WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結)   作:紅茶

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帝国空軍戦闘機開発史

 帝国空軍の戦闘機は戦後において多くのシェアを持つようになる。

 

 西側と言われる諸国は帝国をはじめとする欧州及び帝国(後に王国連邦へと改称)の同盟国ロシア,ウクライナの東欧2か国は帝国製戦闘機を多く採用した。例外としては永世中立を国是とする内陸の国が一つあるが、そこは帝国製とのちに述べる合衆国製の二つが存在する

 

 次に合州国製の戦闘機は多くは合州国の経済圏に置かれた東南アジア、中央および南アメリカに多く輸出された。

 

 東側、すなわち共産陣営はほとんどがルーシー製の物を使っている

 

 今回は、帝国製戦闘機について述べよう。

 

 

 

 帝国空軍は前々よりレシプロ戦闘機の限界を知っていた。

 

 統一歴1890年代に開発されたTa152は帝国空軍が誇る最優秀でかつ最後のレシプロ戦闘機シリーズである。

 

 当時12.7㎜機銃2門程度が関の山の時代に12.7mm機関銃を6丁というのは十分重武装であり、且つ時代の流れで戦闘機の重武装化が進んでも、十分すぎる物であった。

 

 さらに戦闘爆撃機として、制空,迎撃,爆撃,雷撃,偵察の5つのミッションをこなすという空軍のやりたいことを一まとめにして解決してしまったどう考えてもチートな戦闘機である。

 

 1890年代より1900年代に移ろっても絶えず行われた改修により、世界でも類を見ないほどのシリーズ化が成され帝国軍と連合王国との戦争、大西洋戦争では序盤や中盤で主力戦闘機の座に君臨し続けていた。

 

 だが、最優秀レシプロ戦闘機と言えどもジェット化の波には叶わなかったようである。

 

 かの機体が現れたのは1924年、大西洋戦争終盤である。連合王国の破壊工作のため、帝国国内僻地から帝国首都へ航空機を飛ばし翼下の爆弾で首都爆撃を成そうとした事件が勃発した。

 

 

 その際、帝国首都を守っていたのは第25戦闘航空団であった。

 

 不明機が帝国上空より突如現れ、首都へと向かう航空機に対しスクランブルが発動、迎撃に向かった。

 

 その時に現れたのが帝国空軍の主力を長く担う事になった単発のジェット戦闘機

 

『EKF-24』

 

 戦闘機である。

 

 最大推力32kNのE-23ターボファンエンジンを一基搭載し、最大速度は1193㎞/h、30㎜ mk103機関砲2門の亜音速ジェット戦闘機である。

 

 後に出てくるであろうF-86やMig-15よりも重い機体を大出力のエンジンで押すといった形である。また、帝国空軍と海軍の要求に合うように配慮がなされており、荷重面積が低めに設計され、中低速域の安定性を考慮し機体前部にカナードという当時としては斬新的デザインであった。

 

 後に欧州や東欧ではカナード付き戦闘機が多くなるのだが、それは後の機会に語ろう。

 

 

 

 

 

 そのEKF-24戦闘機は朝鮮戦争でも使用され、Mig-15には速度、上昇、ロール方向の機動性に優っていた。そのためにmig-15には基本優勢で戦えていたという。

 

 朝鮮戦争終盤には翼端にミサイルパイロンが付けられ、そのパイロンには赤外線誘導式のIRIS-Aが装備できるようになった。

 

 

 

 初のミサイル撃墜はF-86のサイドワインダーであったが、その次の日帝国海軍所属機が空母に接近していたMigの4機編隊のうち3基が機関砲、1機が帝国軍初のミサイルによる撃墜であった。

 

 

 それよりEKF-24戦闘機は多くの国で採用されることとなる。

 

 欧州ではイルドア王国、協商連合、旧連合王国構成国とフランソワ共和国、ロシア連邦にウクライナであった。

 

 

 

 

 そして、帝国は超音速戦闘機の開発を始めた。

 

 それが――――

 

『EKF-24C/D』

 

 である。なんと、亜音速機であったEKF-24にさらに大出力かつアフターバーナー付きターボファンエンジンに換装。また、生み出される電力量も増えたことで初のレーダーを搭載した戦闘機となったのである。

 

 登場は統一歴1937年、朝鮮戦争より2年後の事である。

 

 乾燥49kN、アフターバーナー点火時98kNの推力を発揮するE-25ターボファンエンジンを一基搭載。またレーダー射程は50㎞,ロックオン可能距離30㎞で、今までは爆弾やロケットパイロンであった翼下のパイロンに新たに多くのミサイルを翼化できるようになる。

 

 なお、その影響で作られたかは知らないが、F-86を超音速戦闘機にしてみましたみたいな感じのF-100がEKF-24C/Dに影響を受けたのは仕方のない事だろう。

 

 なお、EKF-24C/D生産時、射程30㎞のセミアクティブ式の誘導ミサイル『EM-2』ミサイル、先の『IRIS-A/B』の改修型『IRIS-C』が生産された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後の分類では第2世代戦闘機に分類される。

 

 1940年、合州国のF-8やF-4に刺激される形で新たなるマッハ2級戦闘機の開発を行った。それが、帝国空軍のEKF-24シリーズの最後を飾る

 

『EKF-24E/F』

 

 である。EKF-24Eは単座、EKF-24Fは複座である。

 

 乾燥推力61kN、アフターバーナー点火時113kNのE-27ターボファンエンジンを一基搭載、最高速度はマッハ2.3である。

 

 搭載武装は30mm機関砲を2門、胴体下部に半埋め込み式の中距離ミサイル専用パイロンを二つ、翼下に随時に搭載できるパイロンを4つ、翼端に赤外線ミサイルを搭載できる小型ミサイルパイロンを備えている。

 

 

 その際レーダーを換装。レーダー照射距離65㎞と当時としては優秀なレーダー出力を誇っていた。

 

 同時期に、『EM-2』ミサイルの改修型『EM-7』、先の『IRIS-C』の改修型『IRIS-D』、帝国空軍初のレーダー誘導対艦ミサイル『SA-1』が生産された。

 

 搭載例として、迎撃、艦隊防護任務時は『EM-7』を6発、『IRIS-D』を2発搭載する。

 爆撃任務としては『EM-7』2発、『IRIS-D』2発、爆弾各種合計3000㎏分を搭載。

 

 対艦攻撃としては『EM-7』2発、『IRIS-D』2発、『SA-1』を2発である。

 

 

 

 

 それ以降はEKFシリーズのさらなる改修型は帝国からはロールアウトはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 なぜならEKF-24を設計したレナ空軍設計技師がとある戦闘機開発にかかりきりになったからである。

 

 名を『EKF-47』。

 

 統一歴1947年に採用された双発ジェット戦闘機である。

 

 年代的にMIG-25が登場した時期であり、帝国は何らかの方法でMIG-25の情報をつかんだと思われる。

 

 

 

 大推力エンジンを2基搭載、アビオニクスに関しては比較的最新のものを搭載した。

 

 レーダー照射距離は110㎞、ルックダウン能力増強のためパルスドップラーレーダーを選定した。

 

 同時ロックオン可能機数6機が可能で、艦隊防空にも配慮された設計となっていた。

 

 

 最高速度マッハ2.5、胴体半埋め込み式中距離ミサイルパイロン4つ、翼端に短距離ミサイルパイロンを装備。その他の装備として各種爆弾、対艦、対地、対レーダーミサイルを装備する。

 

 

 そして、どれもが秀でている性能なだけあって、今までにない高額な戦闘機となった。100機以上と大規模に導入できたのは帝国空軍のみで、旧連合王国構成国、フランソワと協商連合、さらには帝国海軍までもが30機から50機程に収まった。

 

 高額であるがゆえに、ロシア空軍および海軍、ウクライナ空軍は導入を見送った。

 

 同時期に『EM-7』の射程延長&機動性、ルックダウン、対ECM性能向上型『EM-7F』、『IRIS-D』よりシーカー冷却速度、射程延長、機動性向上型の『IRIS-G』が製造された。

 

 さらに、長距離ミサイルとして艦対空ミサイルより転用したアクティブレーダーホーミング式長距離ミサイル『EAM-65』通称『クロウ』空対空ミサイルが生産された。射程100㎞、最高速度マッハ5.0。高速で接近する緒音速ミサイル迎撃能力が存在する。

 

 

 

 

 

 

 帝国空軍はルーシーがMig-25というマッハ3級戦闘機を使用しているという事がプロパガンダ等で流れてきた時。帝国空軍はEKF-47戦闘機について公表した。

 

 それに焦ったのは他でもない合州国であった。Mig-25というやばい奴が今の仮想敵国が持っているにもかかわらず、自分たちはMig-25に対抗できる戦闘機がいない。

 

 しかも帝国に対抗馬の先を越された…という事である。

 

 そうであるならば戦闘機輸出に不利であると。

 

 

 だが、その心配は無用だった。帝国が開発したEKF-47は高性能ゆえに高額で当あった。そのため、枯れた技術を組み合わせF-15を開発したのだが。

 

 まぁそこまでは輸出に成功はしなかった。F-15も大概だったのである。

 

 

 

 

 

 そして、ロシア空軍、ウクライナ空軍は高額なEKF-47を見送ったものの、Mig-25は依然として脅威であり、マッハ2,3級の戦闘機であっても性能不足であると。

 

 

 そして考えた末に、自主開発を始めた。エンジンは既存のEKF-24E/Fが搭載していたE-27ターボファンエンジンを改良したE-29(EKF-47が搭載)を2基搭載。アビオニクスは妥協し、レーダー照射距離90㎞のパルスドップラーレーダーを搭載。

 

 また、24bitコンピューターで同時ロックオン6機、同時交戦機4機とし、最高速度はマッハ2.3。帝国の影響はやはり受けているのかカナード付きの機体となる。

 

 搭載ミサイルは翼下パイロンに中距離ミサイル6発、翼端に短距離ミサイル2発。翼下パイロンは各種爆弾、対地対艦、対レーダーミサイルが装備できる。

 

 その名は。

 

『SU-27』

 

 ロシアの軍需、航空機メーカーのスホーイ社がE&Kの協力のもと作り上げたものである。性能で言うとEKF-24E/Fより格段に上がっており、Mig-25の相手はできるだろうと考えられた。

 

 EKF-47が高すぎて多く変えなかった国はこれに飛びつき、欧州のみならず、中東諸国の空軍も採用したほどであった。

 

 なお、のちのイラン・イラク戦争でイラン空軍F-14Aの2機編隊とF-4ファントム8機編隊をタンカー護衛中の帝国海軍第3艦隊旗艦の原子力空母エリザベート・クロイツフェルンより飛び立った第113海軍航空隊所属SU-33の6機編隊が撃墜した記録が存在する。

 

 

 SU-33はSU-27戦闘機の帝国海軍の原子力航空母艦に搭載できるように要求され帝国海軍により改造されたものである。

 

 SU-27戦闘機を原型とし、中低速域のさらなる安定性と機動性を両立させるためエンジンを3次元推力変更ノズル付きE-30ジェットエンジンに換装、前後輪の剛体性強化、前輪の2輪化、アビオニクスの強化(レーダー出力増強,ECM能力増強等)、着艦支援装置の付与等が要求(アレスティングフックは元々ついていたため若干の改修で済んだ模様)された。

 

 なお、後にSU-33が逆輸入され、ロシア海軍の通常動力空母や前輪を1輪とし、ロシア空軍でも採用された。

 

 ロシア空軍採用の物はSU-37と公式に呼称されるがSU-33と同一視する者が多い。

 

 

 

 

 

 

 戦闘の推移としては、上空警戒に当たっていたEKC-5A1警戒管制機がとらえたイラン空軍の編隊2機が接近していることを察した帝国海軍第3艦隊は、艦載制空戦闘機SU-33を2機発艦させる。

 

 イラン空軍の機体はF-4ファントムで、最初はスパロー空対空ミサイルをSU-33の2機編隊に向けて発射した。

 

 レーダーロックを感知したSU-33は電波ジャミングを開始し、チャフをばらまきながら回避軌道を取る。

 

 

 

 あっさりとはずれたスパロー、そして交戦規定をクリアした空母艦載機2機はすぐさま長距離ミサイル『EAM-65』をそれぞれ1発ずつ発射。全弾命中し撃墜した。

 

 そののち、F-14の2機がF=4ファントム6機を引き連れてタンカー群に向かっていたことをEKC-5A1が感知。

 

 

 新たにEKF-47艦隊防空戦闘機4機、SU-33艦載制空戦闘機4機を発艦、迎撃に当たらせた。EKF-47戦闘機が機影を感知。レーダーロックを感知した帝国海軍機は全機『EAM-65』をそれぞれ1発ずつ発射。そのうち6機に命中、2機に深刻なダメージを与え、海の藻屑へと消えた。

 

 

 なお、これらの防空戦は帝国3大海戦の1幕にすぎないのだが、それは後の機会に語ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、EKF-47戦闘機をロールアウトさせた帝国であったが、この時期にはステルス戦闘機の開発に着手していたと言われている。

 

 かのレナ空軍技術大佐(退役時は少将)は統一歴1949年に退役しているが、どうも開発を推進したのは彼女であったとの話が関係者より明らかにされている

 

 

 帝国はステルス戦闘機の開発はF-117Aで先を越されていたが、その当時は機密であり同盟国や合州国の軍人でさえ知らなかった航空機であった。

 

 だが、純粋なステルス戦闘機(F-117Aは攻撃機の性格が強め)では帝国が最初に開発研究と製造を行った。

 

 ロールアウトは統一歴1973年4月である

 

 名を『EKF-73』ステルス戦闘機である。エンジンは乾燥推力125kN、アフターバーナー点火時198kNのE-113ターボファンエンジンを搭載。

 

 ウェポンベイには中長距離ミサイルを4発と短距離ミサイルを2発ずつ搭載する。場合によっては各種爆弾及び専用に開発された対艦ミサイルを2本(翼下パイロンを取りつけると6本となる)を装備できる。

 

 中長距離ミサイルとして機動性を向上させた『EAM-65D』もしくはその射程を延長するために艦載させるためのロケットモーターを付けっぱなしにした『EAM-65E』と短距離ミサイルとしてはさらなる射程延長、シーカーをイメージ赤外線ホーミングとした『IRIS-T』、空対艦ミサイル『SA-1』の後継『SA-4』のミサイル翼を折り畳みとし無理くりウェポンベイに収まるようにさせた『SA-4A1/A2』が製造された。

 

 スパークルーズ能力を擁し、高度30000ftにてマッハ1.4を出し、同様にアフターバーナー点火時最大速度マッハ1.9で飛行できる。

 

 

 

 

 輸出もされており、諜報において連携を取るロシア空軍、フランソワ空軍、協商連合に輸出され、各々ドクトリン等に合うよう配慮などが成された。もちろん帝国空軍及び海軍も主力として採用。

 

 これにて帝国海軍の主力を担ったSU-33とEKF-47は退役するかと思われたが、SU-33は対艦攻撃任務として一部残されているほか、EKF-47は帝国首都の防空の一翼を担っている。


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