伝説巨神イデオン対インフィニット・ストラトス!!   作:菊川 数時

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稚拙ではあるが、どうしてもイデオンのあの生々しさ書いてみたかった。


伝説巨神イデオン対インフィニット・ストラトス!!

 爆炎が吹く、遙か上空で誰かが戦っていた。空への到達は人にすればまだ身近なことで、そこを自由に行き交うようになったのも発展なのだ。

 

 鉄の翼を得て人は、飛ぶ。 

次はその先の無限の宇宙へと旅立とうとする。地、空と戦いで汚したのにもかかわらず人は次の到達点を求める。それは進化故の傲慢なのか。

 

 

 ISと呼ばれる鉄の鎧はそれに似合わない女性だけを乗せ、数百と空を埋め尽くし、唯一の存在へと敵意を向ける。

 それはISとは全く違った出で立ちだった。

特徴的な赤い塗装に頭部は白く天に突き出た一対の触覚、そして虚空を写すバイザー。ISとも数倍の巨体を誇るそれはまさに『巨神』の姿。

 

 無限力、宇宙を満たす無限のエネルギーまたは因果律。別の次元ではアカシックレコードとも呼ばれたその力。

 

 その一端に『イデ』と呼ばれる物がある、その化身『イデオン』こそが巨神の正体である。

 

 イデオンに向けて無数のミサイル、ビームが飛来する。直撃するが、その鎧にほころび一つも付くことはない。

 

『ええい、もう戦いは無意味なはずだ!なぜ戦うゥ!?』

 

 イデオンを駆るユウキ·コスモの悲痛な叫びと涙が空に堕ちる。エゴが人を殺し、人の中で歪んだ男女の優位を正したかった。変えたかった。でもそれは、性の違いで終わることではなく人間同士の争いとなった。その原因は目覚めてしまった『イデオン』なのか、それとも『IS』なのか?

 それはもう意味はない議論。

 

 

 

 イデオンは腕を組む姿勢を取ると全身から1万6000発のミサイルを全方位へと発射させた。

 

『ミサイルか!?受けるな、避けろ!』

 

 隊長格の女性が警告を飛ばすが、日頃絶対防御とバリアで守られていたIS乗りの油断は大きく。さらにミサイルは音を置き去りにして、数多のISと乗り手達の回避行動を容赦なく貫く。

 

『距離を取らせるな!捕まえろ!?』

 

 爆炎の中から生き残った打鉄たちがイデオンに掴みかかる。まるでハチが外敵を倒すために群がるように、イデオンの動きを雁字搦めにしてみせた。

 

『イデに、イデオンに勝てるわけないのに!』

 

 だが、イデオンに接近戦は悪手。

イデオンはその巨体を力任せに振り回し、群がる羽虫を振り落とす。そしてすかさずミサイルで追撃し、撃墜させる。

 

『男は!これだから!!』

 

『詰まらない見栄を!!』

 

 落ちていくISの残骸の中から一人の女性が飛び込む、あの隊長格の女だ。イデオンの死角を突き残骸から拾った打刀を振るう。そこで初めて、イデオンと鍔迫り合った。

 

『男がISに乗るんじゃないよ!』 

 

『そのエゴで人を殺すのか!?』

 

『コレはぁ!?大義だぁ!!』

 

 右手で振るわれた打刀、空いた左手に瞬時に隔離空間に収納していたライフルを出現させ、イデオンの腹部に近距離で打ち込む。

 

 が瞬時にイデオンの腹部が開くと、そこからミニブラッホールを発生させ、攻撃を消す。女は一瞬呆けてしまった。

 

『思い上がるなぁ!!』

 

 逃さまいと巨神の手刀が女の肩をえぐる形で振り下ろされる、咄嗟のことで女は回避を取ろうとするが右手を捕まれたままだった。手刀は絶対防御のバリアーを容易く切り裂く、ISと女も同様に。

 

 ほどなくして空を汚す爆炎はその最後の一つで静寂を取り戻した。残ったのはたった一人の巨神だけ。

 

『いや、違う!?上、白か!?』

 

 とっさに腕を頭上へと挙げ、そこからミサイルを発射する。その予感は太陽と重なり装甲の白白しさが光を反射していた。それは高速でイデオンの発射したミサイルを切り捨てる。

 

 二機交差、瞬時にそれが誰かコスモには分かった。

 

『馬鹿な事をするなよぉ!!織斑!!』

 

 世界最初の男性IS適合者、織斑一夏。

第三世代の白式を風に、コスモ、いや、巨神に憎しみをぶつけるが為に対峙する。

 

『分かっているだろ!お前なら、イデが俺たちをどうしたいのかを!?』

 

『黙れ!そんなモノがあるから、巨神があったから千冬ねぇが誑かされたんだ!!』

 

『あの二人は愛し合ってたんだぞ!!その二人が目指そうとした未来をお前が貶すか!?イデがそれを齎すんだよ!だから千冬さんは俺達と歩もうとしたんだ!』

 

『そのイデが、人殺しをさせるんだ!抑圧された男達がISを手に入れれば、それを面白がって遊び始め、女は嬲られる。そういう事をイデは悪戯に齎そうとしているんだ!!』

 

「そうだよ、いっくん。巨神がチーちゃんを奪ったんだ。騙したんだ、チーちゃんは優しいから、自分が白騎士だったことで変わってしまった社会体制に責任を感じてた。それにつけ込んだよ、奴らは」

 

『そうか!そうだったんだな!!千冬ねぇが俺の下から居なくならないはずなんだ、お前らが、巨神が千冬ねぇを奪ったんだ!!』

 

 イカれたラジオの様に叫ぶ一夏、愚か者。

物事の本質を捉えようとせず、上っ面の事実を正解にしてしまう。餌だけを与えられるだけの豚。その通信の向こうの女の我儘の傀儡になっていることも知らず。

 

 ブラスターを吹かし、白式が迫る。

 通常のIS以上の高速機動でイデオンの懐に瞬時に潜り込んでくる。その右手に握られた雪片弐型を振りかざす。

 

『女々しい奴!自分の都合で人を動かせると思っているな!!』

 

 巨神の平手がそれを受けと流すと、足を大きく振り上げた。しかし白式の高速機動は伊達ではなく瞬時に後ろへと旋回し、再びとび上がる

 

『そんな奴が、男かぁ!?』

 

 星が震えた。

イデオンのファンから白い粒子が吹き出す。

次の瞬間、右手の8つのノズルから一直線の白い輝きが伸びた。その先端が見えずに無限に宇宙へと突き出た。

 

『【イデオンソオオオオド】!!』

 

 イデの意思の噴出と言われる【イデオンソード】は地平線に沿って空を電光石火の一撃が割く。しかし、白式が落ちることはなく、その奔流を華麗に避けてしまう。

 

『鈍足なんだよぉ!!お前は!』

 

『剣を振ってふざけるんじゃない!!』

 

 

 足下から急接近にイデオンは上下逆さまに翻り、白式の雪片を手刀で向かい打つ。金属同士のぶつかり合う乾いた音と火花が散る、その一瞬に白式の左手にエネルギー爪が顕現した。

 

『手持ち無沙汰な俺でも、武器の1つは持つぞ!』

 

 左腕の雪羅の爪がイデオンの腹部を刈り取る。白式がもつ単一機能である零落白夜の機能を持った爪はすべてのエネルギーをゼロにする、そのためイデオンが纏うバリアーを失くし、その身体に爪を立てることができた。

 

 脇腹の肉片が空を舞う。

コスモは鈍痛と小さな叫びを漏らした。

生き物だから血を出せる、汚れ物も出る、痛みも感じる、涙も出る。

血しぶきが白式の白い鎧に降りかかり、純白のドレスを汚す。

 

『堕ちろよ!!』

 

『俺はまだ、十分に生きちゃあいないんだ!!』

 

 痛みが生を感じ取らせる。だから生きたいという生存本能が湧き、故にイデオンはそれに感応する。

 

 光がイデオンのバイザーを奔ると、それはイデの発現の印。イデオンのイデのゲージが一画また一画と描くとイデオンの力は宇宙を満たすすべての力を発現する。力が、途方もない力がイデオンでさえも有り余らんと震え、そして唸った。

 

ーーーウオオオオン、と。

 

 

 

 圧倒する力は空を、星を、宇宙さえも震えさせ慄かせる。白い騎士はそれを嫌でも感じ取り、再びその刃をイデオンに突き立てようとする。

 が、イデオンのバリアーがそれを弾き返す。本来のイデオンのバリアーはあらゆる攻撃を許さない究極の盾、それを実現させているのは無限力そのもの。零落白夜如きでは一切歯が立たない、無限をゼロには出来ない。

 

 ふと、コスモの視界モニターに一つのシルエットが映し出された。それは海の底に反応を出し、その形が何なのか瞬時にコスモには理解できた。

 

『やれって事なのか、イデ?』

 

 コスモはイデの意図を感じているのか、それは自身でも分からない事だった。しかし、『生きる』という一つの目的はイデと重なっている。でもこれは一つの選択肢なのかもしれない、憎しみを広げるかそれとも。

 

『クソっ!!なんで、攻撃が通らないんだ!!』

 

『織斑、まだ俺たちは分かり合えるはずだ。俺たちがIS委員会を止めないと、奴らは恐怖を理由に男を殺し始めるぞ!』

 

『その原因を作ったやつが何を!?話し合いでどうこうなる次元じゃないんだよ!もう!』

 

『お前は女尊男卑社会を良しとするのか!?』

 

『千冬ねぇと俺たちの世界を壊してしまうなら、他の男なんて不要だ!』

 

『籠の中に閉じ込めたいだけか、お前らは!!』

 

『間違った進化を与えるイデオンは、粛清してやる!!それに扇動するお前も、千冬ねぇを誑かしたアイツも!!』

 

『なら、千冬さんも殺すんだな!』

 

『なんだと、何って言った!?』

 

『あの人のお腹には、赤ちゃんが居るんだぞ。お前が嫌うベスとの子供がな!!未来を繋ぐ子を殺すのかお前は!!』

 

 一夏は口を開け固まった、が少しすると狂ったかのように笑い始めた。大口を開け、絶え間なくその高揚にも近い笑い声は空の向こう側へと虚しく響いていく。

 

 その後にその場に舞い降りたのは沈黙の天使だった。

 嫌な空気だ、そうコスモが呟くと一夏はグニャリと歪んだ笑顔を見せて来た。

 

『俺さぁ、いやなぁ、小さい頃に千冬ねぇと愛し合ったなぁ…………。』

 

『…………、何言っているんだ?』

 

『いやな、ああ言うのを【劣情】っていうのだろうけどさ。若気の至りだとかで姉さんは片付けようとしたけど、俺、あれからずっと我慢してきたんだよね?』

 

 記憶の中で幾度も己の慰めてきた悦を噛みしめる様に語る一夏、その様子に次第に不快感を憶える。

 ニヤニヤと卑しく嗤う男が、果たしてあの『織村一夏』なのかそんな不明瞭な感覚がコスモを困惑させた。

 

『まさか、その為に。その為だけに!?』

 

 

 

『穢れの子がこの世に生まれる前に俺が千冬ねぇを浄化する、それで解決だ!』

 

『お、お前ってやつはぁ!!生まれる子供にさえ手を出すつもりかぁ!!!』

 

『その前にぃ!お前から始末してやる!!』

 

 

 三度の衝突、しかしそれは急上昇してきた黒い物体によって阻まれた。2つのハンドグリップと黒く伸びた砲身、イデオンの最大の武器『イデオンガン』が海中から浮上してきたのだ。

 

『パワー良好、バイオコンデンサー機動!』

 

『させるかぁぁぁ!!!!!』

 

『みんなぁッ、吹き飛べぇぇぇぇ!!』 

 

 

 

 その時、イデは発動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が。弾け、膨らみ、満ちていく。

二人を包んだ極光は、次第に世界の裏側にさえ届き世界中を光の中へと導いた。

 

 心が、唯一を失う

光の中でどうしょうもなく横たわる人の不理解を柔らかく解き、その誤解さえも消していく。

 

 宇宙の縮退を始める前に、そこで命は再び『共感』を思い知った。男女の差を壁にしていた物など取るに足らないことだと人は理解する、しかしそれでも、光の中でその悪意は渦巻いていた。

 

「そうだ!この光が、全てを滅ぼすんだ。チィちゃんとイッくんと束さんの世界を、破壊するんだ!!」

 

『巫山戯るなぁッ!?貴様の駄々で一体どれだけの人間が死んだと思っている、イデが発現したらどう成るのか解らないんだぞ!!貴様が責任を取るのかッ!貴様があ!!』

 

「そうか、この状態はテレパシー状態なのか。だから耳障りな声も聞こえる、ユウキコスモ、それはイデなんて言う無限力が現れたせいだ!愚民達にISという叡智を授け人類を進化への道へと導いた、この私が創り出した世界に茶々を入れてきたイデのエゴ。そのものが悪なんだよ!」

 

『だから、その進化に叶わなかった男を殺すのか!?アンタはぁ!!』

 

「お前には解るまい、唯一の理解者を取られた友人としての憎さと女の幸せを掴んだチィちゃんに対する悔しさを。」

  

 孤独の少女の顔を落ちる涙、天災ゆえにその意志も誰にも伝わらなかった、あまつさえ軽んじられたその若さを。誰も受け止められなかったのだ。

  

 孤高の天災を創り出したのは男性社会の汚染した大人たち、それを蔑み、下種というならそれこそ烏滸がましいのか。

 

 傍らの銀色の侍女は光のなかでそんな彼女の肩を優しく擦る。

 

 

「しかし、束様。この有様の中で人は男女の仲を越えて理解し合おうと。進化しようとしています、これ以上はイデの怒りを買ってしまいます。ほら、感じるでしょうか?イデオンがこちらへと近づいてくるのが」

 

「都合が良いじゃない、潰せばいい。」

 

『イデ、俺はこんな甲斐のない人生で終わらせるつもりは無いぞ!!』

 

 

 

 光は、イデは全てを導く。

生存という大きなエゴと押し付けがましい『進化』さえも、呑み込んで2つの憎しみをぶつけ合わせる。

 

『善き心』を知っても尚、彼らはその憎悪を忘れる事はできない。それこそ、イデにとって己の存在を揺るがす存在でもあった。

 

 しかし、イデは識っていた。

終焉の銀河を潜り抜け、霊帝を退けたあの人類たちの事を。それにイデは感化され、人を信じることにしたのだ。

 

 ならば、もう少し見届けよう。

 

 火は未だに空を汚す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翡翠色の閃光が何処かで飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 




【イデ】
第三次スーパーロボット大戦αにて人類の存在を認め、未来宇宙に放逐されたイデオン(本編の方だとすぐに発動されるし)。因果地平の向こう側で自身が撒いた生命の種の一つであるインフィニット・ストラトスの世界を発見。より良き関係を持つ生命であるかどうか、イデは彼らにとある進化を施す、がそれが『すべての男性がISを使える』という物であり、それによって大きな戦火へと広がっていくことになる。

















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