WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結)   作:紅茶

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東部戦線

 帝国において、協商連合との闘いは通称北方戦線とされている。

 

 北方戦線に関しては既に終結している。

 

 対共和国との戦争は西方戦線と呼ばれた。

 

 この各戦線は既に終わっているものであった。

 

 協商連合と共和国は既に帝国に敗北したとの形ではあったものの、帝国の経済圏に入れられている。

 

 その次は連合王国との戦争であった。

 

 連合王国との戦争は、後の近現代の歴史家は後に大西洋戦争と呼ぶようになっていた。

 

 

 さて、ルーシー社会主義共和国連邦との闘いは東方戦線が便宜上の上で呼ばれている。

 

 ルーシー連邦との戦争ではいかな帝国であっても疲弊するのは確実で、単独で赤い国に一方的に喧嘩を売られたからとりあえずその喧嘩は買うにしても、厳しいという軍部の共通認識があった。

 

 ただ、そのルーシーに対して非合法な諜報活動をしていた部署があった。

 

 帝国諜報局である。

 

 帝国諜報局は共産主義許さじとの信念というか恨み(前にも語ったが、ルーシーが帝国から社会主義共和国に変貌した時の遺恨)真髄で活動していた。

 

 その活動内容はちゃんと帝国のトップエリザベートや、首相には知らされてはいる。

 

 ただ、軍部にはその話はどうしても行きにくかった。

 

 軍部が諜報局が立てたプランを知ったのはルーシーとの国境がきな臭くなってきた時に、エリザベートちゃんと首相君が自爆してしまったがゆえに知られた。

 

 なお、自爆しても一応は国家機密であるため、未練がましく極秘裏の箝口令が敷かれた。

 

 

 ‥‥‥‥それでいいのか、帝国のトップと補佐役の首相よ…

 

 とまれ、エリザベートは少なくとも優秀だし、首相も政治家にしては以外といい線を言ってるので、意外とわざと口を滑らした可能性もある。

 

 というかそれしかない。

 

 それに加え、疑心暗鬼が最高潮になっているトップがいるルーシーでは、粛清の嵐が再び巻き起こっている。

 

 カリスマ性をもつトゥハチェフ君が臨時大統領をしている新たな民主国家の『ロシア連邦』のもとに亡命者が多数集まるのは必然であった。

 

 そして、その亡命者は航空産業からも来たのである。

 

 パーシヴァル・スホーイ。

 

 スホーイ設計局の設立者である。

 

 スホーイ設計局はハルキウに存在しているが、その場所はウクライナに位置する。

 

 ただ、ウクライナは現在民主化運動が盛んである。帝国の謀略によって。

 

 現在のルーシーにおいてそんなことをすればまず粛清である。

 

 それを物ともせず民主化運動をすれば…

 

 もちろん、ウクライナにあたる地域にいるだけで嫌疑をかけられるのも当然である。

 

 自身の身の危険を感じ、身の潔白を訴えたいが、技術者であれ安心はできない

 

 下手を打てば粛清、もちろん家族も含めて。

 

 であるならば…と考えていたところに帝国の意を受けた協力者が秘密裡に接触してきた。

 

 「家族を連れてロシアに亡命しないか?」

 

 と。

 

 なぜ帝国がパーシヴァル・スホーイに接触したか。

 

 それは、エリザベートちゃんが大の“su-27シリーズ(フランカー)”好きであるからだ!それ以外にない!

 

 ということで普通にロシアに亡命して、新たに新しい航空会社を帝国政府が3割、ロシア政府が3割、残りエリザベートちゃんが出資してできた航空機製造会社が、後に帝国空軍設計局のマルチロールファイター“EKFシリーズ”と並ぶ、大型制空戦闘機/マルチロール“フランカーシリーズ”という戦闘機ベストセラーを生み出すことになる。

 

 改めて名を、『スホーイ社』という。

 

 スホーイ社はロシアとルーシーとの独立戦争中みたいなものが起きている。

 

 よって、早く何か作れと無茶ぶりをさっそくかけてきたのである。

 

 帝国からも、Ta152G型を筆頭としたマルチロール機の先駆けのようなものを給与してはもらってはいる。

 

 ただ、制空戦闘に関しては文句なしだが、対地において難があるとの苦情があった。

 

 急角度の急降下爆撃に対応できるようエアブレーキを装備こそしてはいるが、多機能なゆえに値段が高い。

 

 なのに、被弾が激しい地上攻撃では、修理してもいつかぼろが出る。

 

 そのため、スホーイ社に要求されたは、堅実で、硬くて、大火力で、低コストな地上攻撃機である。

 

 それに彼は見事にこたえたのである。前々からルーシーのために開発していた攻撃機をロシア向けにいじくっただけではあるが。

 

 だが、それでもロシア政府は喜んだ。

 

 制空戦闘は帝国供与のTa152をすべて突っ込み、地上攻撃や歩兵支援はスホーイが作った攻撃機に任せればいい。

 

 ロシアはその攻撃機を生産しはじめ、地上攻撃の航空隊に配備すれば見事に誉め言葉しか返ってこなかった。

 

 その機体をロシア陸軍はSU-2と呼称し配備、ロシア海軍はその対艦攻撃もできるようにしたものであるSU-4を配備した。

 

 SU-2、Su-4はその信頼性の高さと頑丈さと火力からロシアの東部戦線の評価は極めて高かった。

 

 

 

 ロシアがルーシー相手に頑張っている間、帝国は何もしていないというわけではなかった。

 

 

 1924年9月25日 帝国東部ルーシー社会主義共和国国境付近

 

 帝国は、フルシチョフの密約およびウクライナとの密約により、防御に徹していた帝国軍は一転攻勢に躍り出た。

 

 敵の塹壕をパンターが飛び越え、ティーガーが敵を爆砕し、地雷原はまとめて爆破処理。

 

 塹壕や市街地戦で歩兵に随伴する機動砲が歩兵を吹き飛ばし、チャラっと現れた軽戦車BTを一瞬で煙が上がる鉄ごみに仕立て上げた。

 

 その突破口を穿つ役割の一端を担ったのが、前回か前々回に語った(作者が忘れてる)ザラマンダー戦闘団が突破店の一つであった事は言うまでもないだろう。

 

 穿った突破口から、帝国軍が最も得意としている機械化による電撃戦を開始する。

 

 電撃戦をしながらも兵站を頑張ってしていたが、補給が間に合わなくなりそうなときもあった。

 

 それはなぜか。

 

 ウクライナ周辺の鉄道網が貧弱であったからである。

 

 ウクライナに限らず、ルーシーは泥濘な土地が多く地盤が軟弱である。

 

 そのため、線路の耐荷重を大きく設定することが比較的困難ではあった。

 

 だが、問題はそこではなかった。

 

 帝国の重量級のものは主に戦車や重砲、そのほか弾薬であったが、ばらして載せれば編成は長大化するが何とかなった。

 

 問題は軌間*1である。帝国の貨車は標準軌、すなわち線路幅が1435㎜であった。しかし、ルーシーが引いた路線はほとんどが広軌(1520㎜)mmであった。

 

 そう、どうあがいても帝国が作った貨車では直通できないのだ!

 

 ちなみに、ロシアはそこを不便に思い、少しずつ鉄道を標準機として改軌を行っている。

 

 そんな問題に直面し、事態を重く見た帝国陸軍は考えた。考えて…

 

 重量級の戦車などは鉄道貨車を載せ替えて運び、それ以外はトラックでちまちまと隊列を組んで輸送するという思考放棄に達した。

 

 その急場しのぎをしている間に標準機へ改軌し、本格輸送をするというのが帝国陸軍の考えた手立てであった。

 

 重量級の戦車などは鉄道貨車を載せ替えて運び、それ以外はトラックでちまちまと隊列を組んで輸送するということをしている間は帝国陸軍の異常だったスピードが緩んだのは当然の帰結だろう。

 

 

 そんな帝国陸軍が補給にあえいでいるときに空軍はどうしていたかというと…輸送機ピストン+帝国陸軍の補給路の間借りで補給していた。

 

 話題に出たので空軍の話もしよう。

 

 帝国空軍の魔王はどうしているかというと、毎日毎日出撃しては敵を500㎏爆弾3発で爆砕し、30㎜機関砲で戦車の側背面装甲を貫き撃破したりと、敵がもうかわいそうになる。

 

 そんな彼の二番機はエルヴィン・ヘンシェル。

 

 彼は魔王ルーデル閣下ほどではなかったものの、現時点で計670回ほどの出撃を経験している(なお、北方および西部戦線等で出撃した回数も含んでいる)

 

 東部戦線において空軍パイロットは戦果が稼げるポイント(笑)となっていた。

 

 数も当初だけがやばかっただけで最近はマシになってきてるし、ただでさえ悪かった敵の練度もさらに落ちていた。

 

 当然カモばっかりなのだが、開戦当初から生き残っているパイロットも敵には存在する。

 

 いわゆる、エースパイロットである。

 

 帝国空軍も多くのエースを抱えているが、パイロットはカモばっかりで、どこか心の中で油断しているところで奇襲されてあっさり落とされ、帝国空軍救難隊等のお世話になることも少なくはなかった。

 

 

 その敵国のエースパイロットが油断するのが帝国空軍の攻撃隊である。

 

 重い爆弾を吊り下げたままでは鈍重で、戦闘機動をするだけでエネルギーが恐ろしいほど落ちてしまう。

 

 であるからして、まだ通常の護衛機よりかは与しやすい。

 

 が、護衛機も鈍重な対地攻撃機に敵を通すわけにはいかないのだ。

 

 ‥‥ルーデルを除いて。

 

 当たり前のように爆弾を抱えたまま敵エースパイロットの機体を30㎜機関砲で穴だらけにして落とし、挙句の果てに腹に抱えたのは何だとばかりに敵戦車に爆弾を叩き込んで基地に帰っていったのだった。

 

 うん、いつもの魔王だね!

 

 

 同じようなことを繰り返せばルーデルの名声も大きくなっていくのは当然であった。

 

 数えるのが嫌になるほどの戦車や火砲や対空砲や装甲車やらを撃破し、挙句の果てにはふつうにエースに分類される12機撃墜(なお、北方および西部戦線等で出撃した時に撃墜した敵機も含む)とされ、もう頭がおかしい。

 

 

 ちなみにターニャも順調に戦果を伸ばしていて、現時点で魔導士200騎近くを落とし、ついでに戦車を数十両撃破し、火砲もついでに大量に撃破して、敵拠点を爆破していたりする。

 

 そのことから、ルーシー連邦はターニャとルーデルを人民の敵と設定し600万ルーブルの賞金が既にかけられていた。

 

 とまぁ、ターニャとルーデル君が無事に人外の道を無事に驀進していた。

 

 

 

 

1924年10月13日 帝国3軍統合参謀本部

 

 帝国軍は無事にウクライナの掌握を完了した。

 

 ウクライナはいずれ帝国から独立することができる。

 

 ただし、“帝国とロシア連邦の庇護下で”であるが。

 

 ロシア連邦は帝国ほど強力ではないにしろ、ウクライナ周辺国では3本の指に入るほどの強国である。

 

 ぶっちゃけ、ウクライナに何があるかと言われれば、貴重な資源があるとしか言えない。

 

 悲しいことに工業力は周辺3国より劣っちゃう悲しい国なのだ( ^ω^)・・・

 

 

 とりあえず独立できるという確約はもらえた物の、大国3つに囲まれる予感しかなかった。

 

「ウクライナはおそらくルーシーに対抗できるほどの戦力を用意できないだろう。

 

 そして、地理的な問題でどれだけ弱くてもウクライナを守り、ロシアを支援しなければならない。」

 

「分かっています。EKF-25を更新する上で余剰となったTa152を無償給与しているほか、格安でロシア政府に売り渡しています。」

 

「ふむ、ロシアはまだ恵まれている。あのトゥハチェフスキーがいるのだからな。問題はウクライナだ。戦争が終割ればすぐさま独立してほしいが…

 

 今は投資をできるほどの余力は…一応あるが私がもっと死ぬ気で働かなくてはならないので勘弁してほしいな。」

 

 厳かな会議の場で少々の笑い声がきこえた。

 

 彼女はほんの少しのジョークなら言えるのだ!

 

「そうだ、陸軍の参謀長、ウクライナの防衛線はどうだ?」

 

「は、帝国より鉄道網が貧弱でありますので補給に滞りが見えます。」

 

「ふむ…軌間の問題は未だに解決してないのか?」

 

「もうすぐで改軌が終わります、それまではトラック輸送等を使わざるを得ませんが。」

 

「ふむ、致し方なし、だな。」

 

「殿下、新たな勲章の新設の件ですが…」

 

「あぁ、柏葉剣付ダイアモンド鉄十字章のことだろう?」

 

「は、我々空軍としては一人推薦者がございます。」

 

「それであれば陸軍にも」

 

「…大方、ルーデルとターニャだろう?」

 

「「そうです。」」

 

「その二人については、確かに既存の勲章では物足りないと思っているから良いとするが、二人とも前線を離れることはできない、それか離れたがらない。そうだろう?」

 

「そうであります」

 

「は。」

 

「折を見て授与するしかあるまい。もしかしたら戦後になるかもな」

 

「戦後ですか。」

 

「あぁ。戦後と言っても、この欧州では戦争は起きないとおもうが、妙にアジアがきな臭いらしい…

 

 あ、申し訳ないな、今は目の前の問題を考えるとしよう。」

 

 

 彼女は会議のお姉さんとしての役割を遂行しているみたいである。

 

 

 

 

 

 

*1
軌間とは線路の幅のことである

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