伝説巨神イデオン対インフィニット・ストラトス!!   作:菊川 数時

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なんだか、スパロボじみてきました。イデオンの空気感は薄れているかもしれませんが、タグにもスパロボがあるので許してもらえるといいです。


無限力のサンプル

微かな光が、大きく瞬き、広がり世界を覆った。

 

光の中で曝け出されたのは、ありのままの人の心。揺蕩う2つの性の生命体達が億を超え、まるで海中を漂う自由な魚たちの様であった。

 

互いが互いの痛みを知り、共に慰め合う。

死んだ筈の友、家族、怨敵達が魂の開放の下に集い今までを労い笑い合う。

 

この光は、イデから発せられたものでは無い。これは人の心の光であった、温かく包み込み、世界中を巻き込んだ一時的な心の宥和は『女尊男卑』という悪習を取り払いつつあった。

 

その中で、未だに魂の開放を拒む者が地に足を付けその臆病さを醜くしていた。

『ほら、箒もっと柔軟になって考えて。私達は一つなれるのよ?例え物理的な孤独が私達の肉体にあっても、その精神は……』

 

『そうだよ。一夏の心だって誰の物にならなくたって、僕たちは繋がり合えるんだ。小さいことだよ、今なら分かるよあの時僕がイデオンにやられたのには意味があったんだ。許せる事なんだよ?何もかも』

 

「……………………うるさい、黙っていろ悪霊ども」

 

漂う女たちを振り払う天災の片割れ、箒が現実にあるはずの不自由な廊下を歩いていた。その瞳には、畏怖と執念が宿っておりこの清浄な光の世界の唯一の汚点と成り果てていた。

 

未だに私怨を忘れられぬ彼女への憐れみの視線と慰めの言葉が無遠慮に彼女の心を踏み漁る、その苦痛と情けなさは彼女の狂気を更に駆り立てるものとなっていた。

 

「………………光が、濃い……?そうだ、『メシア』ってのがイデの希望って言うものなら。この光の中心に、その赤ん坊を宿したシミたれったアイツがいると言う訳なんだな?」

 

ボロボロの自身のISを引きずり、特攻仕掛けた傷から黒く淀んだ血流が溢れ出していた。しかし、痛みに構っていられるほど彼女の執念は容易くない。光の世界に赤黒い点々を遺しながら、それでも彼女は光の奥へと突き進んでいく。その先に自身が求めていた怨敵がいるのだから。

 

 

「あぁ……、そうかそういうことなのか……。良いぞ、私の罪が浄化されていく………………。やはりこのお腹の中のメシアこそが、イデのいや我々人類の希望!!」

 

最も光が瞬くその中央に、その女『千冬』は居た。

光の一つ一粒が彼女の膨らんだ腹部へと吸い込まれていく、それは魂の力であり、人々を清浄なる魂の大地へと導く温かさでもあった。

「これで、これでようやく……!!」

 

「ようやく………………。なんです、千冬さん?まさかまだトチ狂って、身勝手な罪滅ぼしでもしょうとでも?」

 

「…………お前は、篠ノ之……。生きていたのか?」

 

「私を!篠ノ之と、呼ぶな!!」

 

突如、激昂する箒は衝動のままにエネルギーの刃を千冬へと投げ付けた。しかし、刃は千冬に当たることはなく何かが砕ける音と共に光の中に消えていった。

 

「ガラスか、なら二本目なら当たるでしょ?」

 

「そんな必要はない、元々ここはソロシップの植林場。いずれここは我々の子どもたちが、自然を育む大切な場所になる。血で汚したくない……。お前の所まで降りよう」

 

「千冬さん!アンタって言う人は!?何処まで、馬鹿にすれば………!」

 

小さな声で箒が呟く、千冬は平静な表情でその身籠った腹を大事そうに抱えてエネルギーの刃を構える箒の下に降りてくる。

そんな一連の動きでさえも箒の内心は怒り心頭であったが、軍人としての領分もある身の上である以上彼女はそれだけを頼りに任務を全うしようともしていた。

 

「さあ、IS委員会からの要請で貴方を保護します。投降してください、千冬さん」

 

「ふっ、馬鹿なことを言うな箒。最早そんな任務無いに等しいというのに………。」

 

「…………私は、軍人です。貴方を保護するというのが我々"女連隊"の最大の任務ではありますが、今暴動を起こしている男性派の者たちも制圧しなければならないのですから」

 

「……………私への、憎しみか………?」

 

不意に悟った様な表情をした女が、箒の心から理性を奪った。全身の毛がそそり経つ感覚が駆け巡ったかと思うと一瞬にしてそれは熱へと変化していった。滾る命の炎が、熱へと……………。

 

「……………………!!私の心を、知ったかの様な口ぶりをするな!!?」

 

衝動は攻撃へと転換されていた、ボロボロの赤椿のスラスターを無理矢理吹かしその勢いに刃を千冬へと振りかざす。千冬は重いその身体を左へと動かし、刃を躱し大きく後ろへと後退し箒と距離を取った。

 

「申し訳ないとは、思っている。お前たちを私達の身勝手な罪滅ぼしに巻き込んでしまったことを。しかし、私がこうしてこの身を使って『女尊男卑』という歪んだ社会を正そうとしているのだ。イデと共に!!」

 

「アンタはぁ!?万人に代わって、マリア様にでもなろうってか!!?それがあんた等身勝手な考えだって何故わからない!!?」

 

「確かに、イデが齎そうとしている"進化"は急なものかも知れない………。だがこうでもしなければ歪んだ人々は正されない」

 

「そういうことを、言っているんじゃない!!死人が出ているんですよ!?鈴音やオルコット、男女問わず多くの人がだ!!」

 

「………………残酷な事だが、イデは進化にそぐわない者を消していく。エゴを、私怨を捨てられなければお前も……」

 

「ならば、お前を殺せば済むことだろ?」

 

その瞬間、箒の赤椿が音を立てて崩れ落ちていったのだ、ISという鎧が遂に限界となり壊れていくが箒の懐はまだ冷たい凶器が眠っていたのだ。

 

それは拳銃、なんてことはないIS軍に支給されていた備品であったオートマチック。それを、身籠った千冬に向けた。

 

「お前が、銃を抜くのか…。ならば、私も赤子の為に銃を抜かなくてはならないな」

 

「…………………アンタは、そうやって身勝手な理由で同情して、身勝手な社会を作ったんだよ。それでその被害者である私達子どもにピストルの弾をくれるんですか?」

 

「私が"白騎士"としてしてきた事はちゃんと償う。その為に、このメシアが生まれなくちゃならないのだ!!それを分かれ!!」

 

「なに?"白騎士"だって?」

その言葉から、箒の脳内には出撃前の一夏との会話が突如ぶり返した。

 

『箒、この戦いが終わったら俺の"白騎士"のお供にでもなってみるか?』

 

「ッ!!千冬ぅぅ!!お前は、一夏さえもぉぉぉぉぉ!?この裏切り者がぁ!!」

 

「裏切り者になったつもりが無い私なら、お前に弾を当てられるはずだ……!!」

 

光が、瞬く。奇跡は収まりつつある最中に、二人の女の執念が黒ずむ撃鉄を引かせ合う。

それは"イデ"が不要とするエゴそのもの、しかし無垢なるものならその意志さえも未だに知り得ない。

 

結末は、どちらでも良い。

 

撃鉄が、響くと同時に世界中の光が晴れていった………………………。

 

 

 

 

 

 

「クソっ、クソッ!!イデめ、お前なんかを拾うんじゃなかった!!お前なんかあったから、カーシャやキッチンが……。皆が死んじまった!!」

 

光がまだ晴れぬ最中、イデオンは渦巻く悪意の元凶を追い求めて奔っていた。コスモの操縦を受け付けぬイデオンは、何も言わず一人きりのコスモの怒り嘆きを黙って聞いていた。

 

最初なんて、数カ月前のことだった。父親の遺跡の発掘隊に黙って付き添い、見つけた遺跡。それがイデオンとの邂逅であり、紛争国のIS乗りたちが突如発掘所に乗り込んで来たことからすべてが始まったのだ。

 

ただ、ただコスモは人並みに生きたかっただけなのに。イデオンなんてロボットを操り、腹が立つような女達の戯言と男たちの無責任な妄言に板挟みにされた発掘チームのみんなが戦争で死なせてしまったのだ。

その悲しみを何処へとぶつけるべきなのか、コスモにはもう分からなくなってしまった。ただ言えることは、この光の終わりに全ての元凶がいて、それを潰せば戦争は終わる筈だという事だけは理解していた。

 

今はそれを信じて、この光を駆けていかなくてはならないのだ。イデオンの導くままに、それが無限力に見染められたコスモの運命なのだから。

 

光の終わりが、見えてくるとコスモは涙を拭いイデオンの操縦桿を強く握りしめた。

篠ノ之束、ソイツを始末するための闘志は十分にあった。

 

光の終わりの先には、自然があった。

 

「ここは……?ISの反応がありゃしないって、どういうことなんだ?大勢待ち構えてるもんだろ、敵の本拠地ってのは?」

 

そこはコスモが思っていた様な終点ではなかった、イデオンが飛び降りた土地は山々と自然が豊かな場所だったのだ。当然軍の基地や研究所みたいなゴテゴテしていそうな施設が辺りには見受けられなかった。

 

「イデの野郎、もしかしてミスったのか?いや、そんな筈はない。俺たちに人殺しさせたコイツが今更日和ったわけがない、どこに居るんだ篠ノ之束……。」

 

『もしかして、私を呼んだかな?ユウキ·コスモ』

 

「!?どこだ、何処にいやがる!?出てこい、篠ノ之束!!」

 

どこからともなく巫山戯た声が響いた。イデオンのセンサーをフルに使って、束の位置を探ろうとするが何かがセンサーに引っかかって上手く機能しておらず束を見つけ出すことが出来ずにいた。

 

『なぁ、少し話をしょうか。なに、逃げる気は無いよ。"準備"が少々掛かっていてね、それまでの時間つぶしが必要なんだよ?』

 

「待ってって言われて、待つほどお前に義理はないし。それでスキを作ろうって魂胆だろうが!!」

 

『ふふふ、別にそんな必要はないよ。ここまでコケにしてくれたお前とイデオンに免じての準備とお話というわけなんだから。』

 

「(くっ、なんでこうもセンサーが効かないんだ!?電波を拾おうにも、なんだかもっと大きなモノに邪魔されて判らない!!)」

 

『ユウキコスモ、お前はイデオンがこの地球にある事は可笑しいと思わなかったのか?そんな100メートルもあるロボットが数千年前にあった遺跡だと、ホントに信じたのか?』

 

「……………どういう事だ?貴様は何を知っている!!」

 

そう言えばこんな機械が昔の人類に作れたのか?そんな疑問が何処かにあったのも事実であった、しかしそれ自体を調べる方法が数カ月前に失われた以上どうにもならないことと諦めていた。

 

『イデオンは、元々この地球にあったものじゃないのさ!!ソロ星という異星で第六文明人という古代の種族が作り上げたロボットだったのさ!!』

 

「ソロ星?第六文明人?貴様は一体何を言っている!?何故そんなことを知っている!!」

 

『それだけじゃない、その第六文明人ってのはそのイデオンにある"イデ"というシステムに飲み込まれて滅んでしまったのさ!!無限力と一体化してね!!』

 

「な、なんだと………。イデオンって、イデってそんな恐ろしいものだったのか?でもあの光といい、今までのことといい、その兆候らしきものがあったのも、事実だ……。」

 

『だけど、宇宙移民をしていた人類がそれを見つけてしまってあろうことかイデオンを持ち帰ってしまった………。そして、眠っていたイデオンを起こしてしまった。それが"黒歴史"の始まり………。』

 

「黒、歴史?」

 

その言葉にコスモは聞き覚えがあった。よく父親が言っていたのだ、その昔人類は今より発展した科学力を持っていてその時代を『黒歴史』と呼んでいた。

それを証明するために父親は各地の禁足地を訪れ、遺跡発掘に勤しんでいた。

 

『そうだユウキコスモ。"黒歴史"だ、人類が忘れてしまった忌むべき時代の名前。私はそれを月で知った、そしてその原因にイデオンがいると知った!イデオンが、無限力が宇宙の生命体を駆逐したんだ。その力が人類にも迫っていたんだ、互いの闘争心を煽ってさぁ!!』

 

「そんな、そんな恐ろしいことがあっていいわけ無いだろ!!そんな事実!?」

 

『事実さぁ!!人類は結局全てをターンしょうとも、文明をリセットしても互いを憎み合い殺し合っている始末なんだから!!』

束は"黒歴史"を知り、己の作ったISが起こす争いと差別を知り確認したのだ。人類は戦いを忘れる事はできない、ならばならと自身の作り出す籠で世界を閉じ込めてしまえば良いと考えた。

その最中、イデオンが復活した。

 

『だからこの私が、愚民どもの好き勝手を許してやってんだから。私の楽園を作りそれで"黒歴史"の到来を防いでやろうって訳なんだよ!!そんな際に、イデオンお前が現れたんだからエゴイストな悪魔を始末しょうと皆躍起になるのさ。遺伝子レベルでイデオンへの恐怖が刻まれている地球人だから、戦争が起きた。それだけのこと!!』

 

「結局、お前が好き勝手出来ないことが許せないからこの戦争をお前が起こしたんだろうが!!支配者を気取るなら、『女尊男卑』なんてものを放置していたんだ!!それこそ、お前の言う"黒歴史"の再来にもなったかもしれないのに!?」

 

『人の作ったモノで思想を作り上げる様な奴らに、なぜこの束さんが尽力しなければならない!!それに巫山戯た男どもの毒抜きだってしてやらねばならなかったしな、そういう意味じゃ"女尊男卑"という思想は役に立ったよ。

どちらにしろイデオン、お前自身が黒歴史の発端であることは何ら変わりない。私が正義なんだよ!!』

 

「誰が黒歴史になんかにするか!!そんなこと、お前にもイデにだってやらせはしない。俺は、まだ17なんだぞぉ!!」

 

『サンプルがいうに事欠いて……!!どちらにしろお前は、ここで死ぬ!!ちぃちゃんも返してもらう!』

 

「そこかっ!!見つけたぞぉ!!」

 

イデオンのセンサーが音声の電波の発信源を捉えた、コスモはイデオンの操縦桿を思いっきり一つの先の山向こうへと操縦を切った。

 

『………………ユウキコスモ、お前は知っているか?

無限力の使徒がイデオンだけでは無いことを。

そしてここが一体、どこなのか?』

 

「何?」

 

『教えてやるよ、ここは日本の禁足地の一つ。"黒歴史"において最もその力を恐れられた存在が眠るこの土地の名を…………、

その名は“浅間山”!!』

 

その瞬間、翡翠色の閃光が山向こうから輝いた。極光が空を貫き、大地を揺るがす。コスモはイデオンを駆りその光の下へと向かおうとする。その深緑の光の柱に近づけば近づく度、イデオンが呼応する様にその身が震え力が高まるのを感じた。

 

「な、なんだ……?イデオンのパワーが上がりすぎているぞ!?こんな出力、今まで一度もなかったのにッ!!一体何があるっていうんだ、イデ!?」

 

山の頂上に降り立つ時には、光の柱は消え失せていた。見下ろす様に光の発生源を見やると、そこには朽ちた建物が散乱していただけであった。

 

「一体、今の光は?」

 

『上だよ、ユウキコスモ』

 

声が頭上から掛った、咄嗟にコスモは上空を見上げるとそれは悪魔の様な羽を広げてそこに居た。

 

赤い塗装、生命体の様な生々しさを感じる滑らかな装甲、特徴的な二本の角のような物、鋭い黄色の瞳、その全長はイデオンの半分もないくらいも無いのにそのロボットから発せられる威圧感は途轍もないモノであった。

しかし、そんな機体の出で立ちからコスモの口から一つの言葉が思わず呟かれていた。

 

そうまるで、その出で立ちは東洋の_______

 

「___________鬼、」

 

『紹介しょう、この機体は"黒歴史"において最も恐れられたロボットの一つ。"黒歴史"の終わりに人類の暴走を食い止め、火星に飛び立ったそのコピー。

《真ゲッターロボ》、無限力のもう一つの使徒にして進化の化身!!

さぁいくよクーちゃん、マーちゃん!』

 

『かしこまりました、束様。貴方とならどこまでも……。』

 

『良いだろう、篠ノ之束。巨神を始末するのを手伝ってやる!!』

 

『イデオン、お前にも味合わせてやる!束さんの恐ろしさを!!』

 

それを合図に真ゲッターロボの瞳が輝く、人の様な有機的さと対するようにイデオンの無機質な瞳に無数の機械光が迸っていた。

 

「クソぉぉお!!イデオンを怒らせるなぁ!!!」

 

コスモが叫び、束が嘲笑う。

 

この二人を中心に、"黒歴史"は再来しょうとしていた。この戦いを止められなければ、人類は2つの進化に押しつぶされ全滅するであろう。

 

しかし、今の人類では彼らを止める術は無い。

暗雲が立ち込める空に、日の指す合間は無い。

 

 

 

 

 

 

 

暗闇で、何かが目覚めの遠吠えを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 




このISの世界はα外伝に近い世界ではありますが、ジロン達などイノセントはいません。この世界の黒歴史はイデオンが発見されたことから始まり、異星人の存在を確信せざる負えなくなった人類が対異星人用のロボット兵器を作り出し、それを持て余した人類が大規模な戦争を始めさらに異星人の侵略に板挟みにされ、その結果人類は異星人とはわかり合うことができずイデオンやゲッターなどの力で全滅にし、その火種を消すことができずに人類全体の戦いになってしまった。
その結果、地球は環境汚染され、対異星人用に作れた∀ガンダムによって文明をリセットし文明を取り戻しつつあるこの『IS』の世界へと繋がっている。というガバガバな設定であります。



【真ゲッターロボ(コピー)】
篠ノ之束が黒歴史のデータから作り出したゲッター、原作漫画版『ゲッターロボ號』の真ゲッターとは程遠い性能だが、そのパワーやスピードは本物に迫るものがある。イーグル号には篠ノ之束、ジャガー号にはクロエ·クロニクル、ベアー号には織斑マドカが搭乗している。
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