WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結) 作:紅茶
皆さんもスマホばかり見ず、森林を遠くから眺めるようにしましょう。
1925年8月13日
連合王国の凋落によって、対帝国戦を決断させられたルーシー社会主義共和国連邦。
ただ、帝国の諜報機関“帝国諜報局”が秋津洲に手を伸ばし不可侵条約を先延ばしにさせたおかげで時間を稼ぐことができたのである。
帝国はその時間的余裕を用いて、おそらく多くの戦場で活躍するであろう軍組織に力を入れた。
帝国陸軍である。
と言うのは早いが、そもそもどのような手が入れられたのだろうか。
それは簡単なことである。
すなわち、最新兵器の導入と、それに伴う兵站の強化である。
最新兵器の導入として、ルーシーにショックを巻き起こした2種類の戦車が登場した。
その戦車は帝国の友好国に輸出されたが、そのほかにスクラップの名で輸入し戦力化した国も数多と存在する物であった。
単価が高く、量産性も若干難があるものの、工夫を凝らし量産性向上を目指した戦車である。
それらは―――――
「これが…ティーガーⅡとパンターか!?いつの間にこんな…!」
彼女はルーデルドルフやゼートゥーア肝いりの元で精鋭を選りすぐった203魔道大隊大隊長を務めている人物であった。
勘が良すぎるような読者様はすぐにわかってしまうだろう。
そう、われらがターニャ(幼女)である!!!!
彼女は、第201航空魔道大隊を設立するにあたり、なんかやばい宣伝を出したのだ
それで、大隊規模だっつってるのに師団規模の人員がぞろぞろと集まってきた。
その様子を見た彼女は…
とりあえず厳しい訓練を彼ら、彼女らに課した。
そして、ある程度ふるいにかけ、100人ほどに絞り込んだ後に、“全員”『航空魔導士レンジャー』にぶち込んだのだ。
航空魔導士レンジャーを通り抜けた魔導士はもれなくベテランと呼ばれたりエースとなっている人物が多く、周りからは小隊もしくは中隊に航空魔導士レンジャー持ちがいるだけでうらやましがられるものである。(生存性が上がる為)
航空魔導士レンジャーにぶち込まれた人員100人は地獄のような訓練を体験した。
~初日~
なぜか以上に優しい教官。
※教官は魔導士レンジャー(士官向け)を取っている人が多い教導団から来ることもある。
~二日目~
教育。筋トレ。
教官があのヤバい雰囲気を醸し出す。
~3日目~
教育。筋トレ。魔導士専用メニュー。
教官が牙をむく
~それ以降3週間~
上記に加え、障害物走、銃剣術、生存技術も追加され訓練が行われる。
~過程開始より4週間後の1週間~
山岳基礎訓練などが行われる
~過程開始より5週間後の4週間~
魔導士の能力を利用した斥候訓練を行う。
また、撃墜された際の生存技術をほとんど実地のより過酷な場所で行う
ここで1つ、ネタだと思われてガチのようなやり取りがあった。
「こんな状況ではどうするんだ!」
「レンジャー!」
「レンジャーとはなんだ!?」
「レンジャー!!!」
「だから何なんだ!!!」
「レンジャー!!!!!」
恐ろしいだろ、これ本当にあった事なんだぜ!?(陸上自衛隊レンジャー過程にて。結構有名な話)
とまぁ、恐ろしいほどの訓練にさらされおよそ半数以上が脱落。
42名が残ったため、彼ら、彼女らは晴れて201航空魔道大隊が決定された。
帝国陸軍が決めたその大隊のコードネームは…『JG52』*1
敵を狩りつくす大隊であることを思わせるようなコードネームであったが、それを決めたのはエリザベートであった。
皇帝がそんなこと決めて良いんですかね…?
そんな事はともかく
第201航空魔道大隊を基幹とした中央、すなわち陸軍参謀本部が直轄する機動即応部隊の設立。
現在はそんなことをすることを目標として、連隊から師団の間で収まる程度の機動性が高く突破能力も高い部隊の設立の真っ最中であった。
なぜそんな部隊が発足されたか。
その理由として、近衛第2師団の存在が挙げられる。
フランソワへの高速進撃の際、主力を担ったのは陸軍ではあったが、指揮をしたのは帝国軍内でも有名な軍事学の権威『カリン・フォン・ワイス』近衛中将が指揮を執っていたからである。
近衛第2師団は、普段は中隊に分けられている戦車中隊を一つにまとめ上げられた大隊、通称『ヴォイテク戦車大隊』、3個航空魔導士中隊に精鋭の機械化歩兵等を所有している。
数とある程度の練度を両立された師団ならば、陸軍も持っている。
ただ、精鋭を多く集めた近衛第2師団と同じ組織を欲しくなるのは人間の性なのだろうか…
とまぁ、そんな部隊も欲しいよね?と話が上がり始めた時に、ターニャが軍学校で丁度いい事を論文で書いていたので…
適任者であると思われる彼女をな前線指揮官として据えながらも、即応性と突破性に優れた部隊を設立することを目標とした。
ゆくゆくは近衛師団程ではないにしても、精鋭を集め集中的に運用し、即応性及び突破性に富んだ部隊を期待した。
そこで、最初らへんに戻る。
ターニャが行っていたのは、部隊の編制、訓練であった。
一応予定では戦闘団規模となる予定であるらしい。
目下、このような部隊が編成予定である。
第203航空魔道大隊(48名)、機械化歩兵1個大隊(550名)、1個戦車中隊(基幹3個戦車小隊、1個戦車中隊13両)、団直轄機動砲兵1個中隊(4門)、団直轄1個自走砲中隊(13両)、高射砲中隊(4基)、戦車中隊支援機動対戦車砲中隊(13両)、歩兵大隊支援機動砲中隊(13両)、その他支援中隊(省略)
とまれ、戦闘団は所謂連隊規模の部隊である。
連隊規模となると、現在のターニャの階級(数多の功績で中佐に昇進)では団長となることは叶わない。
そこで、団長をレルゲン大佐(数ヶ月前に大佐に昇進)とした。
この部隊は、第203航空魔道大隊を設立したときと同じ計画名であった。
『第601機動戦闘団組織計画』
である。
この部隊の幹部として、団長兼参謀本部作戦局参謀レルゲン大佐
副団長兼第203航空魔道大隊大隊長ターニャ中佐
次席第204機械化歩兵大隊大隊長リーンハルト・トーン少佐
の3人である。
なお、第204機械化歩兵大隊長リーンハルト・トーン少佐はターニャに言わせれば少なくとも無能では無いが、戦闘を行っていない以上何とも言えない…だそう。
他に、中隊長がいるが、その一部を紹介しよう
仮称第601戦闘団戦車中隊長エルマー・アーレンス。
ターニャに一目置かれている人物でもある。
なお、一目置かれているというが、ほかの人物も無能と言うわけではない。ただ、この人物は指揮能力に優れ、戦況を良く読め、兵站に関しても精通しているため優秀な将校である。
ぶっちゃけ中隊長にいる時点で可笑しい。大隊長クラスになってもおかしくはない人物。
仮称第601戦闘団直轄自走砲中隊長ロルフ・メーベルト。
原作では職人気質ではあるが、この作品では彼は自走砲の指揮官となった。頭は固い(物理的に)が、戦況を読み的確な砲撃支援を陣地転換をしながら下すことができる、自走砲のために生まれてきたような人物。
仮称第601戦闘団機動砲中隊長リーンハルト・トーン。
原作では歩兵士官で、戦闘中にMIAとなる人物だが、この作品においては機動砲の指揮官である。機動砲は通常時4両の小隊で分けられ、機械化歩兵中隊の直接支援を行う。
彼は、協商連合との戦争で直接機動砲の火力を目の当たりにする。その後フランソワとの戦争で、戦車を華麗に撃破した後に敵陣地を砲撃していく機動砲の姿を見て、彼は機動砲の信奉者となった。
その機動砲に魅入られた彼は、機動砲を運用することに関しては才能を発揮し、機動砲に関する補給ならば熱心に語るが、それ以外となると熱が冷める人物。
ターニャに言わせると、機動砲万能論者。ただ、本当の無能では無いため扱いに困り、且つ困惑するしかない人物。
以上3人は、特筆すべき人物及び変人である。
とまれ、この戦闘団は突破力と機動力に重きを置いた戦闘団であることは々述べている。では最初らへんの話に戻すとしよう。
第201航空魔道大隊の大隊長たるターニャが、戦車中隊に新型戦車が導入されたとの話を聞き、かつての軍オタとしての血を沸き上がらせながら目にしたものは…
かつての世界でのナチスドイツで活躍した中戦車パンターと重戦車ティーガーⅡに値するものだった。
ただし、外観は似てはいるが、若干違う物となっている。
史実のティーガーⅡは69.8トンであるが、今回ロールアウトしたものはなんと!60トン以下に抑えられているのである!その重量満載58.9t!
その代わりに装甲が薄くなった。
前面装甲は180㎜から120㎜の60°傾斜装甲に。
砲塔は傾斜装甲を多用し、鋳造で円筒形の装甲を施した。戦車砲は新設計の後述のパンターに乗せる事も可能な88㎜L72戦車砲を採用。
レナ大尉が歩兵戦闘車を開発するにあたって持ち込んだ概念であるパワーパック方式を初めて採用した。
最大880HP(英馬力)のターボチャージドディーゼルとその大出力エンジンに耐える変速機を纏めたものを共通パワーパックとして採用した。
鉄道輸送の観点より、鉄道車両建築限界に合わせかつ、レールの耐荷重にも配慮しまくって設計した、結構ギリギリ目を攻めながらも補給のしやすさに念頭を置いた重戦車である。
最高速度47㎞(整地)、総生産数3450両
パンターも全長、全幅共に一回り小さくなっていて、車体はパンターの車体を平べったくしたような形になっている。
パンターの装甲は80㎜の60度傾斜、砲塔装甲は鋳造で最大厚110㎜程の被弾経始装甲である。
パンターもティーガーと同様のパワーパックを使用しており、ティーガーより軽いパンターは比較的軽快に動くものである。
主砲は、既存の4号戦車の75㎜砲弾を使用できるように75mm85口径戦車砲を使用しているが、補給の事も鑑みて、88㎜L72戦車砲に素早く改修ができるよう工夫が施されていた。
なお、性能と使い勝手の良さから改修に改修が重ねられ、長きにわたり(勝手に)他国で運用されるのが見られたという。
重量42.8トン、最高速度52㎞/h
総生産数6万9560両である。
なお、このような化け物のような量産を戦争中にしたわけではない。
戦後、パンターの活躍を見て欲しがった友好国には輸出、同盟国にはライセンス生産の許可をしたためにこんなにも膨れ上がったのである。
パンター、ティーガー共に、武装や足回りの変更はそれなりの頻度で行われていて、各型式は、
ティーガーA型~F型まで、パンターはA型~H形まで存在する事になる。
今回、編成途中ではあったものの、すぐに前線にぶち込まれるわけでもないので、部隊編成ついでに習熟訓練もしてね、と言うことだった。
幹部達は、やることが増えると白目を剥きかけたのはご愛敬である。
仮称第601戦闘団戦車中隊に配備されたものは、パンター4個小隊分とティーガー3個小隊分であった。余った車両は予備として使えとのお達しである。
ここで、戦車中隊長と自席機械化歩兵大隊長は編成をパンター2個小隊、ティーガー2個小隊にわけ、ティーガー1両は中隊長が乗る指揮車として編成した。
いくらか小型化されたとはいえ、幼女の身であるターニャは戦車のそばに立って眺めるにしても少々顔を上げなくてはならないのだ。
幼jyoは可愛いけど中の人がなァ…
「中佐殿!」
聞きなれた女性の声が聞こえる。新しく戦闘団に配備された戦車中隊への新型戦車を見学していた所に、茶髪碧眼の私の副官の声が私の後ろからかけられた。
「セレブリャコーフ中尉か。どうしたんだ?」
「団本部に、大佐殿が。」
「大佐殿が…?」
「はい。」
大佐殿が…か。
「失礼、中佐。私はここで用事ができたようだ。」
「ええ、分かりました。」
中隊長に団本部へ行くことを伝え、その場を辞した。
団本部へと向かえば、公用車が止まっていた。
参謀本部で見た覚えがある人物も車のそばに立っている。
とりあえず、私の右斜め後ろにいるヴィーシャと勝手を知っている団本部へと歩き、団長室へと4回ノックをする。
そうすれば、入室許可の声が聞こえてきたのでドアを開けて入る。
「何か御用でしょうか、大佐殿。」
目の前にある机に座っているメガネを掛けた人物は、参謀本部作戦局の参謀将校。
ゼートゥーア閣下やルーデルドルフ閣下に将来を有望とされていた人物。
そして、いつもどのように髪をセットしているのか気になる髪型。
そう、どう考えてもレルゲン大佐殿である。
「…この戦闘団の正式名称が変わった。これが、参謀本部からの書類なのだが。」
その書類には、この戦闘団を
『第206混成戦闘団』
と書かれていた。
「我々の戦闘団の書類上はそうなる。正式な書類もそう書くことになるだろう。だが、便宜上別の愛称のようなものがつけられた。
貴官も知っている通り、特殊な事情で編成された戦闘団だからな。
この戦闘団の通称は『サラマンダー戦闘団』だそうだ。」
この名前を考えたのもエリザベートちゃんです。
「サラマンダー戦闘団、ですか。良い名であると思います。」
「ふむ・・・用事はそれだけだ。
あぁ、噂で聞いたのだが。赤い熊が冬眠から目覚めるそうだ。」
その噂の出所は陸軍情報部。
駐在武官からの情報を総合されて導き出された情報を参謀本部作戦課を通じて、噂と言う隠れ蓑でターニャに伝えた。
ただ、そう言うことである。
1925年8月25日 帝国諜報局
ルーシー共和国との国境がきな臭くなってきたころ。
帝国諜報部では絶賛仕上げの真っ最中であった。
「根回しはすべて終わっております。元バルト3国をはじめとしたその周辺の州、地方の工作に成功しました。」
「分かりました。」
「決起は9月1日だそうです。トゥハチェフスキー元帥がそうおっしゃってました。」
「分かりました、計画の通り進めて下さい。」
お仕事モードのカタリナちゃんはお仕事モードな自分の夫に極めて事務的に言うのだった。
プライベートでは猫のように甘えるのだが、そのギャップが溜まらないと彼女の夫であるルドルフは語るのだった。
「はい。」
「トゥハチェフスキー元帥の身辺は厳重に警戒しておいてください。
私はトゥハチェフスキー元帥の事は信頼してはいますが、彼の側近がそうとは限りません。
私もそのようなことはないと思いたいですが、希望的観測はあってはなりません。万が一の事が有れば…切りなさい。恩をこれでもかと売って、そのまま恩として受け取ってくれるなら良いのですが、仇として返すのなら…」
「分かっていますが…あの元帥がそんなことをするでしょうか?」
「トゥハチェフスキー元帥の後の話です。彼の後を継ぐ者が敵対する可能性もあります。」
「…そうですね。」
「まぁ、そのための、リードなのですが。我々が御せるかどうかが問題です。」
「……」
そんな時、一本の電話が入る。
「はい。」
『カタリナ。私だ。』
「……誰です?」
『おいこら待て、姉の声を忘れるなんてひどい奴だ。』
「冗談ですよ。で、仕事中の私に何か用でも?」
『なんか冷たいな。私も仕事中なんだが……
まぁ良い。本題に入る。赤いクマがついに動き始めた。』
「へぇ…」
『国境線にあの“傾斜装甲の中戦車野郎”が輸送されているところを空軍が発見した。歩兵のみならず航空機まで増備されている。近日には確実に事が起きる。』
「分かりました、留意しておきます。」
『うん、じゃあ。』
ゆっくりと受話器を置いたカタリナは、手を組みゲンドウポーズを始めた。
どこからかサングラスを取り出しつけていた。
ルドルフ君は困惑した。
その3日後、国境線をルーシー連邦軍が越境した。