大150マイル(240㎞)を捜索可能。
レーダー等を搭載したことによる重量増加と重心位置の変更に対応するために主翼、全部胴体が延長され、尾翼も双垂直尾翼に変更され、主翼折り畳み機構も変更された。
操縦手2名、レーダ手2名が乗り込む。
高高度偵察機では
Ta152の迎撃機/高高度戦闘機型のTa152H型を改造した
Ta152R-1を使用している。
Ta152R-1はH型の武装を12.7㎜機銃2丁に減らして軽量化をし、そして複座型にした艦載高高度偵察機である。
パイロット1名、無線・カメラ操作員1名
Ta152R-1型を150機運用中。
うん。チートだな(確信)。
そんな空軍がこんな戦力を持っていたので、戦力で劣る連合王国は破壊工作等の非対称戦を仕掛け、帝国を無力化しようと考えるのは当然の帰結だろう…
――閑話休題――
帝国空軍がイェーファー空軍基地及びハンブルク港の破壊工作の報復として連合王国空軍に正面から挑戦状を叩きつける。
そんな作戦が計画、立案状態であった。
作戦名は―――――――
アシカ作戦
第1フェーズ。
とりあえず偵察。
連合王国のレーダー網を構築するレーダー基地の正確な位置情報を得る。
そのために早期警戒機EKC-1Eを10機ほど上空に挙げておき、高高度偵察機Ta152R-1を10機ほどで航空偵察しレーダー基地を把握。
さらには敵航空基地を威力偵察のような形で把握する。
第2フェーズ
レーダー基地の位置を把握した後、把握したレーダー基地をほとんど同時刻に襲撃し破壊し、その直後に敵航空基地に別攻撃隊が滑走路と基地施設を破壊し制空権の優勢を継続確保。
第3フェーズ
新設された海軍航空隊と共同でロイヤルネイビーの頭上に爆弾の雨を降らせる。
第1目標、敵艦船
第2目標、軍港施設
第3目標、その他の軍事施設
第4目標、軍需工場
第4フェーズ
制空権の完全確保。
を目的としている。
ただ、バトルオブブリテンの敗因の一つの航続距離が足りないんじゃないかという質問もあるのではないだろうか?
それについてだが…
Ta152の戦闘行動半径は30分の戦闘時間も加味して最大1900㎞(増槽付き)である。
ただ、これは胴体パイロンに520ℓ大型増槽一つ、両翼パイロンに360ℓ中型増槽を2つ付けた場合である。
通常戦闘は対地任務ならば翼に中型増槽2つ吊り、胴体に1t爆弾を1つ吊り下げるか、胴体に大型増槽を1つ吊り下げ、翼に500㎏爆弾2つ吊り下げ、その上で対地上目標用ロケット4発を装備する。
制空任務ならば単純に翼に中型増槽を2つ付けたうえで、空対空ロケット弾10発を装備する。
その場合、戦闘行動半径は1400㎞程度となる。
この世界のベルギーやオランダ当たりの航空基地から出撃するならば余裕で連合王国全体を空襲でき、連合王国の南部で戦闘したとしても、その余裕のある航続距離は戦闘時間が10分や20分ほど長引いたところで無事に帰還できる事を表している。
1924年4月5日
フランソワ共和国との休戦協定が結ばれる。
ただ、帝国空軍はそんなことは関係ないとばかりに準備を始めていた。
4月5日13時53分 ハーグ沖50㎞
「現在高度1万1000m、レーダー入感あり。
機長、レーダーに捕捉されました。」
「うん、要撃機が上がったらまた教えてくれる?」
「分かりました。」
高度1万メートル以上という高高度は本来人間が居て良い場所ではない。
空気の濃度(圧力とも言う)はおよそ半分以下に減少し、気温は人間が十分凍死できるほど冷たくなる。
そんな上空を飛んでいるのは帝国空軍所属早期警戒機
EKC-1Eである。
完全気密のキャビンにより高度1万メートル以上でも快適?な環境を整えてくれる何とまぁ訳の分からない早期警戒機である。
なお、レーダー等の電子機器の発熱でほとんど暖房は要らない状況になっているが。
逆に暖房付けると暑いくらいだとの評判である
一応高高度で悠々と飛んでいても一応は非武装であるので護衛戦闘機が必要である。
護衛戦闘機は高高度戦闘機であるTa152Hが増槽を付け、1∼2個小隊の4機から8機で担当する。
今回は4機1個小隊の護衛を傍に侍らせ、高高度電子偵察と言ったところだろうか?
「敵要撃機上がりました.
方位1-6-0、相対速度350ノット、距離65マイル.
方位1-7-2、相対速度319ノット、距離130マイル」
「よし、じゃあその方向に飛行場が有るといったところだな。
燃料がそろそろビンゴじゃないか?
…帰るか。」
「分かりました。
タワー、こちらホークアイ。
ミッションコンプリート、RTB。」
その3時間後、帝国空軍第18航空団がいるコクスアイデ空軍基地から第501偵察航空団より5機が護衛10機を引き連れ高高度偵察をすべく4月の空へ上がった。
その2日後、或る作戦が認可された。
『アシカ作戦』
帝国語で
『Unternehmen Seelöwe』
その作戦が認可されたのにはある背景がある。
帝国の世論が連合王国への強硬派を占めたからである。
短い時間で沸き上がった感情は帝国政府をも手を焼き、皇帝がラジオ等で諫めようと努力しても止まることはなかった。
どちらにしろ、連合王国は早めにコロコロしておくべきだという議会の圧力もあり、その作戦はあっさりと認可された。
『アシカ作戦』
それは、近いうちに行われるであろうダンケルク撤退やそれに近い出来事が起こると予想される。
できればそれは阻止したいが、ロイヤルネイビーがクッソ邪魔だという事である。
であるならば、ロイヤルネイビーを制空権を確保した後に素早く殺り、その情報をフランソワ共和国側に渡らせないように帝国3軍に設置されている情報部による欺瞞無線を流しながらのうのうと出てきた奴らを高速侵攻中の陸軍で攻め落としながらほとんど開店休業中の海軍、そしてその地域の絶対的防空権を奪取する空軍による殲滅戦を行うといったところである。
皇帝エリザベートちゃんは承認するときにこう言った。
『そんなうまく行くのかな?』
と。
(大丈夫です、ルーデルさんが敵を海の藻屑にしてくれます。)
―――――――――
1924年4月10日 7時03分
帝国国内の航空基地7基地より空軍所属のTa152G型1725機、海軍航空隊所属のTa152G型315機。
早期警戒機EKC-1Eを15機、高高度偵察機をTa152-R1を25機。
高高度偵察機Ta162Hを150機。
輸送機EKC-1を25機、EKC-2を25機。
合計作戦機2280機が『アシカ作戦』に投入された。
10時13分、連合王国のレーダー網に帝国の攻撃隊が探知される。
「これは…」
連合王国のレーダー士官が絶句した.
「航空機反応、距離6マイル!」
「迎撃機を上げろ!なんでもっと前に報告しなかった!」
「急に現れたんです!」
「ええい、今言っても仕方ない、今すぐ上げろ!」
各飛行場より量産が始まり配備が始まった最新型スピットファイアMkⅹⅹⅡ、MkⅹⅹⅣの稼働機すべてが連合王国南部にある飛行場より飛び立つ。
総勢113機。
スピットファイアの最新型はTa152とほぼ同等か若干下程度の2000馬力級ロールスロイスグリフォンエンジンを搭載していた。
劣っているとすれば武装程度であった。
スピットファイアmk22,Mk24の武装は20㎜イスパノmk2機関砲4門を積んでいた。
ただ、その武装は低空侵入用として開発され、防弾装備をこれでもかと積んだG型にはいかんせん決定打に掛ける物だった。
G型を落とすには、薄めの装甲で守られているエンジン部を被弾させるか、エルロン、ラダー等の操縦翼の破壊を狙わねばならない。
着発して爆発する対空用20㎜榴弾で操縦翼を吹き飛ばすか、最も装甲が薄いエンジンを徹甲弾でぶち抜くか。
そのどちらかをしなければならない。
そしてTa152はその重量に見合わないほどの操縦性能を有している。
大重量の機体は運動性能低下を引き起こすが急降下時の最高速度は最高800∼900㎞/hとジェットですか?と聞きたくなるような物で、機動性に関しても大重量であるので軽快ではないが速度が適正であればという条件が付くが、軽快な戦闘機にも負けないほどのターンレートを発揮する。
ただ、今回は機体性能の差という物で勝敗が決まるわけではない。
高度60m以下で飛行し、レーダーによる探知を遅らせる。
迎撃機が上がった事を早期警戒機が感知すれば、素早く護衛が迎撃機しに来たスピットファイアの迎撃に向かう。
今回、攻撃隊は2次に分けてある。
第1次攻撃隊
目標早期警戒レーダー網の破壊。
第2次攻撃隊
目標迎撃網構築の一端を担う飛行場等の破壊。
この2つである。
護衛機と迎撃機が交戦し始めると攻撃隊がその隙を縫い、すり抜けレーダー基地へと一直線へ向かう。
第1次攻撃隊総勢623機、うち半分が護衛機313機。
ここまで言えばわかるだろうか?
である。
迎撃機のスピットは常に数で押され、もし幸運な連合王国パイロットが1機撃墜できたとしても後ろから発射された60口径30㎜機関砲に粉砕され、呆気なくドーバー海峡の藻屑へと消える。
そして爆弾を詰め込んだ総是313機の爆撃隊はレーダー基地をその腹に抱えている500㎏爆弾もしくは1t爆弾、さらには最後の仕上げに対人地雷30個を詰め込んだ収束爆弾を投下する。
そして、そのレーダー基地はレーダーを破壊された上さらに対人地雷を撒かれ、まずその地にレーダーを復旧する事において絶望的になってしまう地雷原へと早変わりするのだった。
爆弾を早々と投下し終わった機は未だに制空戦闘を続けていた味方に加勢。
戦力差とライン戦線等で培ったロッテ戦術や、2機一組としたTa152G型の弱点の低速時における劣悪な機動性を長所である丈夫さを生かして自然に開発されたサッチ&ウェーブ等の戦術機動で常に優位に立ち、軽量で機動性に優れているはずのスピットファイアのパイロットを苦しめた。
なお、相手になったのはスピットファイアのみであり、連合王国の隅々から搔き集められたハリケーン戦闘機は秒で粉砕されるのがオチだった。
連合王国南部に配備されていた警戒レーダー網は破壊され、そもそも連合王国南部の稼働機がすべて出払った状態で管制も何もない状況ではなくなった連合王国空軍。
もともと連合王国にはおよそ1000機ほどの戦闘機を搔き集めたが、最新型のグリフォンエンジン搭載スピットファイアや前線で目撃されたTa152G型の影響を受けた戦闘爆撃機型のホーカータイフーンや連合王国機最速ホーカーテンペストは王国全土を見るとそのうちの70%を占めていたが、それ以外の30%は旧式のハリケーンであった。
南部に配置されていたスピットファイアは壊滅、連合王国の首都を守る戦闘機隊がおっとり刀で駆け付けた時にはすでに帝国空軍機は引き上げた後だった。
迎撃するもむなしく破壊されたレーダー基地。
そして全く静寂に包まれている海。
高度1万8000ftを巡行速度300knotで飛行するTa152攻撃隊が進む。
そのTa152は映える真っ青をベースとした海洋迷彩、機体下部は若干灰色の制空迷彩を施されていた。
胴体にはD.K.Marineと書かれている。
彼らは帝国海軍航空隊である。
空母での運用が控えているが、その前に実戦を経験させたい狙いである。
総勢325機の大編隊はどこに向かっているかというと…
連合王国海軍の根城。
すなわち世界で1,2位を争うRoyal Navyの本拠地である――――――
スカパフロー海軍基地である。
連合王国上層部では開戦に先立ち、帝国の沿岸部を艦砲射撃してはどうか?
いっそのこと、スカゲラク・カテガットの両海峡を突破し、バルト海から陸軍を上陸させてはどうか?
そんな案もあったが、海軍上層部は頑として譲らなかった。
航空機で戦艦が沈められるとは考えにくいが、それでも数百機の帝国空軍機に襲われたら、無傷では済まないと彼らは判断していた。
結局、出撃するということはなく、開戦から今日まで続いていた。
そういう事情も手伝って、スカパ・フローは平時と変わらない雰囲気だった。
静かな…そう。
静かな海である。
対空陣地が増設されたり、レーダーサイトが新しく建設されたりしていたが、本土から近いこともあって、前線のようなピリピリとした雰囲気ではない。
魔導師達も2個中隊程度しか駐屯しておらず、メインランド島にあるオークニー諸島唯一の飛行場には戦闘機が50機程度、爆撃機は20機程度しか配備されていなかった。
何かあったら、本土からすぐに援軍がやってくる、というのがスカパ・フローやその周辺に存在する全ての部隊における共通認識だ。
連合王国海軍の本国艦隊は戦艦を15隻――――-全て15インチもしくは16インチの主砲を持つ超弩級戦艦や新戦艦と言える物を保有しているが、そのうちの半数をスカパ・フローに置き、帝国海軍に対して睨みを効かせていた。
帝国から遠い事も手伝い、対空陣地が増設されたり、レーダーサイトが新しく建設されたりしていたが、本土から近いこともあって、前線のようなピリピリとした雰囲気ではない。
「空軍の連中が言うには、近日中に戦闘機が半分くらい引き抜かれるらしい」
「そいつは羨ましいな」
レーダーサイトにて、昨日の夕方から勤務に入り、あと数時間で勤務が終わる2人はコーヒーを飲みながら、眠気覚ましに会話をしていた。
PPIスコープの画面を見るというのは退屈極まりない。
もちろんその事は帝国空軍のレーダーサイトを監視しているレーダー士官でも変わらない。
眠気との戦いではある。
「帝国軍はアルビオン・フランソワ海峡を超えて、ポーツマスやドーバー、ロンディニウムあたりを空襲するっていう噂だ」
「ありえるな。そっちのほうが距離も近い。共和国の沿岸部から目と鼻の先だ」
「だから言ってやったのさ。俺たちも連れて行けって」
「ああ、本当にな。まったく、まさかこんなところに配属されるなんて思ってもみなっ……」
何気なく、1人がPPIスコープの画面へと視線をやったときだった。
南西から多くの輝点が光ってスカパ・フローへ向けて、高速で接近しているのが映っていた。
呆けたように彼がそれを見ていると、もう1人もまたPPIスコープの画面を見る。
「なんだこれは?方角からしてアバティーン当たりの航空隊か?だったら朝早くから訓練でもしているんだろう。
それか、アバティーン航空隊から本土へ引き抜かれた航空隊が本土に向かって向かってるのか?
数日前にそんな噂を聞いたことがあるぞ。」
「…そっか、そうだよな!なんだよ、勤務上がりにこんなのは勘弁してくれだぜ。」
「まったくだ。」
「あと3時間はあるから、一応報告だけはしておくか?」
「それもそうだな。しっかり仕事をしているというアピールができる」
それで給料があがりゃいいがな、と言って2人は笑い合う。
そして、彼らは電話にて上官へと報告を行った。
レーダーサイトから報告を受けた大尉は首を傾げる。
とはいえ、報告を受けたからには確認をせねば自分の責任問題になる。
大尉はすぐさまスカパ・フロー周辺の守備隊の司令官である大佐へと電話を掛けた。
その時の時間は7時32分。
大尉はその時針の音が異常によく聞こえて不気味であったと語った。
「航空隊?アバディーンか、インヴァネスの部隊か? 私も聞いていない。すぐに確認をしろ」
ここはスカパフロー。
連合王国の最大の海上戦力が集う場所。
そんな場所に敵が攻めてくるはずがないのである。
ターニャは不貞腐れていた。
陸軍大学が休みの休日にいきなり起こされ、訳の分からないままに飛行場に連れてこられ、パイロットの服を着せられ、1時間ほど機上の人となっていたからだ。
ただ、それを態度に出すとあまりよろしくはなかった理由があった。
操縦席にいる人物。
「ターニャ少尉、少し不機嫌じゃないかい?」
「いえ、まったくそのようなことは御座いませんが?」
「イントネーションが怒っているように聞こえるけどね。」
ナスターシャ・フォン・シグラ空軍准将である。
(年齢37歳既婚w)
ちなみに中身はQ太です。
ナスターシャ准将は帝国海軍で空母艦隊が発足した際には第1空母打撃群航空隊指揮官として就任し、現在は325機の海軍航空隊を率いる指揮官として―――――
「陸上にいろってか?馬鹿じゃないのかい?やっぱり前線だよねぇ(^^♪」
―――適切であるかは置いといて。
本当は優秀なのだけども、前線に行きたがり参謀以下全員を困らせる困ったちゃんであった。
ターニャはそんな准将と一緒にTa152の高高度偵察機型であるTa152R-1の機上にいる。
「そんな機嫌を悪くしなさるな。そろそろいいものが見えるから。」
「良いものってなんでしょうか准将殿…」
「スカパ・フローだよ」
「本当ですか?」
「おぉ、食いついた食いついた!そうだよ。言ってなかったかい?」
「初めて聞きましたよ!ですがスカパフローですか。」
無神論者であり、運命とかそういうものなど信じたこともがないが、それでも何か、不思議なものを感じてしまう。
高度3万ftの上空から見える朝日に照らされたオークニー諸島はとても綺麗であり、ターニャは少しの間、見惚れてしまった。
こういう体験は前世では絶対にできなかった。
午前4時にたたき起こされた分の眠気が一気に吹っ飛んだ気がした。
「さて、仕事するかね。」
そう言い前部で操縦桿を握っているナスターシャが取り出したものは無線機であった。
「全機、攻撃開始!」
第24海軍航空隊、第25海軍航空隊、第26海軍航空隊総勢325機は各中隊に分かれて攻撃態勢に移る。
まず主目標であるレーダーサイトを破壊する。
レーダーサイトはメインランド島、サウス・ロナルドシー島の東側に2箇所ずつある。
それらは魔力探知用と航空機探知用が1つずつだ。
その後は滑走路、対空砲、港湾施設、そして艦船。
これらを叩くつもりでこの航空隊ははるばると飛んできたのである。
そして、ターニャ達は見た。
スカパ・フローに停泊し、朝日に照らされている艦達を。
ターニャは柄にもなく興奮した。
写真を、写真を撮りたいっ!
だってあれ、クイーン・エリザベス級とレナウンとフッドと、マトモな形のネルソン級だぞ!
この世界は軍縮条約とかなかったから、ネルソン級が16インチ砲を前部2基、後部に1基という常識的な配置なんだぞ!
勿論、三連装砲だ!
その柄にもなく興奮しているターニャを後ろ目に見た人物はこういった。
「ターニャ少尉、その偵察カメラで撮ってい良いぞ。」
「本当ですか?」
「戦果確認には良い代物でしょ?
その前に…高度32000ftから一気に降下するよ!高度21000まで!その高度から撮ってね!」
「分かりました准将殿!」
その間にも、攻撃隊は陣形を攻撃陣形へ変更し、レーダーサイトを攻撃する一個中隊計2個中隊と、航空基地を攻撃する一個中隊が離れていく。
その他は…
「目に入った物は破壊しろ。
もちろん全部だ。」
だ、そうです。
2つの中隊からレーダー基地破壊の報告された時間には高度21000ftまで高度を下げていた。
「ターニャ少尉、21000ftまで下げました。撮っていいですよ。」
と言ったら、とりあえずHoodからゲテモノじゃないネルソン級などの戦艦を撮り始めた。
そして撮っている途中で目にしたものがあった。
「空母…?」
「あ…おそらくイラストリアス級だろう。イラストリアス級がその基地に1隻寄港しているらしいね。」
「なるほど。」
攻撃隊は格納庫、管制塔の順番で潰し、航空燃料が詰まったタンクを破壊してその後仕上げに軽~く上から対人地雷30個ほど詰まった収束爆弾を5機、計10発。対人地雷が300発ほど撒き、航空基地への攻撃を終了する。
その後港湾設備、対空砲を攻撃し、多大なる戦果を挙げることに成功した。
その後は…
メインディッシュである。
乗員の対艦攻撃に慣らさせるための一環として行われた作戦であったが、実に成功した。
Ta152の兵装は雷撃隊は1t魚雷を1発と対地ロケット24発、増槽2つ。
爆撃隊は1t両用爆弾と両用ロケット弾24発、増槽2つ。
それが、飛行場、レーダー、港湾設備を破壊した後も150機ほどは残っていた。
それらが対艦攻撃し始めるとどうなるか…
「落ちろっ! くそったれ!」
叫びながら、射手は撃ち続ける。
2ポンド8連装ポンポン砲は先月、改良型に交換されたばかりであったが、特に不具合が起きることなく、快調に弾丸を敵機に向けて送り出し続けている。
初期型の信頼性は酷いものだった為、有り難いものだった。
しかし、敵機は全く落ちない。
初速が遅く、弾速もクソ。
それを補うために8連装にしたのだが…
当たらないものはどうやっても当たらない。
先ほどの敵襲ではかろうじて被害があった艦はごく少数であった。
その代わり、港湾施設をはじめとした様々な施設の被害は甚大であり、スカパ・フローは完全に艦隊拠点としての機能を失ったといえるだろう。
そして、空襲の最後に停泊する本国艦隊に向かってきたのが皆おなじみTa152G型帝国海軍機である。
「ああっ! フッドがっ!」
その声が聞こえた、多くの水兵達が一瞬立ち止まってそちらを見た。
フッドは右にゆっくりと傾いていった。
その光景は現実感がまったく無く、さながら映画のワンシーンだと言われても信じてしまうくらいに。
そしていきなり火炎とともに大爆発を生じさせ急激に艦体を横倒しにさせていく。
完全に横倒しになり、盛大な水しぶきと波を湾内に引き起こした。
しかし、機銃の射手が配置についていたネルソン級2番艦ロドニーもまた他人事ではなかった。
各所の見張員から次々と悲鳴のような報告が艦橋へと入る。
「敵機直上急降下! 6機突っ込んでくる!」
「左舷に敵機!」
「右舷からも敵機接近!」
「前方から敵機!」
「後方からも敵機!」
巡洋艦や駆逐艦も、ネルソンを支援すべく、自艦への敵機を顧みず、彼女に近づく敵機へ対空砲を向ける。
そこには防空巡洋艦が多数配備されていたが、砲塔旋回速度が遅く対空戦闘できなくもなかったが難しい状況であった。
ロドニーの対空砲火の銃口を敵機に向けるが5方向から向かってくる敵機すべてを対処できる方がおかしいわけで。
Ta152の6機編隊が一トン爆弾と同時に増槽を切り離し、4方向から迫る雷撃隊も4機編隊で魚雷投下コースに入り魚雷を投下した。
或る駆逐艦の乗員は見てしまった。
敵機が切り離した見たことあるような爆弾より少し大きい奴がネルソンに向かって落ちていくのを。
敵機がロケットを発射しながら魚雷を投下しているのを。
魚雷の航跡はロドニーへと延びていく…
そして、爆弾がロドニーにほとんど命中した。
対地対艦両用爆弾は甲板装甲をギリギリぶち破って何とか爆発を起こして火災を生じさせた。
それと同時に、ロケット弾の着弾と爆弾の着弾の飛び散った破片によって高角砲員や機銃手の多くが重傷を負った。
しかし、左右から魚雷が迫っていた。
左舷から12本、右舷から8本であり、それはまっすぐにネルソンへと向かっている。
まず大和とかいう異能生存体でない限りその数の魚雷には耐えられないだろう。
火災を発生し、多くの死傷者が発生してもなお、ロドニーはロイヤルネイビーの誇りをもって浮き続けようとする。
そこへダイドー級防空巡洋艦HMSハーマイオニーとJ級駆逐艦Janusが機銃を海面に向けて撃ちまくりながら、その一方で浮き輪をネルソン目掛けて左右から投げる。
ダイドー級のハーマイオニーに至っては主砲を海面に撃っていた。
神の気まぐれか、左舷からの魚雷のうち2本は機銃による迎撃が成功し、右舷側はダイドー級による主砲や機銃によって3本の魚雷を爆発させることに成功した。
ただ、無情にも魚雷がロドニーに8本命中し、そのうちの2本が弾薬庫に綺麗に命中。
ロドニーは第1、第2主砲を朱い爆炎で主砲を吹き飛ばし、彼女自身はは艦上全体を黒煙で覆い尽くし、甲板からは乗組員達が次々と海面へと飛び降りている。
しかし、魚雷による弾薬庫誘爆によって船体が破損したことで、大量の海水が流入したことによるものか、それ以降爆発を起こすことはなかった。
HMSHoodは1t爆弾を2発、1t魚雷3発を受け撃沈、戦艦ロドニーは1t爆弾3発、魚雷8発を受け撃沈。
そのほかその場にいた戦艦3隻のレナウン、バーラム、ロイヤル・オークはいずれも撃沈され、航空母艦イラストリアス級2番艦ヴィクトリアスも撃沈。巡洋艦もHMSハーマイオニーを残しすべて撃沈が撃沈された。
駆逐艦はJ級駆逐艦JanusとJervis、他3隻が残ったのみであった。
「…静かな空は鎮魂歌によく合う。戦果確認だ少尉。」
「は。」
いやに静かな、エンジンの音が響く偵察機の中でターニャはあちこちから煙が立ち上るスカパフローを撮っていく。
攻撃終了時刻
1924年4月10日8時34分。
ナスターシャ・フォン・シグラ(37)
身長173.5[㎝]
バスト :87[cm]
ウェスト:69[cm]
ヒップ :95[cm]
Cカップ
もとは空軍大佐であったが、そろそろ前線勤務できなくなってきたので海軍に転向してみた変な人。
実は転生前はバイセクシャルで男も女もいけるが、一応女性の方の彼女が居た。
今はちゃんと男と結婚。前世はバイセクシャルであったために抵抗は全くなかった。
2人の娘を抱えていた。
戦闘技術はG3の銃床で敵を殴り殺すのが好きだった。
魔導士レンジャー持ちでありながらも、Ta152パイロットでアグレッサーをしていた経験がある。
現在海軍准将。
そしてキチガイ+腐女子
普段は黒髪を後ろで束ね、前髪は左右にピンで留めている。
目はダークブラウン。