WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結) 作:紅茶
学習内容も大学相当となったので頭がこんがらがりそうですが、友人の力を借りて何とかやってます。
1903年3月
「カタリナ…儂を安心させてくれないかの?エリザベートも来年の10月に結婚予定でおるし、そろそろ結婚相手見つけてもいいんじゃないかの?」
その場には第2皇女のカタリナと現在皇帝の座に座っているビスマルク皇帝が居た。
他にはお付きの侍女ももちろんいるが、この侍女たちは物語上関係ないので居ないこととする。
エリザベートはこの年から見れば1904年の10月1日に結婚予定である。
相手はもちろんラルフ・フォン・ゲーティアス。
軍系貴族であり、ラルフ家は貴族の序列の中ではそれなりの家系である。
貴族社会的にも、政治的にも、結婚相手としては十分な相手である。
エリザベートと同じ軍人であったから何か馬が合ったのかもしれない。
あれだけ結婚を嫌がっていたエリザベートが、あっさりと結婚承諾をして結婚式をも普通に挙げると聞いて、カタリナちゃんはすごいびっくりしたのである。
「…分かりました、ビスマルク御祖父様………すぐにでも結婚相手を見つけてきます。」
そう言って第2皇女はビスマルクに辞の言葉を言ってその場を去った。
数十分後に彼女自身が設立した諜報局へと着いた。
玄関を潜り、そしてカタリナであると証明する局員証を提示して中に入る。
局長室に赴けば、自身の補佐をしている内務省出身のルドルフが仕事をしていた。
「局長補佐。いや…ルドルフ君。」
「?はい、なんでしょうか?」
「結婚しよう」
「!!!???????!!!!!????」
ルドルフは混乱しているようだ!
(言葉の)威力は絶大だ!
「ななな…何故ですか!?」
「陛下が私にそろそろ結婚しろと言うことでね、皇帝陛下を安心させてあげるのも娘の役割だと思うんだけどね、なかなか見つからなくてね。
と言うか仕事であれ何であれ、それなりに相手を知っている相手と言うのが君くらいなものだよ。」
「そ、そうですか」
「そこで私はこう考えたんですよ。偽装結婚すれば良いと!
という事でルドルフ君。私と偽装結婚しませんか?」
これまたいい笑顔で言うのだからたちが悪い。
ルドルフは訳も分からずに上げて落とされた気分で一杯であったが反射で思わずこう言ったのだった。
「わ、分かりました…」
と。そう、彼は了承してしまったのである!
それは、カタリナの将来に多大な影響を与えた思い付きであったが、同時にとある事件の事の発端でもあった。
1905年4月初旬より皇帝ビスマルクの病状悪化が見られ医師より余命5ヶ月を宣告される。
この宣告が帝室報道官から新聞社への公式発表で世間に知られる事となる。
その際、新聞社の過剰な表現により危篤状態であると曲解される事態となり軍部、貴族へも多大な影響を及ぼすことになった。
半数の民衆は次期皇帝としてエリザベートの皇帝即位を望んでいた。
帝国に飛躍的な経済的発展をもたらしたからである。
ただし、反対意見も一定以上あるのが通説である。
第一皇女が素行悪化していた時より第二皇女を支持する声が増し、第一皇女エリザベートを信用できていない帝国民や軍人、貴族もある一定数以上、カタリナ派は勢いを増すことになる。
1905年初旬より軍内の一部に存在する過激なカタリナ派は強硬手段による第一皇女の皇位継承権剝奪を画策し暗殺をも計画する将校も少数存在していた。
エリザベートの結婚式で襲撃することも考えられたが、カタリナ派の中でも準備が間に合わないことから見送られた。
1903年11月15日
カリン・フォン・フートの結婚式が挙げられた。
カリンとの結婚相手は近衛第1師団の副師団長であるエルンスト・フォン・フートであった。
結婚する事になった経緯はと言うと。
カリンが実家に帰った時にこう言われたのだ。
『孫の顔早よう見せてくれないかね?』
「えー?まだ良いでしょ。」
『だめ、明日お見合い組んだから。』
「へ?あ~明日仕事が…」
『明日は日曜で近衛で緊急の物もないから…』
「分かりました、行きます。」
そしてお見合いで出会ったのがカリンとの結婚相手であるエルンスト近衛准将であった。
彼女の結婚式時にエリザベートやカタリナも参加したかったが、諸事情(政治等)により参加ができなかった。
なお、転生者で参加した物はレナ空軍中尉に、ナスターシャ空軍大尉、マルレーネ空軍大尉が参加した。
そしてそのことによりカリンの結婚式に“あの”事件が起きることはなかった。
カリンの両親は面々な笑みを浮かべていたのだが、カリンだけはほんの少し引きつった笑顔をしていたと、カリンを知る人物は証言していた。
1904年1月某日 帝国諜報局
帝国諜報局は全体的に浮ついていた。
本当であるならば、シリアス全開な雰囲気が常な帝国諜報局が浮ついているのである。
それはなぜか。
それは……
局長のカタリナと局長補佐のルドルフが結婚すると発表されたからである。
我らが敬愛する局長がご結婚なされる、実に喜ばしい事だ。
ちなみにカタリナの結婚相手のルドルフは意外ではあるが元はそれなりの地位に居た。
帝国はその実は連邦制であり、総勢40余州で構成させており、警察組織も各州警察で独立した組織を確立している。
帝国において、銃乱射事件などの犯罪は未だに起きてはいないが人間の世界で犯罪が起きる以上、各州警察との連絡やとりまとめをする場所が必要であった。
そのために設置されたのが、内務省連邦刑事局である。
そしてルドルフはその連邦刑事局の国家保安部*1に所属していて、トントン拍子で出世していた所を、カタリナが目を付けて引き抜いてきた人物である。
そして・・・・・・なぜかカタリナはルドルフに懐いていた。
「ねぇ、ルドルフ。」
「はい、何でしょう?」
「誰もいないし・・・良いでしょ?」
「いやだめです。仮にも仕事時間中ですよ!?」
「そんなぁ・・・くぅ~ん・・・・・・」
カタリナは今日の朝からつけてきた寝癖を、しょぼんと垂れ下げさせる。
「そう言えば、私達の結婚式ですが・・・」
「そう、それ!お姉様の結婚式良かったなぁ・・・」
彼女はルドルフにじ―っと目を向けながらそう言う。
なぜこんな感じになったか。
それは一重に、彼女の姉の結婚式にあった。
前世より付き合いのあった彼女の姉…すなわちエリザベートが結婚式を挙げた時である。
エリザベートが。
あのエリザベートが本心からだと思われる笑顔を浮かべていた。
(なお、彼女の本心はやけっぱちで浮かべていた笑顔だったのだが…)
彼女は知らないうちに憧れた。
その結婚式が終われば、カタリナはルドルフに次の休みにデートをする約束を秒で取りつけた。
そして彼女がデートと称して話している内容は仕事のみではあったが、なぜか途中で話が料理の話になった。
「私実は料理ができないんだ。
メイド曰く食材が可愛そうだそうでね。
ひどい言い草でしょ?
まぁ事実大体焦がすからなんだけどね。」
事実、姉は料理の才能があったがカタリナはなんでも焦がすのだ。
よって、できるのはパンを焼くこととヴルストを適当に焼くこととコーヒーを淹れる事くらいである。
「私は料理くらいならできますが…」
「へぇ…なら私に毎日朝食を作ってもらいたいな。」
実は日本ではこれは求婚の文句に成り得る事だったりする。
(毎日お味噌汁を作ってくれないかの派生だと私は考える)
要は知らないうちに自分で自爆したのだが、
「良いですよ。何時からにしますか?」
そして当たり前のようにのたまうルドルフ。
そして…自分がうっかり発言した言葉を振り返って顔と耳を真っ赤にしているカタリナ。
お付きの者は離れたところでニヤニヤとニヤついていた。
自身で盛大な自爆をして真っ赤になっているカタリナと、意味が分からず困惑しているルドルフ。
「結婚してください…」
「え?」
意味のないところで鈍感を発揮するルドルフ。
カタリナは勝手な自爆で頭から煙を上げ始めるのではないかと思うくらい真っ赤になって、自爆内容を暴露するしかなくなったのだ。
「結婚しましょう…?」
「あぁ。なるほど。ではよろしくお願いします」
一番最初のデートで自爆した彼女は、彼を普段から意識せざるを得なくなったのだ。
斯くして、彼女は、そして彼は当初の偽装結婚という建前を彼女はすっかり忘れてしまっていた。
そして、ルドルフにものすごく懐いたのである。
…犬かな?
そして現在。
「ねぇ、あなた?」
貴方呼びである。
そして、彼女は自身の結婚式をうきうきとたのしみに待っていた。
そう、“実に”楽しみに。