友達の弟が可愛すぎるから、あの手この手で誘惑してみたっ!   作:雨宮照

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黒宮ケイ、黒ギャルだ。

あたしの名前は黒宮ケイ。黒ギャルだ。

思いがけず某少年探偵みたいな自己紹介になってしまったけど、悲惨な事件は起こらないからもう少し聞いていて欲しい。

黒ギャルって言っても、あたしは本当は北海道民も顔負けの色白。めんこいべ。

え? 色白なのになんで黒ギャルメイクをしてるのかって?

それは、あたしの性格的に清楚な見た目の色白少女は似合わないから。

本当は気が小さくて引っ込み思案なあたしだけど、メイクをして学校に行ってる間は、性格もギャルそのもの。

自分のテリトリーを守るために、この国では仮面をつけていなければならない。

……まあ、今となってはそれが大失敗だったって、気付いてるんだけどね……。

と、とにかくそんなことは置いておいて、今大切なのはもっと違うこと。

あたしが、どこに向かってるかってことだ。

なんと……親友の、白川メグのご自宅に招待されて、徒歩で向かってる途中でした〜!

とはいえ何度かお邪魔したことはあるんだけど、これが毎回新鮮で、楽しくって。

っていうのも、その原因はメグちゃんだけじゃなくて、その弟にあって……。

「ヨータ、今日も遊んでくれるかなぁ〜」

私は、彼女の弟の白川ヨータと遊ぶのが、他のどんなことよりも楽しみになっている。

だって……あんなにかわいい生き物がこの世に存在するなんて奇跡じゃない!?

ちょっと近づいただけであんなに顔真っ赤にしちゃってさぁ〜!

だから、あたしは決めたの。

ヨータを誘惑して、陥落させてみせるって!

この日もあたしはヨータをオトすため、意気揚々と白川家に向かうのであった。

 

白川家は、あたしの家から徒歩で十五分くらいの坂の上に佇んでいる。

神社やお寺が近いあたしの家から比べると、少し歩いただけの坂の上はじゅうぶん都会だ。

駅は二つもあるし、デパートやカフェだってある。

最近の都市開発で、駅前になんて温泉ができたくらいだ。

まあ、あたしの家からも近くではあるんだけど、やっぱり家の建っている高さっていうのはそのまま生活のグレードを表しているような気がして、尻込みしてしまう。

階層が違う、っていうのかな?

とにかく、そんな田舎の都会に白川家は建っている。

 

放課後の坂を上る。

大通りに出ると、ちらほら帰宅部の中学生たちの姿が目についた。

ここ、埼玉県秩父市の中学生はなぜか、学校が終わっても、休日でも。

ジャージで過ごす生徒がとっても多い。

高校生になっても中学校のジャージの裾を切ってオシャレにして、普段着にしている人だっているくらい。

でも、高校生になるとあたしみたいに制服を着崩して外に出るのが普通かな?

メグちゃんも、そうしてるし……。

 

それからまた少し歩くと、二階建ての、白くて綺麗なおうちが見えてきた。

白川家だ。

全体的に茶色っぽいこの街で、こんなに白いおうちは目立つ。

二年前に、壁を塗り替えたらしい。

リフォームとかも最近は流行ってるらしくて、古民家を改装したカフェなんかも観光客向けに増えている。

あたしは、歩いて乱れた身だしなみを整える。

ちょっとでも綺麗にして、ヨータをドキドキさせてやりたいからだ。

 

身だしなみも呼吸もととのえて、インターフォンを押す。

付け爪が触れないように、拳を握って指の関節で軽くタッチ。

音が鳴って、十数秒でドアが開く。

立っていたのは、満面の笑顔を浮かべた親友、メグちゃんだった。

 

続く。

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